実家の売却で残置物はどうする?荷物ごと売る方法と片付けの比べ方
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片付けが終わっていない実家は、荷物を残したまま売ることも、片付けてから売ることもできます。荷物ごと買い取る不動産会社(買取)なら、残置物(売主が置いていく家財)の撤去を買主側で引き受ける契約が多く、手間は減ります。その分、買取額から撤去の費用が差し引かれるのがふつうです。仲介で個人の買主に売る場合は、荷物があると内見で不利になりやすく、片付けてから売り出す形が基本になります。この記事では、どちらにするかを決める比べ方と、荷物を残して売るときの契約の決め方を整理します。
片付け前の実家を売る3つの方法:荷物の扱いで比べる
売る方法は、荷物をどうするかで分かれます。
| 方法 | 荷物の扱い | 向く場面 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| ①片付けてから仲介で売る | 売り出す前に空にする | 時間があり、価格を重視したい | 片付けの費用と日数が先に要る |
| ②残置物つきで仲介に出す | 買主に撤去してもらう前提で売り出す | 古家を壊す・改装する前提の買主が見込める | 買主が見つかりにくく、価格交渉の材料にされやすい |
| ③買取業者に残置物ごと売る | 業者が撤去・処分する | 期限がある、遠方で片付けに通えない | 撤去費が買取額に反映される。提示額の内訳を確かめる |
②の「残置物つき」は、買主が荷物の処分を引き受けると契約書に書いて初めて成り立つ方法です。口約束のまま引き渡すと、荷物の所有権や処分の責任が誰にあるのかが曖昧になります。次の見出しで、書面に入れる項目を挙げます。
マンションでも同じです。管理規約で共用廊下に物を置けないなど、搬出の制約があるため、荷物を残して売る場合は管理会社への連絡も忘れずに。マンション特有の確認はマンション売却の流れ:管理組合への確認から引き渡しまでの手順で扱います。
荷物を残して売るとき、売買契約で決めておく5項目
残置物つきで売るなら、次の5項目を契約書または添付の書面に入れます。書き方は、仲介する不動産会社か、買取業者の契約書の書式で確かめます。
- 対象の範囲:残していく物と、売主が先に持ち出す物を分ける。写真や一覧を添えると、あとで「あったはず」「なかったはず」の争いを避けられます。
- 所有権:残す物は、引き渡しの時に買主へ所有権が移る(売主は放棄する)と書く。
- 撤去・処分の責任と費用:誰が、いつまでに撤去し、費用を誰が持つか。買主負担にした分は、価格に織り込まれているかを確かめます。
- 引き渡しの状態:「現況有姿(今のあるがまま)で引き渡す」と書くことが多い。ただし家の不具合を知っていながら告げなかった場合は、特約があっても売主の責任は残ります(民法572条)。知っている雨漏りやシロアリ被害などは、告知書に書きます。
- 取り出し済みの物:貴重品・書類・形見・写真は、契約より前に取り出して終わらせる。
契約不適合責任(引き渡した物が契約の内容に合わないときに、売主が負う責任。民法562条)の免責や期間の決め方は、売主の契約不適合責任:相続した古い家を売る時の免責の考え方で詳しく扱います。
片付けてから売る場合:費用の出どころと業者の確かめ方
片付けの費用は、誰がどこまでやるかで大きく変わります。公的な統計はなく、間取りや荷物の量で見積額が決まるため、複数社の見積書を並べて比べます。
| やり方 | 費用の中身 | 確かめること |
|---|---|---|
| 自分と家族で分別 | 粗大ごみの手数料、持ち込み料、交通費 | 市区町村のごみの出し方と予約の要否 |
| 遺品整理・不用品回収の業者 | 作業人数、トラックの台数、処分費、立ち会いの有無 | 見積書の内訳(作業日・作業内容・料金・追加料金・解約料) |
| 家電の処分 | テレビ・エアコン・冷蔵庫・冷凍庫・洗濯機・衣類乾燥機は、家電リサイクル法でリサイクル料金と収集運搬料金が要る | 販売店か自治体の案内に従う |
業者を選ぶときの要点は2つです。環境省は、家庭から出るごみを回収できるのは、市区町村の許可や委託を受けた業者に限られるとしています。産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では、家庭ごみの回収はできません。許可は、市区町村の窓口に照会して確かめます。国民生活センターは、事前に聞いた額より作業後に高い請求をされた例や、残す約束の物まで処分された例を挙げ、作業内容・料金・追加料金・解約料の確認と、複数社の見積もり、残す物の仕分け、作業への立ち会いを勧めています。遺品を買い取る業者には、古物商許可証の提示を求めます。業者の選び方は遺品整理業者の選び方:許可・見積もり・立ち会いで確かめる7点、進め方は実家の片付けの進め方:親が元気なうち・亡くなった後の手順にまとめています。
片付けるか、荷物ごと売るか:金額で比べる式
迷ったら、次の2つの手取りを並べます。
- 荷物ごとの買取額(撤去費を引いた後の額)
- 片付けてから仲介で売った場合の見込み額 − 片付け費用 − 仲介手数料
以下は仕組みを示す仮の数字です(筆者の計算)。仲介で1,000万円で売れたとして、片付け費用を50万円、仲介手数料を上限の額とします。仲介手数料の上限は(売買代金×3%+6万円)に消費税10%を足した額で、1,000万円なら(30万円+6万円)×1.1=39万6,000円です(報酬告示から導いた計算。上限の仕組みは仲介手数料の上限と計算式)。手取りは1,000万円−50万円−39万6,000円=910万4,000円になります。残置物ごとの買取額が900万円なら、差は10万4,000円です。
この差が小さいなら、片付けにかかる日数・通う交通費・売れるまでの待ち時間を考えて買取を選ぶ人もいますし、差が大きければ片付けて仲介に出す選択になります。仲介の価格は売れるまで確定しない点が、この比較の弱みです。見込み額は家を売るといくら?成約価格のデータの調べ方と査定の使い分けで調べた成約価格を使い、複数社に査定を頼んで根拠を聞きます。
- 荷物ごと(買取):撤去は業者/日数が短い/買取額に撤去費が反映/提示額の内訳を確認
- 荷物ごと(仲介・残置物つき):撤去は買主/買主が限られる/契約書に所有権と費用負担を書く
- 片付けてから(仲介):撤去は売主/先に費用と日数/価格を重視できるが売れる時期は読めない
売る前に手を付けてはいけない荷物:相続の途中なら
実家が相続で自分たちのものになる途中の場合は、荷物の処分を急がないでください。理由は3つあります。
- 相続放棄を考えているとき:相続財産の全部または一部を処分すると、単純承認(財産も借金もすべて引き継ぐ扱い)をしたとみなされることがあります(民法921条)。放棄を検討中なら、価値のある物の処分や売却に進む前に、相続放棄と遺品整理:形見分けや部屋の片付けはどこまでしてよいかで範囲を確かめます。
- 遺産分割の前:荷物も実家も相続人の共有です(民法898条)。誰か一人の判断で捨てたり売ったりせず、相続人の間で仕分けの方針を共有します。
- 探す物が残っている:通帳・権利証・保険証券・契約書は、相続手続きと売却の書類に使います。探す物は遺品整理で探すべき貴重品と書類:相続手続きに必要な物のリストで先に確かめます。
荷物ごと売る:買取を選ぶときの注意
買取は、不動産会社が自ら買主になる売り方で、残置物の撤去まで引き受けてもらえる点が選ばれる理由です。比べ方は不動産の買取と仲介の違い:査定から売り方を選ぶ判断材料と流れで扱っています。ここでは、残置物つきの買取に絞った注意点を挙げます。
荷物ごとの買取を選択肢に入れるなら、複数社の提示額と内訳を並べるのが基本です。撤去費をいくらで見ているか、残置物の中に売れる物を買取額へ反映しているかは、会社によって異なります。会社の免許番号は、国土交通省の宅地建物取引業者情報検索で確かめます。
自宅を売る側には、クーリング・オフ(契約をやめられる制度)がありません。宅建業法のクーリング・オフ(37条の2)は、業者が売主のときの買主のための制度なので、自宅を買取業者に売る売主には使えないからです。契約をしない意思を示したのに勧誘を続けることは、宅建業者が禁止されている行為の一つです(宅建業法47条の2、施行規則16条の11)。断るときは断る意思をはっきり伝え、困ったら消費者ホットライン188(番号は相続手続きの無料相談窓口一覧)へ連絡します。
荷物の扱いが決まって内見が近づいたら、近所への知らせ方を実家を売却する時の近所・親戚への挨拶:文例と伝えるタイミングで確かめておくと、片付けの作業音や人の出入りで困らせずに済みます。
特に、一人で判断が難しい高齢の親の自宅を急いで売らせようとする勧誘は、自宅の買取・リースバックの強引な勧誘:断り方と相談先を先に読んでください。
よくある質問
Q. 家具や家電が残ったままでも、不動産会社は売却を引き受けてくれますか?
媒介契約(売却を頼む契約)を結ぶこと自体は荷物の有無と関係なく頼めます。ただ、内見の印象や買主の解体・リフォームの段取りに響くため、会社からは片付けの有無と、片付けない場合の取り決めを聞かれます。どこまで残すかを写真つきで伝えて、査定額への影響を聞いておくと話が早く進みます。
Q. 残置物の処分費は、売却の税金の計算で引けますか?
国税庁は譲渡費用を「売るために直接かかった費用」と整理しており、仲介手数料や取壊し費用が例に挙がっています。No.3255の例示(仲介手数料、売主が負担した印紙税、借家人の立退料、取壊し費用など)に、片付けや遺品整理の費用は載っていません。一方で、修繕費や固定資産税のような維持・管理の費用は譲渡費用にならないと明記されています。そのため、家を売るために直接かかった費用かどうかが分かれ目で、売るためと説明しやすいのは取壊し費用のように売却と結びつく費用です。片付けは、相続した家の管理として行う分と区別がつきにくいので、領収書と、売るために行った経緯の記録を残し、申告前に税務署で自分の場合を確かめます。
Q. 荷物の中に価値がありそうな物があったら、どうすればよいですか?
売る前に相続人全員で仕分けて、貴重品や形見は取り出します。買取に出すなら古物商許可証を持つ業者かを確かめます。処分が済んだ後で戻せないので、迷う物は契約より前に家族で写真に撮って共有しておきます。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第562条・第572条・第898条・第921条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法 第12条・第37条の2・第47条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業者情報検索(建設業者・宅建業者等企業情報検索システム)(国土交通省)
- 廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!(環境省)
- 遺品整理サービスのトラブル(見守り新鮮情報 第525号)(国民生活センター)
- 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(報酬告示)(国土交通省)
- No.3255 譲渡費用となるもの(国税庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。