相続は司法書士と税理士どっちが先?頼む順番と両方必要なケース
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相続で司法書士と税理士のどっちに先に頼むかは、相続税がかかりそうなら税理士が先、かからないなら司法書士だけ、が基本の答えです。相続税の申告には期限があり、遺産の分け方しだいで使える特例と税額が変わるため、分け方を決める前に税理士の目を入れておくほうが安全です。相続登記は、分け方が決まってから司法書士が申請します。どちらも要らない家や、ほかの資格者が要る家の見分け方は相続手続きは誰に頼む?財産と家族の状況で決める依頼先の選び方にまとめています。
司法書士と税理士はどっちが先か:相続税と不動産の有無で決まる
司法書士は登記と裁判所に出す書類の専門家(司法書士法3条)、税理士は税金の申告と税額の計算の相談の専門家(税理士法2条)です。仕事が重ならないので、「どちらが上か」ではなく「自分の家にどちらが要るか」と「要るならどの順か」で考えます。
| 不動産あり | 不動産なし | |
|---|---|---|
| 相続税がかかりそう | 税理士に先に相談 → 分け方を決める → 司法書士が登記 → 税理士が申告(ケース1) | 税理士だけ(ケース3) |
| 相続税はかからない | 司法書士だけ(ケース2) | 自分で、または書類だけ頼む(ケース4) |
相続税がかかるかの目安は、基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と遺産の合計を比べて判断します。基礎控除の数え方は相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×人数で一次判定する方法)にあります。
ケース1:相続税がかかり、不動産もある(両方必要)
いちばん迷うのがこのケースです。税理士を先にするのは、次の2つの理由からです。
- 分け方で使える特例が変わる。 自宅の土地の評価を減らす小規模宅地等の特例は、取得する人によって要件が違います。配偶者は要件がなく、同居していた親族は申告期限まで住み続けて持ち続けることが要件です。誰が自宅を継ぐかを決めた後では、選び直しがききません。
- 期限までに分け方が決まっていないと、特例をすぐには使えない。 申告期限までに遺産が分けられていないと、配偶者の税額の軽減や小規模宅地等の特例は、ひとまず使えない形で申告・納税します。申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えておき、原則として申告期限から3年以内に分ければ、あとから更正の請求などで適用を受けられますが、手間が増えます。
順番の例は次のとおりです。
- 戸籍を集めて相続人を確定し、財産と借金の一覧を作る(自分で、または司法書士・税理士に頼む)
- 税理士に財産の一覧を見せ、相続税の見込みと、分け方による違いの説明を受ける
- 相続人で話し合い、遺産分割協議書を作る
- 司法書士が相続登記を申請する
- 税理士が相続税の申告書を作り、申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内)までに申告・納税する
亡くなった人が、亡くなった年の所得について確定申告をする必要のある人だった場合は、相続人が準確定申告(相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内)をします。これも税理士の仕事なので、相続税と同じ税理士にまとめると、収入の資料を二度出さずに済みます。
ケース2〜4:どちらか一方で足りる家
ケース2:相続税はかからず、不動産がある。 司法書士だけで足ります。遺産分割協議書の作成と相続登記をまとめて頼めます。2024年4月1日から相続登記は義務になり、不動産の取得を知った日から3年以内に申請する義務があります(不動産登記法76条の2)。将来その家を売るなら、売る前に相続登記が要ります。売った年の翌年には譲渡所得の申告が要ることがあり、そのときに初めて税理士に相談する、という順番になります。業務に使っていない土地建物を相続したときに払った登記費用は、売ったときの取得費に含められると国税庁は案内しているので、登記にかかった費用の領収書は捨てずに残します。ただし、取得費が分からず売却額の5%を取得費とする場合は、この登記費用を足せません。
ケース3:相続税がかかり、不動産がない。 税理士だけで足ります。預金・株・生命保険が中心の家です。預金の解約は相続人が金融機関で手続きできます。
ケース4:相続税がかからず、不動産もない。 どちらにも頼まずに進められることが多い家です。遺産分割協議書の作成だけを行政書士や司法書士に頼む方法もあります。
迷うのは「相続税がかかるか分からない」ときです。この場合は、財産の一覧を作って基礎控除と比べるのが先で、それでも境目に近いなら税理士に一度相談します。土地の評価のしかたしだいで、基礎控除を超えるか超えないかが変わることがあるからです。詳しくは相続で税理士は必要か(相続税がかかる人・かからない人の分かれ目)を見てください。
両方に頼むときの役割分担と、まとめて頼む場合の確かめ方
両方に頼むときは、仕事の境目を知っておくと、見積もりの重なりや抜けに気づけます。
| 作業 | 司法書士 | 税理士 |
|---|---|---|
| 戸籍の収集・相続人の確定 | ○ | ○(申告に必要な範囲) |
| 法定相続情報一覧図の申出 | ○ | ○ |
| 遺産分割協議書の作成 | ○(登記に使う) | △(申告に添える案までが多い。作れるかは事務所に確かめる) |
| 相続登記の申請・登録免許税の計算 | ○ | × |
| 不動産の相続税評価・相続税の計算 | × | ○ |
| 相続税・準確定申告の申告書の作成 | × | ○ |
戸籍の収集と遺産分割協議書は、どちらでも作れるので重なりやすい作業です。法務局の法定相続情報一覧図の写しは無料で交付され、相続登記にも相続税の申告にも使えると法務局が案内しています。どちらが申し出るかを先に決めておけば、戸籍の束を二度集める手間と費用を避けられます。協議書は、登記と申告の両方に使える書き方になっているかを、作る側に確かめます。
司法書士法人と税理士法人が同じグループにある事務所や、相続手続きの代行サービスにまとめて頼めば、書類の受け渡しを自分でしなくて済みます。そのときは次を確かめます。
- 登記を担当する司法書士と、申告を担当する税理士の名前(登録の有無は各連合会の検索で確かめられる)
- 見積書で、登記の報酬・申告の報酬・実費が分かれているか
- 相続税の申告期限から逆算した段取り(いつまでに分け方を決める必要があるか)
相談の前に用意しておく書類と質問は、相続の相談に行く前の準備(持っていく書類と聞くことのリスト)にまとめています。司法書士に頼める範囲の詳細は相続で司法書士に頼めること(登記・書類作成・相続放棄の範囲と流れ)で扱っています。
よくある質問
Q. 税理士に相続登記も頼めますか?
登記の申請の代理は司法書士(と弁護士)の仕事で、税理士は受けられません。相続登記の登録免許税も、税理士の業務の対象の税から外されています。税理士事務所に頼んだときは、登記を担当する司法書士が誰になるかを聞いておきます。
Q. 司法書士に相続税がかかるかどうかを聞いてもよいですか?
基礎控除の式のような一般的な仕組みを聞くことはできますが、自分の家の財産で税額を計算してもらう相談は、税理士法で税理士の仕事とされています。相続税がかかりそうだと分かった時点で、税理士を探す段取りに切り替えます。
出典・参考にした公的な情報
- 司法書士法 第3条・第73条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 税理士法 第2条・第52条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- タックスアンサー No.4152 相続税の計算(国税庁)(国税庁)
- タックスアンサー No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)(国税庁)(国税庁)
- タックスアンサー No.4158 配偶者の税額の軽減(国税庁)(国税庁)
- タックスアンサー No.4208 相続税の申告後に遺産分割が行われた場合(国税庁)(国税庁)
- タックスアンサー No.4205 相続税の申告と納税(国税庁)(国税庁)
- タックスアンサー No.2022 死亡した人の所得税の確定申告(準確定申告)(国税庁)(国税庁)
- タックスアンサー No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期(国税庁)(国税庁)
- 法定相続情報証明制度について(法務局)(法務省)
- 不動産登記法 第76条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。