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相続土地国庫帰属制度を自分で申請する手順:相談予約から承認まで

この記事のもくじ
  1. 相続土地国庫帰属制度を自分で申請する流れ:全体の7段階
  2. 手順1〜2:土地の下調べと法務局の事前相談
  3. 手順3〜4:申請書と添付書類をそろえる
  4. 手順5:本局に提出し手数料を納める
  5. 手順6〜7:審査・実地調査から負担金の納付まで

相続土地国庫帰属制度は、専門家に頼まず自分で申請できます。申請書の様式と記載例は法務省のページで公開され、申請先の法務局(本局)では予約制で事前相談を受けられます。流れは、①土地の下調べ、②法務局の事前相談、③申請書の作成、④添付書類の準備、⑤本局への提出と手数料、⑥審査と実地調査、⑦負担金の納付の7段階です。手間がかかるのは、隣との境界点の写真と、建物や車両などを片づける作業です。この記事では、それぞれの段階でやることと、つまずきやすい点を順に説明します。

相続土地国庫帰属制度を自分で申請する流れ:全体の7段階

段階 やること 目安・注意
1 下調べ 登記簿・公図で地番と面積、名義を確かめ、現地の状態を写真に撮る 名義が亡くなった人のままでも申請はできるが、相続を証する書面が要る
2 事前相談 土地のある都道府県の法務局本局に予約して相談 1回30分、1人1日1回まで
3 申請書 法務省の様式で作る(単独申請・共同申請) 実印で記名押印。共有なら全員で
4 添付書類 図面、写真、印鑑証明書、承諾書など 境界点の写真が最も手間
5 提出 本局の窓口に持参するか郵送。手数料は収入印紙 1筆14,000円。返還なし
6 審査 書類審査、必要なら実地調査。隣接地の所有者に通知 標準処理期間8か月
7 納付 承認通知と一緒に届く納入告知書で負担金を納める 通知が届いた日の翌日から30日以内。日本銀行(代理店を含む)へ

事前相談の回数や予約の方法などの運用は変わることがあるので、予約の前に土地のある法務局のページで確かめてください。

申請できる土地かどうかの条件と費用の全体は、相続土地国庫帰属制度とは:国に引き取ってもらう条件と費用で先に確かめておいてください。ここでは手続きの進め方に絞ります。

手順1〜2:土地の下調べと法務局の事前相談

手順1 下調べ。 法務局で登記事項証明書と公図(地図の写し)を取り、地番・地目・地積・名義・抵当権の有無を確かめます。次に現地に行き、建物や車両、倒木、ごみが残っていないか、境界の杭やブロック塀があるかを見て、全体と境界付近を写真に撮っておきます。ここで建物や抵当権が見つかったら、申請の前に解体や抹消が要ります。止まりやすい理由は相続土地国庫帰属制度が使えない場合の典型で一覧にしています。

手順2 事前相談。 相談先は、土地のある都道府県の法務局・地方法務局の本局(不動産登記部門)です。支局や出張所では受け付けていません。相談はインターネットの「法務局手続案内予約サービス」で「相続土地国庫帰属制度の相談」を選んで予約し、対面・電話・ウェブ会議から選べます。1回30分で延長はできず、10分以上遅れると取り消し扱いになります。

相談の前に、法務省のページにある相談票とチェックシートを書き、登記事項証明書・公図の写し・現地の写真を手元に用意します。聞くことを決めておくと、30分を有効に使えます。

  • 建物・工作物・樹木などで、撤去が要りそうなものはあるか
  • 境界の目印が足りない点はどこか、隣の人の確認が要りそうか
  • 1筆ずつ申請するか、隣り合う土地をまとめて負担金を計算する申出をするか
  • 名義が亡くなった人のままの場合、どの戸籍をそろえればよいか

手順3〜4:申請書と添付書類をそろえる

手順3 申請書。 法務省のページに、単独申請と共同申請(共有地)の様式(Word・PDF)と記載例があります。申請書には、申請者の氏名・住所、土地の所在・地番・地目・地積、登記名義人の氏名・住所、連絡先、手数料の額、提出先の法務局長などを書き、申請者が記名して実印を押します(施行規則2条)。申請書は1筆ごとに作るのが原則ですが、同じ申請者が2筆以上を同時に申請するなら1通にまとめられます(同4条)。2枚以上になったら各ページに何枚目かを書きます。

手順4 添付書類。 施行規則3条などで決められているのは次の書類です。

チェックリスト:申請に添付する書類
  • 申請者の印鑑証明書(申請書に押した実印のもの)
  • 土地の位置と範囲を明らかにする図面(公図の写しや地図に範囲を書き込んだもの)
  • 土地の形状を明らかにする写真(遠景・近景)
  • 隣の土地との境界点を明らかにする写真(すべての境界点。写真に境界の位置を示す)
  • 国が所有権移転の登記をすることを承諾する書面(申請書と同じ実印)
  • 土地の状況に関するチェックシート(相談で使ったものと同じ様式)
  • 相続・遺贈で取得したことを証する書面(登記記録から明らかなときは不要)
  • あれば:境界確定図・筆界確認書の写し(任意。審査が円滑に進む可能性があると法務省が案内)

申請書には、土地の情報を国や自治体の寄附受けなどの機会に伝えてよいかを選ぶチェック欄もあります。同意しない場合は情報提供は行われず、審査だけが進みます。

境界点の写真は、目印のない点には杭などの目印を設置してから撮ります。ブロック塀や道路の縁など、すでにある物が境界を示していればそれでも足ります。仮の目印は認められません。境界がどこか自分で分からない場合は、土地家屋調査士に相談します。相続を証する書面は、登記名義人が亡くなった親のままなら、親の死亡と自分が相続したことが分かる戸籍や遺産分割協議書などです。原本を返してほしい書類は、写しに「原本と相違ない」と書いて一緒に出すと、審査の後に返してもらえます(施行規則10条)。ただし印鑑証明書と承諾書は返りません。

手順5:本局に提出し手数料を納める

申請書類は、土地を管轄する法務局・地方法務局の本局に出します(施行規則1条)。隣り合う2筆以上が別々の本局の管轄にまたがるときは、どちらか一方に出せば足ります。

  • 持参する場合:法務省のQ&Aでは、窓口の受付は9時から17時で、受付に10〜20分かかるため16時15分までに来るよう案内されています。事前予約は必須ではありませんが、予約した人が優先されます。本人が行くのが通常ですが、難しければ家族が持参しても差し支えありません。
  • 郵送する場合:書留郵便か、配達の記録が残る信書便(レターパックプラスなど)で送ります。封筒の表に「承認申請書在中」と書きます(施行規則9条)。インターネットやメールでは出せません。

審査手数料は1筆あたり14,000円分の収入印紙を申請書に貼って納めます。印紙に割印はしないでください(受付で職員が消印し、割印した印紙は使えません)。領収書やキャッシュレスでの納付はできません。納めた後は、取下げ・却下・不承認でも返ってきません(施行規則5条)。受付されると、標準処理期間の見込みが伝えられます。

手順6〜7:審査・実地調査から負担金の納付まで

手順6 審査。 法務局は書類を審査し、必要なときは職員が現地を調べます(法6条)。立ち会いを求められたら、自費で現地に行きます。正当な理由なく調査に応じないと、申請は却下されます(法4条1項3号)。立ち会いは、土地に詳しい親族や頼んだ専門家に代わってもらうこともできます。調査の前に、草刈りやごみの片づけを求められることもあります。並行して、隣の土地の所有者には申請があったことが図面と写真の写しとともに通知されます(施行規則13条)。境界について隣の人から異議が出ると、そのままでは却下の対象になります。ただし、申請者が隣の人と調整して争いがなくなれば、承認されることも考えられると法務省のQ&Aは述べています。事前に一言伝えておくと話が進めやすくなります。

審査中に申請者が亡くなったときは、土地を相続した人が、申請者が亡くなった日から60日以内に法務局へ申し出れば、手続を続けられる場合があります(法務省Q&A)。審査中に買い手が見つかって売るときは、売る前に取下げの連絡をします。取り下げずに売ると申請権限がなくなり、却下されます。承認の前ならいつでも取下書を出してやめられますが、承認の後は取り下げられません(施行規則7条)。

手順7 負担金の納付。 承認されると、承認の通知と一緒に負担金の額が通知され、納入告知書が届きます(法10条2項、施行規則19条)。通知が届いた日の翌日から30日以内に納めないと承認は効力を失い、申請からやり直しです(法10条3項)。納付は、納入告知書を持って日本銀行(本店・代理店・歳入代理店。法務省は、都市銀行・ゆうちょ銀行・地方銀行・信用金庫・農協などを代理店の例に挙げています)で行い、法務局に現金を持っていっても払えません。共有地の場合は、代表者1人が納入告知書を受け取ってまとめて納めることになるので、共有者で誰が代表になるかを決めておきます。

負担金を納めた時点で土地は国のものになり、所有権移転の登記は国が行います(法11条)。それまでは自分の土地なので、草刈りなどの管理を続けます。

書類づくりの手間が大きいと感じたら、申請書の作成だけを専門家に頼む方法もあります。業務として作成を代行できるのは弁護士・司法書士・行政書士に限られ、頼み方と費用の調べ方は相続土地国庫帰属制度は司法書士に頼めるか:申請書を作れる専門家と費用で比べています。

よくある質問

Q. 申請書に添付する印鑑証明書に有効期限はありますか?

法務省のQ&Aでは、承認申請書に添付する印鑑証明書に有効期限はないとされています。押す印は、市区町村に登録した実印です。国が所有権の移転登記をすることへの承諾書にも、申請書と同じ印を押すので、印を取り違えないようにします。

Q. 土地が遠方にあり、現地の法務局に行けません。どうすればよいですか?

申請書は書留郵便やレターパックプラスで送れます。事前相談は電話やウェブでも受けられ、土地が遠方で行けないときは、お近くの法務局の本局でも相談できると法務省が案内しています。実地調査の立ち会いは、土地に詳しい親族などに代わってもらうこともできます。

Q. 申請した後でやめたくなったら、取り下げられますか?

承認される前なら、取下書を管轄の法務局に出して取り下げられます。承認された後は取り下げられませんが、負担金を納めなければ30日で承認が効力を失います。どちらの場合も、納めた審査手数料は戻りません。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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