相続人と遺産分割 / チェックリスト

遺産分割協議書の必要書類:印鑑証明書の通数と期限・添付するもの

この記事のもくじ
  1. 遺産分割協議書の必要書類:提出先に共通するもの
  2. 提出先別のチェックリスト:法務局・金融機関・税務署
  3. 印鑑証明書の期限と通数の数え方
  4. 原本を返してもらう方法と、出す前の最終確認

遺産分割協議書を出すときの必要書類は、提出先によって少しずつ違いますが、土台は共通です。協議書の原本、相続人全員の印鑑証明書、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍の4つをそろえ、そこに法務局なら住民票の写しや固定資産の価格が分かる書類、税務署なら申告書の添付書類が加わります。印鑑証明書の期限は提出先が決めていて、相続登記で協議書に添える分は作成後3か月を過ぎても使えます。通数は「原本を返してもらえない提出先の数」で数えます。

遺産分割協議書の必要書類:提出先に共通するもの

まず、どこに出す場合でも求められることが多い書類です。

  • 遺産分割協議書の原本:相続人全員が署名し、実印を押したもの。
  • 相続人全員の印鑑証明書:協議書に押した実印の証明書。市区町村で取ります。
  • 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍:誰が相続人かを示すため、死亡の記載のある戸籍から、婚姻などで移る前の古い戸籍(除籍・改製原戸籍)までさかのぼります。
  • 相続人全員の戸籍:法務局の記載例では、亡くなった人の死亡日以後に証明されたものが必要とされています。

戸籍の手数料は、政令の標準額で戸籍証明書が1通450円、除籍証明書が1通750円です(実際の額は市区町村の条例で決まります)。本人・配偶者・父母・子などの戸籍は、本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できます(請求する人が窓口に出向く必要があり、郵送や代理人による請求はできません)。集める順番は相続手続きの戸籍謄本の集め方で説明しています。

戸籍の束を何度も出すのが負担なら、法務局の法定相続情報証明制度を使い、一覧図の写しを無料で交付してもらう方法があります。相続登記では、一覧図の写しを出すか、その右上の番号(法定相続情報番号)を申請書に書くことで、戸籍の添付に代えられます。金融機関や税務署で使えるかは、提出先に問い合わせるよう法務局が案内しています。

提出先別のチェックリスト:法務局・金融機関・税務署

チェックリスト:提出先ごとに協議書に添えるもの
書類 法務局(相続登記) 金融機関(預金) 税務署(相続税の申告)
協議書 原本(返してもらえるかは、出す前に法務局で確かめる) 原本 写し(特例を使う場合など)
印鑑証明書 協議した相続人の分(登記を申請する相続人の分は不要) 相続人全員 配偶者の税額の軽減を使う場合は協議書の写しに付ける
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍 必要 必要 必要
相続人全員の戸籍 必要(死亡日以後の証明日) 必要 必要
住民票の写し 不動産を取得する人の分(住民票コードを書けば省略可) 全国銀行協会の一覧には挙がっていない 申告書の添付書類の案内に従う
固定資産の価格が分かる書類 申請書に書く課税価格(登録免許税の計算のもと)の確認に使う 全国銀行協会の一覧には挙がっていない 財産評価に使う
その他 相続関係説明図(戸籍を返してもらう場合)、亡くなった人の住民票の除票か戸籍の附票(登記上の住所と本籍が違う場合) 金融機関所定の相続手続依頼書 申告書、特例の計算明細書など

**法務局(相続登記)**について、法務省民事局の手続案内は、協議書に相続人全員の実印を押し、印鑑証明書を各1通添えるとしています。添える印鑑証明書は協議をした相続人の分で、登記を申請する相続人の分は除かれます。住民票の写しは、マイナンバーの載っていないものを出します。固定資産の価格は、市区町村から毎年届く固定資産税の課税明細書の「価格」(または「評価額」)欄で確かめ、「課税標準額」と取り違えないようにします。

金融機関は、全国銀行協会の一覧では、協議書がある場合に「遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印があるもの)」、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、相続人全員の印鑑証明書を挙げています。ただし必要書類は金融機関によって違う場合があるとされているので、死亡を届けたときに渡される案内を先に読みます。預金の手続き全体は預金の相続手続きの流れにまとめています。

**税務署(相続税の申告)**では、国税庁が、配偶者の税額の軽減を受けるには遺産分割協議書の写し(印鑑証明書付き)を、小規模宅地等の特例を受けるには遺産分割協議書の写しなどを添付するよう案内しています。申告書の添付書類の全体は相続税の申告の必要書類で確かめてください。

印鑑証明書の期限と通数の数え方

印鑑証明書に全国共通の有効期限はなく、期限を決めているのは提出先です。法務局の記載例は、相続登記で協議書に添える印鑑証明書について「作成後3か月以内のものでなくても差し支えありません」としています。金融機関は各社が期間を指定していることがあり、全国銀行協会の一覧には期間の記載がありません。提出先ごとの期限の比べ方と、取り直しを減らす順番は相続手続きの印鑑証明の有効期限の記事で詳しく扱っています。

通数は、次の順番で数えます。

  1. 提出先を書き出す(法務局、金融機関の数、証券会社、税務署)。
  2. 提出先ごとに、誰の分が要るか(全員か、協議した人だけか)を書く。
  3. 原本を返してもらえる提出先を確かめる。返してもらえる先から先に出し、返ってきた証明書を次に回す。
  4. 返してもらえない先の数を、人ごとに足す。

筆者の計算例:相続人が母・長男・長女・次男の4人、実家は長男が取得して長男が登記を申請、預金はX銀行(原本を返さない)とY銀行(原本を返す)、相続税の申告は不要の場合。Y銀行に先に出して返ってきた証明書をX銀行に回すと、X銀行で4人分、法務局で長男を除く3人分が手元を離れます。1人あたりの通数は母・長女・次男が2通、長男が1通で、合計7通です。書き損じや追加の求めに備えて、各自1通ずつ多めに取っておくと安心です。

原本を返してもらう方法と、出す前の最終確認

法務局では、添付書類の原本の還付を請求できます。戸籍の証明書は、相続関係説明図を出せば、調査の後に返してもらえます。原本を返してもらいたい書類は、コピーに「原本に相違ありません」と書いて申請人が署名(記名)押印し、原本と一緒に出す方法があります。協議書が還付の対象になるかは、出す前に法務局で確かめます。一方、法務省の手続案内と法務局の申請書様式のページは、登記申請のためだけに作った書類や印鑑証明書等は原本を還付できないと案内しているので、法務局に出す印鑑証明書は戻らない前提で数えます。

出す前に、次の点を見直します。

  • 協議書の住所・氏名と、印鑑証明書の住所・氏名が一致しているか。
  • 協議書の印影と印鑑証明書の印影が一致しているか。
  • 協議書が2枚以上なら、つづり目に契印があるか。
  • 亡くなった人の戸籍が、出生から死亡まで途切れずにつながっているか。
  • 相続人の戸籍が、死亡日以後に証明されたものか。
  • 登記上の住所と亡くなった人の本籍・最後の住所が違う場合に、住民票の除票か戸籍の附票を付けたか。

押印のずれや、印影がかすれていた場合の直し方は遺産分割協議書の押印で失敗したときの記事、協議書そのものの作り方は遺産分割協議書の書き方の全手順で説明しています。

よくある質問

Q. 協議書に押した実印の印鑑証明書は、協議書を作った日より前に取ったものでもいいですか?

法務局の案内で求められているのは、協議書に押された印鑑の証明書であることと、相続登記の添付分については作成後3か月以内という制約がないことです。協議書の日付より前に取ったものかどうかの決まりは示されていません。大切なのは協議書の印影と証明書の印影が一致することで、協議書に押した後に印鑑登録を変えると合わなくなるので気をつけます。

Q. 相続人全員の戸籍は、いつ以降に取ったものが必要ですか?

法務局の記載例では、遺産分割協議の当事者である相続人全員の戸籍について、亡くなった人が死亡した日以後の証明日のものが必要とされています。相続が始まった時点で相続人が生きていたことを示すためです。亡くなった人の戸籍と重なる部分は、重ねて出す必要はありません。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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