土地の売却に消費税はかかる?個人の売却と建物の扱いの違い
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土地の売却に消費税はかかりません。国税庁は、土地の譲渡を消費税の非課税取引としています。売るのが個人でも会社でも、自宅の敷地でも事業用の土地でも、土地の部分は同じです。分かれ目になるのは土地の上の建物で、個人が自宅や相続した実家を売るなら建物も課税の対象外、事業に使っていた建物や賃貸用の建物なら課税の対象になります。この記事では、その分かれ方と、売却のときに消費税がかかるもの・かからないものを整理します。
答え:土地の売却は消費税の非課税取引
消費税がかかるのは、国内で「事業者が事業として対価を得て行う」資産の譲渡や貸付け、サービスの提供です(国税庁 No.6105)。このうち、消費に負担を求める税の性格になじまないものや社会政策的配慮から課税しないと定められた取引が「非課税取引」で、国税庁 No.6201 の一覧の最初に「土地の譲渡および貸付け」が挙がっています。
- 土地には、借地権などの土地の上に存する権利も含まれます。
- 例外は貸付けの側にあり、1か月未満の土地の貸付けと、駐車場などの施設の利用に伴って土地が使われる場合は非課税になりません。売却には関係しない例外です。
- 国税庁の譲渡所得の申告の手引にも「土地の売却による収入は、消費税の非課税取引の収入とされています」と書かれています。
つまり、土地だけを売る取引なら、売主が誰であっても消費税は出てきません。消費税と、売却益にかかる譲渡所得の税金(所得税・住民税)は別のものです。売却益の税金は土地を売却したときの税金で扱います。
建物は「誰が・何に使っていたか」で分かれる
土地と建物をまとめて売るときは、代金のうち建物の部分だけを分けて考えます。国税庁の説明を、売主の立場ごとにまとめると次のとおりです。
| 売るもの・売主 | 土地の部分 | 建物の部分 | 国税庁の説明 |
|---|---|---|---|
| 会社員などの個人が、住んでいた家を売る | 非課税 | 課税の対象外(不課税) | 生活用の資産の売却は事業として行う取引に当たらない(No.6109)という考え方に当てはめた整理。自宅の売却を名指しした国税庁ページは確認できていない |
| 個人が、相続した実家(空き家)を売る | 非課税 | 課税の対象外(不課税) | 同上。事業に使っていない家という点で自宅と同じ整理 |
| 個人事業者が、事業に使っていた店舗・事務所を売る | 非課税 | 課税の対象 | 事業用の建物の譲渡は課税の対象(No.3240) |
| 個人が、人に貸していた住宅・店舗を売る | 非課税 | 課税の対象 | 住宅賃貸用・店舗賃貸用の建物の売却も課税の対象(No.3240) |
| 店舗兼住宅を売る個人事業者 | 非課税 | 事業に使っていた部分だけ課税の対象 | 事業用と家事用の共用は按分(質疑応答事例) |
| 会社(法人)が売る | 非課税 | 課税の対象 | 会社などの法人はすべて事業者とされ、事業活動に関連する取引も課税の対象(No.6109) |
「課税の対象」は、消費税を納める義務があるという意味までは含みません。納める義務があるかどうかは、次の章の免税事業者の判定で決まります。
自宅や相続した実家を売る個人は、建物も消費税の対象外
国税庁 No.6109 では、「事業として」とは対価を得て行う資産の譲渡などを反復・継続・独立して行うことだとし、個人事業者が生活用の自家用車やテレビを売っても事業として行う取引に当たらず消費税はかからない、と説明しています。国税庁のページが例に挙げているのは自家用車やテレビですが、同じ考え方を当てはめると、会社員が自分の住んでいた家を売る、親から相続した実家を売るという取引も、事業として行うものではないので、建物の部分も消費税の課税の対象になりません。念のため、売る建物の使い方に迷う場合は税務署に確かめてください。
ここで出てくる「不課税」と「非課税」は、どちらも消費税がかからない点では同じです。違いは、事業者が課税売上割合を計算するときの扱いで、非課税取引は原則として分母に入り、不課税取引は分母にも分子にも入りません(No.6209)。自宅を売るだけの個人には、この違いで手続きが変わることはありません。
古家付きの土地を売る場合、売買契約書で土地と建物の代金を分けるかどうかは契約の内容の問題です。個人の売主にとって、建物の代金に消費税を上乗せする必要はありません。代金を分けて書く場合も、建物の欄に消費税の額を書く理由はありません。
事業用・賃貸用の建物を売るときの確かめどころ
個人でも、事業に使っていた建物や、人に貸していた建物を売ると、建物の部分は消費税の課税の対象です(No.3240)。相続した実家をしばらく人に貸していた場合も、この扱いに当たるかを考えます。そのうえで、実際に消費税を納める義務があるかは、次の順に確かめます。
- 基準期間の課税売上高を見る:個人事業者の基準期間は売った年の前々年です。前々年の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として納税義務が免除されます(No.6501)。
- インボイスの登録を確かめる:適格請求書発行事業者の登録を受けていると、課税売上高が1,000万円以下でも納税義務は免除されません。
- 特定期間を確かめる:前年の1月1日から6月30日までの課税売上高が1,000万円を超えていると、免除されない場合があります(給与等の支払額で判定することもできます)。
- 店舗兼住宅なら按分する:事業に使っていた部分だけが課税の対象で、住まいの部分は対象外です。
住宅の貸付けの家賃は、それ自体が消費税の非課税取引です。家を貸していただけの人が課税事業者かどうか、売る建物の代金のどこまでが課税の対象かは、帳簿と過去の申告の内容で決まります。ここから先の、自分の場合に納める額の計算や申告の判断は、税理士法52条で税理士の仕事とされている税務相談に当たります。税務署の電話相談の使い方は譲渡所得税の相談窓口、頼み先の違いは相続手続きの専門家の違いで確かめてください。
土地を売るときに消費税がかかるもの
土地の代金には消費税がかからなくても、売却のために払う費用の多くは、事業者のサービスへの支払いなので消費税がかかります。
| 売却でかかる費用 | 消費税 | メモ |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | かかる | 国土交通大臣の告示の上限は消費税等相当額を含む額で示されている |
| 測量・境界確定の費用(土地家屋調査士への報酬) | かかる | 測量が要るかは土地の売却に測量は必要かで |
| 抵当権抹消などの登記を頼む司法書士の報酬 | かかる | 登録免許税そのものは税金なので消費税はかからない |
| 古家の解体費用 | かかる | |
| 売買契約書の印紙税 | かからない | 税金そのもの |
仲介手数料は「売買代金(消費税等相当額を含まない)」に割合を掛けて上限を出すので、個人が自宅や土地を売る取引では、代金の全額をそのまま計算に使います。上限の計算式は仲介手数料の上限と計算式で扱います。売る前の価格の見方は土地の売却相場の調べ方にまとめています。
よくある質問
Q. 土地を売ったら、消費税の申告をする必要がありますか?
土地の売却代金は消費税の非課税取引の収入なので、土地を売ったこと自体で消費税を納めることはありません。売却益が出たときに申告が要るのは、消費税ではなく譲渡所得の所得税・住民税です。事業をしていて消費税の課税事業者の人は、事業全体の申告の中で非課税の売上げとして扱います。
Q. 古家付きの土地を売るとき、建物の分の消費税を買主からもらうべきですか?
会社員などの個人が、住んでいた家や相続した実家を売る場合は、事業として行う取引ではないので、建物の分も消費税の課税の対象になりません。消費税を上乗せする必要はありません。その家を人に貸していた、店舗に使っていたなど事業に使っていた場合は扱いが変わるので、税務署か税理士に確かめてください。
Q. 借地権を売るときも消費税はかかりませんか?
国税庁の説明では、非課税となる土地には借地権などの土地の上に存する権利を含みます。借地権の売却も、土地の譲渡と同じく非課税取引の扱いです。地主に払う承諾料など、売却に伴う費用には消費税がかかるものがあります。
出典・参考にした公的な情報
- No.6201 非課税となる取引(国税庁)
- No.6105 課税の対象(国税庁)
- No.6109 事業者が事業として行うものとは(国税庁)
- No.3240 個人が事業用建物等を譲渡した場合の消費税(国税庁)
- No.6209 非課税と不課税の違い(国税庁)
- No.6501 納税義務の免除(国税庁)
- 質疑応答事例 事業用及び家事用の両方に使用している資産を売却した場合の課税関係(国税庁)
- 譲渡所得の申告の手引(令和7年分)(国税庁)
- 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(国土交通省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。