相続の手続きと期限 / チェックリスト

相続手続きの必要書類一覧:銀行・法務局・税務署で使う書類の早見表

この記事のもくじ
  1. 提出先別の必要書類一覧
  2. 遺言書がある場合・協議書がない場合の違い
  3. 戸籍を使い回すコツ:法定相続情報一覧図と原本還付
  4. 集める順番:二度手間を防ぐ5つのステップ
  5. 自分で集めるのが難しいときの頼み方

相続手続きの必要書類は、提出先ごとに違うように見えて、中身の多くは共通です。どこでも求められる「核」は、①亡くなった人(被相続人)の出生から死亡までの戸籍、②相続人全員の戸籍、③分け方を示す書類(遺言書か遺産分割協議書)、④相続人の印鑑証明書の4つです。これに、提出先ごとの書類(登記なら住民票の写し、税務署なら財産の資料など)が加わります。この記事では、提出先別の一覧表と、戸籍を何度も取り直さずに使い回すコツをまとめます。

提出先別の必要書類一覧

まず提出先ごとに、主な書類を並べます。銀行は全国銀行協会、法務局は法務局の登記手続ハンドブック、税務署は国税庁のチェックシートの記載に沿っています。どの提出先でも、事案によって追加の書類を求められることがあります。

提出先(手続き) 主な必要書類
銀行(預金の払戻し・名義変更) 遺産分割協議書(全員の署名・実印)、被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、相続人全員の印鑑証明書、金融機関所定の相続手続依頼書
法務局(遺産分割による相続登記) 登記申請書、被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍(被相続人の死亡日以後に証明されたもの)、遺産分割協議書と相続人の印鑑証明書、不動産を取得する人の住民票の写し、ほかに登録免許税の計算のため、固定資産課税台帳の価格が載った課税明細書などを手元に用意
税務署(相続税の申告) 相続開始から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本か図の形の法定相続情報一覧図、遺言書か遺産分割協議書の写し、印鑑証明書(配偶者の税額の軽減や小規模宅地等の特例を使うときは原本)、財産と債務の資料、相続人のマイナンバーの確認書類
家庭裁判所(相続放棄の申述) 申述書、被相続人の住民票除票か戸籍附票、申述する人の戸籍、相続人の順位に応じた被相続人の戸籍、収入印紙800円、郵便切手
年金事務所(未支給年金) 請求書、亡くなった人の年金証書、続柄が分かる戸籍謄本、生計同一が分かる住民票(いずれも死亡日以降に発行されたもの)、受取口座の確認書類

株や車の手続きで使う書類は、株の相続手続きと車の相続手続き:名義変更の必要書類で扱います。被相続人の住所が登記記録と違う場合、法務局では住民票の除票か戸籍の附票などで同じ人だと示す書類を追加します。預金の手続きの流れは預金の相続手続き:銀行への連絡から払い戻しまでで詳しく説明しています。

遺言書がある場合・協議書がない場合の違い

同じ銀行や法務局でも、分け方を示す書類によって必要書類が変わります。全国銀行協会の案内では、預金の手続きは4つの場合に分かれています。そのうち主な2つを示します。

  • 遺言書がある場合: 遺言書(公正証書遺言以外は検認済みを示す書類)、亡くなった人の死亡が分かる戸籍、預金を受け取る人(遺言執行者がいれば執行者)の印鑑証明書。
  • 遺言書がなく協議書がある場合: 遺産分割協議書、出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍と印鑑証明書。協議書もないときと調停・審判があるときの書類は、預金の相続手続きの早見表にまとめています。

遺言がある場合は集める戸籍が少なくて済む一方、検認が要る遺言ならその手続きが先になります。違いの全体は遺言書あり・なしで相続手続きはどう違うかで比べています。法務局に預けられていた自筆証書遺言は、遺言書情報証明書(1通1,400円)を原本の代わりに使え、検認はいりません。

戸籍を使い回すコツ:法定相続情報一覧図と原本還付

戸籍の束は、提出先ごとに取り直すと手数料も手間もかさみます。戸籍謄本の標準の手数料は1通450円、除籍謄本は1通750円です(地方公共団体の手数料の標準に関する政令。実際の額は市区町村の条例)。何十年分もさかのぼると何通にもなるので、次の3つの方法で使い回します。

  1. 法定相続情報一覧図をもらう:戸籍の束と相続関係を一覧にした図を法務局に出すと、登記官が確認して認証文付きの写しを無料で交付します。相続登記、預金の払戻し、相続税の申告、年金の手続きなどで戸籍の束の代わりに使えます(使えるかは提出先に確かめる)。申出先は、被相続人の本籍地・最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地のいずれかの法務局で、郵送でもできます。一覧図は5年間保管され、その間は再交付も受けられます。制度の詳細は法定相続情報証明制度とはにあります。
  2. 登記で原本を返してもらう:相続登記に添えた書類は原本が原則ですが、還付を請求できます。戸籍は「相続関係説明図」を出せば、登記の調査が終わった後に戸籍の原本が返ってきます(戸籍のコピーはいらない)。ほかの書類はコピーに「原本に相違ありません」と書いて記名押印し、原本と一緒に出します。
  3. コピーでよい提出先を見分ける:相続税の申告に出す戸籍謄本や一覧図はコピーでもよいとされています。家庭裁判所では、同じ書類は1通で足り、法定相続情報一覧図の写しで戸籍に代えられる場合があります。
早見表:原本が要る提出先・コピーでよい提出先
  • 原本が原則(返してもらえる):法務局の相続登記(戸籍は相続関係説明図で還付)
  • 原本の扱いは各社の案内:銀行・証券会社
  • コピーでよい:税務署(戸籍・一覧図)
  • 一覧図で代えられることがある:家庭裁判所(申立先に確かめる)

集める順番:二度手間を防ぐ5つのステップ

書類は、次の順番で集めると取り直しが減ります。

  1. 戸籍をそろえる:被相続人の死亡が記載された戸籍から始め、出生までさかのぼります。集め方は相続手続きの戸籍謄本の集め方で手順を説明しています。
  2. 法定相続情報一覧図をもらう:戸籍がそろった時点で申し出て、必要な通数(提出先の数)をもらいます。
  3. 遺言書を確かめるか、遺産分割協議書を作る:協議書は財産の一覧ができてから作ります。
  4. 印鑑証明書を集める:協議書に押す実印の印鑑証明書を、相続人ごとに用意します。法務局では作成後3か月以内という制約はありませんが、銀行は各行が期限を決めていることがあるので、協議書の完成に合わせて取ります。通数の数え方は相続手続きの印鑑証明:有効期限と必要な通数を参考にしてください。
  5. 提出先ごとの書類を足す:登記なら住民票の写しと固定資産の価格が分かる書類、税務署なら財産の資料、という順です。

チェックリストとして使う場合は、次の項目に印をつけていきます。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍(改製原戸籍・除籍を含む)
  • 相続人全員の現在の戸籍(死亡日以後に証明されたもの)
  • 被相続人の住民票の除票か戸籍の附票
  • 法定相続情報一覧図の写し(必要通数)
  • 遺言書(検認済証明書か遺言書情報証明書)または遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 不動産を取得する人の住民票の写し
  • 固定資産税の課税明細書か評価証明書
  • 預金通帳・残高証明書、証券会社の取引報告書など財産の資料

自分で集めるのが難しいときの頼み方

ここまでの書類は、相続人が自分で集められます。ただ、本籍地が何度も変わっている、相続人が多い、平日に役所や銀行へ行けないといった事情で負担が大きいときは、書類集めや名義変更を専門家に頼む選択肢があります。頼むときは、手続きごとに担当できる資格者が違う点を押さえます。相続登記の申請の代理は司法書士・弁護士、相続税の申告は税理士の仕事です。戸籍の収集や遺産分割協議書の作成は行政書士にも頼めます。

代行を頼む場合は、見積書で「どの手続きを・誰が(どの資格者が)・いくらで」担当するかを確かめ、戸籍の取得実費や登録免許税が報酬と別に書かれているかも見ます。頼める範囲の見分け方は相続手続きの代行サービスとはにまとめています。

手続きの全体は相続手続きの流れと期限で確認できます。

よくある質問

Q. 戸籍謄本は提出先の数だけ取らないといけませんか?

取らなくてよい場合が多くあります。法務局で法定相続情報一覧図の写しを無料で必要な通数もらえば、相続登記や相続税の申告などで戸籍の束の代わりに使えます。相続登記では相続関係説明図を出すと戸籍の原本が返ってきますし、税務署の申告では戸籍のコピーも認められています。提出先の数より、原本を返してもらえない提出先がいくつあるかで通数を決めます。

Q. 遺産分割協議書に添える印鑑証明書は、何か月以内のものが必要ですか?

提出先で違います。法務局の登記手続ハンドブックでは、相続登記の遺産分割協議書に添える印鑑証明書に「作成後3か月以内」といった制約はないとされています。一方、銀行は各行が期限を決めていることがあるため、手続きの前に取引銀行の案内で確かめます。

Q. 相続税の申告で出す戸籍謄本に、取得時期の決まりはありますか?

国税庁のチェックシートでは、相続開始の日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本で、すべての相続人を明らかにするものを出すとされています。図の形の法定相続情報一覧図の写し(子が実子か養子か分かるもの)でも代えられます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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