遺言書 / チェックリスト

公正証書遺言の必要書類:本人・相続人・財産ごとに用意するもの

この記事のもくじ
  1. 必要書類のチェック表(区分ごと)
  2. 本人確認と戸籍謄本:つまずきやすい点
  3. 財産の資料と、案文の元になるメモの書き方
  4. 集める順番と、相談の前日までの確認

公正証書遺言の必要書類は、本人確認の書類、相続人との続柄が分かる戸籍謄本、財産の資料(不動産の登記事項証明書と評価額の資料、預貯金の通帳)、証人と遺言執行者の情報の4種類が中心です。相続人以外に渡すなら、その人の住所が分かるものも加わります。このほかに、どの財産を誰に渡すかを書いた「相続内容のメモ」を出し、公証人がそれを元に案文を作ります。下のチェック表で、自分の遺言に要るものに印をつけてから集め始めてください。

必要書類のチェック表(区分ごと)

日本公証人連合会の「2 遺言」Q3と「11 必要書類」Q2に沿って、区分ごとに並べました。事案によって追加の資料を求められることがあるので、最終的な一覧は相談先の公証役場で確かめます。

区分 書類 要る場面 主な取得先
本人確認 印鑑登録証明書(発行3か月以内)と実印、または顔写真付きの公的身分証明書と認印 すべての遺言 住所地の市区町村/手持ちの免許証など
相続人との続柄 遺言者と相続人の続柄が分かる戸籍謄本・除籍謄本 相続人に渡すとき 本籍地の市区町村(広域交付も可の場合あり)
相続人以外の受け取る人 住民票、または手紙・はがきなど住所の書かれたもの。法人なら登記事項証明書か代表者事項証明書 相続人以外に遺贈するとき 受け取る人の住所地の市区町村/法務局
不動産 登記事項証明書と、固定資産評価証明書または固定資産税の納税通知書の課税明細書 不動産を遺言に書くとき 法務局/不動産のある市区町村など
預貯金 通帳またはそのコピー 口座を特定して書くとき 手元の通帳
証人・遺言執行者 証人の住所・氏名・生年月日が分かる資料。相続人・受遺者以外を執行者にするならその人の資料 自分で証人を頼むとき/第三者を執行者にするとき 本人から運転免許証のコピーなどをもらう

有効期限がはっきり示されているのは、印鑑登録証明書(と法人の登記事項証明書)の「発行3か月以内」です(日本公証人連合会「11 必要書類」Q1)。戸籍謄本や登記事項証明書について連合会の案内に期間の記載はないので、取る時期を相談のときに公証役場に聞いておくと、取り直しを避けられます。

チェックリスト:自分に要る書類を選ぶ
  • 全員:本人確認の書類(印鑑登録証明書と実印/顔写真付き身分証と認印)、相続内容のメモ
  • 相続人に渡す:続柄の分かる戸籍謄本(甥・姪なら続柄をつなぐ戸籍も)
  • 相続人以外・団体に渡す:住所の分かる資料/法人の登記事項証明書
  • 不動産あり:登記事項証明書、評価証明書か課税明細書
  • 預貯金あり:通帳かコピー
  • 証人を自分で頼む・第三者を執行者にする:その人の住所・氏名・生年月日の資料

本人確認と戸籍謄本:つまずきやすい点

本人確認は、印鑑登録証明書と実印の組み合わせのほか、運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど官公署発行の顔写真付き身分証明書でもできます。ウェブ会議で作成する(リモート方式)場合は扱いが違い、公正証書作成嘱託書を用意し、紙なら実印を押して印鑑登録証明書とあわせて郵送などで、PDFならマイナンバーカードの署名用電子証明書などで電子署名してメールなどで出します。どちらの場合も、顔写真付きの身分証明書の写しを事前に送り、ウェブ会議の冒頭で原本を画面に見せると案内されています。

戸籍謄本は、遺言者と財産を受け取る相続人がどういう続柄かを示すためのものです。日本公証人連合会は、相続人が甥・姪などで、本人の戸籍謄本だけでは続柄が分からない場合は、続柄の分かる戸籍謄本も用意するよう案内しています。たとえば子のいない人が兄弟姉妹や甥・姪に渡す遺言では、親の戸籍など、つながりを示す戸籍を何通か組み合わせることになります。

2024年3月1日からは、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書・除籍証明書をまとめて請求できるようになりました(広域交付)。ただし請求できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属で、兄弟姉妹は含まれません。本人が窓口に行く必要があり、郵送や代理人による請求はできません。遺言者が自分や親・子の戸籍を集めるには使えますが、結婚して別の戸籍に移った兄弟姉妹の戸籍は、本籍地への郵送請求など従来の方法で取ることになります。

財産の資料と、案文の元になるメモの書き方

不動産は、遺言の中で所在・地番などを正確に書くために登記事項証明書を使います。法務局の窓口・郵送で請求すると1通600円、オンラインで請求すれば490円(郵送で受け取るなら520円)です(登記手数料令)。評価額の資料は、毎年届く固定資産税の納税通知書の課税明細書で代えられます。手数料の計算にも使うので、評価額の資料は早めにそろえておきます。

自分名義の不動産をすべて把握できているか不安なら、2026年2月2日から始まった所有不動産記録証明制度が役に立ちます。自分が所有権の登記名義人になっている不動産の一覧を、法務局に請求できます(書面請求で1件1通1,600円)。ただし、登記上の住所や氏名が今と違うと抽出されず、未登記の建物も対象外なので、これだけで全部とは考えず、納税通知書と突き合わせます。

預貯金は、通帳やそのコピーで金融機関・支店・口座を特定します。株式や投資信託は書類の決まった一覧がないので、取引報告書や残高の分かる書類を持って行き、どう書くか公証人に相談します。

案文は公証人が作るので、遺言者が出すのはメモです。次のような形で十分です。

文例(相続内容のメモ):「1 自宅の土地と建物(〇〇市〇〇町〇番)は妻〇〇に相続させたい。2 〇〇銀行〇〇支店の普通預金は長男〇〇と長女〇〇に半分ずつ。3 妻が先に亡くなった場合は、自宅は長男に。4 遺言執行者は長男〇〇。5 家族への一言:〇〇」

メモは、メール・ファックス・郵送か持参で公証人に渡せます。公証人はこのメモと資料から案文を作り、メールなどで示すので、読んで直したい箇所を伝えれば修正されます。作成の全体の流れは公正証書遺言の作り方:公証役場への相談から当日の署名までの流れで確かめてください。

集める順番と、相談の前日までの確認

書類は、次の順で集めると無駄が少なくなります。

  1. 手元の書類を集める:通帳、固定資産税の納税通知書、運転免許証などの身分証明書
  2. メモを書き、相談を予約する:財産の一覧と渡す相手、予備の相手、遺言執行者の案
  3. 相談で、自分の遺言に要る書類と取る時期を確かめる
  4. 戸籍謄本と登記事項証明書を取る
  5. 作成日が決まってから、印鑑登録証明書を取る(発行3か月以内の条件に合わせる)

印鑑登録証明書を最後に回すのは、案文の調整が長引いたときに期限切れで取り直す手間を防ぐためです。証人を自分で頼む場合は、相談の段階で候補者の資料をもらっておきます。誰が証人になれないかは公正証書遺言の証人は誰に頼む?なれない人と公証役場の紹介で整理しています。

書類代と手数料の総額の見当をつけたい人は、公正証書遺言の費用:公証人手数料の計算と専門家に頼む場合の総額で計算例を見てください。相続が始まった後に家族が使う戸籍の有効期限の考え方は、相続手続きの謄本に有効期限はある?提出先ごとの扱いと取り直しの目安にまとめています。

よくある質問

Q. 公正証書遺言の案文は自分で書いて持って行く必要がありますか?

必要ありません。日本公証人連合会の案内では、遺言者が出すのは財産と渡したい相手を書いた相続内容のメモと資料で、案文は公証人がそれを元に作り、メールなどで示します。自分で下書きを用意してもかまいませんが、条文の形に整えるのは公証人の仕事です。

Q. 書類がそろう前に公証役場へ相談してもよいですか?

相談は無料で、書類がそろっていない段階でも受け付けています。日本公証人連合会は、資料を準備しておくと打合せがスムーズに進むと案内しているので、手元にある通帳や納税通知書だけでも持って行くと話が具体的になります。足りない書類は相談のあとで指示を受けて集めれば間に合います。

Q. 財産をすべて1人に渡す遺言でも、不動産の登記事項証明書は要りますか?

日本公証人連合会は、登記事項証明書は遺言の中で不動産の所在や地番を特定するために必要で、証書の中で個々の不動産を特定しない場合は不要だと説明しています。どちらの書き方にするかは案文の段階で公証人と決めるので、相談の際に「全部を1人に」と伝えて、要否を聞いてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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