相続の手続きと期限 / チェックリスト

相続手続きのチェックリスト:漏れやすい30項目を届け先と期限つきで確認

この記事のもくじ
  1. 相続手続きのチェックリスト:使い方と、まず確かめる5項目
  2. 役所と年金・健康保険の手続き(1〜11)
  3. 遺言・家庭裁判所と、預金・証券・借金の手続き(12〜21)
  4. 保険・不動産・車・税金・契約の手続き(22〜30)
  5. 漏れやすい手続きと、チェックの前に知っておく注意点

相続手続きで漏れやすいのは、期限の短い役所の届け出、請求しないともらえない給付(未支給年金・葬祭費・埋葬料・生命保険金)、名義変更の後回し(相続登記・車)、そして税の申告です。下のチェックリストは、役所・年金と健康保険・家庭裁判所・預金と証券・不動産と車・税金・契約の解約までの30項目を、届け先と期限つきで並べたものです。手続きの順番そのものは相続手続きの順番の7段階で確かめ、このリストで1つずつ消していく使い方を想定しています。

相続手続きのチェックリスト:使い方と、まず確かめる5項目

30項目のうち、期限が短く、過ぎると取り返しにくいものが次の5つです。最初の1か月で、ここだけは先に印を付けます。

  1. 死亡届(7日以内)
  2. 年金受給権者死亡届(必要な人は10日または14日以内)
  3. 遺言の有無の確認(相続放棄の判断の前に)
  4. 財産と借金の調査(相続放棄を決める3か月に間に合わせる)
  5. 準確定申告の要否(4か月以内)

表の見方:「□」は済んだら印を付ける欄、「当てはまる人」は手続きが要る人、「期限」は法令や公式の案内にあるものです。期限の数え方(知った日から・翌日から)は相続の期限一覧で確かめてください。

役所と年金・健康保険の手続き(1〜11)

□ 番号 手続き 届け先 期限 当てはまる人・メモ
□ 1 死亡届と火葬許可の申請 市区町村 死亡の事実を知った日から7日以内 全員。葬儀社が窓口に持参することが多いが、届出人は親族など
□ 2 世帯主の変更の届け出 市区町村 変更があった日から14日以内 世帯主が亡くなり、世帯に変更がある場合。要否は窓口で確かめる
□ 3 国民健康保険の資格喪失の届け出 市区町村 速やかに(世帯主が届け出る) 国民健康保険に入っていた人
□ 4 介護保険の資格喪失の届け出 市区町村 14日以内 介護保険の被保険者だった人
□ 5 後期高齢者医療の資格の手続き 市区町村(後期高齢者医療広域連合) 自治体の案内による 75歳以上の人など
□ 6 葬祭費の申請 市区町村・広域連合 2年で時効 国民健康保険・後期高齢者医療の人。額は自治体ごとに違う
□ 7 埋葬料(埋葬費)の申請 勤務先の健康保険(協会けんぽ等) 2年で時効 会社員などの健康保険の人。協会けんぽは5万円
□ 8 年金受給権者死亡届 年金事務所 厚生年金10日以内・国民年金14日以内 マイナンバーが年金機構に収録されている人は原則不要
□ 9 未支給年金の請求 年金事務所 5年で時効 年金を受け取っていた人。亡くなった月の分まで支払われる
□ 10 遺族年金の請求 年金事務所 5年で時効 生計を維持されていた配偶者・子など
□ 11 戸籍・除籍・住民票の除票の取り寄せ 市区町村 期限なし 全員。本籍地以外の窓口でもまとめて請求できる(広域交付。本人が窓口へ行く。兄弟姉妹の戸籍は対象外)

従来の健康保険証は最長でも2025年12月1日までに有効期限が切れているため、「保険証を返す」ではなく、資格喪失の届け出と資格確認書などの扱いを窓口で確かめます。役所の手続きをまとめて受け付ける「おくやみ窓口」は自治体ごとに設置の有無が違うので、市区町村のサイトで確かめます(相続手続きは市役所で何ができるか)。

遺言・家庭裁判所と、預金・証券・借金の手続き(12〜21)

□ 番号 手続き 届け先 期限 当てはまる人・メモ
□ 12 遺言の有無の確認 自宅・法務局(遺言書保管事実証明書)・公証役場(遺言検索) 相続放棄の判断の前に 全員
□ 13 自筆の遺言書の検認 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所 相続の開始を知った後、遅滞なく 自筆証書遺言を見つけた人(法務局保管のものは不要)
□ 14 相続放棄・限定承認(または期間の伸長) 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所 知った時から3か月以内 借金が多い・分からない人
□ 15 法定相続情報一覧図の申出 法務局 期限なし 銀行や登記に何か所も出す人。写しは無料
□ 16 金融機関への死亡の連絡と残高証明の依頼 各銀行・信用金庫・ゆうちょ銀行 期限なし 全員。遺産分割が終わるまで、原則として預金は引き出せなくなる
□ 17 預金の払い戻し・名義変更 各金融機関 期限なし(10年取引がないと休眠預金。休眠後も引き出せる) 預金がある人
□ 18 遺産分割前の預金の仮払い 各金融機関 期限なし 葬儀費用などが急ぎで要る人。1金融機関150万円が上限
□ 19 証券口座の照会(ほふり) 証券保管振替機構(郵送のみ) 期限なし(回答まで2か月ほど) 株や投資信託がありそうな人
□ 20 株・投資信託の移管や売却 各証券会社 期限なし 証券口座があった人
□ 21 借金の確認(信用情報の開示) CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター 3か月の判断に間に合わせる 借金やカードの利用が疑われる人

預金の仮払いは「相続開始時の残高×1/3×その相続人の法定相続分」で、金融機関ごとに150万円が上限です(全国銀行協会)。使うと遺産の一部を分けてもらったものとして扱われるので、兄弟には事前に伝えておきます。調べ方の詳細は相続財産の調べ方、預金の流れは預金の相続手続きで。

保険・不動産・車・税金・契約の手続き(22〜30)

□ 番号 手続き 届け先 期限 当てはまる人・メモ
□ 22 生命保険金の請求 各保険会社 請求できる時から3年で時効(保険法95条) 受取人に指定されている人
□ 23 遺産分割協議書の作成 相続人全員 期限なし(10年で特別受益・寄与分は原則主張できない) 遺言どおりに分けない財産がある人
□ 24 不動産の洗い出し(名寄帳・所有不動産記録証明書) 市区町村・法務局 期限なし 不動産を持っていた人
□ 25 相続登記の申請 不動産の所在地の法務局 取得を知った日から3年以内 不動産を相続した人
□ 26 車の名義変更・廃車 運輸支局(軽自動車は軽自動車検査協会) 普通車・軽自動車とも15日以内の定め 車を持っていた人
□ 27 準確定申告 亡くなった人の納税地の税務署 知った日の翌日から4か月以内 亡くなった年に確定申告が必要な所得があった人。払いすぎた税金の還付を受けたい人
□ 28 相続税の申告・納付 亡くなった人の住所地の税務署 知った日の翌日から10か月以内 遺産が基礎控除を超える人。基礎控除以下でも配偶者の税額の軽減などの特例を使う人
□ 29 公共料金・携帯電話・サブスクの名義変更や解約 各事業者 法律の期限なし 口座が止まると引き落としもできなくなる
□ 30 賃貸住宅の解約と部屋の明け渡し 大家・管理会社 契約による 賃貸に住んでいた人。家賃は止めるまでかかる

車の15日は、普通車について道路運送車両法13条が「事由があった日から15日以内」と定めているものです。相続の場合にその日をいつと数えるか(死亡日か、遺産分割の成立日か)と必要書類は、運輸支局の案内で確かめます(車の相続手続き)。準確定申告が要るかの判断は準確定申告とはで。

チェック表の分担例:兄弟3人で30項目を分けるとき
担当 項目
同居していた人 1〜10(役所・年金・健康保険)、26(車)、29〜30(契約の解約)
戸籍に慣れた人 11〜15(戸籍・遺言・家庭裁判所)、24〜25(不動産)
遠方の人 16〜22(金融機関・証券・保険の郵送手続き)
全員で 23(遺産分割協議書)、27〜28(申告は税理士に頼むかも含めて)

漏れやすい手続きと、チェックの前に知っておく注意点

最後に、実際に抜けやすい点を挙げます。どれも「期限がない」「誰かがやると思っていた」で抜けるものです。

  • 請求しないともらえないお金:未支給年金(9番)、葬祭費・埋葬料(6・7番)、生命保険金(22番)は、こちらから請求しない限り支払われません。時効も2年・3年・5年と短めです。
  • 名義変更の後回し:相続登記(25番)は3年の期限があり、売る予定の家も先に登記が要ります。車(26番)は遺産分割で新しい持ち主が決まるまで手続きが止まりやすいので、協議書に車の行き先も書いておきます。
  • 相続放棄を考えている人の注意:16〜20番、29〜30番で、亡くなった人の預金を引き出して使う、家財を処分する、といった行為は単純承認とみなされるおそれがあります(民法921条)。放棄を考えているなら、先に21番までで財産と借金を確かめ、迷う点は専門家に聞きます。
  • 相続人どうしの重複:同じ銀行に2人が別々に連絡すると、書類のやり取りが二重になります。分担表の担当者だけが窓口になるよう決めておきます。

各手続きで出す書類をまとめて確かめたいときは相続手続きの必要書類一覧を、全体の流れと窓口は相続手続きの流れと期限を使ってください。

よくある質問

Q. チェックリストをPDFで印刷して使えますか?

このページをブラウザの印刷機能で印刷すれば、表の左の□に印を付けながら使えます。家族で分担するときは、項目の番号ごとに担当者の名前を書き込んでおくと、同じ手続きを2人がしてしまう重複を防げます。

Q. 30項目すべてが必要ですか?

家によって要らない項目があります。たとえば年金を受け取っていなかった人には年金の死亡届は要りませんし、相続税の基礎控除を超えない家は、特例を使わなければ相続税の申告が要りません。表の「当てはまる人」の欄を見て、該当しない項目は横線で消してから始めます。

Q. 公共料金やクレジットカードの解約は、相続放棄を考えていても大丈夫ですか?

名義の変更や利用停止の連絡そのものと、亡くなった人の預金や財産を使って支払うことは分けて考えます。財産を使う行為は処分にあたり、相続放棄ができなくなるおそれがあります。放棄を考えているなら、支払いや解約の前に司法書士や弁護士に確かめます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

相続手続きの流れと期限:亡くなった日から10か月までにやること一覧

相続手続きの順番:遺言の確認から税の申告までの7段階フローチャート

相続手続きの必要書類一覧:銀行・法務局・税務署で使う書類の早見表

相続財産の調べ方:預金・不動産・借金を漏れなく見つける照会先一覧