相続登記と名義変更 / Q&A

相続登記の登録免許税:計算方法と100万円以下の土地の免税

この記事のもくじ
  1. 相続登記の登録免許税は「評価額×0.4%」:計算の4ステップ
  2. 筆者の計算:4つのケースで登録免許税を出してみる
  3. 100万円以下の土地の免税:対象・判定・書き方
  4. 評価額の調べ方と、登録免許税の納め方
  5. 申請前のチェックリスト:登録免許税の間違いを防ぐ

相続登記の登録免許税は、**不動産の価額(固定資産課税台帳の価格)×0.4%(1,000分の4)**で計算します。価額は1,000円未満を切り捨て、税額は100円未満を切り捨て、計算結果が1,000円に満たないときは1,000円です。さらに、課税標準の価額が100万円以下の土地は、2027年3月31日(令和9年3月31日)までに受ける相続登記なら登録免許税がかかりません。ただし申請書に免税の根拠を書かないと適用されません。以下、計算の手順、筆者の計算例、免税の判定と書き方を順に示します。

相続登記の登録免許税は「評価額×0.4%」:計算の4ステップ

法務局の「登録免許税の計算」の案内に沿うと、相続による所有権移転登記の税額は次の順で出します。

  1. 価格を確かめる:市区町村が毎年送る固定資産課税明細書の「価格」または「評価額」の欄を見ます。「固定資産税課税標準額」ではありません。明細書をなくしたときは、市区町村が発行する証明書で確かめられます。
  2. 課税標準を出す:価格の1,000円未満を切り捨てます。同じ申請書で複数の不動産を申請するときは、それぞれの価格を合計してから1,000円未満を切り捨てます。持分を相続するときは、不動産全体の価格に持分の割合を掛けた額が価額です(登録免許税法10条2項)。
  3. 税率を掛ける:相続による移転は1,000分の4です(同法別表第一)。贈与や財産分与など、相続以外の原因による移転は1,000分の20なので、原因を取り違えないようにします。
  4. 税額の端数を処理する:100円未満を切り捨てます。計算した額が1,000円未満なら1,000円です(同法19条、国税通則法119条)。

固定資産課税台帳に価格が登録されていない不動産は、登記所が認定した価額を使います。この場合は、不動産を管轄する登記所の登記官に価額を問い合わせることになります。法務局の相談の予約方法は法務局の相続登記の相談:手続案内の予約方法と聞けることにまとめています。

筆者の計算:4つのケースで登録免許税を出してみる

以下はすべて筆者の計算で、価格は説明のために置いた数字です。手順は上の4ステップのとおりです。

ケース 価格 課税標準(1,000円未満切捨て) 税額
A. 土地と建物を1通の申請書で 土地 18,765,400円+建物 4,321,900円=23,087,300円 23,087,000円 23,087,000×4/1,000=92,348円 → 92,300円
B. 亡くなった人の持分2分の1を相続 土地全体 30,000,000円 30,000,000×1/2=15,000,000円 60,000円
C. 価格870,000円の土地と1,200,000円の建物 土地は免税の対象、建物は対象外 建物 1,200,000円 建物分 4,800円(土地は免税の記載をする)
D. 価格150,000円の小さな建物だけを相続 建物は免税の対象外 150,000円 150,000×4/1,000=600円 → 最低額の 1,000円

ケースAは、相続の場合は土地も建物も同じ1,000分の4なので、合計してから端数を切り捨てています。ケースCは、土地だけが免税の対象になる点に注意してください。ケースDは、価格が小さくても建物は免税の対象にならず、計算した税額が1,000円に満たないときは最低額の1,000円になる、という例です。

早見表:相続登記の登録免許税の決まり
項目 決まり 根拠
税率 不動産の価額の1,000分の4(0.4%) 登録免許税法 別表第一
価額 固定資産課税台帳の価格(なければ登記所の認定価額) 法務局の案内
価額の端数 1,000円未満を切り捨て 国税通則法118条
税額の端数 100円未満を切り捨て 国税通則法119条
最低額 1,000円 登録免許税法19条
免税 100万円以下の土地、登記しないまま亡くなった人名義にする土地の登記(2027年3月31日まで) 租税特別措置法84条の2の2

100万円以下の土地の免税:対象・判定・書き方

租税特別措置法84条の2の2には、相続登記の登録免許税を免除する措置が2つあります。

措置 対象 期間 申請書に書く文言
第1項 相続で土地を取得した人が、その相続登記をしないまま亡くなった場合に、その人を登記名義人にするための登記 2018年4月1日〜2027年3月31日に受ける登記 租税特別措置法第84条の2の2第1項により非課税
第2項 不動産の価額が100万円以下の土地の相続による所有権移転登記(表題部所有者の相続人が受ける所有権保存登記を含む) 2027年3月31日までに受ける登記 租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税

判定で間違えやすい点は3つあります。第一に、持分を相続するときは、土地全体の価額に持分の割合を掛けた額で100万円以下かを見ます。筆者の計算で例を挙げると、価額150万円の土地の2分の1を相続するなら75万円なので対象、価額300万円の土地の2分の1なら150万円で対象外です。第二に、対象は土地だけで、建物は価額が小さくても0.4%で計算します。第三に、免税の文言を申請書に書かなければ免税は受けられません。土地と建物を1通で申請するなら、どの土地に免税を使うのかが読み取れるように書きます。法務局の案内では、令和7年度の改正で第2項の対象が全国の土地に広がったと説明されています。

第1項は、祖父名義のまま父が亡くなったような場合(数次相続)で使われる措置です。祖父から父への登記が免税になりうるので、数次相続の相続登記:祖父名義の家を登記する順番と中間省略とあわせて読んでください。

適用期限の確かめ方:どちらの措置も、今の条文では2027年3月31日までに受ける登記が対象です。2026年10月23日時点で、その後に延長されるかは決まっていません。延長の有無は今後の税制改正で決まり、改正されれば租税特別措置法の条文と法務局の免税措置のページが書き換わります。申請の直前に、e-Gov法令検索で租税特別措置法84条の2の2の期限の文言と、法務局のページの適用期間を見てください。過去の相続で未登記の不動産がある人は、相続登記の申請義務の期限(2024年4月1日より前の相続は2027年3月31日まで)とも重なるので、早めに申請の準備を進めるほうが損がありません。

評価額の調べ方と、登録免許税の納め方

評価額の調べ方:固定資産税の納税通知書と一緒に届く課税明細書に、土地・建物ごとの価格が載っています。亡くなった人あての通知書が見つからないときは、不動産のある市区町村で固定資産評価証明書などの証明書を請求します。相続人が請求するときに出す書類と手数料は市区町村ごとに決まっているので、窓口やホームページの案内で確かめてください。登記の時の価額で計算するため、年度をまたいで申請するときは、新しい年度の価格で計算し直します。

納め方:登録免許税は、現金を国に納付してその領収証書を申請書に貼って出すのが原則です。税額が3万円以下のときなどは、収入印紙を貼って納めることができます(登録免許税法21条・22条)。領収証書や収入印紙は申請書に直接貼らず、別の白紙(収入印紙貼付台紙)に貼って申請書と一緒にとじ、申請書と白紙の間に契印をします。収入印紙そのものには割印や消印をしません。

計算を誰に聞くか:登録免許税は税理士法2条で税理士業務の対象から外されている税です。計算方法の一般的な質問は、法務局の手続案内で聞けます。登記と一緒に頼むなら司法書士が計算します。自分で申請する場合の書類全体の書き方は相続登記の申請書の書き方:法務局の記載例と課税価格の書き方へ進んでください。

申請前のチェックリスト:登録免許税の間違いを防ぐ

  • 課税明細書の「価格(評価額)」を使い、「課税標準額」を使っていない
  • 登記する年度の価格で計算している
  • 同じ申請書の不動産は、価格を合計してから1,000円未満を切り捨てた
  • 持分の相続は、全体の価格×持分の割合で計算した
  • 100万円以下の土地は、持分を掛けた後の額で判定した
  • 免税の土地には「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」と書いた
  • 建物は免税の対象にしていない
  • 税額の100円未満を切り捨て、1,000円未満なら1,000円にした
  • 3万円を超える税額は、現金で納付して領収証書を貼る準備をした

登録免許税は相続登記の費用のうち、自分で申請しても専門家に頼んでも同じ額がかかる部分です。戸籍代や司法書士の報酬を含めた総額は相続登記の費用:自分でする場合と司法書士に頼む場合の内訳で比べています。

よくある質問

Q. 固定資産税の納税通知書のどの数字を使えばよいですか?

課税明細書で「価格」または「評価額」と書かれた欄の数字を使います。「課税標準額」の欄は固定資産税を計算するための別の数字なので、登録免許税の計算には使いません。明細書が手元にないときは、市区町村の証明書で価格を確かめられます。

Q. 建物の評価額が100万円以下なら、建物も免税になりますか?

なりません。租税特別措置法84条の2の2第2項の免税は土地の登記が対象で、法務局の案内も土地に限って説明しています。土地と建物を一緒に申請するときは、土地だけ免税の記載をし、建物には0.4%の税率で税額を計算します。

Q. 免税の期限が過ぎたら、申請済みの登記の税金を払い直すことになりますか?

免税は「2027年3月31日までの間に受ける登記」が対象なので、その日までに登記を受けた分には影響しません。期限後に申請する分は、そのときの法令で計算します。延長されるかは今後の税制改正で決まるため、申請の直前に法務局のページで確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

法務局の相続登記の相談:手続案内の予約方法と聞けること

相続登記の費用:自分でする場合と司法書士に頼む場合の内訳

相続登記の申請書の書き方:法務局の記載例と課税価格の書き方

数次相続の相続登記:祖父名義の家を登記する順番と中間省略