空き家・実家・使わない土地 / 手順

空き家を無料で譲ります:譲渡先の探し方と契約・税金の注意

この記事のもくじ
  1. 空き家を無料で譲りますの進め方:6つの手順
  2. 譲渡先の探し方:隣地・空き家バンク・地域の支援団体
  3. 税金:受け取る側と渡す側にかかるもの
  4. 契約で決めること:責任の範囲と、0円でも決まらないとき

空き家は、売れなくても無料(0円)や低い価格で譲ることができます。相手を探す先は、隣地の所有者、自治体の空き家バンク、地域で空き家の相談やマッチングをするNPOなどです。相手が見つかったら、贈与か売買かを決めて契約書を作り、名義変更をします。0円でも、受け取る側には贈与税・登録免許税・不動産取得税がかかることがあり、会社に譲る場合は渡す側に所得税がかかることもあるため、税金を先に確かめてから話を進めます。

空き家を無料で譲りますの進め方:6つの手順

「空き家 譲ります」「空き家 あげます」と探す人が多い一方、口約束だけで鍵を渡すと、名義が残ったままになり、固定資産税や管理の責任が自分に残ります。次の順番で進めてください。

  1. 相続登記を済ませる:親の名義のままでは譲れません。自分の名義にするところから始めます。
  2. 家の状態を記録する:雨漏り、シロアリ、傾き、給排水の不具合など、知っていることを書き出し、写真を撮ります。後で契約書に書く材料になります。
  3. 譲る相手を探す:隣地の人、空き家バンク、地域の支援団体の順に当たります(次の見出し)。
  4. 贈与か売買かを決める:0円なら贈与、1円以上の代金を受け取るなら売買です。税金と責任の範囲が変わります。
  5. 契約書を作る:費用の分担、引き渡しの時期、家財の扱い、責任の範囲を書きます。
  6. 名義変更の登記をする:渡す側と受け取る側が共同で申請します。登記が終わるまでは、自分が所有者のままです。
チェックリスト:空き家を譲る契約書に書くこと
  • 贈与か売買か(売買なら代金の額と支払日)
  • 名義変更の登記費用・登録免許税を、どちらが払うか
  • 引き渡しの日と、その年の固定資産税の分け方
  • 家財・仏壇・庭木を残すか、誰が片付けるか
  • 知っている不具合(雨漏り・シロアリ・越境など)の一覧
  • 引き渡し後の不具合について、どこまで責任を負うか

譲渡先の探し方:隣地・空き家バンク・地域の支援団体

隣地の所有者がいちばん話がまとまりやすい相手です。庭や駐車場を広げたい、家族の家を建てたいなど、使い道を持っていることがあるからです。手紙を出すなら、譲りたい理由、0円でもよいこと、費用の分担は相談したいことを短く書きます。

文例:「隣の○番地の家を相続した△△です。私たちは使う予定がなく、お譲りできる方を探しています。代金はいただかなくてもかまいません。名義変更の費用の分け方などはご相談させてください。ご関心があれば下記までご連絡ください。」

空き家バンクは、市区町村などの自治体が運営し、空き家の情報を移住希望者などに提供する仕組みです。自治体をまたいで探せる全国版の空き家・空き地バンクもあり、国土交通省の支援のもとで株式会社LIFULLとアットホーム株式会社の2社がそれぞれ運営しています。全国版に載せるには所有者の同意が必要で、自治体の判断で載らないこともあります。登録の条件(不動産会社の仲介が必要か、市外に住む所有者も登録できるか)は自治体ごとに違うので、家のある市区町村の空き家の担当課で確かめます。手順は空き家バンクの使い方:登録の流れ・向いている家にまとめています。

地域の支援団体も候補です。市区町村長は、NPOや一般社団法人などを空家等管理活用支援法人に指定でき(空家法23条)、指定された法人は所有者への情報提供や相談を担います。国土交通省の空き家対策特設サイトも、NPO等と連携して相談やマッチングを行う自治体があると案内しています。指定の有無は、市区町村の公示で確かめられます。

自治体そのものに引き取ってほしい場合は、寄付の打診になります。受け入れの考え方は相続した土地は自治体に寄付できる?で扱っています。

税金:受け取る側と渡す側にかかるもの

0円で譲っても、税金がかからないとは限りません。相手が個人か法人か、0円か安い代金かで、次のように分かれます。

譲り方 渡す側 受け取る側
個人に0円で贈与 原則、譲渡所得の税金はない 贈与税(その年の贈与の合計が110万円を超える部分)、登録免許税、不動産取得税
個人に時価より著しく安く売る 売った代金で譲渡所得を計算 時価との差額が贈与とみなされる場合がある(国税庁 No.4423)
法人に0円、または時価の2分の1未満で譲る 時価で売ったとみなされ、譲渡所得の税金がかかる場合がある(国税庁 No.3105) 法人の税金の扱い(法人の側で確かめる)

受け取る側の贈与税は、土地なら路線価または倍率方式、建物なら固定資産税評価額で評価した額で計算します。たとえば、評価額が合わせて300万円の空き家を親族以外の個人に0円で贈与し、受け取った人にその年ほかの贈与がなければ、(300万円-110万円)×10%=19万円です(筆者の計算。一般税率の場合)。

名義変更の登録免許税は、贈与による所有権の移転なら不動産の価額の2%で、価額は固定資産課税台帳の価格を基にします。評価額250万円の家と土地なら5万円です(筆者の計算)。都道府県の不動産取得税も、取得した人にかかります(地方税法73条の2)。相手にとって0円でも数十万円の出費になることがあるので、最初の話し合いで伝えておくと、後で話が壊れにくくなります。個別の税額は税務署や税理士、不動産取得税は都道府県の税事務所で確かめてください。

契約で決めること:責任の範囲と、0円でも決まらないとき

古い空き家ほど、引き渡した後の不具合が心配になります。0円の贈与なら、贈与者は、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡すことを約束したものと推定されます(民法551条1項)。つまり、現状のままで渡す約束が基本です。なお、書面によらない贈与は、引き渡しなどが終わるまで各当事者が解除できるため(550条)、口約束で済ませず書面にします。

安い代金で売る場合は売買になり、引き渡した家が契約の内容に合わないと、買主から修補や代金の減額を求められることがあります(562条・563条)。個人の売主は、この責任を負わない特約を結べますが、知りながら告げなかった事実には特約が効きません(572条)。知っている不具合は、すべて契約書か告知書に書いておくことが、自分を守ることにもなります。仕組みは売主の契約不適合責任:相続した古い家を売る時の免責の考え方で詳しく扱っています。

0円でも引き取り手が見つからないときは、古家付きのまま買い取る業者に売る道があります。業者が自ら買主になるので、買い手探しの期間がかかりません。価格は仲介より低くなりやすいため、複数社に査定を頼み、査定の根拠と契約条件を比べてください。

建物を解体できるなら、国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度も候補になります。どの道を選ぶかの順番は相続した土地や家がいらない:3か月以内か後かで変わる判断の順番で比べられます。

よくある質問

Q. 空き家を譲った後に雨漏りが見つかったら、責任を問われますか?

無償の贈与なら、贈与者は、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡すことを約束したものと推定されます(民法551条)。売買の形にするなら、契約不適合の責任を負わない特約を結べますが、知っていて伝えなかった不具合には特約が効きません。知っている不具合は、契約書や告知書に書いておきます。

Q. 譲る相手が見つかったら、名義変更は自分たちだけでできますか?

贈与や売買による名義変更は、渡す側と受け取る側が共同で法務局に申請する登記で、渡す側の登記識別情報(権利証)などが要ります。本人で申請することもできますが、書類に不備があると引き渡しが遅れるため、司法書士に申請を頼む方法もあります。

Q. 親から相続した空き家を、まだ親の名義のまま譲れますか?

譲れません。先に相続登記をして自分の名義にしてから、譲る相手への名義変更をする順番になります。相続登記は取得を知った日から3年以内という期限もあるので、譲る相手を探す前に済ませておくと話が早く進みます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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