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空き家の空き巣・放火対策:狙われやすい家の特徴と防犯の手順

この記事のもくじ
  1. 空き家は空き巣に狙われる?数字で見る侵入窃盗
  2. 狙われやすい空き家の特徴:下見で見られる目印
  3. 空き家の防犯対策:施錠・窓・明かり・郵便物の手順
  4. 空き家の放火対策:燃えやすい物を置かない
  5. 侵入された・荒らされたと気づいたら:警察への相談の手順

空き家は、空き巣や放火の心配がある建物です。警察庁によると、2025年(令和7年)の住宅を対象にした侵入窃盗は1万7,152件で、前年より7.2%増えました。**狙われにくくするには、①郵便物・雑草・割れた窓など「留守が続いている目印」を消す、②窓とドアに補助錠などを足して侵入に時間をかけさせる、③定期的な見回りと近所の目を増やす、の3つを同時に進めます。**放火には、家の周りに燃えやすい物を置かないことと、物置まで鍵をかけることが基本です。

空き家は空き巣に狙われる?数字で見る侵入窃盗

警察庁「住まいる防犯110番」によると、2025年の侵入窃盗は全体で4万7,233件(前年比9.8%増)、このうち住宅を対象にしたものが1万7,152件でした。住宅だけで1日あたり約47件起きている計算です。発生場所でいちばん多いのは一戸建住宅(29.1%)で、手口別では、留守の家に入る「空き巣」が侵入窃盗全体の約4分の1を占めています。

空き家は、住んでいる家より「留守」の時間が長く、異変に気づく人がいません。窓を割られても、次に家族が訪れるまで何週間も気づかないことがあり、その間に再び入られたり、人が入り込んだりするおそれがあります。警察庁の統計は空き家だけを数えたものではありませんが、空き巣の手口が「誰もいない時間」を狙うものである以上、空き家はその条件がそろいやすい建物だといえます。

一戸建住宅の侵入の手段と入口は、警察庁の資料で次の順になっています。

順位 侵入の手段(一戸建住宅) 侵入口(一戸建住宅)
1位 ガラス破り 窓
2位 無締り(鍵のかけ忘れ) 表出入口
3位 合かぎ その他の出入口

警察庁は、通常の窓ガラスならわずか数秒で割れるとしています。空き家の防犯は、窓と玄関、そして鍵の管理の3つに力を集めると効率よく進められます。

狙われやすい空き家の特徴:下見で見られる目印

警察庁の資料は、侵入者は下見をすることが多く、①留守かどうか、②入りやすい家か、③逃げやすいか、を見ているとしています。入りやすさの目安として挙げられているのは、庭木などの死角、足場になる物、開けやすい位置にある窓の錠、犬がいないこと。逃げやすさの目安は、駅に近い、通行人が少ない、といった点です。指定日以外にごみが出ている地域は、住民のつながりが弱いと見られて侵入者に安心感を与える、とも書かれています。

空き家に当てはめると、次の状態が「長く誰も来ていない家」の目印になります。

チェックリスト:空き家が「留守の続く家」に見える目印(警察庁・消防庁の資料をもとに作成)
  • 郵便受けからチラシや封筒があふれている(警察庁は郵便受けに新聞や手紙がたまるのは危険としている)
  • 雑草が伸び、庭木が茂って道路から窓や玄関が見えない(死角になる)
  • 窓ガラスが割れたまま、雨戸が外れたまま
  • 塀ぎわに脚立・物干し台・植木鉢の台など、足場になる物がある
  • 家の周りや軒下に段ボール・古新聞・枯れ草など燃えやすい物がある
  • 夜はどの部屋も真っ暗で、外灯もつかない
  • 玄関先の植木鉢の下や郵便受けに鍵を隠している
  • 物置や車庫に鍵がかかっていない

国土交通省のガイドラインは、市区町村が管理不全空家等・特定空家等かどうかを判断するときの例として、「不法侵入の形跡」「不特定の者が容易に侵入できるほどの著しい開口部等の破損等」(特定空家等)、「開口部等の破損等」(管理不全空家等)を挙げています。割れた窓を放っておくことは、防犯だけでなく、市区町村からの指導につながる状態の例にもなっています。指導や勧告の流れは管理不全空家・特定空家とは:勧告で固定資産税が上がる流れで確かめてください。

空き家の防犯対策:施錠・窓・明かり・郵便物の手順

警察庁は、侵入に5分かかると侵入者の約7割があきらめ、10分以上かかるとほとんどがあきらめる、としています。空き家の防犯は「入るのに時間がかかる家」にすることと、「人の目がある家」に見せることの2本立てで考えます。

  1. すべての出入口と窓の施錠を確かめる:勝手口、浴室やトイレの小窓、2階の窓も含めて回ります。無締りは手口の上位で、どんな錠を付けても鍵がかかっていなければ意味がない、と警察庁は注意しています。
  2. 窓に時間をかけさせる:警察庁がガラス破りの対策として挙げるのは、雨戸を閉める、補助錠を付ける、防犯フィルムを貼る、防犯ガラスや面格子・窓シャッターを付ける、の4つです。使わない空き家なら、雨戸を閉めておくだけでも効果があります。
  3. ドアを強くする:補助錠を足して1つのドアに2つの錠(ワンドア・ツーロック)にし、ドア枠にはガードプレートを付けます。警察庁などの官民合同会議がまとめた「防犯性能の高い建物部品目録」に載った錠やドア・窓には「CPマーク」が付いていて、交換するときの目安になります。
  4. 鍵の管理を見直す:郵便受けや植木鉢の下など玄関の近くに鍵を置かず、合かぎは必要な本数だけにして、誰が何本持っているかを家族で記録します。前の住人や業者に渡した鍵の行方が分からないなら、錠の交換も考えます。
  5. 死角と足場をなくす:道路から窓が見えるよう植栽を剪定し、塀ぎわの足場になる物を片付けます。センサー付きライトは、警察庁が侵入しにくい環境づくりの例に挙げている設備です。
  6. 郵便物を止める:亡くなった人あての郵便は、銀行・保険会社・カード会社・自治体などの差出人ごとに、送付先の変更や停止を届け出ます。家族がその家に住んでいて引っ越した場合は、郵便局に転居届を出して自分あての郵便を新しい住所に回してもらいます。新聞や定期配達も止めます。
  7. 見回りの間隔を決める:家族で通う日を決めるか、管理サービスに頼みます。通うたびに外回りの写真を同じ場所から撮っておくと、窓の割れや足跡などの変化に気づきやすくなります。月1回の点検項目は空き家の管理方法:月1回の点検項目と管理サービスの選び方にまとめています。
  8. 近所に連絡先を伝える:警察庁は、侵入者が犯行をあきらめた理由で多いのは「近所の人に声をかけられたり、じろじろ見られたりしたこと」だとしています。両隣や向かいの家、町内会に「空き家になったこと」と「何かあった時の連絡先」を伝えておくと、異変を知らせてもらえます。

近所への伝え方の例:「父が亡くなり、しばらく空き家になります。月に1回は私が来ていますが、窓が割れている、夜に明かりがついているなど気になることがあれば、こちらの番号に連絡をいただけると助かります。」

電気を止めると、センサー付きライトや防犯カメラは電池式などに限られます。電気の契約を残すかどうかは、防犯に使う設備と基本料金を比べて決めます。費用の比べ方は空き家の維持費:固定資産税・光熱費・保険・管理費の年間の目安を見てください。

空き家の放火対策:燃えやすい物を置かない

消防庁の消防白書によると、2024年(令和6年)中の放火による出火は2,377件で、全火災の6.4%でした。消防庁の防災の教材は、放火の対策として次のことを挙げています。

消防庁が挙げる対策 空き家でやること
家の周りに燃えやすい物を置かない 軒下の段ボール・古新聞・灯油の空き缶、刈った草を片付ける。刈った草は敷地に積んだままにしない
空き家・車庫・物置にも鍵をつけ、戸締まりをする 物置の中の古い家具や布団にも火が付きうるので、物置まで施錠する
ごみは収集日の決められた時間に出す 片付けで出たごみを、収集日の前から家の前に出しておかない
外灯をつけて明るくする センサー付きライトや、タイマー式の外灯を使う
地域で定期的に夜の見回りをする 町内会の見回りの経路に入れてもらえるか相談する

空き家に火をつける行為は、刑法109条(非現住建造物等放火)が定める罪に当たりうるものです。ただ、放火は防ぎきれない面もあるので、火災保険をどう付けるかと組み合わせて考えます。空き家が住宅向けの保険の対象から外れる場合があることや、告知の決まりは空き家の火災保険:住宅用で入れるか・告知と相続後の名義変更で説明しています。

侵入された・荒らされたと気づいたら:警察への相談の手順

窓が割れている、鍵が壊されている、中に人がいる気配がある——こうした状態に気づいたら、自分で中に入って確かめないでください。侵入者がまだ中にいるかもしれず、もみ合いになる危険があるうえ、触った物から手がかりが消えることもあります。

  1. 人がいる気配があれば、その場を離れて110番する:警視庁は、110番では「何があったか」「何分前のことか」「場所(住所や目標になる建物)」「被害や目撃の状況、けが人」「犯人の特徴や逃げた方向」を伝えるよう案内しています。空き家の場合は「誰も住んでいない家で、所有者(相続人)が見つけた」ことも伝えます。
  2. 痕跡だけで人の気配がなければ、警察署に連絡する:緊急でない相談の窓口(警察相談専用電話)の番号と受付時間は、相続手続きの無料相談窓口一覧:登記・税・売却まで番号と受付時間にまとめています。
  3. 外から写真を撮り、日時を記録する:割れた窓、こじ開けられた跡、足跡などを、警察が来る前に外から撮っておきます。中の物を片付けるのは、警察の確認が終わってからにします。
  4. 盗まれた物・壊された所の一覧を作る:警察への届けや、保険会社への連絡に使います。何が置いてあったかを家族で書き出し、以前の写真があれば合わせて見比べます。
  5. 保険会社に連絡する:盗難や破損が補償の対象になっているかは契約によります。警察に届けたことを伝え、受理番号を聞かれたら答えられるようにしておきます。
  6. 壊れた所をふさぎ、再発を防ぐ:割れた窓は板やシートでふさぎ、壊された錠は交換します。同じ家が続けて狙われることもあるので、上の防犯の手順を見直します。

近所の人から「人が出入りしている」「窓が割れている」と連絡が来た場合も、同じ順で動きます。近所からの苦情全般への返し方は空き家の苦情が来たら:越境する枝・雑草・動物の対処と責任で扱っています。遠方で見回りを続けるのが難しく、防犯の心配が続くようなら、売る・貸す・手放すといった次の選択肢を相続した空き家はどうする?売る・貸す・管理・手放すの判断と手順で比べてみてください。

よくある質問

Q. 空き家に防犯カメラを付ければ空き巣は防げますか?

警察庁の資料は、侵入者が下見で「人の目があるか」「逃げやすいか」を見ているとしており、カメラやセンサー付きライトは人の目の代わりになります。ただ、警察庁が侵入手段の上位に挙げるのはガラス破りと無締り(鍵のかけ忘れ)なので、カメラだけに頼らず、補助錠や防犯フィルムで侵入に時間をかけさせる対策と組み合わせます。電気を止めている家では、電池式や太陽光式の機器にするか、電気の契約を残すかを先に決めます。

Q. 空き家に知らない人が住み着いていたら、自分で追い出してもいいですか?

相手と直接もめると危険があるので、自分で中に入って追い出そうとせず、警察に連絡します。いま人がいる様子なら110番、痕跡だけなら最寄りの警察署か警察相談専用電話に相談します。正当な理由なく人の建造物に入る行為は刑法130条が定める罪に当たりうるものですが、当たるかどうかを決めるのは警察と裁判所です。

Q. 空き家の中の家財は、盗まれないように運び出しておくべきですか?

貴金属、通帳、権利証、骨董品など、価値が高く持ち出しやすい物は、先に家族で引き取っておくと被害の心配が減ります。家財を残しておくと、外からは人が住んでいるか分かりにくくなる面もあります。相続放棄を考えている場合は、家財を処分すると相続を受け入れたとみなされることがあるので、手をつける前に放棄の手続きの決まりを確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

空き家の管理方法:月1回の点検項目と管理サービスの選び方

空き家の火災保険:住宅用で入れるか・告知と相続後の名義変更

空き家の苦情が来たら:越境する枝・雑草・動物の対処と責任

管理不全空家・特定空家とは:勧告で固定資産税が上がる流れ