相続税の申告の必要書類:添付書類一覧と取得先・特例ごとの追加
この記事のもくじ
相続税の申告書に添付する書類は、**全員が出すもの(相続人が分かる戸籍と、遺言書か遺産分割協議書の写し)**を土台に、使う特例や贈与の状況に応じて足していきます。国税庁の「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」の一覧に沿うと、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使う人は、相続人全員の印鑑証明書が加わり、自宅の土地の特例では使う人によって住んでいた事実を示す書類なども要ります。さらに書面で出すなら、マイナンバーの本人確認書類の写しも必要です。この記事では、書類ごとの取得先と、取るときに失敗しやすい点を一覧にしました。
相続税の申告の必要書類:全員がそろえる基本の書類
特例を何も使わない一般の場合でも、次の書類を添付します。重複する書類は、重ねて出す必要はありません。
| 書類 | 条件・注意 | 取得先 |
|---|---|---|
| 被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本 | 相続開始の日から10日を経過した日以後に作られたもの。コピーでも可 | 本籍地の市区町村(広域交付なら最寄りの市区町村の窓口でも可) |
| または図形式の法定相続情報一覧図の写し | 子が実子か養子か分かる書き方のものに限る。コピーでも可 | 本籍地などを管轄する法務局 |
| 養子がいる場合はその養子の戸籍の謄本か抄本 | 養子の数え方の確認に使う | 養子の本籍地の市区町村 |
| 遺言書の写し、または遺産分割協議書の写し | 一般の場合は国税庁が「提出をお願いしている」書類。特例を使う場合は添付書類に挙がっている | 手元の原本をコピー |
| マイナンバーの本人確認書類の写し | 書面提出のとき。申告書に載った各相続人等の分 | 手元のマイナンバーカード(表裏)など |
戸籍は、亡くなった人の出生から死亡までと、相続人全員の現在の戸籍が要るのが一般的です。2024年3月1日からは、本人・配偶者・直系の親族(父母・子など)であれば、本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できる「広域交付」が始まりました。ただし兄弟姉妹は請求できる人に入っておらず、郵送や代理人による請求もできません。集め方の手順は相続手続きの戸籍謄本の集め方で確かめてください。
戸籍の束の代わりに使える法定相続情報一覧図の写しは、法務局で無料で交付されます。銀行や法務局の手続きでも使い回せるので、相続人が多い家や財産の預け先が多い家ほど手間が減ります。作り方は法定相続情報証明制度とはにまとめています。
特例・贈与があると増える書類のチェックリスト
使う特例ごとに、基本の書類に次を足します。印鑑証明書は、遺産分割協議書に押印したものを相続人全員分そろえます。
配偶者の税額の軽減を使う
- 遺言書の写し、または遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書(取得先:各相続人の住所地の市区町村)
- 申告期限までに分割できない場合は「申告期限後3年以内の分割見込書」
小規模宅地等の特例を使う(どの区分でも共通)
- 上の3点(協議書などの写し・全員の印鑑証明書・分割見込書)
小規模宅地等の特例で、区分ごとに足すもの
| 場面 | 追加の書類 | 取得先 |
|---|---|---|
| 同居していた親族・生計を一にしていた親族が使う | その宅地等に自分が住んでいることを明らかにする書類(特例を使う人にマイナンバーがあれば不要) | 住所地の市区町村 |
| 持ち家のない親族(いわゆる家なき子)が使う | 相続開始前3年以内の住所を明らかにする書類(マイナンバーがあれば不要)、その間に住んだ家が自分や親族などの持ち家でないことを示す書類、今住む家を過去に所有していないことを示す書類 | 市区町村の窓口など。何で足りるかは管轄の税務署で確かめる |
| 亡くなった人が老人ホームなどに入っていた | 被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作られたもの)、要介護・要支援認定などを受けていたことが分かる書類(介護保険の被保険者証の写しなど)、入所時の契約書の写しなど施設の名称・所在地・種類が分かる書類 | 本籍地の市区町村、手元の書類、施設 |
| 貸付事業用で、相続前3年以内に貸し始めた | 3年を超えて特定貸付事業をしていたことを明らかにする書類 | 帳簿・賃貸借契約書など |
介護保険の被保険者証の写しを出すときは、保険者番号と被保険者番号を読めないように塗りつぶすよう国税庁は案内しています。
贈与があった場合
- 相続時精算課税で贈与を受けた人がいる:被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作られたもの。コピー可)
- 亡くなった年に配偶者が居住用不動産の贈与を受け、贈与税の配偶者控除の対象にする:登記事項証明書など居住用不動産を取得したことが分かる書類、贈与を受けた配偶者の戸籍の附票の写し
このほか、事業用の宅地等で同族会社の特例を使うなら法人の定款の写しなど、特定計画山林の特例なら森林経営計画書の写しなどが加わります。特例の要件を満たすかどうかは、書類をそろえる前の段階で決まります。要件そのものは小規模宅地等の特例の要件と相続税の配偶者控除で確かめてください。
書面で出すときのマイナンバー確認書類
申告書には、財産を取得した各人のマイナンバー(12桁)を書きます。書面で出す場合、税務署で番号確認と身元確認をするため、申告書に載った人それぞれの本人確認書類の写しを添付します。窓口に持参した人は、自分の分を写しの代わりに提示してもかまいません。
| 確認の種類 | 使える書類の例 | 注意 |
|---|---|---|
| 番号確認(番号が正しいか) | マイナンバーカードの裏面、通知カード、マイナンバー記載の住民票の写し | 通知カードは氏名・住所が住民票と一致する場合に限る |
| 身元確認(番号の持ち主か) | マイナンバーカードの表面、運転免許証、パスポート、在留カード、公的医療保険の資格確認書など | 資格確認書の写しは保険者番号などを塗りつぶす |
マイナンバーカードの写しを使う場合は、表と裏の両方が必要です。写しは国税庁の「本人確認書類(写)添付台紙」に貼ると、相続人ごとに整理できます。
添付書類ではないが、計算のためにそろえる資料
国税庁の一覧に載る添付書類とは別に、財産の額を決めるための資料を集めます。どれも税務署から内容を聞かれたときの根拠になるので、申告後も保管します。
| 資料 | 何に使うか | 取得先 |
|---|---|---|
| 預貯金の相続開始日の残高証明書 | 預貯金の評価額 | 各金融機関 |
| 証券会社の残高証明書・取引報告書 | 株式・投資信託の評価 | 各証券会社 |
| 固定資産税の課税明細書・評価証明書 | 家屋の評価額、倍率地域の土地の評価 | 市区町村(東京23区は都税事務所) |
| 路線価図・評価倍率表 | 土地の評価 | 国税庁「財産評価基準書」(相続のあった年分を使う) |
| 登記事項証明書・公図・測量図 | 土地の所在・面積・形の確認 | 法務局 |
| 生命保険金の支払通知書 | 生命保険金の額(第9表) | 保険会社 |
| 葬式費用の領収書・支払いのメモ | 債務控除(第13表) | 手元の書類 |
登記事項証明書を求められる場面(居住用不動産の贈与の特例、延納・物納)では、不動産の所在地番か不動産番号が書かれた書類を添付すれば、証明書に代えられると国税庁は案内しています。申告書の作り方と、そろえた資料を表に落とす順番は相続税の申告を自分でする方法で示しました。
延納・物納を申請する場合と、出すときの注意
一度に現金で払うのが難しく延納や物納を申請する場合は、申告書とは別に次の書類を申告期限(納期限)までに出します。
- 延納:延納申請書、金銭納付を困難とする理由書、担保目録及び担保提供書、不動産等の財産の明細書、担保提供関係書類(担保が土地なら登記事項証明書、固定資産評価証明書など土地の評価の明細、抵当権設定に必要な書類を出す旨の確約書)
- 物納:物納申請書、金銭納付を困難とする理由書、物納財産目録、物納手続関係書類(登記事項証明書、公図、所在図など)
書面で出すときは、機械で読み取るためのりづけをせず、複数枚はクリップで留めます。特例を使う申告では、この一覧の書類を申告書と一緒に出します。期限に間に合わない、書類がそろわない、という事情がある場合の不利益は相続税の申告をしないとどうなるかで整理しています。
基礎控除を超えるかを相続税の基礎控除で一次判定する方法で確かめたうえで、特例の要件判定と書類集めを任せたい場合は、相続税を扱う税理士に頼む選択肢があります。紹介サービスを使うときは、紹介先が税理士登録されているかと、書類の取得代行が報酬に含まれるかを見積書で確かめてください。
「相続税 申告 必要書類」の話が相続税の手続き全体のどこに当たるかは、相続税とは?かかる人の目安・計算の流れ・申告期限10か月の全体像で確かめられます。次に読むなら相続税の納め方と支払い方法:期限・納付書・クレジットカードの上限です。
よくある質問
Q. 戸籍謄本は原本を出さないといけませんか?
コピーでも受け付けられます。国税庁の一覧では、相続人を明らかにする戸籍の謄本か法定相続情報一覧図の写しについて、それをコピー機で複写したものも挙げています。戸籍の謄本は相続開始の日から10日を経過した日以後に作られたものが対象なので、亡くなった直後に取ったものを使う場合は作成日を確かめてください。
Q. 遺産分割協議書がまだできていないときは、何を出しますか?
分割がまとまらないまま申告期限が来る場合は、法定相続分などで財産を取得したものとして期限内に申告します。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を後で使うつもりなら、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておきます。手順は遺産分割未了の申告を扱う記事で確かめてください。
Q. e-Taxで出すとき、添付書類はどうしますか?
添付書類はPDFなどのイメージデータで送信できます。国税庁のパンフレットは、イメージデータで出した添付書類は原本を保存しておく必要がないと案内しています。マイナンバーの本人確認書類も、e-Taxで手続きする場合は提示や写しの提出が不要です。
出典・参考にした公的な情報
- 相続税の申告のしかた(令和8年分用)(参考)相続税の申告の際に提出していただく主な書類(国税庁)
- 相続税の申告のしかた(令和8年分用)(国税庁)
- B1-2 相続税の申告手続(添付書類の省略・様式)(国税庁)
- 番号制度に係る税務署への申請書等の提出に当たってのお願い(国税庁)
- 戸籍法の一部を改正する法律について(戸籍証明書等の広域交付)(法務省)
- 法定相続情報証明制度について(法務局)
- No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)(国税庁)
- No.4158 配偶者の税額の軽減(国税庁)
- No.4602 土地家屋の評価(国税庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。