媒介契約の種類:一般・専任・専属専任の違いと選び方の比較表
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媒介契約は、不動産会社に買主探しを頼む契約で、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。違いは、複数の会社に頼めるか、自分で見つけた買主と契約できるか、会社に報告やレインズ登録の義務があるかです。専任と専属専任は1社に任せる代わりに、会社の義務が重くなります。一般媒介は複数社に頼める代わりに、会社の義務が軽くなります。ここでは3種類を比較表にして、状況別の選び方と、契約書で確かめる欄を整理します。
媒介契約の種類を比べる表:一般・専任・専属専任
法律は、他の業者に重ねて依頼することを禁じる媒介契約を「専任媒介契約」と呼び、そのうち、依頼者が会社の探した相手以外とは契約できない特約を含むものが、専属専任媒介契約です(宅地建物取引業法34条の2第3項、施行規則15条の9)。
| 項目 | 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 |
|---|---|---|---|
| 複数社への依頼 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社に依頼できる |
| 自分で見つけた相手との契約(自己発見取引) | できない | できる | できる |
| 有効期間 | 3か月以内(法律) | 3か月以内(法律) | 標準約款では3か月以内 |
| 更新 | 依頼者の申出で更新(自動更新は認められない) | 同左 | 同左(約款の定め) |
| レインズへの登録 | 契約の翌日から5日以内に登録する義務 | 翌日から7日以内に登録する義務 | 登録は任意 |
| 登録証明書の交付 | 業者が依頼者に渡す義務 | 業者が依頼者に渡す義務 | 登録した場合に渡す |
| 業務処理状況の報告 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 法律上の義務なし(求めることはできる) |
| 売主が登録内容を見る画面 | ID・パスワードで確認できる | ID・パスワードで確認できる | 機構事務局への問い合わせ |
レインズ登録の日数は、省令では契約を締結した日から数え、標準約款と東日本レインズの案内では契約日の翌日から数えます。いずれも会社の休業日は数えません。「翌日から7日以内(専属専任は5日以内)、休業日を除く」と覚えておけば、どちらの書き方とも合います。
表に出てこない共通点が3つあります。
- 申込みの報告は全種類で義務:買いたいという申込みがあったとき、会社は遅滞なく依頼者に報告しなければなりません(同法34条の2第8項)。一般媒介でも同じです。
- 契約は書面で:媒介契約を結んだら、会社は遅滞なく、物件の表示、売る価額、他の業者への依頼の可否、有効期間、レインズ登録、報酬などを記載した書面を交付します(同条1項)。依頼者の承諾があれば電子的な方法でも構いません(同条11項)。
- 価額への意見は根拠つき:売る価額について意見を述べるとき、会社は根拠を明らかにします(同条2項)。
一般媒介の2タイプ:明示型と非明示型
一般媒介は、他の会社に依頼するときの扱いで2つに分かれます。
- 明示型:他の会社にも重ねて依頼するときに、依頼者が、その会社を契約した会社へ知らせる契約です。
- 非明示型:他に依頼する会社を知らせる義務を負わない旨を、特約で書く契約です。
どちらでも、他の会社で取引が成立したときは、依頼者がその旨を契約した会社へ遅滞なく通知します(標準約款)。契約書の「他の宅地建物取引業者に重ねて依頼することの許否と、許す場合に他の業者を明示する義務の有無」の欄に、どちらかが書かれています(宅地建物取引業法34条の2第1項3号)。
マンションの売却で一般媒介を考えるときは、売り出し中の同じ棟の物件が複数の会社で広告されると、価格の見え方が分かれることがあります。会社どうしの調整は売主に任されるので、各社に伝える価格と条件を同じにして、報告を求める頻度も自分で決めます。
状況別の選び方:どの種類が合うかの判断材料
どれが得かは、物件と売主の事情で変わります。次の表は、判断の材料です。
| 売主の状況 | 向きやすい種類 | 理由 |
|---|---|---|
| 複数の会社の動きを比べたい | 一般媒介 | 同時に依頼でき、会社ごとの反応を見られる |
| 1社に任せて、報告をきちんと受けたい | 専任媒介 | 2週間に1回以上の報告とレインズ登録の義務がある |
| 手間を減らし、報告を最も頻繁に受けたい | 専属専任媒介 | 1週間に1回以上の報告。ただし自己発見取引はできない |
| 親族や知人が買う可能性がある | 一般媒介か専任媒介 | 自己発見取引ができる |
| 売れにくい物件(古い家、田舎の土地など) | 状況による | 窓口を絞るか、広く依頼するかは、会社の販売力と相談する |
一般媒介は、会社の報告義務がないので、売主から状況を聞きに行く運用になります。レインズへの登録を、契約時に口頭ではなく、書面で依頼しておくとよいでしょう。専任と専属専任は、1社に任せる分、その会社の販売力と誠実さが結果に直結します。会社の選び方は不動産会社の選び方:売却を頼む前に免許番号・実績・担当者を確認にチェック表があります。
売主が複数の会社を比べる方法として、一括査定を使う方法もあります。ただし、査定を頼む数と、売却を任せる数は別です。マンションでの数の決め方はマンション売却の一括査定:比べる項目と依頼する会社の数にあります。
契約書で確かめる欄:有効期間・報酬・違約金・費用
媒介契約を結ぶ前に、会社から契約書の案をもらい、次の欄を読みます。標準媒介契約約款に基づく契約書は、国土交通省が約款を定めています(掲載ページは出典欄にあります)。
- 有効期間:専任と専属専任は3か月を超えられません。これより長く書いても、3か月になります(宅地建物取引業法34条の2第3項)。
- 更新の方法:更新は依頼者の申出によって行い、更新の時から3か月を超えられません(同条4項)。3項から6項、8項、9項に反する特約は無効です(同条10項)。
- 報酬:成約のときに請求できる成功報酬で、額は告示の上限の範囲で協議します。会社は、契約成立時の書面を作って渡した後でなければ報酬を受け取れません(標準約款)。
- 違約金:専任媒介の有効期間内に、他の会社に頼んで契約を成立させると、約定報酬額に相当する違約金を請求できる約款になっています。専属専任媒介では、自己発見の相手と契約したときも同じです。
- 直接取引:会社に紹介された相手と、有効期間内か満了後2年以内に、会社を通さず契約したときは、会社が貢献した割合に応じた報酬を請求できます。
- 費用の償還:自己発見取引の場合や、会社の責任によらない事由で契約が解除された場合に、会社が履行のために使った費用を請求できる約款があります。上限は約定報酬額です。
- 標準約款に基づくか:契約書に、標準媒介契約約款に基づくかどうかの記載があります。
特約の内容は契約書ごとに違うので、自分の契約書の条文で読みます。途中で解約するときの扱いは専任媒介の解約と不動産会社の変更:期間満了と途中解約の注意で説明します。
レインズの登録を確かめる:契約したあとにすること
専任媒介と専属専任媒介を結んだら、登録証明書を会社から受け取り、売却依頼主向けの画面で登録内容を確認できます。取引状況の欄には、公開中、書面による購入申込みあり、売主都合で一時紹介停止中のいずれかが表示され、売主自身も見られます。確認の手順はレインズとは:売主が登録を確かめる方法と囲い込みの見分け方にあります。
売却を任せる会社を決める前に、複数社の査定と説明を比べたいなら、一括査定は選択肢の一つです。媒介契約は、査定を受けた後に、会社と契約書の案を読み合わせてから決めます。報酬の上限は仲介手数料の上限と計算式:800万円以下の空き家の特例も解説で確かめられます。
よくある質問
Q. 媒介契約は、あとから種類を変えられますか?
変えられる場合があります。専任媒介と専属専任媒介の有効期間は3か月までで、満了するときに更新を申し出なければ終わります。自動で更新される契約は認められていません。満了後に、一般媒介に切り替えるか、別の会社と契約し直すかを選べます。途中で切り替えたいときは、契約書の解約や違約金の欄を先に読みます。
Q. 一般媒介にして、複数社に頼むと、仲介手数料は増えますか?
増えません。報酬は、売買を成立させた会社だけが受け取るもので、上限は国土交通大臣の告示で決まっています。複数社に頼んでも、報酬は成約した1社にだけ支払うのが原則です。ただし、明示型で他の会社を知らせなかったのに、その会社で成約したときなどは、約款に費用の償還を請求できる定めがあります。報酬の上限の計算は、仲介手数料の記事で確かめられます。
Q. 親族や知人に買ってもらいたいとき、どの種類を選べばよいですか?
自分で見つけた相手と契約できるのは、一般媒介と専任媒介です。専属専任媒介は自己発見取引ができず、自分で見つけた相手と契約した場合も、約定報酬額に相当する違約金を請求される約款になっています。親族に売る可能性があるなら、専属専任は避けるか、契約書の自己発見の欄を読んで確かめます。
出典・参考にした公的な情報
- 宅地建物取引業法 第34条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法施行規則 第15条の9・第15条の10(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 媒介契約制度(東日本レインズ)(東日本不動産流通機構)
- 標準媒介契約約款(国土交通省)(国土交通省)
- 標準媒介契約約款の掲載ページ(国土交通省)(国土交通省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。