不動産売却の流れ / 制度解説

仲介手数料の上限と計算式:800万円以下の家・土地の特例も解説

この記事のもくじ
  1. 仲介手数料の上限は国土交通大臣の告示で決まる
  2. 計算式:区分ごとの割合と速算式
  3. 800万円以下の空き家等の特例:33万円まで
  4. 計算するときの注意点

仲介手数料には法律上の上限があり、売買代金を「200万円以下の部分」「200万円超400万円以下の部分」「400万円超の部分」に分け、それぞれ5.5%・4.4%・3.3%(消費税込み)を掛けて合計した額が、売主・買主それぞれから受け取れる上限です。代金が400万円を超えるなら「(代金×3%+6万円)×1.1」で同じ額が出ます。代金800万円以下の家や土地は、特例で33万円まで上限が上がります。この記事は、サイトの中で仲介手数料の上限を説明する正本です。

仲介手数料の上限は国土交通大臣の告示で決まる

宅地建物取引業法46条は、不動産会社(宅地建物取引業者)が売買の仲介(法律上は媒介)で受け取る報酬の額を国土交通大臣が定め、その額を超えて受け取ってはならないとしています。中身は「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」という告示で、最終改正は2024年7月1日(令和6年7月1日)施行です。

  • 不動産会社は、事務所ごとに見やすい場所へ報酬額を掲示する義務があります(46条4項)。
  • 不当に高額の報酬を要求することは禁止されています(47条2号)。
  • 告示の額は上限で、決まった定額ではありません。実際の額は媒介契約で合意した「約定報酬額」です。上限いっぱいで請求されることが多いのか、価格別の早見と払う時期は仲介手数料の相場と払う時期で扱います。

計算式:区分ごとの割合と速算式

告示の計算は、代金をそのまま3.3%倍するのではなく、階段のように区分を分けて足します。

代金の区分(税抜の代金) 掛ける割合(税込) 税抜の割合
200万円以下の部分 5.5% 5%
200万円超400万円以下の部分 4.4% 4%
400万円超の部分 3.3% 3%

代金が400万円を超えるときの税抜の合計は、200万円×5%=10万円、200万円×4%=8万円、(代金−400万円)×3%を足した額です。まとめると「代金×3%−12万円+18万円」で、代金×3%+6万円になります。この速算式は告示に書かれた式ではなく、区分の計算から導いた筆者の計算です。

筆者の計算例:代金3,000万円の家 区分ごと:200万円×5%=10万円、200万円×4%=8万円、2,600万円×3%=78万円、合計96万円 速算式:3,000万円×3%+6万円=96万円(同じ額) 税込の上限:96万円×1.1=105万6,000円

代金が200万円超400万円以下なら「代金×4%+2万円」、200万円以下なら「代金×5%」が税抜の上限です。

早見表:代金別の仲介手数料の上限(税込・筆者の計算)
売買代金 原則の上限 800万円以下の特例を使ったときの上限
200万円 11万円 33万円
300万円 15万4,000円 33万円
400万円 19万8,000円 33万円
500万円 23万1,000円 33万円
800万円 33万円 33万円
1,000万円 39万6,000円 (対象外)
2,000万円 72万6,000円 (対象外)
3,000万円 105万6,000円 (対象外)
5,000万円 171万6,000円 (対象外)
1億円 336万6,000円 (対象外)

いずれも課税事業者の不動産会社に売主が払う場合の、売主1人分の上限です。

800万円以下の空き家等の特例:33万円まで

2024年7月1日から、代金800万円以下の宅地・建物(告示の言葉で「低廉な空家等」)の売買の仲介では、仲介に要する費用を勘案して、原則の計算額を超えて報酬を受け取れるようになりました。上限は30万円の1.1倍、つまり**33万円(税込)**です。

  • 国土交通省の説明資料では、使用の状態は問わないとされています。名前は「空家等」でも、人が住んでいる家や更地の土地も、代金800万円以下なら対象です。
  • 告示の文言は「依頼者から」で、売主だけでなく買主も対象です。
  • 不動産会社は、媒介契約を結ぶときに、あらかじめ特例の上限の範囲内で報酬額を説明し、依頼者と合意する必要があります。
  • 代金800万円ちょうどでは、原則の計算でも33万円になるので、特例で差が出るのは800万円未満の取引です。

田舎の土地や古家付きの土地は代金が低く、遠方の現地調査や手間の割に手数料が少ないため、引き受け手が見つかりにくいという課題がありました。特例は、その費用を報酬でまかなえるようにするための見直しです。特例の説明を受けたときに確かめる点は800万円以下の空き家の仲介手数料で詳しく扱います。

計算するときの注意点

上限を自分で計算するときに間違えやすい点です。

  1. 代金は税抜で計算する:告示の「売買代金」は消費税等相当額を含まない額です。個人が自宅や相続した家を売る取引は建物も消費税の課税の対象外なので、代金をそのまま使います。建物に消費税がかかる取引の考え方は土地の売却と消費税で整理しています。
  2. 上限は「依頼者の一方につき」:売主から上限まで、買主からも上限まで受け取れます。1社が売主と買主の両方の仲介をすると、その会社は両方から受け取れる、という仕組みが手数料の割引や無料のからくりにもつながります(仲介手数料無料・半額の会社のしくみ)。
  3. 代理は2倍まで:売却を「代理」で頼む場合の上限は媒介の計算額の2倍で、相手方からも受け取るなら合計で2倍を超えられません。
  4. 免税事業者の会社は計算が違う:消費税の免税事業者の不動産会社には、告示の別の定め(課税事業者とは別の計算)が当てはまります。上の表の額は課税事業者の場合なので、会社が課税事業者かどうかは、見積書や重要書類の記載で聞きます。
  5. 広告料は依頼したときだけ別:告示は、告示の額のほかに報酬を受け取れないとし、例外を依頼者の依頼で行う広告の料金に限っています。標準媒介契約約款も、依頼者が特別に頼んだ広告の料金と遠隔地への出張旅費を実費負担としています。
  6. 相談や管理を別に頼むなら別の契約:国土交通省は、空き家の管理や相続の相談支援などを仲介とは別に書面で契約した場合、その報酬は仲介手数料の規制の対象外と整理しています。逆に、別の契約がないのに「調査費」などの名目で上乗せされたら、何の費用かを書面で聞きます。

仲介手数料は、売却益の税金の計算で譲渡費用に入る費用の例として国税庁が挙げています(No.3202)。ほかの費用と合わせた全体は不動産売却にかかる費用一覧で確かめてください。上限より下げてもらえるかは仲介手数料の交渉で扱います。

上限を計算するには、まず売れそうな代金の見込みが要ります。一括査定は、その見込みを複数の会社から集める方法の一つです。示される査定額は各社の見込みで、売れる値段そのものではありません。申し込むと複数の会社から連絡が来ることがあり、売るかどうかは結果を見てから決めて構いません。会社ごとに、媒介契約書へ載せる報酬額とその根拠を尋ねて比べます。

よくある質問

Q. 仲介手数料の「3%+6万円」は法律で決まった額ですか?

いいえ。告示が決めているのは代金を3つの区分に分けて割合を掛ける方法と、その合計の上限です。「代金×3%+6万円(税抜)」は、代金が400万円を超えるときに区分ごとの計算をまとめると同じ額になる、という計算の近道です。上限なので、これより低い額で合意することもできます。

Q. 仲介手数料に消費税はかかりますか?

かかります。告示の5.5%・4.4%・3.3%は、課税事業者の不動産会社が受け取る額を消費税等相当額込みで示した割合です。税抜で言えば5%・4%・3%に当たります。

Q. 800万円以下の家なら、仲介手数料は33万円と決まっていますか?

決まってはいません。33万円は特例を使ったときの上限で、不動産会社は媒介契約を結ぶときに、上限の範囲内で報酬額を説明し、依頼者と合意する必要があります。説明と合意がなければ、原則の計算の上限が当てはまります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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