相続放棄と借金の相続 / Q&A

相続放棄の期間3か月はいつから?起算日の考え方と過ぎた場合

この記事のもくじ
  1. 相続放棄の期間はいつからいつまで?
  2. 起算日の考え方:立場ごとに確かめる
  3. 3か月を過ぎたらどうなる?
  4. 期限が迫っている・過ぎたときに、今日からすること

相続放棄の期間は、**「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」**です(民法915条1項)。多くの人にとっては亡くなったことを知った日が数え始めになりますが、死亡を後から知った人や、先の順位の人の放棄で相続人になった人は、それを知った時から数えます。3か月を過ぎると単純承認したものとみなされますが、事情によっては期限後の申述が受理されることもあります。以下、問いの順に答えます。

相続放棄の期間はいつからいつまで?

数え始めは「死亡日」と決まっているわけではありません。条文の言葉は「自己のために相続の開始があったことを知った時」です。裁判所の家事事件Q&Aは、これを、亡くなったことと、自分が法律上相続人になったことの両方を知った時、と説明しています。

いつまでかは、その日から3か月です。日付の数え方は民法の期間の規定に従います。

  1. 知った日の当日は数えない。 期間の初日は算入しません(140条)。
  2. 暦に従って数える。 月で定めた期間は暦で数え、最後の月の「起算日に応当する日」の前日で終わります(143条)。
  3. 末日の終わりで満了する。 最終日の24時までが期間内です(141条)。
知った日 数え始め 期間の最終日
2026年10月23日 10月24日 2027年1月23日(土曜日)
2026年11月30日 12月1日(月の初め) 2027年2月28日(日曜日)

(筆者の計算。1つ目は月の途中から数え始めるので、143条2項により「応当する日の前日」で満了します。2つ目は12月1日、つまり月の初めから数え始めるので、暦に従って12月・1月・2月の3か月分、2月の末日で満了します。)

最終日が土日・祝日に当たる場合について、民法142条は「その日に取引をしない慣習がある場合に限り」翌日に満了すると定めています。この扱いに頼らず、前の平日までに家庭裁判所に届くように動くのが安全です。郵送で出すときは、届くまでの日数も見込みます。

起算日の早見:自分はいつから数えるか
  • 亡くなったことをその日に知った配偶者・子 → 知った日の翌日から
  • 疎遠で、亡くなったことを後から知った子 → 知らせを受けた日の翌日から
  • 先の順位の全員の放棄で相続人になった父母・兄弟姉妹 → 自分が相続人になったと知った日の翌日から
  • 相続人が決めないまま亡くなった(再転相続) → その人の相続人が、自分のための相続の開始を知った時から(916条)
  • 相続人が未成年者・成年被後見人 → 法定代理人が知った時から(917条)

起算日の考え方:立場ごとに確かめる

同じ人の相続でも、相続人ごとに起算日は違いえます。立場ごとに、何を「知った時」とするかを整理します。

配偶者と子(第1順位)。 亡くなったことを知った時に、自分が相続人であることも通常は分かるので、その時から数えるのが基本です。離れて暮らしていて亡くなったことを後から知った場合は、知らせを受けた時から数えます。

父母や兄弟姉妹など、次の順位の人。 子が全員放棄すると、亡くなった人の父母(いなければ祖父母)、それもいなければ兄弟姉妹が相続人になります(889条1項)。この人たちは、亡くなったことを知っていても、先の順位の人が放棄したことを知るまでは自分が相続人だと分かりません。そのため、先の順位の放棄を知って自分が相続人になったと知った時から数える、という考え方になります。いつ知ったかを後で示せるよう、知らせの手紙や連絡の記録を残しておきます。全員が放棄した後の流れは相続放棄したら次は誰が相続人か:次順位への連絡と全員放棄の流れにあります。

相続人が決める前に亡くなった場合(再転相続)。 祖父が亡くなり、父が承認も放棄もしないうちに父も亡くなった場合、父の相続人(子など)が祖父の相続について決める期間は、自分のために相続の開始があったことを知った時から数えます(916条)。

未成年者・成年被後見人。 本人ではなく、親権者などの法定代理人が知った時から数えます(917条)。

起算日に迷う事情があるときは、申述先の家庭裁判所の手続案内で確かめるか、司法書士・弁護士に経緯を話して見通しを聞いてください。

3か月を過ぎたらどうなる?

3か月のうちに限定承認も放棄もしなかったときは、単純承認をしたものとみなされます(921条2号)。単純承認すると、財産も借金もすべて引き継ぐことが確定します。

ただし、期限後の申述がすべて受け付けられないわけではありません。裁判所の家事事件Q&Aは、数年前に亡くなった夫の相続について、相続財産が全くないと信じ、そう信じたことに相当な理由がある場合などは、財産の全部または一部の存在を認識した時から3か月以内に申述すれば受理されることもある、と答えています。

この案内から読み取れる判断の材料は次の3つです。

材料 確かめること 残しておくもの
財産が全くないと信じていたか 亡くなった人の暮らしぶり、財産の話を聞いていたか 当時の状況が分かるメモ
そう信じた相当な理由があるか 疎遠だった、通帳や郵便物を見る機会がなかった等 別居や交流の状況が分かるもの
財産(借金を含む)の存在を知ったのはいつか 督促状・通知書が届いた日 督促状・通知書と封筒(消印)

大阪家庭裁判所は、死亡日から3か月を過ぎている場合、相続の開始を知った日を示す書面(債権者からの通知書の写しなど)が必要になることがある、と案内しています。受理されるかは家庭裁判所が事情を見て判断するので、ここに当てはまりそうだと感じたら、督促に応じて支払う前に専門家へ相談するのが先です。

期限が迫っている・過ぎたときに、今日からすること

状況別に、すぐに取りかかる行動を並べます。

  1. 自分の起算日を書き出す。 亡くなった日、自分がそれを知った日、先の順位の放棄を知った日を、根拠になる手紙やメールと一緒にメモにします。
  2. 最終日を数える。 上の数え方で最終日を出し、土日・祝日なら前の平日を実際の締め切りにします。
  3. 間に合わないなら、伸長を申し立てる。 財産の調査が終わらないときは、期限の前に家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てます(915条1項ただし書)。手順と理由の書き方は相続放棄の期間の延長:伸長の申立てのやり方と理由の書き方で説明しています。
  4. 過ぎていたら、払う前に相談する。 督促状が届いても、すぐに支払ったり、亡くなった人の財産から払ったりせず、届いた日の記録を持って相談します。
  5. 財産に手を付けない。 期限内でも、財産を処分すると単純承認したものとみなされることがあります(921条1号)。

相続のほかの期限(準確定申告や相続税の申告など)と並べた一覧は相続の期限一覧:3か月・4か月・10か月・3年の順番で確かめられます。放棄の効果や手続き全体は相続放棄とは?期限3か月の手続きの全体にまとめています。

よくある質問

Q. 相続放棄の期限の最終日が土曜日なら、月曜日に出しても間に合いますか?

民法142条は、末日が日曜・祝日などの休日に当たる場合、その日に取引をしない慣習があるときに限って翌日に満了すると定めています。当てはまるかを自分で判断して最終日に賭けるのは危ないので、前の平日までに家庭裁判所に届くように出してください。間に合わないと分かった時点で、伸長の申立てを考えます。

Q. 亡くなった日から3か月を過ぎていますが、死亡を知ったのは最近です。申述するときに何か必要ですか?

起算は死亡を知った時からなので、まだ期間内の可能性があります。大阪家庭裁判所は、死亡日から3か月を過ぎている場合、相続の開始を知った日を示す書面(債権者からの通知書の写しなど)が必要になることがあると案内しています。死亡を知らせる手紙や督促状は、封筒ごと残しておいてください。

Q. 3か月の間に財産を調べ終わらないときはどうすればよいですか?

期限の前に、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てる方法があります(民法915条1項ただし書)。申立て自体も3か月以内にする必要があります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

相続放棄とは?期限3か月・手続きの流れ・費用・してはいけないこと

相続放棄の期間の延長:伸長の申立てのやり方と理由の書き方

相続の期限一覧:3か月・4か月・10か月・3年の順番と過ぎたときの影響

相続放棄したら次は誰が相続人?次順位への連絡と全員放棄の流れ