相続の手続きと期限 / 手順

親が亡くなった時の相続手続きと年金:受給停止・未支給年金の請求

この記事のもくじ
  1. 年金の受給停止:届け出の期限と省略できる場合
  2. 未支給年金の請求:受け取れる遺族と必要書類
  3. 遺族年金と死亡一時金:対象になる遺族と提出先
  4. 年金と相続・税金の関係:遺産分割に入れるもの、入れないもの

親が亡くなった時の年金の手続きは、①年金の受給を止める届け出、②受け取っていない年金(未支給年金)の請求、③遺族年金などの請求の3つです。①は日本年金機構にマイナンバーが収録されていれば原則不要ですが、②の未支給年金の請求は別に必要です。②と③は遺族が自分の名で請求するもので、遺産を分ける話し合いとは切り離して進められます。

年金の受給停止:届け出の期限と省略できる場合

年金を受け取っていた人が亡くなったら、受給権者死亡届を出して年金を止めます。届け出の期限は、厚生年金が10日以内、国民年金が14日以内です(厚生年金保険法98条、国民年金法105条)。ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている人は、この死亡届は原則として不要とされています。

早見表:親が亡くなった時の年金の手続き
手続き 誰が 期限・時効 提出先
受給権者死亡届(受給停止) 死亡届の届出義務者 厚生年金10日以内・国民年金14日以内(マイナンバー収録者は原則不要) 年金事務所・街角の年金相談センター
未支給年金の請求 生計を同じくしていた遺族(順位あり) 5年で時効 年金事務所・街角の年金相談センター
遺族基礎年金の請求 子のある配偶者、または子 5年で時効 住所地の市区町村役場(第3号被保険者期間中の死亡は年金事務所)
遺族厚生年金の請求 配偶者・子・父母・孫・祖父母(順位あり) 5年で時効 年金事務所・街角の年金相談センター
死亡一時金の請求 生計を同じくしていた遺族(順位あり) 死亡日の翌日から2年 住所地の市区町村役場(年金事務所・街角の年金相談センターでも手続き可)

マイナンバーが収録されていない場合や、念のため確かめたい場合は、年金事務所に問い合わせます。届け出は郵送、予約して年金事務所での対面、e-Govの電子申請のいずれかで出せます。添付するのは年金証書と、死亡の事実が分かる書類(住民票の除票、死亡日より後に交付された戸籍抄本、死亡診断書のコピー、死亡届の記載事項証明書のいずれか)です。

公務員などで共済組合から年金を受けていた場合は、手続きの窓口が加入していた共済組合になることがあります。年金証書の発行元を見て、問い合わせ先を決めてください。

未支給年金の請求:受け取れる遺族と必要書類

年金は、亡くなった月の分まで支給されます(国民年金法18条)。年金は偶数月に、前の2か月分がまとめて振り込まれるため、亡くなった時点でまだ振り込まれていない分が残ることがあり、これを未支給年金といいます。請求できるのは、亡くなった人と生計を同じくしていた次の遺族で、上の順位の人がいると下の順位の人は受け取れません(国民年金法19条、厚生年金保険法37条)。

  1. 配偶者
  2. 子
  3. 父母
  4. 孫
  5. 祖父母
  6. 兄弟姉妹
  7. それ以外の3親等内の親族

請求には「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を使います。主な添付書類は次のとおりです。戸籍と住民票は、亡くなった日以降に発行されたものを用意します。

  • 亡くなった人の年金証書
  • 亡くなった人と請求する人の続柄が分かる戸籍謄本など
  • 生計を同じくしていたことが分かる住民票など
  • 受け取る口座が確かめられる書類

請求の時効は5年です(国民年金法102条、厚生年金保険法92条)。急ぐ必要はありませんが、他の届け出と同じ窓口で済ませると手間が省けます。受け取った未支給年金は、請求した遺族の一時所得になると日本年金機構は案内しています。

遺族年金と死亡一時金:対象になる遺族と提出先

亡くなった親に生計を維持されていた家族がいる場合は、遺族年金を受けられることがあります。どちらの年金になるかは、亡くなった人の加入歴と遺族の状況で決まります。

遺族基礎年金の対象は「子のある配偶者」または「子」です。子とは、18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子を指します。令和8年4月分からの年金額は、子のある配偶者で847,300円(昭和31年4月1日以前生まれは844,900円)に、子の加算(1人目・2人目は各243,800円、3人目以降は各81,300円)がつきます。年金額は毎年4月に改定され、ここに書いたのは令和8年4月分の額です。請求書(様式第108号)の提出先は、住所地の市区町村役場の窓口です。

遺族厚生年金は、厚生年金に加入していた人などが亡くなったときに、①子のある配偶者、②子、③子のない配偶者、④父母、⑤孫、⑥祖父母の順で、最も上の順位の人が受け取ります。額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。子のない30歳未満の妻は5年間に限られ、夫・父母・祖父母は55歳以上が条件で、原則60歳から支給されます。請求書(様式第105号)は、近くの年金事務所または街角の年金相談センターに出します。

死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある人が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなったときに、生計を同じくしていた遺族に支給されます。額は納めた月数に応じて120,000円〜320,000円です。遺族基礎年金を受けられる場合は支給されず、寡婦年金を受けられる場合はどちらか一方を選びます。時効は死亡日の翌日から2年と短いので注意してください。

なお、令和7年の法律改正で遺族年金の取り扱いが変わる部分があり、たとえば、令和10年3月31日時点で遺族厚生年金の受給権があり65歳未満の人は、老齢年金の繰下げ請求の扱いが変わると日本年金機構は案内しています。ほかにも変わる点があるため、受け取れるかどうかは、年金事務所で加入記録をもとに確かめてもらってください。

年金と相続・税金の関係:遺産分割に入れるもの、入れないもの

年金の手続きで迷いやすいのが、「これは遺産なのか」という点です。法律の書き方から整理すると次のようになります。

お金 誰の名で請求するか 税金の扱い
未支給年金 生計を同じくしていた遺族が自己の名で請求(国民年金法19条) 受け取った遺族の一時所得(日本年金機構の案内)
遺族基礎年金・遺族厚生年金 受給権のある遺族が請求 税金その他の公課をかけない(国民年金法25条、厚生年金保険法41条2項)
亡くなった日の翌日以後に振り込まれた年金 — 後で返還する

未支給年金も遺族年金も、遺族が自分の名で請求する仕組みです。そのため、預金や不動産のように遺産分割協議書に書いて分けるものとは別に手続きできます。未支給年金は、法律が「自己の名で請求できる」と定めている請求です(国民年金法19条)。相続放棄を考えている人は、請求する前に年金事務所と、弁護士・司法書士などの専門家に、受け取っても放棄に影響しないかを確かめてください。相続放棄の流れは相続放棄の手続きで説明しています。

年金以外にも、健康保険から埋葬料や葬祭費が出ることがあり、こちらの時効は2年です。葬儀の費用とあわせた精算は相続の葬儀費用を立替えたときの精算と相続税の扱いを見てください。年金の届け出の前後にする役所の手続きは相続手続きでまずやること(7日・14日以内の届け出の順番)に、配偶者が亡くなった場合に自宅・預金・年金で先に確かめることは配偶者が亡くなった時の相続手続きにまとめています。

よくある質問

Q. 亡くなった後に振り込まれた年金は使ってもよいですか?

年金は亡くなった月の分まで支給されます(国民年金法18条)。ただし日本年金機構は、亡くなった日の翌日以後に受け取った年金は後日返すことになると案内しています。受給停止の手続きが遅れて振り込まれた分は、使わずに残し、年金事務所に連絡して返還の手続きを確かめるのが安全です。

Q. 未支給年金は兄弟のうち誰が請求すればよいですか?

同じ順位の人が複数いるとき、1人がした請求は全員のための全額の請求とみなされます(国民年金法19条)。ただし請求できるのは、亡くなった人と生計を同じくしていた人に限られます。誰が窓口に行くかと、受け取った後の扱いは、兄弟で先に話しておくと行き違いを防げます。

Q. 遺族年金に相続税や所得税はかかりますか?

遺族基礎年金と遺族厚生年金は、法律で税金その他の公課をかけないと定められています(国民年金法25条、厚生年金保険法41条2項)。一方、未支給年金は受け取った遺族の一時所得になると日本年金機構は案内しています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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