相続に強い税理士の選び方:申告件数より先に確かめたい7つの点
相続に強い税理士を選ぶときは、ホームページの「申告件数」より先に、税理士として登録されているか、あなたの申告を誰がどう担当するか、費用と範囲を書面で示すかを確かめます。件数は事務所全体の実績で、あなたの遺産に土地があるか、特例を使うかといった中身に合うかまでは教えてくれないからです。この記事では、面談でそのまま使える7つの確認点と、質問の文例をまとめました。そもそも税理士が要るかで迷っている人は、先に相続で税理士は必要かで一次判定をしてください。
相続に強い税理士の探し方:候補の集め方
候補は2〜3人あれば足ります。集め方は、日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で登録を確かめながら探す、地域の税理士会の相談会に行く、知人や顧問税理士の紹介を受ける、紹介サービスを使う、の4つです。それぞれの手間と気をつけることは相続で税理士紹介サービスを使う前にの比べ方の表にまとめました。どれを選んでも、検索サイトは相続税の経験までは載っていないので、面談で聞きます。
日本税理士会連合会は、インターネット上の税理士紹介サイトは連合会とは一切関係がないと注意しています。どの集め方をしても、最後は次の7つで同じように確かめます。
面談の前に確かめる3つの点:登録・経験・担当者
1. 税理士として登録されているか
税理士は日本税理士会連合会が発行する税理士証票を持っています。国税庁は、税理士かどうかを、証票を見せてもらう、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで調べる、連合会に電話で問い合わせる、のいずれかで確かめるよう案内しています。税理士業務は有償・無償を問わず税理士・税理士法人以外の者は行えないと日本税理士会連合会が案内しており(税理士法52条)、国税庁は、税理士でない人に依頼すると依頼者が思わぬ損害を受けるおそれがあると注意しています。
2. 相続税の申告をどれくらい扱っているか
税理士の仕事は会社の決算や個人の確定申告が中心の事務所もあり、相続税の申告をどれくらい扱っているかは事務所ごとに違います。年間の件数を聞くより、あなたの遺産に近い例の経験を聞くほうが判断に使えます。
質問の例:「自宅の土地があって小規模宅地等の特例を使う申告や、路線価の付いていない地域の土地がある申告を、最近どれくらい担当されましたか」
3. 実際に担当するのは誰か
事務所が大きいと、面談した税理士とは別の職員が作業を進めることがあります。作業の分担そのものは問題ではありませんが、申告書に署名する税理士は誰か、質問の窓口は誰か、税理士本人と話せる機会はどれくらいあるかを確かめます。
面談で確かめる4つの点:評価・書面・書面添付・段取り
4. 土地の評価をどう進めるか
相続税の土地の評価は、路線価地域なら路線価に土地の形などの補正をかけ、それ以外の地域は固定資産税評価額に倍率を掛けて出します。補正の当てはめで評価額が変わるので、現地を見に行くか、役所で道路や都市計画の調査をするかを聞きます。答え方が具体的な税理士ほど、作業の中身を想像しやすくなります。
5. 見積書と契約書で範囲と報酬を示すか
日本税理士会連合会は、依頼する範囲と報酬額について契約書を結ぶことを勧めています。基本報酬・加算・実費が分かれた見積書と、追加の費用がかかる条件を書面で出してくれるかを見ます。報酬の比べ方は相続税の税理士費用で詳しく扱っています。
6. 書面添付をするか
税理士法33条の2は、税理士が申告書の作成で計算・整理・相談に応じた事項を書いた書面を、申告書に添付できると定めています。添付がある申告書について、税務署が事前に日時を知らせて帳簿書類を調べる場合、税務代理の書面を出している税理士には、その通知の前に意見を述べる機会を与えることが35条で定められています。添付は義務ではなく、調査をなくす制度でもありません。付けるかどうか、付ける場合の費用、どこまでの内容を書くかを聞いておきます。
7. 期限までの段取りと、ほかの専門家とのつなぎ
相続税の申告と納税の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。いつまでに何の資料を出せばよいか、遺産分割がまとまらないときはどうするかの段取りを聞きます。あわせて、相続登記を頼む司法書士、もめたときの弁護士、不動産を売る場合の不動産会社とのやりとりをどうするかも確かめます。相続税を払った人が、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに相続した不動産を売ると、取得費加算の特例で売却益の税金が軽くなることがあるため、売却の予定があるなら最初の面談で伝えておきます。
面談のチェック表と、慎重になりたい説明
面談のあとで、候補ごとに次の表を埋めて比べます。
| 確認点 | 確かめ方 | 候補A | 候補B |
|---|---|---|---|
| 1 税理士登録 | 証票・税理士情報検索サイト | ||
| 2 相続税の経験 | 自分の遺産に近い例を聞く | ||
| 3 担当者 | 署名する税理士と窓口の名前 | ||
| 4 土地の評価 | 現地調査・役所調査の有無 | ||
| 5 見積書・契約書 | 基本・加算・実費・追加条件が書面か | ||
| 6 書面添付 | するか、費用はいくらか | ||
| 7 段取り | 資料の締切、ほかの専門家とのつなぎ |
次のような説明を受けたら、その場で決めずにほかの候補と比べます。
- 遺産の中身を見る前から「税額がこれだけ下がる」と言い切る
- 「税務調査が来なくなる」と書面添付や特定の手続きの効果を約束する
- 見積もりを口頭だけで済ませ、追加の費用の条件を書面にしない
- 税理士の登録を確かめたいと言うと、話をそらす
面談に持っていく資料は相続の相談に行く前の準備にまとめています。
よくある質問
Q. 相続税の申告件数が多い事務所を選べば安心ですか?
件数は経験の目安の一つですが、それだけでは決められません。件数は事務所全体の数で、あなたの申告を誰が担当するか、土地の評価をどう進めるかまでは分からないからです。件数を聞くなら、自分の遺産に近い例(土地がある、小規模宅地等の特例を使う、など)をどれくらい扱ったかを合わせて聞きます。
Q. 顧問の税理士や知人の税理士に頼んでもよいですか?
頼めます。ふだん会社や個人事業の申告を見てもらっている税理士は、家族の事情を知っている利点があります。一方で、相続税の申告をどれくらい扱っているかは税理士ごとに違うので、この記事の7つの点を同じように確かめ、相続税に慣れた別の税理士を紹介してもらう選択肢も残しておきます。
Q. 税理士を途中で替えることはできますか?
できますが、申告期限の10か月は止まらないので、替えるほど時間が苦しくなります。替える場合は、それまでに渡した資料と作業の成果物をどう引き継ぐか、すでに払った報酬の扱いを契約書で確かめます。最初の面談で比べてから決めるほうが、途中で替えるより負担は小さく済みます。
出典・参考にした公的な情報
- No.9204 にせ税理士にご注意(国税庁)
- 税理士に相談する(税理士の探し方・報酬・契約書)(日本税理士会連合会)
- 税理士会の相談会に行ってみる(日本税理士会連合会)
- 税理士法 第33条の2・第35条・第52条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- No.4602 土地家屋の評価(国税庁)
- No.4205 相続税の申告と納税(国税庁)
- No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(国税庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。