不動産売却の税金と特例 / Q&A

空き家の3000万円控除を共有名義で使う:相続人ごとの控除額

この記事のもくじ
  1. 共有名義だと、控除はどう分かれますか?
  2. 人数によって、実際の税額はどれくらい変わりますか?
  3. 共有名義で売るとき、ほかに気をつけることは?
  4. 相続人が増えると、売る手順は変わりますか?

結論から言うと、共有名義の実家を売るときの空き家の3000万円控除は、相続人ごとに使えます。そして2024年(令和6年)1月1日以後の譲渡では、家屋と敷地を取得した相続人が3人以上いる場合、1人あたりの上限が3,000万円から2,000万円に下がります。人数が増える分、合計の枠は増えますが、1人ずつの上限が下がるため、利益が大きい人ほど影響を受けます。この記事では、人数別の上限、筆者の計算例、売るときと申告するときに気をつける点を示します。

共有名義だと、控除はどう分かれますか?

租税特別措置法35条の条文は、相続または遺贈で被相続人居住用家屋やその敷地等を取得した「相続人」が、要件を満たす譲渡をした場合に、その相続人について控除を認める形で書かれています。控除は売った相続人ごとの、自分の譲渡所得から差し引きます。共有名義の人が全員で1回分の控除を分け合う仕組みではありません。

国税庁 No.3306 による、上限の決まり方は次のとおりです。

早見表:取得した相続人の数と1人あたりの控除の上限(2024年1月1日以後の譲渡)
家屋・敷地を取得した相続人の数 1人あたりの上限 全員が売ったときの合計の上限(筆者の計算)
1人 3,000万円 3,000万円
2人 3,000万円 6,000万円
3人 2,000万円 6,000万円
4人 2,000万円 8,000万円

数えるのは、相続人全体ではなく、家屋とその敷地を取得した相続人です。たとえば相続人が4人でも、実家を取得したのが2人なら、その2人の上限は3,000万円です。取得した人の数は、確認書にも記載されます(国税庁 No.3306)。確認書の申請の流れは空き家の3000万円控除の確認書の申請と必要書類にあります。

人数によって、実際の税額はどれくらい変わりますか?

仮の数字で、2人で持つ場合と3人で持つ場合を比べます。すべて筆者の計算で、実際の税額は取得費や譲渡費用、他の所得の有無で変わります。

売却代金9,000万円、取得費と譲渡費用の合計が1,500万円、要件はすべて満たすものとします。譲渡所得は、9,000万円−1,500万円=7,500万円です。親の取得から売った年の1月1日まで5年を超える長期譲渡で、税率は所得税15%・復興特別所得税(所得税額の2.1%)・住民税5%、合わせて約20.315%で計算します(国税庁 No.3208。相続した不動産は被相続人の取得日を引き継ぎます。No.3270)。

持分の分け方 1人の譲渡所得 控除 課税される譲渡所得 概算の税額(1人)
2人で2分の1ずつ 3,750万円 3,000万円 750万円 約152万円
3人で3分の1ずつ 2,500万円 2,000万円 500万円 約101万円

検算します。2人の場合は750万円×20.315%=152万3,625円、3人の場合は500万円×20.315%=101万5,750円です。全員の合計は、2人で約305万円、3人で約305万円と同じ額になります。控除の合計が6,000万円で等しいためです。ただし、売却代金や持分の割合が変わると、この関係は崩れます。1人ずつの負担の差は、持分の大きさにも影響されるので、遺産分割でどう持つかを決める前に、税理士に試算を頼むのも一つの方法です。

共有名義で売るとき、ほかに気をつけることは?

  1. 売却代金1億円以下は、全員の売却分の合計で見る:国税庁 No.3306 は、相続のときから、特例を受けて売った日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に、分けて売った部分や他の相続人が売った部分も含めた売却代金で、1億円以下かを判定するとしています。分けて売って合計が1億円を超えたときは、売った日から4か月以内に修正申告と納税が必要です。
  2. 売る時期をそろえる:相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが全員に共通の要件です。1人でも遅れると、その人だけ対象外になります。
  3. 確認書は申請者ごと:申請書は申請者ごとに作り、添付書類も人数分が必要になる自治体があります(世田谷区の案内)。
  4. 代金の分け方で別の税がかかることがある:代表者の名義で売って代金を分けるときは、協議書の書き方によって贈与とみなされるおそれがあります。この点は換価分割の税金で扱います。
  5. 共有のままでは売れないこともある:持分だけ売る、全員の同意で一括して売る、などの方法があり、共有名義の不動産の売却で整理しています。

売ったあとの確定申告は、各人が持分に応じて自分で行います。持分ごとの申告の考え方は共有名義の不動産を売却した時の税金に載せています。

相続人が増えると、売る手順は変わりますか?

税の仕組みよりも、手続きの段取りで差が出ます。人数が多いと、次の点で時間がかかります。

  • 相続登記と遺産分割の協議が済んでいないと、買主へ名義を移せない
  • 連絡のつかない相続人がいると、全員の同意が必要な売却が止まる
  • 確認書の申請書類(住民票など)を人数分そろえる必要がある

売る前に、相続人全員の意向を整理するところから始めます。複数の不動産会社に査定を頼む場合は、相続人の代表者が窓口になると、連絡の行き違いを防げます。

よくある質問

Q. 兄弟3人で相続した実家を売る場合、控除は3人合わせて3,000万円ですか?

合わせてではなく、相続人ごとに計算します。2024年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地を取得した相続人が3人以上なら、1人あたりの上限は2,000万円です。3人が全員売れば、上限は合計で最大6,000万円になります。ただし、控除は各人の譲渡所得の範囲内なので、利益が少ない人は、その額までしか引けません。

Q. 相続人のうち1人だけが持分を売る場合も使えますか?

条文は、相続によって家屋や敷地を取得した相続人が、要件を満たす譲渡をしたとき、その相続人について控除を認める形で書かれています。1人だけが売る場合も、その人の要件で判断されます。売った持分の代金は、ほかの相続人が売った分と合わせて1億円以下かを見る点に注意が必要です。

Q. 控除を受けるために、相続人全員が確認書を申請する必要がありますか?

世田谷区の案内では、申請は希望する相続人だけでよく、申請書も申請者ごとに作成します。一方、住民票は相続人全員分の添付が求められています。控除を受ける人は、それぞれ自分の確定申告に確認書を付けるため、自治体の案内で申請者ごとの必要書類を確かめます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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