実家を売却する時の近所・親戚への挨拶:文例と伝えるタイミング
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実家の売却を伝える順番は、親戚には家族(相続人)で売ると決めた後、近所には売り出しや内見が始まる前が目安です。伝えるのは「売ることになったこと」「これまでのお礼」「内見や片付けで人や車の出入りがあること」「困ったときの連絡先」の4つで、売る理由の詳しい事情や価格まで話す必要はありません。この記事では、相手ごとの時期と、そのまま使える口頭・手紙・電話の文例、内見・片付け・解体工事で迷惑をかける場面の伝え方をまとめます。
実家の売却を伝えるタイミング:相手ごとの目安
挨拶の時期は、相手が「いつ知れば困らないか」で決めます。早すぎると話が変わったときに気まずく、遅すぎると、見知らぬ人が家を見に来て近所を不安にさせます。
| 相手 | 伝える時期の目安 | 伝え方 | 主に伝えること |
|---|---|---|---|
| 相続人の兄弟姉妹 | 何よりも先(売るかどうかの話し合い) | 家族の話し合い | 売るかどうか、代金の分け方 |
| 叔父・叔母など親しい親戚 | 家族で売ると決め、不動産会社に頼む前後 | 電話か手紙 | 売ることになった報告、形見分けや仏壇の扱い |
| 両隣・向かい・裏の家 | 売り出し(広告・内見)が始まる前 | 訪問して口頭 | お礼、人の出入り、連絡先 |
| 自治会長・班長 | 両隣と同じ頃 | 訪問か手紙 | 回覧や自治会費の扱い、連絡先 |
| 境界が接する家 | 測量をするなら立ち会いをお願いする前 | 訪問 | 立ち会いの日程の相談 |
| 引き渡し後の近所 | 引き渡しの前後 | はがきか訪問 | お礼、新しい持ち主になること |
兄弟で意見が割れているうちに親戚や近所へ話すと、「もう決まったこと」として受け取られ、話し合いがこじれる原因になります。合意の作り方は実家の売却で兄弟の意見が分かれたらを先に読んでください。
売り出しの時期そのものは、査定を受けて価格と段取りの見通しが立ってから決めます。複数の不動産会社の考えを聞くと、内見がいつ頃から始まりそうかもつかめます。
一括査定を使う場合、出てくる査定額は各社の見込みで、その値段で買い手がつくと決まったものではありません。宅地建物取引業者には、価格について意見を述べるときに根拠を明らかにする義務がある(宅地建物取引業法34条の2第2項)ので、数字の理由を聞いて比べます。申し込むと複数の会社から連絡が来ることがあり、話を聞いたうえで売らないと決めてもかまいません。
伝える内容と、言わなくてよいこと
近所への挨拶で伝えることは、次の4点で足ります。
- 売ることになった報告:「家族で話し合って、手放すことにしました」程度でよい。
- これまでのお礼:親が世話になったこと、見守ってくれたことへの感謝。
- 人と車の出入り:不動産会社の案内で見学の人が来る、片付けのトラックが来る、といった予告。
- 連絡先:草が伸びた、郵便物があふれている、などのときに知らせてもらう先(自分か不動産会社)。
一方、次のことは言わなくてかまいません。
- 売り出し価格や、売れた金額
- 売る理由の細かい事情(相続の分け方、家族の仲、お金の事情)
- 家が空いている曜日や、誰も来ない期間(防犯のため、留守の予定は広く話さない)
聞かれて困る質問には、短い返し方を決めておくと楽です。
文例(価格を聞かれたとき):「不動産会社さんにお任せしていて、まだ何も決まっていないんです。」
文例(理由を聞かれたとき):「遠くて管理がなかなかできないので、家族で決めました。」
近所への挨拶の文例:口頭・手紙・不在のときのメモ
訪問して口頭で伝える場合(両隣・向かい・自治会長)
文例:「ご無沙汰しております。○○の長男の△△です。生前は母が大変お世話になり、ありがとうございました。家族で話し合いまして、この家を手放すことになりました。来月あたりから、不動産会社の方がご案内で見学の方をお連れすることがあります。車の出入りでご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。何かお気づきのことがあれば、こちらにご連絡ください。」
連絡先は、電話番号を書いたメモを渡すと伝わりやすくなります。手土産を持っていくなら、相手に気を遣わせない程度の菓子などで十分です。のしをつけるなら表書きは「御挨拶」とし、名前を書いておくと、誰からのものか後で分かります。
遠方で訪問できない場合の手紙
文例:「拝啓 ○○の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。生前、母○○が長年お世話になりましたこと、心より御礼申し上げます。このたび家族で相談のうえ、実家を売却することといたしました。今後、不動産会社の担当者や見学の方が出入りすることがございますが、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。お気づきの点がございましたら、下記までご連絡いただけましたら幸いです。敬具(連絡先:氏名・電話番号)」
訪問したが留守だった場合のメモ
文例:「○○の長男の△△です。ご挨拶に伺いましたがご不在でしたので、メモにて失礼いたします。家族で相談し、この家を手放すことになりました。見学の方の出入りでご迷惑をおかけするかもしれません。どうぞよろしくお願いいたします。(電話番号)」
親戚への伝え方の文例:電話と手紙
親戚は相続人ではないことが多いものの、実家に思い出があったり、仏壇やお墓の今後を気にしていたりします。売ると決めた後、不動産会社に頼む前後に、自分から先に伝えておくほうが角が立ちません。
文例(電話):「叔父さん、ご無沙汰しています。実家のことで報告があって電話しました。兄弟で話し合って、家を売ることに決めました。仏壇は私の家で引き取ります。叔父さんが持っていたい物があれば、○月中に片付けるので言ってください。」
文例(手紙・形見分けの案内を添える):「実家は兄弟で相談し、売却することにいたしました。家の片付けを○月○日から始めます。父の写真や、叔母様に以前お話しいただいた茶道具など、お手元に置きたい物がございましたら、○月○日までにお知らせください。」
片付けで出る家財をどうするかは、売り方によって変わります。家財を残したまま売れるかどうかは実家の売却で残置物はどうする?で比べています。
内見・片付け・解体工事で迷惑をかけるときの伝え方
| 場面 | いつ伝えるか | 伝えること |
|---|---|---|
| 内見(見学)が始まる | 売り出しの前 | 案内するのは不動産会社、車を止める場所、連絡先 |
| 片付け・家財の搬出 | 作業の数日前 | 日時、トラックの台数、作業の時間帯、業者名 |
| 解体工事 | 着工のおよそ1週間前(業者と回る) | 工期、作業時間、音と振動、ほこり対策、工事の連絡先 |
| 測量・境界の確認 | 立ち会いの日程を決める前 | 立ち会いのお願い、所要時間、測量の担当者 |
| 引き渡し | 引き渡しの前後 | お礼、新しい持ち主になること |
内見が始まる前は、車の止め方を不動産会社と決めてから伝えます。近所の人が見学の人に話しかけられることもあるので、「分からないことは不動産会社に聞いてもらうよう伝えてください」と一言添えておくと、相手も困りません。
片付けや搬出は、トラックが道をふさぐ時間帯が一番の迷惑になります。
文例:「○日の9時から17時ごろまで、家の片付けでトラックが2台出入りします。前の道に少し止めることがあり、ご迷惑をおかけします。終わりましたらまたご挨拶に伺います。」
解体工事は音や振動、ほこりが出るので、工事を請け負う業者と一緒に回ると、工事の質問にその場で答えてもらえます。誰が回るかは契約のときに決めておきます。費用や届出の流れは空き家の解体で扱っています。
文例:「○月○日から約2週間、この家の解体工事を行います。作業は平日の8時半から17時までです。音やほこりでご迷惑をおかけしますが、何かあれば工事の担当の○○さん(電話番号)か私にご連絡ください。」
引き渡しの後は、短いお礼のはがきで締めくくると、親の代からの付き合いに区切りがつきます。
文例:「このたび実家の引き渡しを終えました。長いあいだ両親を気にかけていただき、本当にありがとうございました。今後は新しい方がお住まいになります。皆様のご健康をお祈り申し上げます。」
挨拶を重ねるうちに寂しさが強くなることもあります。気持ちとの折り合いのつけ方は実家の売却が寂しい・後悔しそうなときに、売却全体の段取りは実家の売却の流れにまとめています。
よくある質問
Q. 近所の人に「いくらで売るの?」と聞かれたら、答えたほうがよいですか?
答えなくてかまいません。価格は不動産会社と相談して決める途中のことが多く、売れた後も個人の取引の内容です。「不動産会社にお任せしているので、詳しいことはまだ決まっていないんです」と、話を切り上げる言い方を用意しておくと角が立ちません。
Q. 近所に知られずに実家を売ることはできますか?
仲介で売る場合、ふつうはインターネットの広告や現地での案内で買い手を探すので、近所に知られずに進めるのは難しくなります。広告を控えた探し方ができるかを不動産会社に相談するか、不動産会社が自ら買い取る買取を選ぶと、広告を出さずに売る形になります。比べ方は買取と仲介の違いの記事で扱っています。
Q. 挨拶に行ったら、昔この家であった出来事を近所の人から聞かされました。どうすればよいですか?
聞いた内容をメモに残し、仲介を頼む不動産会社に伝えて、告知書(物件の状況を売主が書く書面)に書くかどうかを相談します。民法572条は、責任を負わない特約をしても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れないと定めています。人の死については、国土交通省のガイドラインが、売買では自然死や日常生活の中の不慮の死で特殊清掃がなかった場合は原則告げなくてよいとする一方、買主に問われたときや特殊清掃が行われた場合などは告げる扱いと整理しています。どちらに当たるかは不動産会社に事実を伝えて確かめます。知ったことは隠さずに相談するのが、後のもめごとを防ぐ近道です。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第562条・第572条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法 第34条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。