不動産売却の流れ / Q&A

土地の売却に測量は必要?境界確定の費用・期間と隣人の立ち会い

この記事のもくじ
  1. 測量が必要になるのはどんなときか
  2. 現況測量と境界確定測量の違い
  3. 測量から境界確定までの流れと立ち会い
  4. 費用と期間の確かめ方
  5. 境界がまとまらないときと、売り方の選択肢

土地の売却で測量をすることは、法律で義務づけられてはいません。それでも、隣地との境界をはっきりさせる「境界確定測量」を、売主が引き渡しまでにすることを条件にする売買があります。境界があいまいなままでは、買主が面積や建てられる建物を判断できず、後で隣地ともめる心配が残るからです。測量が要るかは、売る土地の資料と買主の条件で決まります。この記事では、測量の種類の違い、立ち会いの流れ、費用と期間の確かめ方を順に示します。

測量が必要になるのはどんなときか

最初に、測量が要る場面と、要らないことがある場面を分けます。

場面 測量の要否の目安
買主(とくに住宅を建てて売る会社)が、境界確定を売買の条件にしている 境界確定測量が要る
土地を分けて一部だけ売る(分筆する) 分筆の登記に地積測量図が要るので、測量が要る
実際に測った面積で代金を決める(実測売買) 測量が要る
登記簿の面積で代金を決め、差が出ても精算しない(公簿売買)と合意している 測量しないで売ることもある
境界標が全部そろい、隣地と交わした境界の書面と測量図が残っている 新しい測量が要らないことがある
相続した土地を国に引き取ってもらう制度を使う 境界が明らかでない土地は申請が却下される

最後の行の制度は相続土地国庫帰属制度で扱います。売却の全体の手順の中で測量がどこに入るかは土地の売却の流れにまとめています。

現況測量と境界確定測量の違い

測量には大きく2つの種類があり、費用と期間が大きく違います。

比較表:現況測量と境界確定測量
項目 現況測量 境界確定測量
何を測るか いまある塀・ブロック・境界標などの位置と、おおよその面積 隣地の所有者と確認した境界の位置と、その線で囲んだ面積
隣地の立ち会い しない 隣地の所有者全員(道路などは管理する国・自治体)と行う
できあがるもの 現況測量図 確定測量図と、隣地と取り交わす境界の確認の書面
使いみち 売り出し前の目安、建物の配置の検討 境界確定を条件にした売買、分筆の登記、地積の更正の登記
時間と費用 比較的短く、安い 立ち会いの調整が要るので長く、高い

ここでいう「境界」には2つの意味がある点に注意します。不動産登記法123条でいう筆界は、土地が登記されたときに定められた境の線で、所有者どうしの合意で動かすことはできません。これに対して、どこまでを自分の物として使うかという所有権の範囲は、合意で決まる面があります。法務省は、両者は一致することが多いものの一致しないこともある、と説明しています。

測量から境界確定までの流れと立ち会い

登記に必要な調査・測量を他人の依頼で業として行えるのは土地家屋調査士で、調査士でない者が行うことは禁じられています(土地家屋調査士法3条・68条)。売却の境界確定測量も、分筆などの登記に使う図面につながることが多いので、まず土地家屋調査士に見積もりを聞くのが順当です。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 資料を集める:法務局で登記事項証明書、公図、地積測量図の写しを取ります。地積測量図の写しは書面の請求で1事件の図面につき500円です(登記手数料令2条)。地積測量図がない土地もあります。
  2. 土地家屋調査士に見積もりを頼む:資料を見せ、隣地の数、道路との境界があるか、境界標が残っているかを伝えます。
  3. 現地を調べて測る:境界標を探し、資料と照らして境界の案を作ります。民法209条は、境界標の調査や境界に関する測量のために、必要な範囲で隣地を使えると定めています。ただし住んでいる家に入るには居住者の承諾が要り、事前に目的・日時・場所・方法を知らせることになっています。
  4. 隣地の所有者と立ち会う:境界の案を現地で示し、確認してもらいます。道路や水路と接する部分は、国や自治体の担当部署に申請して立ち会います。国土交通省関東地方整備局のQ&Aは、道路との境界は双方の協議で確定するもので、一方的に判断されるものではないとしています。
  5. 境界標を入れ、書面を取り交わす:民法224条は、境界標の設置と保存の費用は隣どうしで等しく分け、測量の費用は土地の広さに応じて分担すると定めています(境界標の設置を求める場合の費用の分け方です)。売却のために売主が頼む測量の費用をどちらが持つかは、買主との売買の条件として決めます。隣地の所有者に費用を分けてもらえるとは限らないので、前提にしないでおきます。
  6. 測量図を受け取る:確定測量図と境界の確認の書面を、売買契約や決済で買主に渡します。

隣人への依頼は、調査士任せにせず、売主からも一言伝えておくと話が通りやすくなります。

文例:「このたび土地を売ることになり、土地家屋調査士の○○さんに境界の測量をお願いしました。近く立ち会いのお願いに伺いますので、ご都合をお聞かせいただけると助かります。」

費用と期間の確かめ方

測量の費用に公的な相場はありません。土地家屋調査士の見積書で、何に対していくらかかるかを確かめます。見積もりで額が大きく変わる点は次のとおりです。

  • 隣地の数と、所有者が遠方に住んでいる・亡くなって相続人が多いなど連絡の手間
  • 道路・水路など国や自治体の土地と接しているか(官民の境界確定の申請が加わる)
  • 境界標が残っているか、復元が要るか
  • 土地の広さ・形・高低差・樹木の多さ
  • 分筆や地積の更正の登記の申請まで頼むか

期間も、立ち会いの日程がそろうかどうかで決まります。関東地方整備局のQ&Aも、道路との境界確定の期間は測量作業や隣接地の所有者との立ち会いで時間がかかる場合があるとしています。売り出してから慌てないよう、売ると決めた段階で見積もりと日程の見込みを聞いておき、売買契約の引き渡し日はその見込みに余裕を持たせて決めます。

売主が払った測量費は、国税庁が譲渡所得の計算で差し引ける譲渡費用の例に挙げています(No.3202)。領収書を残しておきます。

境界がまとまらないときと、売り方の選択肢

隣地の人が立ち会いに応じない、境界の位置で意見が分かれるときは、法務局の筆界特定制度を使う方法があります(不動産登記法131条)。

  • 申請できるのは土地の所有者として登記されている人や、その相続人などです。
  • 筆界調査委員が実地調査や測量をし、筆界特定登記官が登記されたときの筆界の位置を明らかにします。新しく境界を決める手続きではなく、所有権の範囲を決めるものでもありません。
  • 申請の手数料は土地の価格で決まり、法務省の例では申請人の土地と隣の土地の価格の合計が4,000万円なら8,000円です。手続きの中で測量が要るときは、その費用も負担します。
  • 申請から特定までの標準処理期間は法務局ごとに決まっており、横浜地方法務局は2025年10月1日受付分から9か月としています。

所有権の範囲そのものを争う場合は裁判の手続きになり、ここから先は弁護士の仕事です。境界があいまいなまま売るなら、その状態を買主に伝えたうえで、公簿売買にする、境界確定をしない条件で買う会社に売る、という選択肢もあります。不具合を知りながら伝えずに売った場合の責任は売主の契約不適合責任で確かめてください。測量の前に土地の値段の見当をつけたいときは、査定を受けて、境界の状態で価格がどう変わるかを聞く方法があります。

測量の前に土地の値段の見当をつけたいなら、一括査定で境界の状態による価格差を聞く方法があります。査定額は売れる値段ではなく、各社の見込みです。申し込むと複数の会社から連絡が来ることがあり、査定を受けても売るかどうかは後から決められます。測量を売る条件にするかどうかも、各社に聞いて比べます。

よくある質問

Q. 隣の人が境界の立ち会いに応じてくれないときはどうなりますか?

境界の確認は隣地の所有者の協力があって進むものです。まずは土地家屋調査士を通して資料を示し、日時を変えて頼み直すのが先です。それでもまとまらないときは、法務局の筆界特定制度で、登記されたときの筆界の位置を明らかにしてもらう方法があります。

Q. 測量費用は売主と買主のどちらが払いますか?

決まりはなく、売買の条件として話し合って決めます。売主が境界確定測量をして引き渡すことを条件にする契約では、売主が負担します。売主が払った売却のための測量費は、譲渡所得の計算で譲渡費用に入る例として国税庁が挙げています。

Q. 昔の地積測量図が法務局にあれば、新しく測量しなくてよいですか?

地積測量図があっても、作られた時期によって精度や境界標の記録が違い、現地の境界標がなくなっていることもあります。そのまま使えるかは、土地家屋調査士に図面と現地を見てもらって判断します。買主が新しい測量を条件にしている場合は、図面があっても測量が要ります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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