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空き家のリフォーム:住む・貸す・売る目的別に費用をかける判断

この記事のもくじ
  1. 空き家のリフォームは目的で決める:早見表
  2. 売る前のリフォームが回収しにくい理由と例外
  3. 住む・貸すためのリフォーム:順番と2025年4月からの建築確認
  4. リフォームの見積もりの取り方と契約の注意

空き家のリフォームは、住むなら必要なところを、貸すなら家賃で取り戻せる範囲で、売るなら原則として大がかりな工事をせずに考えるのが基本です。売る前のリフォームは、かけた費用ほど売値が上がらないことがあるため、先に「直した場合」と「直さない場合」の査定を比べます。例外は、1981年5月31日以前に建てられた親の家を建物ごと売るときの耐震改修で、空き家の3,000万円特別控除の要件にかかわります。また、2025年4月からは、2階建ての木造住宅などの大規模なリフォームに建築確認が要るので、工事の範囲を決める前に確かめてください。

空き家のリフォームは目的で決める:早見表

早見表:目的別のリフォームの考え方
目的 直す範囲の考え方 先に確かめること
自分や家族が住む 構造・雨漏り・設備の安全を優先し、内装は暮らしながら 耐震性、断熱、建て替えとの比較
賃貸に出す 借り手が付く最低限の水準に。家賃で何年で取り戻せるか 地域の家賃の水準、借り手の層、管理の方法
売る(古家付き) 大きな工事はせず、片付けと清掃、目立つ不具合の説明 直した場合と直さない場合の査定の差
売る(空き家の3,000万円特別控除を使う) 建物ごと売るなら耐震基準に合わせる工事を検討 建築年、耐震改修の費用、解体して売る場合との比較
当面は使わない 雨漏りや外壁のはがれなど、傷みが広がる所だけ 管理の方法、近所への影響

この表の「先に確かめること」を飛ばして工事を始めると、費用をかけたのに目的に合わないという失敗につながります。とくに売るか貸すかが決まっていない段階では、工事の契約をしないでおきます。貸す場合の収入と費用の比べ方は空き家を賃貸に出すか売るかで整理しています。

売る前のリフォームが回収しにくい理由と例外

売る前に数百万円をかけて内装や設備を新しくしても、その分だけ売値が上がるとは限りません。理由は次のとおりです。

  • 買い手が自分で直したいことがある:中古の家を買う人は、間取りや設備を自分の好みに合わせて直す前提で探していることがあり、売主の選んだ内装は評価されにくい。
  • 建て替えを前提にする買い手もいる:古い家は建物より土地として見られることがあり、その場合は直した建物の価値が価格に反映されにくい。
  • 工事の間も費用がかかる:工事の期間中も固定資産税や管理費がかかり、売り出しが遅れる。

例えば、300万円をかけて改装し、査定が200万円上がったとすると、100万円の持ち出しになります(数字は説明のための例)。どれだけ上がるかは、査定の段階で不動産会社に「直した場合はいくらになるか、その根拠は何か」を聞くことで、ある程度見通せます。

一方で、手を入れる意味がある工事もあります。

工事 意味があるとき
耐震改修 1981年5月31日以前に建てられた親の家を、空き家の3,000万円特別控除を使って建物ごと売るとき。家屋が耐震基準を満たすことが要件の一つになる
雨漏り・シロアリなどの補修 放置すると傷みが広がるとき。直さないなら、知っている不具合を買い手に書面で伝える
片付けと清掃 費用が小さく、内覧で建物の状態を見てもらいやすくなる

空き家の3,000万円特別控除は、2024年1月1日以後の売却なら、売主が耐震改修をしなくても、売った年の翌年2月15日までに買主が耐震改修か取壊しをした場合も対象になりえます。耐震基準に適合した証明書も、売った年の翌年2月15日までに工事が完了したものが必要です(国税庁タックスアンサー3306番)。買主に工事をしてもらう形では、買主の協力が欠かせないため、国土交通省は売買契約に特約などを定めて確認することにしています。要件の全体と期限(2027年12月31日までの売却)は相続した空き家の3000万円控除で確かめてください。

住む・貸すためのリフォーム:順番と2025年4月からの建築確認

住む・貸すために直す場合は、次の順番で優先度を決めます。

  1. 構造と安全:基礎や柱の傷み、傾き、耐震性。
  2. 雨漏りと外回り:屋根、外壁、雨どい。傷みが広がる部分を先に止める。
  3. 設備:給排水管、電気配線、ガス、給湯器。長く使っていない家は、通水・通電したときの不具合を点検する。
  4. 水回り:キッチン、浴室、トイレ、洗面。
  5. 内装と断熱:床、壁、建具、窓。

工事の範囲が大きくなる場合は、建築確認の要否を確かめます。2025年4月1日施行の改正建築基準法で、2階建て以上または延べ面積200㎡超の建築物は、大規模の修繕・大規模の模様替(壁・柱・床・はり・屋根・階段の一種以上について過半を直す工事)に建築確認が必要になりました。国土交通省のリーフレットは、階段の架け替えや屋根の全面的な改修は該当し、屋根や壁の仕上げ材だけの改修、キッチン・浴室・トイレなどの水回りのリフォーム、手すりやスロープの設置は手続き不要の例として挙げています。平屋で延べ面積200㎡以下の家は、大規模なリフォームでも確認は不要です。

建築確認は着工の前に終える必要があり、今の基準に合わない部分があれば、それを合わせる工事が別に要る場合があります。延べ面積100㎡を超える建物の大規模なリフォームは、建築士による設計・工事監理も要ります。前の道が狭いなど建て替えができない土地の家は、この影響が大きいので再建築不可のリフォームはどこまでできる?を先に読んでください。

リフォームの見積もりの取り方と契約の注意

  1. 目的と予算の上限を決める:住む・貸す・売るのどれか、いくらまでかけられるか。貸すなら家賃何年分で取り戻すかを上限の目安にする。
  2. 建物の状態を調べる:雨漏りの跡、床下、屋根裏、設備の動作。傷みが大きいなら建築士や住宅診断(インスペクション)で調べてもらう方法もある。
  3. 工事の範囲を書き出す:「最低限やる」「予算があればやる」に分けて、同じ内容で複数の会社に見積もりを頼む。
  4. 見積書を比べる:工事項目ごとの数量と単価、材料の品番、撤去・処分費、諸経費、追加工事の条件が書かれているか。
  5. 補助を調べる:耐震改修や空き家の改修に使える補助があるかを、市区町村の担当課に聞く。国の空き家対策総合支援事業も、10年以上活用するための改修を対象にしており、市区町村の制度を通して使える場合がある。
  6. 書面で契約する:建設業法19条は、工事内容、請負代金、工事の着手と完成の時期などを書面に記載し、署名または記名押印して交付し合うよう定めている。

業者の資格も確かめます。1件の請負代金が500万円(建築一式工事は1,500万円)以上の工事を請け負うには建設業の許可が要ります。ただし、建築一式工事のうち延べ面積150㎡未満の木造住宅を建てる工事は、金額にかかわらず許可なしで請け負えます(建設業法施行令1条の2)。小さな工事は許可のない業者でも請け負えるので、許可の有無に加えて、工事の実績や保証の内容を見比べます。

複数の会社から見積もりを集める方法として、リフォーム会社を紹介する見積もりサービスもあります。

見積もりサービスを使う場合も、紹介された会社と直接結ぶ契約の中身を確かめる点は同じです。見積もりの段階で、建築確認が要る工事かどうか、要るなら誰が手続きをするかを聞いておきましょう。

リフォームより、駐車場や土地として貸すほうが向く家もあります。住まいとして使う以外の選択肢は空き家の活用方法7つ、移住希望者に向けて売る・貸す方法は空き家バンクの使い方で扱っています。

よくある質問

Q. 兄弟と共有している空き家を、自分の判断でリフォームしてよいですか?

民法では、形や効用を大きく変える工事は共有者全員の同意が要り(251条)、それに当たらない管理の範囲の工事は持分の価格の過半数で決めます(252条)。雨漏りの応急修理のような保存の行為は各共有者が単独でできます。間取りの変更や増改築を考えるなら、費用の分担も含めて全員と書面で合意してから契約しましょう。

Q. 売る前に、掃除や片付けだけはしたほうがよいですか?

家財の片付けと清掃は、大きなリフォームに比べて費用が小さく、内覧のときの印象や、建物の傷みを確かめやすくする効果があります。残す物と処分する物を相続人で決めてから進めてください。片付けで出た物の扱いは、地域のごみの出し方や業者の許可を確かめてから決めます。

Q. 古い家の耐震診断や耐震改修に、補助はありますか?

家のある市区町村の建築・住宅の担当課に、耐震診断や耐震改修の補助があるかを聞いてください。ある場合は、対象になる建物の建築時期、補助の上限、申請の時期をあわせて確かめます。補助は工事の前の申請を求めることがあるので、業者と契約する前に確かめます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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