相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×人数で一次判定する方法
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相続税の基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人の数です。亡くなった人(被相続人)の正味の遺産額がこの額以下なら相続税はかからず、申告も要りません。超えたら、超えた部分に相続税がかかる可能性があり、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税をします。配偶者と子2人なら3,000万円+600万円×3人=4,800万円(筆者の計算)です。この記事は、サイトの中で基礎控除の数え方をまとめた基準のページです。
基礎控除の計算式と、比べる相手
式そのものは単純ですが、つまずくのは「何と比べるか」です。国税庁の説明では、基礎控除と比べるのは遺産の総額そのものではなく、正味の遺産額(課税価格の合計額)です。
| 区分 | 中身 | 正味の遺産額への入れ方 |
|---|---|---|
| 本来の相続財産 | 預貯金、土地・建物、株式、車など | 足す |
| みなし相続財産 | 受取人が決まった生命保険金、死亡退職金(非課税枠を超える部分) | 足す |
| 相続時精算課税で贈与された財産 | 贈与時の価額(2024年以後の贈与は年110万円を引いた残り) | 足す |
| 加算対象期間内の贈与 | 相続開始が2026年12月31日までなら、相続開始前3年以内に暦年課税で受けた贈与 | 足す |
| 非課税財産 | 墓地・仏壇、生命保険金と死亡退職金の非課税部分 | 入れない |
| 債務・葬式費用 | 借入金、未払いの税金、通夜・火葬などの費用 | 引く |
土地・建物は売れる値段ではなく、相続税の評価額(土地は路線価か固定資産税評価額×倍率、建物は固定資産税評価額)で入れます。財産の種類ごとの見積もり方は相続税の申告はいくらから必要か、家や土地がある家の見積もりは不動産がある家の相続税の見積もり方で扱います。
一次判定の式:正味の遺産額 −(3,000万円+600万円×法定相続人の数)= プラスなら申告が要る/ゼロ以下なら相続税はかからない
法定相続人の数え方:放棄・養子・代襲
「600万円×人数」の人数は、民法の相続人をそのまま数えるのが基本です。配偶者は常に相続人で、ほかは子(第1順位)、父母などの直系尊属(第2順位)、兄弟姉妹(第3順位)の順に、先の順位の人がいないときだけ相続人になります。内縁の配偶者は含まれません。この基本に、相続税だけの数え方が3つ加わります。
- 相続放棄した人も数える。 民法では放棄した人は初めから相続人でなかったものとされますが、相続税の基礎控除は「放棄がなかったものとした場合の相続人の数」で出します。家庭裁判所で放棄の手続きをしても、基礎控除は減りません。
- 養子は数に上限がある。 被相続人に実子がいれば養子は1人まで、実子がいなければ2人までです。民法上はどの養子も相続人で、相続分も実子と同じですが、税の人数だけが制限されます。ただし、特別養子、配偶者の連れ子で被相続人の養子になった人などは実子として扱われ、上限の外で全員数えます。養子を増やして税負担を不当に減らすと認められる場合は、その養子は人数に含めません。
- 代襲相続人は、その人数を数える。 子が先に亡くなっていて孫2人が代わりに相続人になれば、孫2人を数えます。
- 配偶者がいるか(いれば1人)
- 子はいるか。亡くなった子に子(孫)がいれば代わりに数える
- 子も孫もいなければ父母、父母もいなければ祖父母
- 第1・第2順位が誰もいなければ兄弟姉妹(亡くなっていればその子=甥・姪)
- 放棄した人は「放棄がなかったもの」として元の人数に戻す
- 養子は実子ありで1人、実子なしで2人までに絞る
家族の形ごとの人数と金額は、相続税の基礎控除の早見表(相続人2人・3人・4人)に一覧にしています。相続人がどこまで広がるかを家族図でたどるときは法定相続人とは?どこまでが相続人になるか、孫や甥・姪が代わりに相続する範囲は代襲相続とはを使ってください。養子を数える上限の背景は相続税と養子縁組の注意点で扱います。
計算例:3つの家族で一次判定する
国税庁の式に、例の数字を入れて仕組みを示します(いずれも筆者の計算。特例は使わない前提)。
| 家族の形 | 法定相続人の数 | 基礎控除 | 正味の遺産額の例 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 配偶者と子2人 | 3人 | 4,800万円 | 4,500万円 | 300万円下回る → 申告不要 |
| 子2人のみ(配偶者は先に死亡) | 2人 | 4,200万円 | 4,500万円 | 300万円超える → 申告が要る |
| 実子1人と養子2人 | 2人(養子は1人まで) | 4,200万円 | 5,000万円 | 800万円超える → 申告が要る |
1行目と2行目は同じ4,500万円の遺産ですが、相続人が1人減るだけで基礎控除が600万円下がり、判定が入れ替わります。夫婦の一方が先に亡くなった後の相続(二次相続)で相続税がかかりやすい理由の一つは、このためです(もう一つは、配偶者の税額の軽減を使えなくなることです)。3行目は、民法上の相続人は3人でも、税の人数は2人になる例です。
検算:3,000万円+600万円×3=4,800万円、3,000万円+600万円×2=4,200万円。4,500万円−4,800万円=−300万円、4,500万円−4,200万円=300万円、5,000万円−4,200万円=800万円。
基礎控除を超えたら:申告期限と、ゼロでも申告が要る場合
正味の遺産額が基礎控除を超えたら、財産を取得した人が申告書を出します。期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内で、提出先は亡くなった人の住所地を所轄する税務署です(相続人の住所地ではありません)。期限の日が土日祝日なら翌日になります。ほかの手続きとの順番は相続の期限一覧で確かめられます。
超えた後で、特例を使うと税額がゼロになる家も少なくありません。代表は2つです。
- 小規模宅地等の特例:亡くなった人が住んでいた土地を配偶者や同居の親族などが取得すると、330㎡までの部分の評価額が80%減ります。
- 配偶者の税額の軽減:配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、1億6千万円か配偶者の法定相続分相当額の多い方までなら、配偶者に相続税はかかりません。
ただし、どちらも申告書に適用を書いて出すことが条件です。「特例を使えばゼロになるから何もしない」は通りません。超えたかどうかの判定は特例を引く前の額で行い、超えていれば申告します。基礎控除の内側に収まった家の注意点は基礎控除を超えない場合は申告不要かにまとめました。相続税全体の流れ(税率・按分・控除)は相続税とは?全体像へ戻って確かめてください。
判定に迷ったら:国税庁の判定コーナーと電話相談
自分で一次判定をする道具として、国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」があります。財産の種類ごとの額を入れると、申告が要るかのおおよその目安が出て、税務署から届く「相続税についてのお尋ね」への回答も作れます。申告書そのものを作る機能はありません。
制度の一般的な質問は、国税相談専用ダイヤルで聞けます。
| 窓口 | かけ方 | 受付 |
|---|---|---|
| 国税相談専用ダイヤル(電話相談センター) | 0570-00-5901 にかけ、音声案内で「3」(譲渡所得、相続税、贈与税、財産評価) | 8時30分〜17時(土日祝・12月29日〜1月3日を除く) |
| IP電話などからかける場合 | 所轄の税務署の代表番号にかけ、音声案内で「1」を選ぶ | 同上 |
| 税務署での面接相談 | 電話で事前に予約する | 予約した日時 |
電話で聞けるのは制度の仕組みや書き方の一般論までで、自分の家の財産をどう評価するか、どの特例を選ぶと有利かといった個別の判断は、税理士の仕事です(税理士法は、税務相談を税理士の業務と定め、税理士でない人が行うことを禁じています。2条・52条)。税務署の窓口の使い方は相続税の相談は税務署でできるか(電話相談センターと面接相談)、税理士に頼むかどうかの分かれ目は相続で税理士は必要かで整理しています。
一次判定で基礎控除を超えた、または超えるか微妙な額だった場合に、申告を頼める税理士を探す方法の一つとして、税理士の紹介サービスがあります。紹介を受けた税理士が日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトに登録されているかを、面談の前に確かめてください。
よくある質問
Q. 基礎控除は相続人1人ごとにもらえる枠ですか?
いいえ。基礎控除は遺産全体から1回だけ差し引く額で、相続人ごとの持ち分ではありません。「600万円×人数」の部分が人数に応じて増えるだけで、誰がどれだけ取得したかには関係なく、正味の遺産額の合計と比べます。
Q. 相続放棄をした人がいると基礎控除は減りますか?
減りません。相続税の計算では、放棄がなかったものとした場合の相続人の数で基礎控除を出します。子が全員放棄して親や兄弟姉妹が相続人になった場合も、税の人数は放棄した子を数えた元の人数のままです。
Q. 基礎控除の額は今後変わる予定がありますか?
2026年10月時点の国税庁の案内では、3,000万円+600万円×法定相続人の数のままです。現在の額は2015年(平成27年)分から使われています。税制改正は毎年12月ごろに公表される大綱で方向が示されるので、相続があった年の国税庁の案内で確かめます。
出典・参考にした公的な情報
- No.4152 相続税の計算(国税庁)
- No.4102 相続税がかかる場合(国税庁)
- No.4170 相続人の中に養子がいるとき(国税庁)
- No.4132 相続人の範囲と法定相続分(国税庁)
- No.4205 相続税の申告と納税(国税庁)
- No.4124 小規模宅地等の特例(国税庁)
- No.4158 配偶者の税額の軽減(国税庁)
- No.9200 税についての相談窓口(国税庁)
- 相続税の申告要否判定コーナー(国税庁)
- 相続税法 第15条・第27条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。