成年後見の登記事項証明書の取り方:手数料・郵送請求・使う場面
成年後見の登記事項証明書は、**東京法務局の後見登録課か全国の法務局・地方法務局の本局で、1通550円(収入印紙)**で取れます。郵送は東京法務局の後見登録課だけが受け付け、マイナンバーカードがあればオンラインでも請求できます。請求できるのは本人、配偶者と四親等内の親族、後見人など法律で決まった人とその代理人だけで、取引の相手方は請求できません。後見人に選ばれた後、銀行の届出や不動産の売却などで「この人に代理する権限がある」と示すために使います。
証明書の種類と、取れるようになる時期
成年後見の登記には、家庭裁判所が後見・保佐・補助を始めた審判の内容や、任意後見契約の内容が記録されます。法務省のQ&Aでは、後見人が本人に代わって財産の売買や介護サービスの契約を結ぶときに、相手に登記事項証明書を示して権限を確認してもらう、と説明しています。
証明書は2種類あります。
| 証明書 | 何を証明するか | 主に使う場面 | 手数料(書面) |
|---|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 後見などの登記の内容(後見人が誰か、代理権の範囲など) | 後見人が本人の代わりに銀行・役所・不動産の手続きをするとき | 1通550円 |
| 登記されていないことの証明書 | その人について後見などの登記がないこと | 後見開始の申立てのほか、自分が後見などを受けていないことを示すよう求められたとき | 1通300円 |
後見の登記事項証明書に載る主な事項は、後見登記等に関する法律4条で決まっています。後見・保佐・補助の種別と審判をした家庭裁判所、本人の氏名・生年月日・住所・本籍、後見人の氏名と住所、監督人がいればその氏名と住所、保佐人・補助人の同意が要る行為と代理権の範囲などです。預貯金の残高など財産の中身は載りません。
後見人に選ばれてもすぐには取れません。審判が確定すると家庭裁判所が法務局に登記を頼む流れで、東京家庭裁判所のハンドブックでは、審判書の謄本が後見人に届いてから2週間で確定し、登記事項証明書は謄本が届いて約1か月たった後から取れるようになると案内しています。銀行の手続きや自宅の売却の予定は、この時期を見込んで組みます。
取り方の手順:窓口・郵送・オンライン
請求の流れは次のとおりです。法務省のページから申請書をダウンロードでき、法務局の窓口にも置いてあります。
- 請求する証明書と通数を決める:提出先ごとに必要な通数と「発行から何か月以内」の条件を聞いておきます。
- 申請書を書く:請求する人の住所・氏名・生年月日・資格(本人、後見人、親族など)と、証明を受ける本人の氏名などを書きます。
- 添付書類をそろえる:下の表のとおり、立場によって変わります。
- 手数料を納める:申請書に収入印紙を貼ります(当分の間は登記印紙も使えます)。
- 出す:窓口に持参するか、郵送するか、オンラインで送ります。
| 請求する人 | 添付する主な書類 |
|---|---|
| 後見人(自分が後見人として登記されている) | 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードの表面など) |
| 本人の配偶者・四親等内の親族 | 本人との親族関係が分かる戸籍謄抄本や住民票など(官公署が作成から3か月以内。除籍・改製原戸籍の謄抄本は期限の制限なし)+本人確認書類 |
| 代理人(司法書士など) | 委任状+本人確認書類 |
窓口・郵送・オンラインの違いは次のとおりです。
| 方法 | 出す先 | 注意 |
|---|---|---|
| 窓口 | 東京法務局 民事行政部 後見登録課、または各法務局・地方法務局(本局)の戸籍課 | 支局・出張所では取れない |
| 郵送 | 東京法務局 後見登録課のみ | 宛名を書いて切手を貼った返信用封筒を同封。本人確認書類はコピーを同封。送り先の住所は法務省のQ&Aで確かめる |
| オンライン | 登記・供託オンライン申請システム | 公的個人認証が使えるマイナンバーカードが必要。登記事項証明書の手数料は送付で1通380円(登記手数料令3条)と、書面請求より安い |
添付書類の原本を返してほしいときは、原本とそのコピーを一緒に出します。請求のためだけに作った委任状は返ってきません。
- 家庭裁判所から審判書の謄本が届く
- 2週間で審判が確定し、裁判所が法務局に登記を依頼する
- 謄本が届いて約1か月後から、登記事項証明書が取れる(東京家裁の案内)
- 窓口(本局)・郵送(東京法務局後見登録課)・オンラインで請求する
- 銀行・役所・不動産会社・法務局などの提出先に出す
使う場面と、提出先ごとの通数の考え方
後見人になると、本人の財産を管理する手続きのたびに権限を示す必要があります。よく使う場面を挙げます。
- 銀行・ゆうちょ・証券会社:本人の口座に後見人の届出をし、口座を後見人が管理する形にするとき。東京家裁のハンドブックは、口座の名義を本人名義か「本人名 成年後見人 後見人名」の形にするよう求めており、その開設や変更の際に金融機関から登記事項証明書の提出を求められる場合があると案内しています。
- 年金・介護保険・市区町村の窓口:年金の受取りや介護サービスの契約、税金の通知の送り先を変えるとき。
- 自宅などの不動産を売るとき:買主や不動産会社に後見人の権限を示します。居住用の不動産なら、売る前に家庭裁判所の許可が必要で、東京家裁の案内では、許可の申立ての際も後見登記の内容に変更がある場合は住民票などの追加が求められます。売却の流れは成年後見人が自宅を売るには:居住用不動産処分の許可にあります。
- 相続の手続き:本人が相続人になった遺産分割協議や相続登記で、後見人が本人の代わりに署名するとき。
- 後見開始の申立て:申し立てる側として、本人について「登記されていないことの証明書」(発行から3か月以内)を出します。申立ての書類一式は成年後見の申立ての流れで確かめてください。
使うたびに1通ずつ取ると手間がかかります。最初の数か月は、銀行の届出、年金、介護、市区町村と提出先が重なるので、提出先の数を書き出して、返却してもらえるか(原本を見せるだけでよいか)を先に聞いておくと、必要な通数を絞れます。
登記の内容が変わったら:変更・終了の登記
証明書は登記の内容をそのまま写すので、登記が古いままだと手続きで止まります。後見人の住所が変わった、本人が施設に入って住所が変わった、という場合は、後見人などが法務局に変更の登記を申請します。本人が亡くなったときは終了の登記を申請します。法務省のQ&Aでは、これらの変更や終了の登記もオンラインで申請できると案内しています。
本人が亡くなった後は、相続人も本人について閉鎖された登記の証明書(閉鎖登記事項証明書)を請求できます(後見登記等に関する法律10条4項)。後見人だった人も、自分が後見人だった閉鎖登記の証明書を請求できます(同条3項)。相続の手続きの中で、生前の財産管理を誰がしていたかを示す必要が出たときに使えます。
親族が後見人になると、こうした書類の請求や家庭裁判所への報告を自分で続けることになります。どんな負担があるかは成年後見人に家族はなれる?家族が後見人になる注意点で、専門職に頼んだ場合の負担は成年後見の報酬:後見人・監督人に払う額の目安で確かめてください。親の財産の管理そのものに困っている段階なら、先に親が認知症になったら財産管理はどうなる?を読んでください。
よくある質問
Q. 後見人の登記事項証明書は、市役所や近くの法務局の出張所でも取れますか?
市区町村の窓口では取れません。窓口で請求できるのは東京法務局の後見登録課と、全国の法務局・地方法務局の本局の戸籍課です。支局や出張所では扱っていないので、近くに本局がなければ郵送かオンラインで請求します。
Q. 銀行から「3か月以内の証明書」と言われました。古いものは使えませんか?
「発行から何か月以内」という条件は、それぞれの提出先が決めています。家庭裁判所への後見開始の申立てでも、登記されていないことの証明書は発行から3か月以内のものと決まっています。提出先ごとに条件を聞いてから取り、何か所かで使うなら必要な通数をまとめて請求すると手間が減ります。
Q. 親の判断能力が落ちてきたので、親の財産を家族が見せてもらうために請求できますか?
この証明書は、親が後見などの登記をされているかどうかを示すもので、財産の中身は載りません。親が成年後見を受けていなければ、請求しても「登記されていない」という結果になります。親の財産管理で困っているときの進め方は、親が認知症になった時の財産管理の記事で説明しています。
出典・参考にした公的な情報
- 後見登記等に関する法律 第4条・第10条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 登記手数料令 第2条・第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A(法務省)(法務省)
- 登記事項証明書(成年後見登記)(法務省)(法務省)
- 後見開始(裁判所)(最高裁判所)
- 成年後見人・保佐人・補助人ハンドブック 令和7年4月版(東京家庭裁判所)(最高裁判所)
- 居住用不動産処分の許可の申立てについて(東京家庭裁判所 R6.10版)(最高裁判所)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。