相続登記と名義変更 / 手順

法定相続情報証明制度の必要書類と手続き:申出書と一覧図の書き方

この記事のもくじ
  1. 法定相続情報証明制度の必要書類:必須4つと場合により3つ
  2. 申出の手順:書類集めから一覧図の写しの交付まで
  3. 法定相続情報一覧図の書き方:記載例に沿って埋める項目
  4. 申出書の書き方と、郵送で申し出る場合の同封物
  5. 交付された写しの使い方と、作る前に知っておきたい限界

法定相続情報証明制度の手続きで、どの家族でも用意する書類は、①亡くなった人(被相続人)の出生から死亡までの戸除籍謄本、②被相続人の住民票の除票、③相続人全員の戸籍謄抄本、④申出人の氏名・住所が分かる公的書類の4つです。これに、自分で作る「法定相続情報一覧図」と「申出書」を合わせて、4つの候補から選んだ登記所(法務局)に出します。手数料はかからず、郵送でも申し出られます。この記事では、書類の集め方から一覧図の書き方、出してから受け取るまでを順番に示します。制度のしくみや、どの手続きで役立つかは法定相続情報証明制度とは:一覧図を無料で作り手続きを早くする方法で先に確かめてください。

法定相続情報証明制度の必要書類:必須4つと場合により3つ

法務局の手続案内(令和8年3月1日改訂版)は、用意する書類を、どの申出でも要るものと、場合によって要るものに分けて示しています。下の表がその一覧です。

早見表:法定相続情報証明制度の必要書類と取得先
区分 書類 取得先 注意点
必須 ① 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本 被相続人の本籍地の市区町村 転籍・婚姻・戸籍の改製で複数になる
必須 ② 被相続人の住民票の除票 最後の住所地の市区町村 取れないときは⑦で代える
必須 ③ 相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本 各相続人の本籍地の市区町村 被相続人が亡くなった日以後の証明日のもの
必須 ④ 申出人の氏名・住所が分かる公的書類 手元・市区町村 運転免許証の表裏コピー、マイナンバーカード表面のコピー、住民票記載事項証明書など
場合により ⑤ 各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し) 各相続人の住所地の市区町村 一覧図に相続人の住所を書くときだけ。印鑑証明書や戸籍の附票でも代用できる
場合により ⑥ 委任状など 自分で作る・市区町村 代理人が申し出るとき。親族が代理するなら親族関係が分かる戸籍、資格者なら団体所定の身分証明書の写し
場合により ⑦ 被相続人の戸籍の附票 被相続人の本籍地の市区町村 住民票の除票が廃棄などで取れないとき

④のコピーには「原本と相違ない」旨を書き、申出人(または代理人)が記名します。兄弟姉妹が相続人になる場合などは、①に加えて、被相続人の親の戸除籍謄本も求められることがあります。親より先に亡くなった兄弟がいるかどうかを、親の戸籍で確かめる必要があるからです。

戸籍は、「相続手続きに使うので、出生から亡くなるまでの連続した戸籍をすべてください」と市区町村の窓口で伝えると、その役所にある分をまとめて出してもらえます。ほかの市区町村に本籍があった時期の分は、出てきた戸籍に書かれた前の本籍地へ請求をつなげます。取り寄せの順番と通数の数え方は相続手続きの戸籍謄本の集め方で詳しく扱っています。

申出の手順:書類集めから一覧図の写しの交付まで

全体は次の5段階です。時間がかかるのは1の戸籍集めで、本籍地を何度も移している人は、複数の市区町村への郵送請求が重なります。戸籍謄本の取得には各役所の手数料がかかるので、請求先ごとの金額と日数は、請求前に役所のホームページか窓口で確かめます。

  1. 戸籍などを集める。 上の表の①〜④と、必要なら⑤〜⑦をそろえます。
  2. 法定相続情報一覧図を作る。 法務局の様式(Excel)か、手書きでA4の白い紙に作ります(書き方は次の見出し)。
  3. 申出書を書く。 法務局のホームページの申出書に、被相続人・申出人・利用目的・必要な通数などを書きます。
  4. 申出先の登記所に出す。 窓口に持っていくか、郵送します。
  5. 一覧図の写しを受け取る。 登記官が書類に不足や誤りがないかを確かめた後、認証文つきの写しが交付され、戸籍の束も返ってきます。

申出先は、次の4つのうち、どこを管轄する登記所でも選べます。

  • 被相続人の本籍地(亡くなった時の本籍)
  • 被相続人の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 被相続人名義の不動産の所在地

実家の不動産の相続登記も同じ法務局でする予定なら、不動産の所在地の登記所を選ぶと、手続きの窓口を1つにまとめられます。遠方に住んでいるなら、自分の住所地の登記所を選べば、受け取りに行く手間が減ります。

交付までの日数は、登記官の確認が終わってから交付される仕組みのため、申出の時期や登記所の混み具合で変わります。預金の払い戻しや相続税の申告で期日が迫っている場合は、申出の時に窓口で交付の目安を聞いておくと、他の手続きの段取りが組みやすくなります。書類に不備があり、登記官からの修正の依頼に応じないと、書類一式が返戻されます。返戻にも応じない場合、申出日から3か月後に書類が廃棄されるとされているので、連絡が来たら早めに対応します。

法定相続情報一覧図の書き方:記載例に沿って埋める項目

一覧図は「被相続人と、戸籍の記載から分かる相続人を一覧にした図」です。法務局は、家族の形ごとに様式(Excel)と記載例を公開しています。配偶者と子、子のみ、配偶者と父母、配偶者と兄弟姉妹(父母の一方だけが同じ兄弟姉妹がいる場合を含む)、代襲相続、旧民法の家督相続、養子がいる場合、図ではなく列挙する形式などがあるので、自分の家族に近いものを選んで書き換えるのが早道です。

記載例に沿って埋める項目は次のとおりです。

欄 書くこと ポイント
表題 「被相続人○○法定相続情報」 被相続人の氏名を入れる
被相続人 最後の住所、出生と死亡の年月日、氏名 最後の本籍の記載は任意
相続人 氏名、出生年月日、続柄 続柄は戸籍どおり(長男・長女・妻・養子など)
相続人の住所 書くかどうかは任意 書く人は⑤の住民票の写しなどが要る
申出人 相続人のうち申出人に「(申出人)」と付ける 再交付を受けられるのはこの人だけ
末尾 「以下余白」、作成日、作成者の住所・氏名 代理人が作るときは代理人を書く

迷いやすい点が3つあります。

続柄。 戸籍どおりに「長男」「長女」と書くのが基本です。申出人の選択で「子」「配偶者」と書くこともできますが、法務局は、その場合は相続税の申告などに使えないことがあると注意しています。相続税の申告に使う予定があるなら、戸籍どおりに書いておきます。

相続放棄をした人・廃除された人。 相続放棄をした相続人も、一覧図には氏名・生年月日・続柄を書きます。一覧図は戸籍から分かる関係を示すもので、放棄や遺産分割の結果は載りません。推定相続人から廃除された人は書きません。

相続人の住所。 書くと、相続登記の申請などで各相続人の住民票の写しを出さずに済むことがあります。一方で、写しの交付後に住所が変わっても、それを理由に申出をやり直すことはできません。引っ越しの予定がある相続人は、書くかどうかを事前に話し合います。

申出書の書き方と、郵送で申し出る場合の同封物

申出書は法務局のホームページに様式があり、主に次の内容を書きます。

  • 申出年月日(郵送の場合は、登記所に届いた日が申出年月日として扱われる)
  • 被相続人の氏名、最後の住所、生年月日、死亡年月日
  • 申出人の住所・氏名・連絡先と、被相続人との続柄
  • 代理人が申し出る場合は代理人の住所・氏名・連絡先と、法定代理人か委任による代理人か
  • 写しの利用目的(チェック欄。「その他」に書くときは「相続手続」ではなく「株式の相続手続」のように具体的に)
  • 必要な写しの通数と、受け取り方法(窓口か郵送か)
  • 被相続人名義の不動産の有無と、有りなら不動産の所在か不動産番号
  • 申出先登記所の種別(4つのどれか)と、登記所名

不動産が複数あるときは、そのうち1つを書けば足ります。ただし、申出先を「被相続人名義の不動産の所在地」で選んだ場合は、書いた不動産がその登記所の管轄内にあることが条件です。管轄の登記所は法務局ホームページの「管轄のご案内」で調べられます。

通数は、同時に出したい提出先の数で決めます。例えば、相続登記に1通、預金のある銀行2行に各1通、相続税の申告に1通なら4通です(筆者の計算)。足りなくなったら、当初の申出人は保管期間内なら再交付を受けられるので、余分に多く書くより、提出先の数から数えた通数にしておけば足ります。

郵送で申し出る場合は、次の物を1つの封筒に入れます。

  • 申出書
  • 法定相続情報一覧図
  • 必要書類①〜④(と、必要なら⑤〜⑦)
  • 返信用の封筒と郵便切手(写しの交付と戸籍の返却のため)

窓口で受け取る場合は、申出書の「申出人の表示」欄と同じ住所・氏名の公的書類(運転免許証、マイナンバーカード、住民票記載事項証明書など)を持参します。代理人に頼むことができるのは、申出人の親族のほか、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士に限られています。

交付された写しの使い方と、作る前に知っておきたい限界

交付された写しは、戸籍の束の代わりに、相続登記、預金の払戻し、相続税の申告などで使えます。令和6年(2024年)4月1日からは、法務局での不動産登記の申請書に「法定相続情報番号」を書けば、写しの添付を省略できるようになりました。この番号を書く方法は不動産登記以外では使えないので、銀行などには写しそのものを出します。銀行などの提出先がこの写しを受け付けるか、ほかにどの書類を求めるかは機関ごとに違うので、事前に問い合わせます。

写しを使って相続登記を自分で進める流れは相続登記を自分でする手順:書類集めから法務局への申請までにまとめています。一覧図の保管期間は申出日の翌年から5年間で、その間は当初の申出人が再交付を受けられます。

一方で、外国籍の相続人がいて戸除籍謄本を出せない場合など、この制度を使えない場面もあります。作るか迷っている人や、作っても戸籍の原本を求められる場面を知りたい人は、次の法定相続情報証明制度のデメリット:作れない場合と使えない手続きを読んでから決めると、二度手間を避けられます。

よくある質問

Q. 一覧図は自分で作れますか?手書きでもかまいませんか?

申出人が自分で作れます。法務局のページにある様式(Excel)に入力するか、A4の白い紙に手書きで作ります。出した後、登記官から書き方の修正を求められることがあり、その依頼に応じないと書類は返戻されます。連絡が来たら早めに直して出し直します。

Q. 相続人の1人が申し出て、他の相続人は何かする必要がありますか?

申出は相続人のうち1人がすれば足り、他の相続人の同意書や印鑑証明書は求められていません。ただし、一覧図に住所を載せたい相続人がいる場合は、その人の住民票の写しなどを用意します。また、再交付を受けられるのは申出書に申出人として名前を書いた人だけなので、誰が窓口役になるかを家族で決めておくと後で困りません。

Q. 戸籍の束は返してもらえますか?

返してもらえます。法務局の案内では、被相続人の戸除籍謄本、住民票の除票、相続人の戸籍謄抄本、相続人の住民票の写しは、登記官が内容を確かめた後、一覧図の写しと一緒に返却されます。申出人の本人確認に使った運転免許証のコピーなどは返却されません。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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