遺産分割協議書のひな形:法務局の記載例を使う時の書き換え箇所
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遺産分割協議書のひな形は、法務局のウェブサイト「不動産登記の申請書様式について」で無料で手に入ります。相続登記の申請書の記載例(遺産分割の場合)の中に「遺産分割協議書の例」が入っていて、亡くなった人・相続人全員・不動産・取得する人・署名押印の欄がそろった形です。そのまま使えるのは骨組みで、名前・日付・財産の表示・取得する人の4か所は自分の家族の内容に書き換えます。預金や代償金を入れるときは、下の文例のように条項を足します。
遺産分割協議書のひな形はどこにある?法務局の記載例の入手先
入手先は次の2つです。どちらも法務局(法務省)が公開しているもので、費用はかかりません。
- 法務局「不動産登記の申請書様式について」のページ:所有権移転登記申請書(相続)の様式と記載例が、法定相続・遺産分割・数次相続などの場合別に並んでいます。「遺産分割」の記載例のPDFを開くと、申請書の例のあとに「遺産分割協議書の例」と「相続関係説明図の例」が続きます。2026年10月5日以降の申請には、登記名義人になる人の国籍等の申出が加わった新しい様式を使うので、「令和8年10月5日以降に申請する場合」と書かれたほうを開いてください。協議書の例は、このPDFの3ページ目にあたる1枚です。印刷して書き込むか、文面をワープロに打ち直して使います。
- 法務省民事局「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」:「登記手続ハンドブック」として公開されているPDFで、協議書のイメージと、協議書に押す実印・印鑑証明書の扱いの説明があります(2026年4月版)。
記載例は、相続人が妻と子2人で、実家の土地と建物を子のうち1人が相続した場合のものです。法務局自身も「この記載例を参考に、協議の結果に応じて作成してください」と添えています。
記載例のうち、そのまま使う部分と書き換える部分
記載例を部分ごとに分けると、手を入れる場所がはっきりします。
| 部分 | 記載例の中身 | 書き換え方 |
|---|---|---|
| 題名 | 遺産分割協議書 | そのまま |
| 前文 | 死亡日、最後の住所、亡くなった人の氏名、共同相続人全員の氏名 | 戸籍の死亡日と、全員の氏名に差し替える。人数が違えば名前を足す・減らす |
| 分割の内容 | 下記の不動産は〇〇が単独で相続する | 取得する人と財産ごとに条項を分ける(下の文例) |
| 作成通数 | 3通作成し、各自1通を保有 | 相続人の人数に合わせる |
| 日付 | 協議書を作った日 | 全員の署名押印がそろう日以降 |
| 署名欄 | 住所・氏名・実印 | 印鑑証明書の住所・氏名どおりに書き、実印を押す |
| 財産の表示 | 土地は所在・地番・地目・地積、建物は所在・家屋番号・種類・構造・床面積 | 登記事項証明書を見て、一字一句そのとおりに写す |
マンションの場合は、登記事項証明書に「敷地権の種類」と「敷地権の割合」が載っているので、建物と合わせてそのまま写します。登記事項証明書は、法務局の窓口やオンラインの請求で取れます。
財産の種類ごとの書き換え例:不動産・預金・株・車
条項は「誰が」「何を」取得するかを1つずつ書きます。番号を振ると、後で「第2条の預金」と指せて便利です。
文例(不動産):「第1条 相続人〇〇〇〇は、次の不動産を取得する。 土地 所在 〇〇市〇〇町一丁目 地番 23番 地目 宅地 地積 123.45平方メートル」
文例(預金を1人が取得):「第2条 相続人〇〇〇〇は、次の預金を取得する。 〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号1234567(相続開始日以降の利息を含む)」
文例(預金を2人で分ける):「第3条 〇〇銀行〇〇支店の普通預金(口座番号1234567)は、相続人〇〇〇〇が2分の1、相続人〇〇〇〇が2分の1の割合で取得する。」
文例(株):「第4条 相続人〇〇〇〇は、〇〇証券株式会社〇〇支店の被相続人名義の口座(口座番号123-456789)で管理されている株式その他一切の有価証券を取得する。」
文例(車):「第5条 相続人〇〇〇〇は、次の自動車を取得する。 登録番号 〇〇 500 あ 12-34 車台番号 ABC-1234567」
預金は残高を書かず、口座で特定するのが一般的です。残高は相続開始後の利息や引き落としで変わるので、金額で書くと数字が合わなくなるためです。2人以上で分けるときは、金額より割合で書くほうが、利息まで含めて分けやすくなります。
代償分割・配偶者居住権・後から見つかった財産の条項
代償分割は、家などの現物を取得した相続人が、ほかの相続人にお金(代償金)を払う分け方です。国税庁は代償分割を、現物を取得した人がほかの相続人に債務を負担する方法と説明しています。払う約束が協議の一部だと分かるよう、金額・期限・払い方まで協議書に書きます。
文例(代償分割):「第1条 相続人甲は、第〇条記載の不動産を取得する。 第2条 相続人甲は、前条の不動産を取得する代償として、相続人乙に対し、金〇〇〇万円を、令和〇年〇月〇日までに、乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。」
代償金の額を相続税の計算でどう扱うかは、国税庁のタックスアンサーNo.4173に計算方法があります。家の分け方として向いているかは代償分割とは何かの記事で整理しています。
配偶者居住権を入れるときは、建物の所有者と、配偶者居住権を取得する配偶者を分けて書き、存続期間も書きます(民法1030条は原則を終身とし、協議で別の定めもできるとしています)。
文例(配偶者居住権):「第1条 相続人〇〇(長男)は、次の建物の所有権を取得する。 第2条 相続人〇〇(妻)は、前条の建物について配偶者居住権を取得する。存続期間は、〇〇(妻)の終身の間とする。」
制度の条件や登記は配偶者居住権とは何かの記事にまとめました。
後から財産が見つかったときに備えて、扱いを決めておく条項を入れることもあります。入れない場合、新しく見つかった財産だけを対象に改めて協議することになります。
文例(後日判明した財産):「第〇条 本協議書に記載のない遺産が後日判明したときは、相続人〇〇〇〇がこれを取得する。」
この条項は、大きな財産が見つかったときに「そんなつもりではなかった」と争いになることもあるため、全員がその意味を理解したうえで入れます。見つかった後の対応は協議書の作成後に新たな財産が見つかったときの記事で扱っています。
ひな形を使う前に、全体の流れと作り方を確かめる
ひな形は書面の形を整える道具で、相続人と財産を確定する作業の代わりにはなりません。相続人の確定から提出までの通しの流れは遺産分割協議書の書き方の全手順、パソコンでの作り方や遠方の相続人との持ち回りは遺産分割協議書を自分で作成する手順で説明しています。
財産の種類が多い、相続人が遠方に散らばっているなどで、協議書の作成から登記・預金の解約までをまとめて任せたい場合は、相続手続きの代行サービスを使う方法もあります(PR)。どの手続を、どの資格者(司法書士・行政書士・税理士)の名前で行うかを見積書で確かめてから頼んでください。
よくある質問
Q. 法務局のひな形は、預金だけの相続にも使えますか?
法務局の例は不動産の相続登記用なので、そのままでは預金の書き方がありません。前文・日付・署名欄の骨組みはそのまま使い、「記」の下の財産の表示を、金融機関名・支店名・種類・口座番号の書き方に差し替えれば、預金だけの協議書の形になります。金融機関によっては自社の書式を用意しているので、先に聞いておくと二度手間を防げます。
Q. ネットで配られているテンプレートを使っても大丈夫ですか?
使うこと自体は自由ですが、古い書式のままだったり、自分の家族に合わない条項が入っていたりすることがあります。法務局の記載例と見比べて、亡くなった人・相続人全員・財産・取得する人・日付・署名押印がそろっているかを確かめてから使ってください。
出典・参考にした公的な情報
- 法務局「不動産登記の申請書様式について」(相続・遺産分割の記載例の掲載ページ)(法務局)
- 法務局 所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)記載例と「遺産分割協議書の例」(令和8年10月5日以降の申請用)(法務局)
- 法務省民事局「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」令和8年4月(法務省)
- 法務局「登記手続ハンドブック」掲載ページ(法務局)
- 国税庁 タックスアンサー No.4173 代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算(令和8年4月1日現在法令等)(国税庁)
- 民法 第1028条・第1030条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。