相続の手続きと期限 / 手順

預金の相続手続き:銀行への連絡から払い戻しまでの流れと必要書類

この記事のもくじ
  1. 預金の相続手続きの流れ:銀行への連絡から払い戻しまで
  2. 遺言書・協議書・調停で変わる必要書類
  3. 口座のある銀行の探し方と、窓口の調べ方
  4. 払い戻しの前に確かめたい3つのこと
  5. 自分で回るか、代行に頼むか

預金の相続手続きは、①取引のあった金融機関へ死亡を連絡する → ②必要書類をそろえる → ③金融機関所定の依頼書に記入して書類と一緒に出す → ④払い戻しや名義変更を受ける、の4段階で進みます(全国銀行協会の案内)。必要書類は、遺言書があるか、遺産分割協議書があるか、家庭裁判所の調停・審判があるかで変わります。まずは口座のある金融機関をすべて洗い出し、1行ずつ連絡するところから始めます。

預金の相続手続きの流れ:銀行への連絡から払い戻しまで

全国銀行協会が示す流れに、各段階で家族がすることを足すと次のとおりです。

  1. 取引のあった金融機関に連絡する。 電話か窓口で、口座名義人が亡くなったことと、相続の状況(遺言書の有無など)を伝えます。連絡と同時に入出金は原則として制限されます。このとき、相続手続きの依頼書と必要書類の案内、手続きの窓口(支店か相続の集中窓口か)を聞きます。
  2. 必要書類をそろえる。 下の早見表のどの場合に当たるかで書類が決まります。戸籍の束は法定相続情報一覧図の写しで代えられる場合があり、法務局は預金の払戻しにも使えると案内しています(使えるかは各金融機関に確かめます)。
  3. 依頼書を出す。 金融機関所定の相続手続きの依頼書に、依頼の内容(払い戻しか名義変更か、受け取る口座)を書き、相続人が署名・捺印して書類と一緒に出します。窓口に出すか郵送で出せるかは、連絡のときに聞いておきます。
  4. 払い戻し・名義変更を受ける。 書類の確認後に払い戻しなどが行われます。全国銀行協会は、日数がかかる場合があると案内しています。原本を返してもらいたい書類は、出すときに伝えておきます。

投資信託や国債など、預金以外の商品は別の手続きになると全国銀行協会は注意しています。同じ銀行で預金と投資信託を持っていたなら、連絡のときに両方を伝えます。

遺言書・協議書・調停で変わる必要書類

早見表:預金の相続に必要な書類(全国銀行協会の一覧から)
場合 主な書類 印鑑証明書が要る人
遺言書がある 遺言書/検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外)/被相続人の戸籍謄本など(死亡が確認できるもの)/遺言執行者の選任審判書謄本(家庭裁判所で選ばれた場合) 預金を相続する人(遺言執行者がいれば遺言執行者)
遺言書がなく、遺産分割協議書がある 遺産分割協議書(相続人全員の署名・捺印)/被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本など/相続人全員の戸籍謄本など 相続人全員
遺言書も協議書もない 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本など/相続人全員の戸籍謄本など 相続人全員
家庭裁判所の調停・審判がある 調停調書謄本または審判書謄本(審判書に確定表示がなければ確定証明書も) 預金を相続する人

遺言書がある場合の分かれ道は、遺言の種類です。公正証書遺言は家庭裁判所の検認がいりません(民法1004条2項)。法務局の自筆証書遺言書保管制度で預けられた遺言も検認がいらず、法務局で「遺言書情報証明書」(1通1,400円)を取れば、原本の代わりに手続きで使えます。自宅で見つかった自筆の遺言は、家庭裁判所の検認を経てから金融機関に出します。全国銀行協会は、遺言書と検認を確認できる書類がそろった段階で金融機関に相談するよう案内しています。

遺言書も協議書もない場合の欄は、相続人全員が金融機関の依頼書に署名・捺印して手続きする形です。誰が預金を受け取るかを相続人で決めるのは遺産分割協議で(民法907条)、協議がまとまらないときは家庭裁判所の調停・審判に進みます。印鑑証明書の期間や通数の数え方は相続手続きの印鑑証明の有効期限と通数の記事、戸籍の期間の扱いは相続手続きの謄本に有効期限はあるかの記事にまとめています。

口座のある銀行の探し方と、窓口の調べ方

手続きは口座のある金融機関ごとに行うので、最初に取引先を漏れなく見つけます。

  • 通帳・キャッシュカード・証書(定期預金・定期積金)を集める
  • 郵便物を見る(取引明細、満期の案内、金融機関からの通知)
  • スマートフォンやメールで、ネット銀行やネット証券からの連絡がないか見る
  • 確定申告書や源泉徴収票の還付先口座、年金の振込口座を見る
  • 公共料金・クレジットカードの引き落とし口座を見る

金融機関が合併している場合は、取引を引き継いだ今の金融機関で手続きすると金融庁が案内しています。長く取引のない口座でも、休眠預金として移管された後を含め、相続人が金融機関所定の手続きで引き出せます。

窓口が分からないときは、通帳に書かれた支店に電話して「口座名義人が亡くなったので相続の手続きをしたい」と伝え、どこで受け付けるか(支店か、相続の担当部署か)と郵送で出せるかを聞きます。複数の金融機関があるときは、窓口の場所、郵送の可否、原本を返してくれるかを一覧にしておくと、回る順番を決めやすくなります。

払い戻しの前に確かめたい3つのこと

相続放棄を考えているか。 相続財産を処分すると、相続を認めた(単純承認)とみなされることがあります(民法921条)。借金が多いかもしれず相続放棄を考えているなら、引き出す前に相続放棄の前にしてはいけないことを読みます。

遺産分割の前にお金が要るか。 葬儀代や当面の生活費が必要なら、遺産分割の前でも、各相続人が単独で一定額を払い戻せる制度があります(民法909条の2)。上限は口座ごとに「相続開始時の残高×3分の1×法定相続分」、金融機関ごとに150万円です。計算例と必要書類は預金の相続の仮払い制度の記事で説明しています。

相続税の申告が要るか。 遺産の合計額が基礎控除額を超えるときは、相続税の申告と納付が必要で、期限は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁)。預金の残高は財産の額の計算に使うので、払い戻しの前に死亡日時点の残高を把握しておきます。預金の手続きに期限があるかどうかは預金の相続に期限はあるかの記事、口座凍結で困る引き落としの対処は相続で口座凍結されたときの記事で扱っています。

自分で回るか、代行に頼むか

預金の払い戻しは相続人が自分で進められる手続きです。平日に窓口へ行ける、金融機関が2〜3か所、相続人どうしの話がまとまっている、という条件がそろえば、この記事の順番で十分に進められます。

一方で、金融機関が多い、相続人が遠方に分かれている、相続登記や相続税の申告も同時に必要、という場合は、手続きをまとめて頼む選択肢があります。相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士の業務なので、頼むなら事務所にどの資格者がいるかを確かめます。遺産の分け方で相続人が対立していて交渉が必要なら、扱えるのは弁護士です。頼める範囲と費用の確かめ方は相続手続きの代行サービスの記事にまとめています。

手続きの全体は相続手続きの流れと期限で確認できます。

よくある質問

Q. 銀行に死亡を連絡すると、すぐに口座は止まりますか?

全国銀行協会の案内では、取引金融機関に連絡すると同時に、亡くなった人の口座での入出金は原則として制限されます。公共料金やクレジットカードの引き落とし口座になっている場合は、連絡の前後で支払い方法の切り替えを始めます。切り替えの順番は口座凍結の記事で扱っています。

Q. 相続人の一人が代表して払い戻しを受け取れますか?

相続人全員で代表者が受け取ると決め、遺産分割協議書にその内容を書いて全員が署名押印すれば、その内容に沿って金融機関に手続きを頼めます。代表者の口座へ払い戻せるかなど受け取りの形は、各金融機関の依頼書で確かめます。受け取った後に各相続人へ分ける金額も協議書に書いておくと、後の行き違いを防げます。

Q. 預金の相続は司法書士に頼むものですか?

預金の払戻しは登記ではないので、司法書士でなければできない手続きではありません。相続人が自分で進められるほか、相続登記と一緒に頼むために司法書士(登記)や行政書士(書類作成)の事務所に任せる人もいます。遺産の分け方で争いがあり交渉が必要なら、扱えるのは弁護士です。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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