相続登記は司法書士に頼むべき?自分でできる人と頼むべき人
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相続登記(不動産の名義を相続人に変える登記)は、相続人が自分で申請できます。相続による登記は相続人が単独で申請できる手続きで(不動産登記法63条2項)、司法書士に頼むことは義務ではありません。自分でやりやすいのは、不動産が少なく同じ法務局の管轄にある、相続人が少なく話がまとまっている、登記簿の住所と亡くなった人の最後の住所が一致している、といった件です。反対に、相続が重なっている(数次相続)、相続人が多い・疎遠、未登記の建物がある、義務化の期限が迫っている件は、司法書士に頼んだほうが早く、やり直しなく進みやすくなります。以下の早見表で、自分の件がどちら寄りかを確かめてください。
相続登記を司法書士に頼むか:条件ごとの早見表
| 条件 | 自分で申請しやすい | 司法書士に頼むことを考えたい |
|---|---|---|
| 不動産の数と場所 | 自宅の土地と建物だけ、1つの法務局の管轄 | 複数の市町村・法務局にまたがる、筆数が多い |
| 相続人 | 2〜3人で連絡が取れる | 多い、疎遠な人や海外に住む人がいる |
| 相続の重なり | 1回の相続だけ | 祖父名義のままなど、数次相続がある |
| 分け方 | 遺言どおり、または話がまとまっている | 話し合いの途中、もめている(交渉は弁護士の領域) |
| 住所のつながり | 登記簿の住所と最後の住所が同じ | 何度も引っ越していて、登記簿の住所が古い |
| 建物の登記 | 建物も登記されている | 未登記の建物がある(表題登記は土地家屋調査士) |
| 時間 | 平日に役所・法務局へ行ける、書類を読むのが苦にならない | 平日に動けない、遠方に住んでいる |
| 期限 | 3年の期限まで余裕がある | 2024年4月1日より前の相続で、2027年3月31日が迫っている |
右の列に当てはまる行が1つもなければ、自分での申請を十分に考えられます。右の列が2つ以上あるなら、少なくとも見積もりを取って比べる価値があります。費用の差は相続登記の費用:自分でする場合と司法書士に頼む場合の内訳で、報酬の決まり方は相続登記の司法書士費用:報酬の決まり方と見積もりの比べ方で確かめられます。
- 数次相続・未登記建物・相続人の争いがある → 頼む(争いは弁護士、未登記建物は土地家屋調査士も関わる)
- 1がなく、不動産が1つの法務局の管轄で相続人が少ない → 自分で申請を検討
- 2でも平日に時間が取れない・期限が迫る → 一部だけ頼む、または相続人申告登記で義務を先に果たす
自分で申請する場合の段取りと、つまずきやすい所
自分で申請するときは、おおむね次の順に進みます。
- 不動産を確かめる:課税明細書や登記事項証明書で、亡くなった人名義の不動産をすべて洗い出します。
- 戸籍などを集める:亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍、住所のつながりを示す書類を集めます。
- 分け方を決める:遺言がなければ遺産分割協議書を作り、相続人全員が署名し実印を押します。
- 申請書を作る:法務局の「不動産登記の申請書様式について」のページに、法定相続・遺産分割・数次相続・遺言などの様式と記載例があります。2026年10月5日以降に申請する人は、国籍等の欄がある新しい様式を使います。
- 申請する:窓口に持参、郵送、オンラインのいずれかです。ただし戸籍などが電子文書で発行されていないため、法務局は「相続の登記をオンラインで完結することはできません」と案内しており、オンラインで申請した後に書類を郵送か持参します。
- 補正と完了:書類に不備があれば法務局から連絡が来るので直します。完了したら登記事項証明書を取り、名義が変わったことを確かめます。
迷った所は、法務局の登記手続案内で聞けます。完全予約制で1回20分以内、電話・窓口・ウェブ会議から選べます。ただし法務局は手続きを説明する窓口で、申請書を代わりに作ってはくれません。全体の手順は相続登記を自分でする手順:書類集めから法務局への申請までにまとめています。
つまずきやすいのは、戸籍の読み取り(本籍の移り変わりを追う)、登記簿の住所が古い場合の書類、登録免許税の計算と免税の書き方、の3つです。ここで止まりそうなら、その部分だけを頼む方法があります(次の次の見出し)。
司法書士に頼んだほうがよい5つの場面
1. 数次相続がある:祖父名義のまま父も亡くなった、というように相続が重なると、相続ごとに相続人を確定し、登記の順番と書き方を考える必要があります。法務局の様式でも数次相続の記載例が別にあるほど、普通の相続とは書き方が違います。
2. 相続人が多い・疎遠な人がいる:相続人を戸籍で確定する作業と、協議書への署名押印の取りまとめに時間がかかります。司法書士は登記と法務局に出す書類の作成を業務とするので、協議書の作成も含めて頼めます。ただし、相続人どうしの話し合いがまとまらず交渉が必要なら、代理人として交渉できるのは弁護士です。
3. 未登記の建物や、登記簿と現状が違う不動産がある:建物の表題登記の代理は土地家屋調査士の仕事なので、司法書士と土地家屋調査士の両方が関わります。連携先がある事務所に頼むと段取りが楽になります。
4. 住所のつながりが取れない:登記簿の住所が何十年も前のままで、集めた住民票の除票や戸籍の附票では登記簿の住所までさかのぼれない場合は、どの書類で同じ人だと示すかの判断が要ります。法務局と相談しながら進める場面が増えるので、慣れた専門家に任せたほうが早く終わりやすいところです。
5. 期限が迫っている、または売却の予定がある:2024年4月1日より前に始まった相続で未登記の不動産は、2027年3月31日(令和9年3月31日)までに登記する義務があります(不動産の取得を知った日が2024年4月1日以降なら、その日から3年以内。法務省は「最短で」2027年3月31日と説明しています)。売却するなら売る前に相続登記が要るので、買主や不動産会社との日程に合わせて期日どおりに終わらせたいときも、見積もりを取って比べる意味が出てきます。
全部は頼まない選択肢:一部だけ頼む・義務だけ先に果たす
自分でやるか頼むかは、二者択一ではありません。
| やり方 | 中身 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 戸籍は自分で集め、申請を頼む | 戸籍の取り寄せ代行の報酬が減る | 平日に役所へ行ける、書類の申請は不安 |
| 申請は自分で、相談だけする | 法務局の手続案内(完全予約制)や、司法書士会の相談窓口を使う(相談料は窓口で確かめる) | 書類作成は自分でできる、確認だけしたい |
| 相続人申告登記で義務を先に果たす | 法務局に相続人であることを申し出る。登録免許税はかからず、オンラインでもできる | 分け方が決まらない、期限が迫っている |
| 書類作成のウェブサービスを使う | 入力した内容で申請書の案を作り、自分で申請する | 件が単純で、申請の責任を自分で負える |
相続人申告登記は、3年の期限内に申し出れば相続登記の申請義務を果たしたとみなされる手続きです(不動産登記法76条の3)。ただし名義は変わらないので、売却するときや、その後に遺産分割がまとまったときは相続登記が要ります。遺産分割で取得したときは、分割の日から3年以内に登記する義務があります。
書類作成のウェブサービスと司法書士の違いは相続登記のwebサービスとは:書類作成支援の範囲と司法書士との違いで詳しく比べています。相談窓口の番号と受付時間は、サイトの正本の相続手続きの無料相談窓口一覧にまとめています。
頼むと決めたら:司法書士の探し方と依頼の前に確かめること
登記の申請代理を仕事として受けられるのは、司法書士(と弁護士)です(司法書士法3条・73条)。探すときは、日本司法書士会連合会の司法書士検索で、事務所の所在地や登録を確かめられます。掲載は推薦ではないので、面談で次を確かめます。
- 担当する司法書士は誰か
- 報酬の基準と、報酬・実費を分けた見積書
- 完了までの目安の期間と、途中経過の連絡の方法
- 追加料金が出る条件
- 土地家屋調査士・税理士など、ほかの資格者と連携できるか
相続登記だけでなく、戸籍の収集や預貯金の解約まで一度に頼みたい人には、相続手続きの代行サービスという選択肢もあります(PR)。登記を担当する司法書士の名前と、パック料金に含まれる不動産の数の上限を、見積書で確かめてから比べてください。
よくある質問
Q. 相続登記の義務化で、司法書士に頼むことも義務になったのですか?
なっていません。義務になったのは、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請することで、誰が申請するかは決められていません。相続人が自分で申請しても義務を果たせますし、相続人申告登記という簡単な申出で義務を果たす方法もあります。
Q. 行政書士や相続の代行会社に、相続登記の申請を頼めますか?
登記の申請の代理と法務局に出す書類の作成は、司法書士法で司法書士の業務とされ、司法書士(と弁護士)でない人が仕事として行うことは禁じられています。代行会社に頼むときは、登記の部分をどの司法書士が担当するのかを見積書や契約書で確かめてください。行政書士は遺産分割協議書などは作れますが、登記申請書は作れません。
出典・参考にした公的な情報
- 不動産登記法 第63条・第76条の2・第76条の3(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 司法書士法 第3条・第73条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 行政書士法 第1条の3(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 相続登記の申請義務化について(法務省)
- 相続人申告登記について(法務省)
- 登記手続案内(予約制)(法務省)
- 不動産登記のオンライン申請(相続登記)(法務局)
- 不動産登記の申請書様式について(法務局)
- 司法書士検索(日本司法書士会連合会)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。