改製原戸籍とは?相続手続きで求められる理由と読み方・取り方
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改製原戸籍(かいせいげんこせき)とは、法令の改正によって戸籍を新しい形式に作り替えた(改製した)ときの、作り替える前の古い戸籍のことです。相続手続きで求められるのは、作り替えのときに、すでに戸籍から除かれていた人(結婚して出ていった子、亡くなった人など)や、終わった結婚の記載などが新しい戸籍に書き写されないからです。今の戸籍だけでは「ほかに相続人がいないこと」が確かめられないため、銀行や法務局は、改製原戸籍を含めた出生から死亡までの連続した戸籍を求めます。
改製原戸籍とは:作り替える前の古い戸籍
戸籍は、法令が変わるたびに形式が見直されてきました。今の戸籍法では、戸籍は「一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごと」に作られます(戸籍法6条)。形式が変わると、市区町村は今ある戸籍を新しい形式に移し替えます。この移し替えを「改製」といい、移し替える前の戸籍が改製原戸籍です。「原戸籍(げんこせき・はらこせき)」と略して呼ばれることもあります。
似た言葉との違いを表で整理します。
| 言葉 | どんな戸籍か | 相続手続きで見る理由 |
|---|---|---|
| 戸籍(現在戸籍) | 今使われている戸籍 | 死亡の記載、相続人の今の身分を確かめる |
| 除籍 | 結婚・死亡・転籍などで全員がいなくなった戸籍(戸籍法12条) | 過去の家族関係を確かめる |
| 改製原戸籍 | 法令による作り替えで使われなくなった、改製前の戸籍 | 改製のときに書き写されなかった記載を確かめる |
改製原戸籍も除籍も「除かれた戸籍」として扱われ、謄本などの請求のしかたは戸籍と同じ決まりによります(戸籍法12条の2)。
相続手続きで求められる理由:書き写されない記載がある
改製や転籍で新しい戸籍を作るとき、古い戸籍の記載がすべて書き写されるわけではありません。書き写されるのは、いま戸籍に載っている人の出生や、現に続いている婚姻・養子縁組など、規則で挙げられた事項が中心です。逆に、すでにその戸籍から除かれた人(結婚して出ていった人、亡くなった人など)に関する事項は、省略してよいとされています。コンピュータ化のときの改製も同じで、根拠の条文は参考文献にまとめました。
つまり、新しい戸籍だけを見ると「昔、この家族にいた人」が消えています。相続人は、亡くなった人の出生から死亡までのすべての子を含めて確かめるため、省略された人がいないかを、改製前の戸籍で見る必要があります。金融機関や法務局が改製原戸籍を求めるのはこのためです。
その結果、たとえば次のような事実は、今の戸籍を見ても分かりません。
- コンピュータ化より前に結婚して親の戸籍から出ていった子
- コンピュータ化より前に亡くなった子(その子に子がいれば代襲相続人になりうる)
- 前の配偶者との離婚や、その間に生まれた子
- 以前にした養子縁組や認知
法務局の登記手続ハンドブックも、相続登記では「ほかに相続人がいないこと」を証明するために、新しい戸籍から古い戸籍へさかのぼって、出生から死亡までの戸籍を取るよう案内しています。家庭裁判所の遺言書の検認の申立てでも、「出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本」が必要書類に挙げられています。
2つの改製:昭和の作り替えとコンピュータ化
相続手続きでよく出てくる改製は、主に2回です。
| 改製 | 根拠 | 時期 | 見た目の目安 |
|---|---|---|---|
| 昭和の改製 | 戸籍法附則3条(旧法の戸籍は、新法施行後10年を経過したら法務省令に従って新法の戸籍に改製する) | 新しい戸籍法は1948年1月1日施行。その10年後以降に順次 | 縦書き・手書きやタイプ印字の紙の戸籍 |
| 平成のコンピュータ化 | 戸籍法118条と平成6年法務省令第51号(1994年12月1日施行) | 市区町村ごとに法務大臣の指定を受けた時期 | コンピュータ化前は縦書きの紙、コンピュータ化後は横書きの「全部事項証明書」 |
コンピュータ化は全国一斉ではなく、市区町村ごとに指定を受けて順に進みました。そのため、同じ家族でも本籍地によって改製の日が違います。高齢で亡くなった人の場合、出生から死亡までをたどると、昭和の改製原戸籍、平成の改製原戸籍、今の戸籍の3つがつながっていることがあります。どこまでさかのぼるかは、改製の日付を手がかりに1通ずつ確かめます。
出生(親の戸籍・昭和の改製前) → 昭和の改製で新しい形式の親の戸籍へ → 結婚で夫婦の新しい戸籍 → 平成のコンピュータ化で改製(ここまでが平成の改製原戸籍) → 今の戸籍(死亡の記載)
読み方:つながりは「改製の日付」で確かめる
改製原戸籍と新しい戸籍がつながっているかは、日付で確かめます。
- 新しい戸籍の最初の欄を見る:今の戸籍(全部事項証明書)の戸籍事項欄に、改製の日付と改製の事由が書かれています。
- 古い戸籍の欄外を見る:改製原戸籍のほうには、改製によって消除された旨と日付が書かれています。コンピュータ化のときは、この記載を最初のページの欄外にしてよいとされています。
- 2つの日付が同じか確かめる:同じなら、その2通はつながっています。
- 人ごとの欄を読む:古い戸籍の各人の欄で、出生・婚姻・死亡・除籍の記載を見て、新しい戸籍に出てこない人がいないかを確かめます。
読み取りに迷ったときは、取得した市区町村の戸籍の窓口で「この戸籍の前の戸籍はどこか」を尋ねられます。
取り方:本籍地への請求と、手数料・保存期間
改製原戸籍は、その戸籍があった当時の本籍地の市区町村に請求します。請求できる人や郵送の可否は、普通の戸籍と同じです。
- 広域交付:2024年3月1日からの広域交付は、本人・配偶者・直系尊属・直系卑属が本籍地以外の窓口で請求できる制度ですが、コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は対象外です。紙の改製原戸籍が最寄りの窓口で出せるかは、請求する窓口で尋ねます。
- 手数料:政令の標準額は、戸籍謄本1通450円、除籍謄本1通750円です。改製原戸籍の額は市区町村の手数料条例で決まっているので、請求先の手数料表で確かめます。
- 保存期間:コンピュータ化で改製した戸籍は、改製の日から150年保存されます。
集める順番と通数の考え方は相続手続きの戸籍謄本の集め方で、戸籍がそろった後に用意する書類は相続手続きの印鑑証明:必要な通数と有効期限で説明しています。提出先ごとの書類の全体は相続手続きの必要書類一覧にまとめています。
よくある質問
Q. 改製原戸籍と除籍謄本はどう違いますか?
除籍は、結婚や死亡などで中の人が全員いなくなり、戸籍簿から除かれた戸籍です(戸籍法12条)。改製原戸籍は、中の人がまだいるのに、法令による作り替えで新しい形式の戸籍に移ったため使われなくなった古い戸籍です。どちらも今の戸籍には出てこない記載を確かめるために、相続手続きで出生から死亡までの戸籍の一部として求められます。
Q. 銀行から「原戸籍も出してください」と言われたのはなぜですか?
全国銀行協会の案内では、遺言がない場合の預金の手続きに、亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍を出すことになっています。今の戸籍はコンピュータ化の時点からしか記載がないことが多く、それより前の結婚・離婚・子の出生などは改製原戸籍を見ないと分からないため、連続した戸籍の一部として求められます。
Q. 改製原戸籍に載っている子は、全員が相続人ですか?
そうとは限りません。相続人になるかは民法の決まり(子・直系尊属・兄弟姉妹の順と配偶者)で決まり、すでに亡くなっている子がいれば、その子の子が代わりに相続人になる場合もあります。改製原戸籍は、相続人を確かめるための材料の一つです。家族ごとの確かめ方は[法定相続人とは?家族図で確かめる方法](/houtei-souzokunin/)で説明しています。
出典・参考にした公的な情報
- 戸籍法 第6条・第12条・第12条の2・第118条・第120条の2・附則第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 戸籍法施行規則 第37条・第39条・附則(平成6年法務省令第51号 附則第2条)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 登記手続ハンドブック(遺産分割協議編)(法務局)(法務省)
- 預金相続の手続に必要な書類(全国銀行協会)(全国銀行協会)
- 遺言書の検認(裁判所)(最高裁判所)
- 戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)(法務省)(法務省)
- 地方公共団体の手数料の標準に関する政令(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。