相談先と専門家の選び方 / チェックリスト

相続の相談に行く前の準備:持っていく書類と聞くことのリスト

この記事のもくじ
  1. 相続の相談の準備表:3つの紙と持っていく書類
  2. 家族の関係図の作り方
  3. 財産と借金の一覧の作り方
  4. 聞きたいことのメモ:相談先ごとの質問例
  5. 相談の当日と、相談のあとにすること

相続の相談に行く前の準備は、家族の関係図、財産と借金の一覧、聞きたいことのメモの3つです。この3つがあれば、相続人が誰か、どの手続きが要るか、期限はいつかの話をすぐに始められ、30分ほどの相談でも次にやることまで決められます。書類は全部そろっていなくてかまいません。手元にあるものと、分かっていることを書き出していきましょう。どこに相談するかをまだ決めていないときは、相続の相談はどこにする?悩み別の相談先と無料窓口・費用の選び方から先に読んでください。

相続の相談の準備表:3つの紙と持っていく書類

相談の時間の多くは、相続人の確認と財産の聞き取りに使われがちです。それを紙にしておけば、残りの時間を「どうするか」の話に回せます。

準備表:相続の相談に持っていくもの
準備するもの 中身 あればよい書類
1. 家族の関係図 亡くなった人、配偶者、子(亡くなった子がいればその子)、親、兄弟姉妹。名前・生年・存命か 亡くなった人の戸籍(除籍)謄本、法定相続情報一覧図の写し
2. 財産と借金の一覧 預金、不動産、株・投資信託、保険、車、借金・ローン・保証 通帳、固定資産税の納税通知書、証券会社の取引報告書、保険証券、借入れの契約書や督促の郵便
3. 聞きたいことのメモ 期限が近いこと、迷っていること、費用のこと 遺言書があればその写し(原本の扱いは下の注意を参照)
本人の確認 相談する人の身分証 運転免許証、マイナンバーカードなど

亡くなった日と、相続人が亡くなったことを知った日は、関係図の余白に書いておきます。相続放棄を考えるときの3か月は「相続の開始があったことを知った時から」数えるので、亡くなった日と知った日が違う人は特に大事です。期限の全体は相続の期限一覧(3か月・4か月・10か月・3年)にあります。

家族の関係図の作り方

関係図は、手書きで十分です。亡くなった人を真ん中に置き、配偶者を横に、子を下に、親を上に書きます。子がいない場合は親や祖父母など上の世代を、子も親や祖父母もすでに亡くなっている場合は兄弟姉妹まで書きます。亡くなった子や兄弟姉妹に子がいれば、その子(孫・甥姪)も書きます。

書くときの確認点は次のとおりです。

  • 前の結婚で生まれた子、認知した子がいないか
  • 養子縁組をした人がいないか
  • 相続人の中に、未成年の人、認知症などで判断が難しい人、海外に住んでいる人、連絡が取れない人がいないか
  • 相続人の中に、亡くなった人より後に亡くなった人がいないか

戸籍は、2024年3月1日から本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できるようになりました(広域交付)。請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫で、兄弟姉妹は対象に入っていません。本人が窓口に出向き、顔写真つきの身分証を示す必要があり、郵送や代理人による請求はできません。手数料の標準額は、戸籍証明書1通450円、除籍証明書1通750円です(実際の額は市区町村の条例で決まります)。集め方の順番は相続手続きの戸籍謄本の集め方(出生から死亡までそろえる手順)で説明しています。

戸籍がそろったら、法務局に法定相続情報一覧図を申し出る方法もあります。認証文つきの写しが無料で交付され、相続登記、預金の払戻し、相続税の申告などに使えます(使えるかは提出先に確かめます)。

財産と借金の一覧の作り方

一覧は、財産の種類ごとに「どこに・何が・だいたいいくら」を書きます。金額が分からないものは空欄でかまいません。大事なのは、あるかもしれないものを漏らさないことです。

種類 手がかり 一覧に書くこと
預金 通帳、キャッシュカード、銀行からの郵便、スマホの銀行アプリ 金融機関名・支店、おおよその残高
不動産 固定資産税の納税通知書、権利証や登記識別情報、売買契約書 所在地、土地か建物か、誰の名義か
株・投資信託 証券会社の取引報告書、配当金の通知 会社名、銘柄
保険 保険証券、保険会社からの郵便 保険会社、契約者・被保険者・受取人
借金・保証 ローンの契約書、カードの明細、督促の郵便 相手、残高、保証人になっていないか

不動産は、2026年2月2日から「所有不動産記録証明制度」が始まり、相続人が戸籍などで相続関係を示して、亡くなった人が登記名義人になっている不動産の一覧を請求できるようになりました。手数料は検索条件1件・1通で、書面の請求なら1,600円です。ただし、登記の氏名や住所が古いままだと抽出されず、未登記の建物も対象外です。市区町村の固定資産の記録と合わせて調べます。調べ方の全体は相続財産の調べ方(預金・不動産・借金を漏れなく見つける照会先)にまとめています。

借金が多そうな場合は、一覧を作る段階で預金を引き出したり、家財を処分したりしないでください。民法921条1号は、相続人が相続財産を処分したときは単純承認(借金も含めて相続すること)をしたものとみなすと定めています。相談のときに、まず放棄すべきかどうかを聞きます。

国税庁も、相続税の申告の準備として、戸籍で相続人を確かめる、遺言書を確かめる、遺産と債務の目録を作る、という順番を案内しています。この一覧は、相続税がかかるかを判断するときにもそのまま使えます。

聞きたいことのメモ:相談先ごとの質問例

メモは、期限が近いものから順に書きます。相談先によって答えられることが違うので、行き先に合わせて質問を選びます。

司法書士に聞くこと

  • この家の相続登記に必要な書類と、自分で集めるものは何か
  • 遺産分割協議書も作ってもらえるか。相続放棄の申述書の作成は頼めるか
  • 報酬の基準と見積もり(司法書士は、依頼を受ける前に報酬の基準を示すことが司法書士法施行規則22条で定められています)
  • 登録免許税などの実費はいくらになりそうか

税理士に聞くこと

  • 財産の一覧から見て、相続税の申告が要りそうか
  • 自宅の土地について、特例を使うための条件と、誰が相続すると使えるか
  • 報酬の決め方(遺産の総額か、財産の種類と数か)と、加算になる項目

弁護士に聞くこと

  • 今の状況で、話し合い・調停のどちらから進めるか
  • 相手方との連絡を任せた場合の進み方と期間の見通し
  • 着手金・報酬金の計算のしかたと、見積書をもらえるか

公的な窓口(法務局・税務署・家庭裁判所)に聞くこと

  • 申請書や申立書の様式と記載例はどこにあるか
  • 必要な書類と、手数料・収入印紙の額
  • 提出先(管轄)はどこか

窓口ごとに答えられる範囲は違います。たとえば法務局の登記手続案内は、自分で申請する人への説明の場で、書類を代わりに作ってはくれません。窓口ごとの番号と、できること・できないことは相続手続きの無料相談窓口一覧(番号と受付時間)で確かめてください。

相談の当日と、相談のあとにすること

当日は、最初に関係図と財産の一覧を渡し、「いちばん困っていること」と「期限が近いこと」を先に伝えます。説明を受けたら、次の3つは書き取るだけで終わらせず、分からなければ聞き返して確かめます。

  1. 次に自分がやること(集める書類、連絡する相手)
  2. その期限
  3. 頼む場合の費用の総額と、報酬と実費の内訳

遺言書が見つかっている場合は、原本ではなく写しを持っていきます。封印のある遺言書は家庭裁判所で開封すると民法1004条3項が定めているので、見つけたまま開けずに相談のときに伝えます。公正証書遺言と、法務局に保管された自筆証書遺言は、検認が要りません。

相談のあとは、聞いた内容をメモにして家族と共有し、見積もりを1社だけで決めないことです。不動産と相続税の両方がある家で、司法書士と税理士のどちらに先に頼むかは、相続は司法書士と税理士どっちが先?頼む順番と両方必要なケースにまとめています。司法書士に頼む前提なら、相続で司法書士に頼めること(登記・書類作成・相続放棄の範囲と流れ)も合わせて読むと、質問の精度が上がります。

よくある質問

Q. 書類がそろっていなくても相談に行ってよいですか?

かまいません。相続放棄を考えているときのように期限が近い場合は、書類を集め終わるのを待たずに相談したほうがよいこともあります。手元にある通帳や郵便物、手書きの家族の関係図だけでも、何が足りないかを教えてもらえます。

Q. 相談には家族と一緒に行ったほうがよいですか?

相続人どうしで方針が同じなら、一緒に聞くと説明を二度受けずに済みます。意見が分かれている場合は、誰が依頼者になるかで専門家の立場が変わるので、先に一人で相談し、どう進めるかを聞いてから家族に伝える方法もあります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

相続の相談はどこにする?悩み別の相談先と無料窓口・費用の選び方

相続は司法書士と税理士どっちが先?頼む順番と両方必要なケース

相続財産の調べ方:預金・不動産・借金を漏れなく見つける照会先一覧

相続手続きの戸籍謄本の集め方:出生から死亡までそろえる手順と通数