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成年後見の報酬:後見人・監督人に払う額の目安と続く期間

この記事のもくじ
  1. 報酬の目安:後見人・監督人の月額の早見表
  2. 実際に決まった額:最高裁の実情調査(2025年後半)
  3. 報酬はいつまで続くか:終わる場面と終わらない場面
  4. 報酬付与の申立てと、申立て前に家族で見積もること

成年後見の報酬は、家庭裁判所が審判で額を決め、本人の財産から後払いで支払います。目安として、横浜家庭裁判所が公表している資料では、弁護士などの専門職の成年後見人の基本報酬は月額2万円、管理する預貯金などが1,000万円を超えると月額3万〜4万円、5,000万円を超えると月額5万〜6万円です。成年後見監督人がつけば、その報酬も別に本人の財産から出ます。今の制度では、後見は本人の判断能力が回復するか本人が亡くなるまで続くため、報酬もその間ずっとかかります。

報酬の目安:後見人・監督人の月額の早見表

報酬の額は法律で決まっていません。民法862条は、家庭裁判所が後見人と本人の資力その他の事情によって、本人の財産の中から相当な報酬を与えることができると定めているだけです。裁判官が、その期間の事務の内容と管理した財産の内容を総合して、事案ごとに決めます。

そのうえで、横浜家庭裁判所は専門職が選ばれた場合の標準的な額を「成年後見人等の報酬額のめやす」として公表しています。基準になる「管理財産額」は、預貯金と有価証券などの流動資産の合計で、自宅の土地建物は含みません。

立場 管理財産額(流動資産) 基本報酬の月額のめやす
成年後見人・保佐人・補助人 1,000万円以下 2万円
同上 1,000万円超5,000万円以下 3万〜4万円
同上 5,000万円超 5万〜6万円
成年後見監督人・保佐監督人・補助監督人・任意後見監督人 5,000万円以下 1万〜2万円
同上 5,000万円超 2万5,000円〜3万円

この資料は平成23年4月1日付で、横浜家裁の管内向けのものです。申立先の家庭裁判所が別の資料を出していないかを、その裁判所の後見のページで確かめてください。

基本報酬のほかに「付加報酬」があります。同じ資料では、身上監護に特別に困難な事情があれば基本報酬の50%の範囲で加算し、特別な行為をした場合にも加算するとして、次の例を挙げています。

  • 本人の療養看護費用のため、家庭裁判所の許可を得て居住用不動産を3,000万円で任意売却した場合:約40万〜約70万円
  • 配偶者の死亡による遺産分割調停で、約4,000万円の遺産のうち約2,000万円相当を本人に取得させた場合:約55万〜約100万円
  • 1,000万円の損害賠償請求訴訟で勝訴し、管理財産を1,000万円増やした場合:約80万〜約150万円

申立てのきっかけが自宅の売却や遺産分割なら、この付加報酬もかかると見込んでおきます。自宅を売る流れは成年後見人が自宅を売るには:居住用不動産処分の許可、遺産分割は成年後見人と遺産分割:特別代理人で説明しています。

実際に決まった額:最高裁の実情調査(2025年後半)

最高裁判所事務総局家庭局は、令和7年(2025年)7月〜12月に全国の家庭裁判所で認められた報酬付与事件を集計し、「報酬に関する実情調査の集計結果」として公表しました。対象は102,466件で、成年後見人の事件は66,111件です。数字は1回の審判で決まった額で、対象期間が12か月より長い事件や短い事件も含みます。

親族以外(弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職や法人)の成年後見人で、付加報酬を求めなかった事件の、最も多かった額は次のとおりです。

本人の流動資産額 最も多かった付与額 その割合
100万円未満 20万円台 73.9%
100万円以上500万円未満 20万円台 80.2%
500万円以上1,000万円未満 20万円台 80.6%
1,000万円以上5,000万円未満 30万円台 54.0%
5,000万円以上1億円未満 60万円台 50.3%
1億円以上 70万円台 43.0%

同じ調査には、親族の成年後見人が報酬付与を申し立てた事件の集計もあります。付加報酬を求めなかった事件で、最も多かった額は次のとおりです。専門職と比べると、流動資産が少ない区分では額が同じ20万円台に集まり、5,000万円以上の区分では親族のほうが低い額に分かれています。

本人の流動資産額 最も多かった付与額(親族の成年後見人) その割合
100万円未満 20万円台 56.6%
100万円以上500万円未満 20万円台 63.0%
500万円以上1,000万円未満 20万円台 60.7%
1,000万円以上5,000万円未満 30万円台 30.6%(20万円台は29.0%)
5,000万円以上1億円未満 40万円台 29.0%

親族の場合は、1,000万円以上の区分で額が分散しています。どの額になるかは事案ごとに裁判官が決めるので、この表は「申し立てた人の中で多かった額」の読み物として使い、自分の額の予告とは受け取らないでください。

監督人(親族以外)では、流動資産が5,000万円未満の区分はいずれも10万円台が最多で、5,000万円以上1億円未満では30万円台(44.6%)が最多でした。横浜家裁のめやす(月2万円なら年24万円、監督人の月1万〜2万円なら年12万〜24万円。筆者の計算)とおおむね重なります。

早見表:成年後見でかかるお金の全体
  • 申立ての時:収入印紙800円+登記手数料2,600円+郵便切手、鑑定をすれば鑑定費用(令和7年は10万円以下が約85.8%)
  • 毎年:後見人の報酬(専門職なら月2万円が基本のめやす)、監督人がいればその報酬
  • 特別な行為をした年:付加報酬(例:居住用不動産の売却で約40万〜約70万円)
  • 支払う人:いずれも本人の財産から。家族の財布からではない

報酬はいつまで続くか:終わる場面と終わらない場面

今の制度では、後見は「目的を果たしたら終わり」ではありません。裁判所の案内では、申立てのきっかけになった遺産分割や不動産の売却が済んでも、本人の判断能力が回復するか本人が亡くなるまで後見は続き、家族の意思でやめることはできません。報酬も、その間は毎年の審判ごとにかかります。

目安の額で見積もると、専門職の後見人に月2万円が付与される状態が10年続けば、報酬だけで240万円です(2万円×12か月×10年。筆者の計算)。監督人もつけば、月1万円でも10年で120万円が加わります(筆者の計算)。

報酬が変わる・止まる場面は次のとおりです。

  1. 専門職から親族へ交代するとき:東京家庭裁判所のハンドブックでは、後見制度支援信託や後見制度支援預貯金の契約のために選ばれた専門職の後見人は、関与の必要がなくなれば辞任を申し立てるのが一般的とされています。その後は親族の後見人が続ける形です。
  2. 後見人が辞めたいとき:辞任には正当な事由と家庭裁判所の許可が必要です(民法844条)。東京家裁は、後任を選ぶ申立てを同時にするよう案内しています。
  3. 本人が亡くなったとき:後見は終わり、最後の期間の報酬付与を申し立てたうえで、財産を相続人に引き継ぎます。

2026年6月に公布された民法等の改正法では、制度を使う必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば終了できる仕組みや、補助人の報酬を決めるときに、補助人が行った事務の内容などを考慮することの明確化と、認められた報酬額の実績の公表が盛り込まれました。成年後見の見直しは公布から2年6か月以内の政令で定める日に施行される予定で、2026年10月時点ではまだ施行されていません。今の利用者と、これから申し立てる人には現行のルールが当てはまります。改正の中身は成年後見とは?2026年改正の予定にまとめています。

報酬付与の申立てと、申立て前に家族で見積もること

報酬は、後見人や監督人が家庭裁判所に「報酬付与の申立て」をしてはじめて決まります。手続の要点は次のとおりです。

項目 内容
申し立てる人 成年後見人・保佐人・補助人、各監督人、任意後見監督人
申立先 後見開始などの審判をした家庭裁判所
費用 収入印紙800円分+郵便料(額は裁判所ごと)
出す書類 申立書、報酬付与申立事情説明書、後見等事務報告書、財産目録
受け取り方 審判で認められた額を、管理している本人の財産から受け取る

家族が後見人になった場合も、同じ申立てをすれば報酬を受け取れます。ただし本人の財産から自分に払うことになるので、受け取るかどうかは家族で話し合っておくと、後の相続でもめにくくなります。家族が後見人になるときの注意は成年後見人に家族はなれる?家族が後見人になる注意点で整理しています。

申立ての前に、次の順で負担を見積もっておくと判断しやすくなります。

  1. 本人の預貯金と有価証券の合計(流動資産)を出し、上の早見表のどの区分かを確かめる。
  2. 年金などの収入と、施設費などの支出から、毎年いくら残るか(または減るか)を出す。
  3. 報酬を年24万〜72万円程度(専門職の基本報酬のめやすの幅。筆者の計算)として、本人の平均余命の年数をかけ、財産がもつかを見る。
  4. 自宅の売却や遺産分割が控えていれば、付加報酬を足す。

財産が少なく報酬の負担が重いときは、市区町村に後見の経費を助成する制度があるかを確かめます。報酬は本人の財産を減らすので、元気なうちに任意後見や家族信託を選べる段階なら、そちらと比べる価値があります。申立ての書類は成年後見の診断書と本人情報シートから順に準備し、選ばれた後は成年後見の登記事項証明書の取り方に進んでください。

よくある質問

Q. 家族が後見人になった場合も、報酬はもらえますか?

家族の後見人も、家庭裁判所に報酬付与の申立てをして認められれば、本人の財産から報酬を受け取れます。申立てをしなければ報酬は出ません。最高裁の令和7年7月〜12月の実情調査には親族の成年後見人の申立て事件も集計されており、付加報酬を求めなかった事件では、本人の流動資産が1,000万円未満の区分で付与額は20万円台が最も多く、5割台後半から6割台を占めています。

Q. 本人の財産が少なく、報酬を払えないときはどうなりますか?

報酬は家庭裁判所が本人の資力その他の事情を見て決めるもので(民法862条)、財産が少なければそれに応じた額になります。厚生労働省の成年後見制度の案内では、法定後見制度を利用する際に必要な経費を助成している市町村もあるとしています。報酬が助成の対象になるか、上限がいくらかは自治体ごとに違うので、本人の住む市区町村の窓口で確かめてください。

Q. 報酬はいつ、どうやって払うのですか?

毎月引き落とされるものではなく、後払いです。後見人などが一定の期間の事務を終えた後に家庭裁判所へ報酬付与を申し立て、審判で決まった額を、後見人が管理している本人の口座から受け取ります。家族が自分のお金から払うものではありません。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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