不動産売却の内見の準備:印象を良くする掃除と当日の対応
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内見は、買主が写真や図面では分からない「住んだときの様子」を確かめる場面で、買主の購入の判断に最も近い時間です。準備の順番は、①ものを減らして広く見せる、②水まわりと玄関をきれいにする、③全部の照明をつけて明るくする、④においをなくす、⑤聞かれる質問と答えを決めておく、の5つです。居住中でも空き家でも使えるチェックリストと、当日の動き方を示します。
内見の前日までにする準備:優先順位つきチェックリスト
全部を完璧にする必要はありません。買主の目に入りやすい場所から順に直します。
| 優先 | 場所 | やること |
|---|---|---|
| 1 | 玄関 | 靴を片付け、床を拭く。傘立てや郵便物を減らす |
| 2 | キッチン・浴室・トイレ・洗面所 | 水垢・カビを落とし、タオル類を新しくする。排水口のごみを取る |
| 3 | リビング・各部屋の床 | 床に置いたものを収納へ。掃除機をかける |
| 4 | 窓・カーテン | 窓ガラスの汚れを拭き、日中はカーテンを開ける |
| 5 | 収納の中 | 見られる前提で、詰め込みすぎない。扉が閉まるくらいに整える |
| 6 | ベランダ・庭 | ものを減らす。庭は草を刈り、枝が通路をふさがないようにする |
| 7 | 照明 | 切れた電球を替え、全部の灯りがつくか試す |
玄関と水まわりは、使い込んだ跡が残りやすく、買主が「手を入れる費用」を想像する場所です。ここがきれいだと、全体の印象が上がります。
貴重品と個人情報はしまいます。 通帳、印鑑、郵便物、書類、鍵は、見えない場所へ移します。内見者は不動産会社が連れてくる買主ですが、他に同行者がいることもあります。
照明・におい・音:印象を左右する3つの感覚
- 照明:昼でも、全部の部屋の電気をつけておくと、部屋が広く明るく見えます。暗い部屋ほど効果があります。電球が切れた部屋は、買主に「手入れが行き届いていない」と映ります。
- におい:自分では慣れて気づきにくい点です。ペット、たばこ、生ごみ、排水口、押し入れのこもったにおいが代表です。前日から窓を開けて換気し、ごみは出しておきます。強い芳香剤は、ごまかしと受け取られることがあるので控えめにします。
- 音:テレビや音楽は消します。周辺の音(電車、道路、近所の声)は消せないので、時間帯を変えると聞こえ方が違う場合があることを、聞かれたら正直に伝えます。
築年数が古く、においや傷みが避けられない家は、「きれいにする」より「手入れされていることを伝える」ほうが効きます。掃除の跡と、修理や交換の記録(領収書や保証書)を、すぐ出せるようにしておきます。
聞かれやすい質問と答えの準備
内見では、買主が決める材料になる質問を受けます。知っていることは伝え、知らないことは知らないと答えます。 次の項目を、担当者と一緒に整理しておきます。
| 質問 | 準備すること |
|---|---|
| なぜ売るのか | 事情を話せる範囲で決めておく(相続、住み替えなど) |
| 住み心地、日当たり、騒音 | 住んでみて分かる点を、良い点も悪い点も |
| 近所の様子 | ごみ出し、自治会、周辺の施設 |
| 設備の不具合、雨漏り、修理の履歴 | 把握していることをメモにする |
| 管理費・修繕積立金(マンション) | 管理規約や総会資料を探しておく |
| 境界、越境、私道の負担(一戸建て・土地) | 測量図や境界の確認書があるか |
| 周辺の計画(工事、建設予定) | 知っている範囲 |
大事なのは、知っていた不具合を隠さないことです。民法562条以下の契約不適合責任は、引き渡した物が契約の内容に適合しないときの責任です。買主が不適合を知った時から1年以内に通知すれば請求できる、という仕組みが566条にあります。売主が責任を負わない特約を結んでも、知りながら告げなかった事実の責任は免れません(572条)。内見で口頭で伝えたことは、告知書や売買契約書に書いて残すことで、後の行き違いを防げます。契約不適合責任の全体は売主の契約不適合責任で扱います。
当日の動き方:売主がすること・しないこと
売主が在宅で内見を受けるときの目安です。
- 担当者が到着する時間に合わせて、玄関を開けて挨拶する。
- 案内は担当者に任せる。聞かれたときだけ、住んでみて分かった点を答える。
- 買主の後ろをついて回らない。買主が部屋を見る時間を確保する。
- 価格の交渉や条件の話は、その場でしない。「担当者を通してお願いします」と答える。
- 子どもやペットは別室か外出させる。
不在にする場合は、鍵の受け渡し、日時の連絡方法、電気・水道の使い方を担当者と決めておきます。
買主が購入を決めると、買主側の不動産会社から申込みが入ります。申込みがあったとき、売主側の不動産会社は遅滞なく売主に報告する義務があります(宅建業法34条の2第8項)。報告を受けたら、価格や引き渡しの条件を担当者と相談します。価格を巡る考え方は売り出し価格の決め方にあります。
重要事項の説明を受けるのは、物件を買う側です(宅建業法35条)。売主は、その説明に使う資料(管理規約、境界の資料など)をそろえる側になります。
| 時刻の目安 | すること |
|---|---|
| 1時間前 | 換気、全灯をつける、貴重品をしまう、ごみを出す |
| 15分前 | 玄関を整え、スリッパを出す |
| 当日 | 挨拶、案内は担当者、質問に答える |
| 内見後 | 窓を閉め、担当者から感想を聞く |
空き家で内見を受けるときの準備
相続した実家など、空き家の内見は居住中と準備が違います。
- 鍵:担当者に預けるか、キーボックスを使うかを決める。複数の鍵(玄関、勝手口、物置)の本数を確かめる。
- 電気・水道・ガス:契約を止めていると、照明がつかず、水が出ません。内見の日だけでも使える状態にする。ブレーカーの場所を担当者に伝える。
- 換気と掃除:長期間閉め切った家は、湿気とにおいがこもる。前日までに窓を開け、床と水まわりを拭く。
- 残置物:家具や荷物が残っていると、広さが伝わりにくい。残す場合は、置いたまま売るのか、片付けて売るのかを決める。進め方は実家の売却で残置物はどうするにある。
- 庭と外まわり:草が伸び、枝が道路に出ていると、印象が悪い。内見の前に刈る。
- 安全:床の傷み、段差、暗い場所を把握しておき、担当者に伝える。足元に注意するよう、買主に案内してもらう。
- 近隣:不審に思われないよう、内見の日時を担当者から近所に伝えるか、事前に一言挨拶しておく。
誰も住んでいない家は、売主が状態をよく知らない場合があります。分からない箇所は分からないと伝え、担当者に建物の状態を一緒に確かめてもらう方法があります。
売却の進め方や、誰に何を相談するかの全体は、不動産売却の相談先で整理しています。
よくある質問
Q. 内見には売主も立ち会わなければいけませんか?
決まりはありません。居住中は、売主が在宅して受ける場合と、不動産会社に任せて外出する場合があります。買主が質問しにくいと感じることもあるので、在宅なら挨拶と最低限の案内にとどめ、不在なら鍵と案内の段取りを担当者と決めておきます。
Q. 内見で聞かれた不具合を、言わなくてもよいですか?
知っている不具合を伝えないままだと、契約後に責任を問われることがあります。民法は、売主が担保責任を負わない特約をしても、知りながら告げなかった事実の責任は免れないと定めています。知っていることは担当者に伝え、書面に残してもらいます。
Q. 内見の後、買主の感想は聞けますか?
不動産会社が買主側の業者から聞いた感想を、業務報告に入れることがあります。内見のたびに感想を聞きたいと、媒介契約を結ぶ前に頼んでおくと、価格や広告の見直しに使えます。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第562条・第566条・第572条(契約不適合責任・通知期間・免責特約の限界)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法 第34条の2・第35条(申込みの報告・重要事項の説明)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 標準媒介契約約款(国土交通省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。