相続手続きは市役所で何ができる?おくやみ窓口と役所の手続き一覧
市役所(区役所・町村役場)でできる相続手続きは、死亡届と火葬の許可、国民健康保険など役所が扱う制度の資格喪失と給付の申請、戸籍・住民票の証明書の取得、固定資産税の届出が中心です。預金・相続登記・相続税・年金の多く・相続放棄は、それぞれ金融機関・法務局・税務署・年金事務所・家庭裁判所の手続きで、市役所では終わりません。おくやみ窓口(死亡後の手続きをまとめて案内する窓口)があるかは自治体ごとなので、最初にその市区町村のサイトで確かめます。
市役所でできる相続手続き・できない手続き
役所で済むものと、役所の外に行くものを分けて見ると、回る順番を組み立てやすくなります。下の表は、窓口がどこになるかを根拠の法令や公的機関の案内に沿って整理したものです。
| 手続き | 窓口 | 根拠・ポイント |
|---|---|---|
| 死亡届 | 市区町村の戸籍窓口 | 死亡の事実を知った日から7日以内(国外での死亡は3か月以内)。診断書か検案書を添える(戸籍法86条) |
| 火葬(埋葬)の許可 | 死亡届を受理した市区町村 | 火葬は死亡後24時間を経過した後(墓地埋葬法3条・5条) |
| 国民健康保険・後期高齢者医療の資格喪失、葬祭費 | 亡くなった人の住所地の市区町村(後期高齢者は広域連合) | 葬祭費の額は条例で決まり、全国一律ではない。請求の時効は2年(国民健康保険法58条・110条) |
| 戸籍・除籍・住民票の除票の取得 | 市区町村 | 戸籍は広域交付で本籍地以外の窓口でも請求できる(本人・配偶者・父母や子などの直系のみ) |
| 亡くなった人の地方税の書類を受け取る代表者の届出 | 亡くなった人に税の通知が届いていた市区町村 | 相続人が2人以上なら、書類を受け取る代表者を指定して届け出ることができる(地方税法9条の2) |
| 固定資産評価証明書 | 不動産がある市区町村 | 相続登記の登録免許税の計算などに使う |
| 遺族基礎年金・障害基礎年金だけの受給者の届出 | 市区町村役場 | それ以外の年金は年金事務所など(日本年金機構) |
市役所では終わらない手続きは、次のとおりです。役所の窓口では手続き先を教えてもらえることはあっても、申請そのものは受け付けません。
| 手続き | 窓口 |
|---|---|
| 老齢年金の停止・未支給年金の請求 | 年金事務所・街角の年金相談センター(郵送・電子申請も可) |
| 預金の払戻し・口座の解約 | 各金融機関 |
| 相続登記(不動産の名義変更) | 不動産のある地域を管轄する法務局 |
| 準確定申告・相続税の申告 | 亡くなった人の住所地を所轄する税務署 |
| 相続放棄・遺言書の検認 | 家庭裁判所 |
| 車の名義変更 | 運輸支局(軽自動車は軽自動車検査協会) |
国税庁の相談ページも、固定資産税などの地方税は市区町村や都道府県に問い合わせるよう案内しています。税の窓口が国と自治体で分かれる点は、迷いやすいところです。死亡直後に期限の短い届出の順番は相続手続きでまずやることで、役所の外も含めた全体の漏れ確認は相続手続きのチェックリストで扱っています。
おくやみ窓口はどこにある?有無の確かめ方
おくやみ窓口は、死亡に伴う市区町村の手続きをまとめて案内・受付する窓口で、「おくやみコーナー」「死亡手続き窓口」など呼び名も自治体ごとに違います。国の法律で全国の役所に置くと決まっているものではなく、全国共通の番号もありません。デジタル庁は死亡・相続に関わる手続きのオンライン化を進めていますが、窓口の設置は各自治体の取り組みです。
有無と使い方は、次の順に確かめると早く分かります。
- 亡くなった人が住んでいた市区町村の公式サイトで「おくやみ」「死亡 手続き」と検索する。
- 窓口があれば、予約制か、受付の曜日と時間、来庁できる人(相続人以外の家族でもよいか)を確かめる。
- 予約時に、亡くなった人の年金・保険の種類や不動産の有無を聞かれることがあるので、手元の書類を見ながら答える。
- 窓口がない自治体では、市民課(戸籍・住民票)、保険年金課、税務課など担当課を順に回る。案内用の「手続き一覧」を配っているかを総合案内で聞く。
窓口がある自治体でも、受け付けるのはその市区町村の手続きまでです。銀行や法務局の手続きを代わりに進めてくれる場所ではない、と考えておくと、当日の段取りを組み違えません。
- 市役所:死亡届・火葬許可、健康保険の資格喪失と葬祭費、戸籍・住民票の除票、地方税の書類を受け取る代表者の届出、固定資産評価証明書
- 年金事務所:老齢年金の停止・未支給年金
- 金融機関:預金の払戻し
- 法務局:相続登記・法定相続情報一覧図
- 税務署:準確定申告・相続税
- 家庭裁判所:相続放棄・遺言書の検認
固定資産税と不動産で役所にすること
実家などの不動産があると、市区町村の税務の窓口で手続きが要ります。相続人が2人以上いるときは、亡くなった人の地方税の書類を受け取る代表者を指定して届け出ることができます(地方税法9条の2。仕組みの詳細は相続手続きは誰がするかの表)。
さらに地方税法384条の3により、登記簿上の所有者が亡くなっている土地・家屋について、市区町村は条例で、いま所有している人に住所・氏名などを申告させることができます。申告の期限は、所有者であることを知った日の翌日から3か月を経過した日以後の日までと定められ、具体的な日は各市区町村の条例です。役所から「現所有者の申告」の書類が届いたら、期限を確かめて出します。
代表者の届出は、誰が税金を払うかを最終的に決めるものではありません。遺産分割で不動産を誰が取得するかは相続人の話し合いで決め、その後に相続登記をします。相続登記の申請先は市役所ではなく法務局で、固定資産評価証明書は登録免許税の計算に使う書類として市役所で取ります。
市役所に持って行くものと、回る順番
役所の手続きは、持ち物がそろっていないと出直しになります。求める書類は自治体の案内で確かめるとして、手元にあると話が早いものを並べます。
- 届出に行く人の本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)
- 亡くなった人のマイナンバーが分かるもの、資格確認書など健康保険の資格を確かめる書類
- 亡くなった人との続柄が分かる戸籍(窓口で取れる場合も多い)
- 葬祭費の申請に使う葬儀の領収書や会葬礼状など(喪主が分かるもの)
- 給付金の振込先の口座が分かるもの(喪主・申請者名義)
- 不動産がある場合は、固定資産税の納税通知書
従来の健康保険証は有効期限が2025年12月1日までで、すでに使えなくなっているため、「保険証を返す」だけで済むとは限りません。マイナ保険証や資格確認書の扱いは窓口で確かめます。
回る順番は、期限の短いものから並べます。死亡届(7日以内)と火葬許可は、葬儀社が持参を手伝うことが多い手続きです。その後、健康保険の資格喪失と葬祭費の申請、戸籍・住民票の除票の取得をまとめて済ませると、年金事務所・金融機関・法務局で使う書類がそろいます。実家が遠く、何度も通えない人は実家が遠方の相続手続きで、郵送とオンラインで済ませる方法を確かめてください。
よくある質問
Q. おくやみ窓口に行けば、銀行や年金の手続きも一度に終わりますか?
おくやみ窓口は、その市区町村の手続きを案内・受付する窓口です。預金は各金融機関、相続登記は法務局、相続税は税務署、年金の多くは年金事務所と、窓口が別の手続きは残ります。役所の外の手続きは、この記事の一覧表で行き先を確かめ、期限の近いものから回ります。
Q. 親が住んでいた市と、自分が住んでいる市のどちらの役所に行けばいいですか?
国民健康保険や後期高齢者医療の資格喪失、葬祭費の申請、固定資産税の届出は、亡くなった人が住んでいた、または不動産がある市区町村です。一方、戸籍証明書は2024年3月から広域交付で最寄りの市区町村の窓口でも請求でき、子や配偶者なら自分の住む市の役所で親の戸籍をまとめて取れます。
Q. 役所に何度も行かずに済ませる方法はありますか?
行く前に自治体のサイトで、予約制のおくやみ窓口があるか、死亡届の後に役所から送られる案内があるかを確かめます。予約制の窓口なら、予約の時に持ち物と所要時間を聞いておくと、1回の来庁でまとめて済ませやすくなります。遠方の場合は郵送で受け付ける手続きを窓口で聞きます。
出典・参考にした公的な情報
- 戸籍法 第86条・第87条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 墓地、埋葬等に関する法律 第3条・第5条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行・広域交付)(法務省)
- 国民健康保険法 第58条・第110条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 地方税法 第9条の2・第384条の3(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 年金受給者が亡くなったときの届出(日本年金機構 よくある質問)(日本年金機構)
- 死亡・相続ワンストップサービス(デジタル庁)(デジタル庁)
- 国税に関するご相談について(国税庁)(国税庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。