相続登記と名義変更 / 比較

相続登記のwebサービスとは:書類作成支援の範囲と司法書士との違い

この記事のもくじ
  1. 相続登記のwebサービスと司法書士の違い:誰が作り、誰が申請するか
  2. 司法書士法で決まっていること:書類作成支援と登記の代理の線
  3. 使う前に確かめる7つのこと
  4. AIやアプリで下書きする場合の注意
  5. 向いている人・向いていない人と、ほかの選択肢

相続登記のwebサービスは、画面の質問に答えて入力すると、相続登記の申請書や遺産分割協議書などの案ができ、それを使って自分で法務局に申請する形のものがあります。司法書士に頼む場合との一番の違いは、申請人として法務局に出し、補正(直し)に対応する責任を自分が負うことです。登記の申請の代理と、法務局に出す書類を仕事として作ることは司法書士法で司法書士の業務と定められており、日本司法書士会連合会(日司連)は、住所や氏名を入力すると登記の申請書類を自動で作るサービスが増えていることを背景に、無資格の事業者についての情報提供を受け付けています。使うかどうかは、件の単純さと、自分で申請する手間を引き受けられるかで決めてください。

相続登記のwebサービスと司法書士の違い:誰が作り、誰が申請するか

比べる点 webサービスで作って自分で申請 司法書士に代理を頼む 法務局の様式で自分で作って申請
申請書を作る人 自分(サービスの画面で案を作る) 司法書士 自分
法務局への申請人 自分 自分(司法書士が代理で申請) 自分
補正の連絡と対応 自分 司法書士 自分
戸籍などの収集 自分(取得代行の有無はサービスによる) 頼めば司法書士 自分
相談できる範囲 サービスの案内の範囲 個別の件の相談 法務局の手続案内(1回20分以内・予約制)
費用 サービスの利用料+実費 報酬+実費 実費のみ

どの方法でも、登録免許税や戸籍の手数料などの実費は同じです。違うのは「書類を作る手間」と「法務局とのやり取りを誰がするか」の部分で、その分の対価をサービスに払うか、司法書士に払うか、自分の時間で払うか、という比較になります。

司法書士法で決まっていること:書類作成支援と登記の代理の線

司法書士法3条1項は、他人の依頼を受けて行う次の仕事を司法書士の業務としています。登記の手続の代理(1号)、法務局に出す書類や電磁的記録の作成(2号)、これらについての相談(5号)などです。同法73条1項は、司法書士会に入会した司法書士・司法書士法人でない者がこれらを行うことを禁じ(他の法律に別段の定めがある場合を除く。弁護士は登記の代理ができます)、違反には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(78条1項)。

一方で、自分の相続登記を自分で申請することは禁じられていません。相続による登記は相続人が単独で申請できます(不動産登記法63条2項)。webサービスで作った書類を使う場合も、法務局に申請するのは相続人本人なので、この「本人申請」の形になります。

日司連は同じフォームの案内で、司法書士や弁護士ではない事業者が登記申請書類を作成したり、登記手続に関する相談に応じたりすることは法律で禁じられていると説明しています。フォームでは、利用したサービスの内容を選ぶ設問に、戸籍などの取得代行、相続関係説明図や遺産分割協議書の作成、登記申請書類の法務局への提出代行、固定資産評価証明書の取得代行、登録免許税の計算、補正指示への対応の相談、などが並んでいます。どのサービスが司法書士法に照らして問題になるかを、このサイトは判断しません。ただ、利用者としては、サービスのどの部分を、司法書士が担当しているのか、資格のない事業者が行っているのかを、使う前に確かめておくのが安全です。

線引きの図:相続登記で「誰ができるか」
作業 自分(相続人本人) 司法書士(と弁護士) 資格のない事業者
自分の相続登記の申請書を作って出す できる 代理で作って出せる 他人の依頼で業として作ることは司法書士法73条で禁止
法務局とのやり取り・補正 できる 代理でできる 代理はできない
遺産分割協議書の作成 できる 作成できる 他人の依頼で報酬を得て作れるのは行政書士・弁護士など(行政書士法19条の制限)
相続人どうしの交渉 自分のことはできる 交渉の代理は弁護士 できない

使う前に確かめる7つのこと

webサービスを選ぶときは、料金の安さより先に、次の7点をサービスの説明・利用規約・特定商取引法に基づく表記などで確かめてください。

  1. 運営者:会社名、所在地、連絡先。司法書士事務所が運営・監修しているか。
  2. 誰が書類を作る形か:利用者が入力して自分で作る形か、事業者が作って渡す形か。司法書士が関わるなら、その司法書士の名前と登録(日司連の司法書士検索で確かめられる)。
  3. 対応できる件の範囲:数次相続、遺言による登記、未登記建物、複数の法務局にまたがる不動産、相続人に海外在住者がいる場合などに対応するか。対応しない件で使うと、作り直しになります。
  4. 最新の様式への対応:2026年10月5日以降の所有権移転登記などの申請では、登記名義人になる人の国籍等を申し出ることになり、法務局は新しい様式を掲載しています。サービスがこの変更に対応しているか。
  5. 料金に含まれるもの:利用料のほかに、登録免許税・戸籍の手数料・郵送料などの実費は別か。追加料金の条件。
  6. 補正になったときの支援:直し方の案内があるか、作り直しは無料か。法務局とのやり取りは自分がすることを前提に考えます。
  7. 入力した情報の扱い:戸籍や不動産の情報は家族の個人情報です。保存期間、削除の方法、第三者への提供の有無。

AIやアプリで下書きする場合の注意

「相続登記 ai」「相続登記 アプリ」で探す人も増えています。生成AIに申請書の下書きを手伝わせることもできますが、その場合も申請人は自分で、内容の正しさを確かめる責任も自分にあります。下書きを使うなら、次の順で照らし合わせてください。

  1. 法務局の「不動産登記の申請書様式について」のページから、自分の件に合う様式(法定相続・遺産分割・数次相続・遺言など)と記載例をダウンロードする。
  2. 下書きの各欄を記載例と1行ずつ比べ、登記原因、相続人の住所氏名、不動産の表示(登記事項証明書の記載どおりか)、課税価格、登録免許税を確かめる。
  3. 2026年10月5日以降の申請なら、国籍等の申出の欄がある新しい様式になっているかを見る。
  4. 迷った所は、法務局の登記手続案内(予約制・1回20分以内)で聞く。

AIの回答が、2026年10月からの新しい様式や、自分の件の種類(遺産分割か遺言か、数次相続か)に合っているとは限りません。記載例との照合を省くと、補正や取下げにつながります。申請書の各欄の書き方は相続登記の申請書の書き方:法務局の記載例と課税価格の書き方で順に説明しています。

向いている人・向いていない人と、ほかの選択肢

webサービスが向いている人 向いていない人
1回の相続で、不動産が1つの法務局の管轄にある 数次相続、未登記建物、相続人が多い・疎遠
相続人の間で分け方がまとまっている 分け方でもめている(交渉は弁護士の領域)
法務局からの連絡に自分で対応できる 平日に連絡を受けたり出向いたりできない
戸籍を自分で集められる 本籍の移り変わりが多く、戸籍の読み取りに不安がある

webサービスを使う前に、戸籍の束を一度そろえて法務局で法定相続情報一覧図の写し(交付は無料)を受け取っておくと、相続人の確定が済み、入力も楽になります。制度の中身は法定相続情報証明制度とは:一覧図を無料で作り手続きを早くする方法を読んでください。自分でやるか頼むかの判断は相続登記は司法書士に頼むべき?自分でできる人と頼むべき人の早見表で確かめられます。

法務局とのやり取りまで任せたい人には、司法書士がいる事務所に相続登記を頼む方法や、戸籍の収集から登記までをまとめて引き受ける相続手続きの代行サービスもあります(PR)。どの手続きをどの資格者が担当するかと、実費と報酬の内訳を見積書で確かめてから比べてください。

よくある質問

Q. webサービスで作った申請書が間違っていたら、誰が直すのですか?

申請人は自分なので、法務局から補正(直し)の連絡を受けて対応するのも自分です。サービスによっては直し方の案内があるかもしれませんが、法務局とのやり取りを代わりに引き受けるのは登記の代理にあたる仕事です。直しの手間を避けたいなら、最初から司法書士に代理を頼む選択肢と比べてください。

Q. 無料の方法だけで申請書を作ることはできますか?

法務局のホームページには、相続の場合の申請書の様式と記載例、相続登記の手続ハンドブックが公開されていて、無料で使えます。書き方で迷った所は、予約制の登記手続案内で聞けます。ウェブサービスは、これらを自分で読み解く手間を減らすための有料の選択肢と考えると比べやすくなります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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