不動産売却の流れ / 手順

土地の売却の流れ:測量・境界確定から決済までの手順と費用

この記事のもくじ
  1. 土地を売る流れ:確認から決済までの7段階
  2. 売る前に確かめる土地の条件:農地・道路・都市計画の区域
  3. 測量と境界確定は必要か:売主が決めること
  4. 売り方と売買契約の注意点:仲介・買取・手付・契約不適合責任
  5. 土地売却の費用と手取り:2,000万円で売る場合の計算
  6. 売り出す前の確認チェックリスト

土地を売る流れは、書類と現地で土地の条件を確かめる → 査定を受ける → 媒介契約を結ぶ → 売り出す → 売買契約 → 決済・引き渡しの順です。建物つきの不動産と違い、土地では、地目(農地かどうか)、道路との接し方、隣地との境界の3点で、売れるかどうかと売り方が変わります。測量は法律で義務づけられていませんが、買主が条件にすることがあります。この記事では、7段階の手順と、売る前に確かめる土地の条件、売買契約の注意点、費用の内訳を、2,000万円で売る例で示します。

土地を売る流れ:確認から決済までの7段階

手順表:土地売却の7段階と、土地で特に確かめること
段階 売主がすること 土地で特に確かめること
1. 書類を集める 登記事項証明書、公図、地積測量図、固定資産税の納税通知書、購入時の契約書を用意する 名義、地目、面積、抵当権の有無
2. 土地の条件を確かめる 現地を歩き、境界標・道路・隣地との関係を見る 農地か、道路に接しているか、都市計画の区域
3. 査定と売り方の決定 複数社に査定を頼み、根拠を聞く 更地か建物つきか、仲介か買取か
4. 媒介契約 不動産会社と契約し、価格・期間を決める 測量を買主が条件にしそうか
5. 売り出し・条件交渉 買主の申し込みを受け、価格・引き渡し条件を調整する 測量の要否、境界の明示の方法
6. 売買契約 契約書と告知書を確かめて署名・押印する 面積の精算方法、手付、契約不適合責任の範囲
7. 決済・引き渡し 残代金を受け取り、登記と精算をする ローンの返済と抵当権の抹消、固定資産税の精算

相続した土地は、1の前に相続登記で名義を相続人に変える必要があります。期限は相続登記の義務化:期限3年・過料10万円以下・相続人申告登記で確かめられます。相続した不動産の売却には、売却の期限で税の扱いが変わる特例もあるため、全体の順番は相続不動産の売却の流れ:登記から売却・申告までの順番と期限で先に確認してください。各段階の期間の目安は不動産売却の流れと期間で扱います。

1の登記事項証明書は法務局で請求できます。地目、面積、所有者、抵当権が載っているので、売る土地の現在の姿が登記と合っているかを最初に確かめます。固定資産税の納税通知書は、毎年市区町村から届く書類で、土地ごとの所在地と評価額が載っています。

売る前に確かめる土地の条件:農地・道路・都市計画の区域

土地は、建物と違って見た目だけでは売れるかどうかが分かりません。次の3点は、査定を頼む前に確かめておきます。

確認表:土地の条件ごとに確かめる先と、売り方への影響
土地の条件 確かめる先 売り方への影響
地目が田・畑、または現に耕作されている 登記事項証明書、農業委員会 売買に農地法の許可が必要。許可なしの売買は効力を生じない
道路に2メートル以上接していない 現地、市区町村の建築指導の窓口 建て替えができず、価格が下がり、買主が限られる
市街化調整区域にある 市区町村の都市計画の窓口 建築に許可が要る場合があり、買主が限られる
境界標がない、隣地と境が確認できていない 現地、地積測量図 測量や境界確定を、買主が条件にすることがある

農地の売却は、農地法で2つの場面に分かれます。農地法は、農地を「耕作の目的に供される土地」と定義しています(2条1項)。農地のまま売って買主が耕作を続けるときは、農業委員会の許可が要ります(3条1項)。家や駐車場などの農地以外のものにする目的で売るときは、都道府県知事等の許可が要ります(5条1項)。市街化区域内の農地は、許可に代えて、あらかじめ農業委員会に届け出る方法があります(5条1項6号)。どの場合も、許可を受けないでした売買は効力を生じないと定められています(3条6項、5条3項)。契約書に署名する前に、農業委員会に相談してください。農地は買い手が限られるため、売れない土地を手放す選択肢は田舎の土地が売れない相続:手放す5つの方法と費用の比べ方で比べられます。

道路との接し方も売却に直結します。建築基準法43条は、建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならないと定めています。この条件を満たさない土地は、建て替えが難しくなります。扱いは再建築不可とは?建て替えできない理由と相続した時の選択肢で扱います。

都市計画の区域では、市街化調整区域が「市街化を抑制すべき区域」とされています(都市計画法7条3項)。この区域では、開発許可を受けた区域以外での建築に、都道府県知事の許可が要る場合があります(同法43条1項)。買主が家を建てられるかどうかに関わるので、売る側も区域の区分を市区町村で確かめておきます。用途地域や建ぺい率などの制限は、売買契約の前に宅地建物取引士が買主へ重要事項として説明します(宅建業法35条)。売主は、その説明に必要な資料を不動産会社に出す側です。

測量と境界確定は必要か:売主が決めること

土地の売却で測量を義務づける法律はありません。測量が要るかは、買主の条件で決まります。

売り方 測量の扱い 向く場面
測量せずに売る 登記簿の面積で代金を決める公簿売買にする 境界標がそろい、買主が了解している
現況測量だけする 今ある塀や境界標を基準に面積を測る 売り出し前に面積の見当をつけたい
境界確定測量をする 隣地の所有者と境界を確認し、測量図と書面を作る 買主が境界確定を条件にしている、土地を分けて売る

実際に測った面積で代金を決める実測売買では、測量が前提になります。分筆(土地を分ける登記)をして一部だけ売る場合も、測量が必要です。費用と期間は土地家屋調査士の見積書で確かめます。隣地の立ち会いや筆界特定制度を含む詳しい手順は、土地の売却に測量は必要?境界確定の費用・期間と隣人の立ち会いに書いています。売り出す前に不動産会社へ「この土地は、買主から境界確定を求められそうか」を聞くと、測量を先にするか後にするかの見当がつきます。

売り方と売買契約の注意点:仲介・買取・手付・契約不適合責任

売り方は、仲介(媒介)と買取の2つが基本です。仲介は不動産会社が買主を探す方法で、買主が見つかるまでの期間は決まっていません。買取は不動産会社が自分で買うので、期間は短くなる反面、価格は仲介より低くなりやすい売り方です。自分が買主になる会社か、仲介だけをする会社かは、広告や注文のときに示す義務があります(宅建業法34条)。個人の売主が買取業者に売る場合、クーリング・オフ(宅建業法37条の2)は、業者が売主の取引の買主を守る制度なので、売主には使えません。契約の前に条件を確かめます。

売買契約書では、土地ならではの次の点を確かめます。

  1. 代金の決め方:登記簿の面積で決めて精算しない公簿売買か、測量した面積で精算する実測売買か。
  2. 手付と解除の期日:買主が手付を交付した場合、相手方が履行に着手するまでは、買主は手付を放棄し、売主は倍額を返して解除できます(民法557条)。契約書の手付解除の期日の欄を確かめます。
  3. 境界の明示:引き渡しまでに境界標を入れるのか、確定測量図を渡すのか。
  4. 契約不適合責任:引き渡した土地が契約の内容に合わないとき、買主は追完や代金の減額などを求められます(民法562条〜564条)。買主は、不適合を知った時から1年以内に売主へ通知する必要があります(民法566条)。土地では、面積の不足、境界の越境、地中の古い基礎や井戸などが問題になります。知っている事実を告知書に書いておくと、契約の内容として扱いやすくなります。責任を負わない特約があっても、知りながら告げなかった事実の責任は免れません(民法572条)。責任の範囲の考え方は売主の契約不適合責任:相続した古い家を売る時の免責の考え方で確かめられます。
  5. 精算と引き渡しの条件:固定資産税の精算の起算日、残置物の撤去、境界標の引き渡しが書かれているか。

土地売却の費用と手取り:2,000万円で売る場合の計算

土地を売る費用のうち、額が決まるものを表にします。

費用 決まり方 2,000万円で売る場合
仲介手数料 告示の上限がある(宅建業法46条) 上限は72万6,000円(筆者の計算)
売買契約書の印紙税 契約金額で決まる。2027年3月31日までに作る契約書は軽減税率 1万円
抵当権の抹消登記の登録免許税 不動産1個につき1,000円 土地が1筆なら1,000円
測量費 土地家屋調査士の見積もり 見積書で確かめる
建物の解体費 解体業者の見積もり 建物があり更地で売る場合のみ
譲渡所得の税金 利益が出たときだけ 土地を売却したときの税金で計算

仲介手数料の上限は、売買代金(消費税を除く)のうち400万円を超える部分に3.3%などを掛ける計算で、400万円超なら代金×3%+6万円に消費税を足した額になります。2,000万円なら、2,000万円×3%=60万円に6万円を足して66万円、×1.1で72万6,000円です(筆者の計算)。印紙税は1,000万円超5,000万円以下で1万円(国税庁 No.7108)です。額が決まる3つを合計すると、72万6,000円+1万円+1,000円=73万7,000円になります(筆者の計算)。ここに、測量費・解体費・司法書士の報酬などが加わります。

売買代金(消費税等相当額を除く)が800万円以下の土地や建物は、事前に報酬の額を説明して合意したうえで、不動産会社が受け取れる報酬の上限が33万円になる特例があります(令和6年7月1日施行)。価格の小さい土地を売るときは、媒介契約の前に、どの上限が適用されるかを確認してください。詳しくは800万円以下の空き家の仲介手数料:33万円の特例と事前の合意にあります。

土地は、更地か建物つきか、農地か宅地かで査定する会社が変わります。一括査定を使う場合は、依頼の欄に地目と、境界標や測量図の有無を書くと、条件に合う会社から根拠つきの査定が届きます。査定額は各社の見込みで、売れる値段を保証するものではありません。申し込むと複数社から連絡が来ることがあり、売るかどうかは査定の後に決めて構いません。依頼先の選び方は土地の売却の一括査定:更地・古家付き・農地で変わる査定先にまとめています。

売り出す前の確認チェックリスト

  • 登記事項証明書で、名義・地目・面積・抵当権を確かめた
  • 田・畑、または現に耕作されている土地なら、農業委員会に売却の相談をした
  • 前面道路に2メートル以上接しているかを、現地と図面で確かめた
  • 境界標の有無と、地積測量図の有無を確かめた
  • 買主から境界確定を求められそうかを、不動産会社に聞いた
  • 更地と建物つきの両方の前提で、査定を受けた
  • 媒介契約書で、有効期間・報酬の額・受領の時期を確かめた
  • 売買契約書案で、手付解除の期日・境界の明示・精算の起算日を確かめた
  • 決済の日にローンを返し、抵当権を抹消できるよう、金融機関と司法書士に連絡した

土地がいくらで売れそうかは、土地の売却相場の調べ方:公示価格・路線価・成約価格の違いで調べ方を扱っています。売却のあとに消費税がかかるかは土地の売却に消費税はかかる?で確かめられます。

よくある質問

Q. 土地を売るとき、古い建物を壊して更地にしておく必要がありますか?

更地にする義務はありません。建物つきのまま売る方法もあり、買主が建物を使うのか壊すのかで価格の見方が変わります。壊すと元に戻せず、解体費もかかるため、建物つきと更地の両方の前提で査定を頼んでから決めます。

Q. 田や畑の土地を売るには、何が必要ですか?

農地法では、農地を農地のまま売るときは農業委員会の許可(3条)、家や駐車場などに変える目的で売るときは都道府県知事等の許可(5条)が要ります。許可を受けずにした売買は効力を生じません。市街化区域内の農地は、あらかじめ農業委員会へ届け出る形になります。売り出す前に農業委員会へ相談します。

Q. 土地の仲介手数料は、売主と買主のどちらが払いますか?

告示が定める上限は、依頼者の一方につきの額です。売主は自分が媒介を頼んだ不動産会社に払い、買主は買主が頼んだ会社に払います。1社が売主と買主の両方から受ける形もあり、いずれの場合も、それぞれから受ける額は上限の範囲内です。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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