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空き家の火災保険:住宅用で入れるか・告知と相続後の名義変更

この記事のもくじ
  1. 空き家に火災保険はかけられる?住宅用で入れない場合がある理由
  2. 契約するときの告知と、空き家になった後の通知
  3. 相続した空き家の火災保険:契約者と名義の切り替え
  4. どの補償を付けるか:空き家で起きやすい損害

空き家にも火災保険はかけられます。ただし、住宅向けの火災保険(住まいの保険)が対象にしているのは、住居として使われている建物とその家財です。**人が住まなくなった家は、建物の使い方(用法)が変わるため、保険会社によっては住宅物件として引き受けず、店舗や事務所などと同じ「一般物件」として扱ったり、引受けそのものを断ったりします。**相続で空き家になったときは、保険会社に連絡して、空き家であることを伝えたうえで契約の形を決め直すのが出発点です。

空き家に火災保険はかけられる?住宅用で入れない場合がある理由

日本損害保険協会の「損害保険Q&A」は、家計向けの火災保険の対象にできるものの例として、住居専用の建物とそこに収容されている家財(門・塀・物置・車庫などの付属建物を含む)を挙げています。保険料は建物の構造や用法などをもとに計算されるので、住む人がいない建物は、住宅とは別の扱いになりやすくなります。

建物の状態 保険会社での扱いの例 確かめること
家財が残り、家族が定期的に泊まる・管理している 住宅として引き受けるか、保険会社によって分かれる 「空き家」「別荘」「季節的に使う家」のどれに当たるか
誰も住まず、売却や解体を待っている 一般物件として扱われることがある 一般物件として引き受けるか、保険料と補償の違い
傷みが大きく、管理されていない 引受けを断られることがある 修繕や管理の状況を伝えて相談する

同じQ&Aの構造級別の説明では、専用住宅は「住宅物件」、店舗などは「一般物件」と区分されています。空き家がどちらに入るかの線引きは、保険会社ごとの約款と引受けの基準で決まります。今の契約がどちらで、空き家になった後も続けられるかは、契約している保険会社か代理店に聞くのが確実です。

地震保険は扱いが異なります。地震保険に関する法律は、地震保険の対象を「居住の用に供する建物又は生活用動産」に限っています(2条2項1号)。住まいとして使われていない空き家は、地震保険の対象から外れることがあるので、火災保険と分けて確かめます。

契約するときの告知と、空き家になった後の通知

火災保険では、契約するときに、保険会社が告知を求めた重要な事項について事実を伝える義務があります(保険法4条)。日本損害保険協会は、火災保険の告知事項の例として「建物の構造・用法」「建物の所在地」「他の火災保険契約等の情報」を挙げています。故意または重大な過失で事実を告げなかったときは、保険会社は契約を解除でき(28条1項)、解除までに起きた事故の保険金は原則として支払われません(31条2項1号)。

契約した後で危険が高くなったときは、通知が問題になります。保険法29条は、告知事項の内容に変更が生じたら遅滞なく通知すべきことが契約で定められていて、故意または重大な過失で通知しなかった場合に、保険会社が契約を解除できるとしています。協会は通知事項の例として「建物の構造・用法の変更」を挙げています。住んでいた家が空き家になるのは、この用法の変更に当たりうる出来事です。

手順:空き家になったら保険会社に伝えること
  1. 家が空き家になった日と理由(被相続人の死亡、施設への入所、転居など)
  2. 今後の予定(管理を続ける、売る、貸す、解体する)と時期
  3. 管理の状況(訪問の頻度、家財が残っているか、電気・水道を止めたか)
  4. 契約者・被保険者の変更(相続人のうち誰が引き継ぐか)
  5. 保険料の支払い口座の変更

なお、告知しなかった事実と事故の間に因果関係がない損害については、保険金が支払われます(31条2項1号ただし書き)。とはいえ、空き家であることを伝えていないと、火事や盗難の後に支払いの判断で争いになるおそれがあります。伝えた日と、担当者の名前を記録しておきます。

相続した空き家の火災保険:契約者と名義の切り替え

亡くなった人が契約者・被保険者だった火災保険は、相続で自動的に誰かの名義に変わるわけではありません。協会のQ&Aは、建物を譲渡する場合は契約が失効し、事前に書面で保険会社の承認を得れば譲受人に権利義務を移せる、と説明しています。相続は譲渡とは別の場面で、契約者・被保険者を変える手続きは保険会社ごとに定められているので、次の順で進めます。

  1. 保険証券を探す:亡くなった人の書類、通帳の引き落とし記録、保険会社や代理店からの郵便で、契約先と満期を確かめます。
  2. 保険会社に死亡を連絡する:契約者・被保険者の変更の書類を取り寄せます。遺産分割が終わる前でも、相続人の代表者で手続きできるかを聞きます。
  3. 空き家であることを伝える:上の手順の内容を伝え、住宅物件のままでよいか、切り替えが必要かを確かめます。
  4. 支払い口座を切り替える:亡くなった人の口座は、金融機関が死亡を知ると引き落としができなくなります。保険料が未払いになると補償が切れるおそれがあるので、相続で口座凍結されたら:解除までの流れと公共料金・引き落としの対処を見て早めに切り替えます。
  5. 遺産分割の後に名義を確定する:家を取得する人が決まったら、その人を契約者・被保険者に変えます。

どの補償を付けるか:空き家で起きやすい損害

協会のQ&Aによると、火災保険は火災・落雷・破裂や爆発のほか、風災・雹災・雪災、水災、建物外部からの物体の落下や衝突、給排水設備の事故による水濡れ、盗難、破損や汚損などを補償の対象にできる商品があり、どこまで含むかは商品で異なります。空き家で起きやすい事故から、必要な補償を選びます。

空き家で起きやすいこと 関係する補償 メモ
放火・不審火 火災 消防庁によると、2024年の出火件数37,141件のうち、放火と放火の疑いは合わせて3,904件(10.5%)
台風で屋根材が飛ぶ・大雪で軒が壊れる 風災・雹災・雪災 損害額が一定額以上のときだけ支払う商品もある
窓を割られて侵入される 盗難・破損 建物の損害と家財の盗難は、それぞれ対象にしているかで変わる
冬に水道管が凍って破裂する 水濡れ・破損 凍結による損害の扱いは約款で確かめる
屋根材が落ちて通行人や隣家を傷つける 賠償責任の特約・別の保険 民法717条の工作物の責任を問われることがある

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保険金額は、建物の評価額を基準に決めます。同じ建物を建て直すのに要る額を基準にする「再調達価額」と、そこから経年の消耗分を差し引いた「時価額」の2つの基準があり、協会によると現在は再調達価額で設定する契約が一般的です。売却や解体を予定している空き家では、どこまでの保険金額が要るかも含めて、保険会社に相談します。保険料は維持費の中でも見直しやすい項目なので、ほかの費用と合わせた年間の負担は空き家の維持費:固定資産税・光熱費・保険・管理費の年間の目安で計算してください。

よくある質問

Q. 空き家の火災保険料の相場はどれくらいですか?

保険料は、建物の構造、所在地、保険金額、付ける補償、住宅物件か一般物件かで大きく変わり、公的な相場の統計はありません。比べるときは、同じ保険金額・同じ補償の組み合わせで2〜3社から見積もりを取ります。空き家であることを伝えたうえでの見積もりでないと、比べる意味がない点に注意してください。

Q. 亡くなった親の火災保険を、解約せずにそのまま続けられますか?

契約をそのまま放っておくのではなく、保険会社に死亡を伝え、相続人を新しい契約者・被保険者にする手続きをとります。そのとき、家が空き家になったことも伝えます。住宅向けの契約のまま続けられるか、一般物件の契約に切り替えるかは、保険会社が建物の使い方を聞いて判断します。

Q. 空き家から火が出て隣の家に燃え移ったら、賠償しなければなりませんか?

失火責任法により、失火の場合は重大な過失がなければ民法の不法行為による賠償責任は負わないのが原則です。一方、管理が悪く屋根材が落ちて人やほかの家を傷つけた場合などは、民法717条の工作物の責任を問われることがあります。個別の責任の判断は弁護士の仕事なので、備えとしては賠償責任の補償が空き家にも使えるかを保険会社に確かめておきます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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