相続で税理士紹介サービスを使う前に:仕組みと確かめる4つの点
相続税の申告を頼む税理士を紹介サービスで探すこと自体に問題はありません。ただし使う前に、紹介会社は税理士ではないことを押さえておきます。税額の計算の相談は税理士法で税理士の業務とされているため、紹介会社の担当者に「いくらになるか」を聞いても答えられないのが本来の形です。紹介会社の役割は、条件に合いそうな税理士を引き合わせるところまでです。この記事では、紹介サービスの仕組みと、使う前に確かめる4つの点、ほかの探し方との比べ方を示します。そもそも税理士が要る層かは相続で税理士は必要かで先に確かめてください。
税理士紹介サービスの仕組み:誰が何をするか
紹介サービスを使うと、おおむね次の順に進みます。各段階で、相手が税理士か紹介会社の担当者かを意識しておくと、何を聞いてよいかが分かります。
| 段階 | 相手 | ここで話すこと | ここで話さないこと |
|---|---|---|---|
| 1 申込み・聞き取り | 紹介会社 | 相続の開始日、相続人の数、財産の種類、地域、希望(面談か訪問か、予算) | 税額の見込み、特例が使えるか |
| 2 候補の紹介 | 紹介会社 | 候補の税理士の名前・事務所・面談の日程 | — |
| 3 面談・見積もり | 税理士 | 申告の要否、税額の見込み、報酬、段取り | — |
| 4 契約 | 税理士 | 範囲と報酬額を書いた契約書 | — |
3から先は、紹介を通さずに税理士を探した場合と同じです。紹介会社が関わるのは1と2で、ここで渡す情報の量を自分で決められます。
使う前に確かめる4つの点
1. 紹介会社に聞けること・聞けないこと
税理士法2条は、他人の求めに応じて行う税務相談(課税標準などの計算に関する相談)を税理士の業務とし、52条は税理士でない者がこれを行うことを禁じています。国税庁は、税理士・税理士法人と国税局長に通知した弁護士以外の者が有償・無償を問わず行えば違反になると説明しています。だから紹介会社に聞くのは「どんな税理士がいるか」「どう進むか」までで、税額や特例の当てはめは紹介された税理士に聞きます。紹介の担当者が税額の見込みを具体的に話し始めたら、その数字に頼らず、税理士との面談で確かめ直します。
2. お金の流れ:利用者が無料なら、費用は誰が負担しているか
利用者が紹介料を払わないサービスなら、運営の費用はどこかが負担しています。紹介先の税理士が紹介料や登録料を払う形か、広告で運営する形かは、利用規約や運営会社の案内で確かめます。気にしたいのは、その負担が税理士の報酬に上乗せされるかどうかです。面談で次のように聞くと、報酬の中身がはっきりします。
面談で聞く例:「紹介会社を通した場合と、直接お願いした場合で、報酬の額や計算方法は変わりますか」
なお、このサイトにも税理士紹介サービスの広告を載せており、読者の申込みがあると広告料を受け取ることがあります。広告の枠には「PR」と表示しています。
3. 紹介された税理士の登録と、相続税の経験
紹介された人が税理士かどうかは、自分でも確かめられます。国税庁の案内では、税理士証票を見せてもらう、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで調べる、連合会に電話で問い合わせる、の3つです。日本税理士会連合会は、インターネット上の税理士紹介サイトは連合会と一切関係がないと注意しているので、紹介サービスに載っていることは登録の証明になりません。登録の次に、自分の遺産に近い申告(土地がある、小規模宅地等の特例を使う、など)の経験を聞きます。確かめる項目の全体は相続に強い税理士の選び方のチェック表にまとめています。
4. 渡す情報と、断り方
申込みの段階で紹介会社に伝えるのは、候補を選ぶのに必要な条件で足ります。財産の細かい明細、口座番号、マイナンバーなどは、契約する税理士が決まってから税理士に直接渡します。紹介会社の個人情報の扱い(ほかの事業者に提供するか)は、申込み前にプライバシーポリシーで確かめます。
断るときの例:「ご紹介ありがとうございました。検討しましたが、今回は条件が合わなかったため見送ります。ほかの方のご紹介も不要です」
ほかの探し方との比べ方
紹介サービスは選択肢の一つです。時間・手間・確かめやすさで比べると、次のようになります。
| 探し方 | 手間 | 候補の数 | 自分で確かめること |
|---|---|---|---|
| 税理士紹介サービス | 条件を伝えるだけで候補が届く | 紹介会社の登録先の範囲 | 費用の流れ、税理士登録、相続税の経験 |
| 税理士情報検索サイトで自分で探す | 登録を確かめながら、事務所に順に連絡する | 自分で見つけた事務所 | 相続税を扱っているか、経験 |
| 地域の税理士会の相談会 | 開催日に合わせて出向く | 相談会の担当者 | 相談会は相談の場で、依頼先探しは別に考える |
| 知人・顧問税理士の紹介 | 人づてに聞く | 1〜2人 | 相続税の経験、断りにくさ |
| 税務署の電話相談・面接相談 | 電話か予約 | 依頼先を探す窓口ではない | 一般的な取扱いを聞き、自分で申告するか決める |
期限に余裕がない、地域に知り合いの税理士がいない、という人には紹介サービスの手軽さが役立ちます。時間に余裕があり、候補を自分で比べたい人は、検索サイトや地域の税理士会から探す方法も向いています。どの方法でも、最後は見積書と契約書で範囲と報酬額を確かめ、日本税理士会連合会が勧めるとおり契約書を結んでから依頼します。見積もりの比べ方は相続税の税理士費用で扱っています。
申込みの前にそろえる情報
紹介サービスでも直接の依頼でも、次の情報があると、候補の絞り込みと最初の面談が速く進みます。
- 相続の開始日(申告期限の計算に使う。期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内)
- 相続人の数と続柄
- 財産の種類と件数(土地の所在地、口座の数、株式の銘柄数、生命保険金の有無)
- 遺言書の有無と、遺産の分け方の話し合いの進み具合
- 遺産総額と基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を比べた一次判定の結果
一次判定で基礎控除を明らかに下回るなら、相続税の申告は要らず、税理士探しを急ぐ必要もありません。判断に迷う程度なら、先に税務署の電話相談センターと面接相談で一般的な取扱いを聞いてから、紹介サービスを使うか決める方法もあります。
よくある質問
Q. 税理士紹介サービスの担当者に、相続税がいくらになるか聞いてもよいですか?
聞いても、具体的な税額の計算には答えられないのが本来の形です。税額の計算の相談は税理士法で税理士の業務とされ、税理士でない者は有償・無償を問わず行えません。紹介会社に伝えるのは条件までにして、税額の見込みは紹介された税理士との面談で聞きます。
Q. 紹介された税理士を断ってもよいですか?
断ってかまいません。面談したうえで合わないと感じたら、紹介会社に断りの連絡を入れ、別の候補を頼むか、自分で探す方法に切り替えます。断るときに理由を細かく説明する必要はなく、条件が合わなかったと伝えれば足ります。面談だけで相談料がかかるかどうかは事務所ごとに違うので、面談の日程を決める段階で確かめておきます。
出典・参考にした公的な情報
- 税理士法 第2条・第52条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- No.9204 にせ税理士にご注意(国税庁)
- 税理士に相談する(税理士の探し方・紹介サイト・契約書)(日本税理士会連合会)
- 税理士会の相談会に行ってみる(日本税理士会連合会)
- No.4152 相続税の計算(基礎控除)(国税庁)
- ステルスマーケティングに関するQ&A(消費者庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。