遺品整理で探すべき貴重品と書類:相続手続きに必要な物のリスト
遺品整理で捨ててはいけない物は、お金・不動産・保険・年金・借金・遺言の6分野の書類と貴重品です。具体的には、通帳とキャッシュカード、現金、権利証(登記識別情報)、固定資産税の納税通知書、保険証券、年金証書と年金の通知、借用書やローンの書類、督促状、遺言書、印鑑、車検証などです。これらは相続するか放棄するかの判断や、預金の払い戻し、相続税の申告に使います。処分を始める前に、まずこのリストの物を探し出して1か所にまとめてください。
捨てる前に探す物のチェックリスト
次の表を印刷するか画面に出して、見つけた物に印をつけながら進めます。「何に使うか」が分かると、似たような紙を捨てるかどうかの判断もしやすくなります。
| 分野 | 探す物 | 何の手続きに使うか |
|---|---|---|
| お金 | 通帳、キャッシュカード、現金(財布・封筒・たんす)、証券会社の取引報告書、株主あての通知 | 預金・株の相続手続き、相続税の申告 |
| 不動産 | 権利証・登記識別情報通知、固定資産税の納税通知書、売買契約書、賃貸借契約書 | 相続登記、売却、空き家の管理、賃貸の解約 |
| 保険 | 生命保険の証券、保険会社からの通知、損害保険(火災保険など)の証券 | 保険金の請求、相続税の申告、家の保険の継続 |
| 年金 | 年金証書、年金の振込通知書、源泉徴収票 | 年金の停止・未支給年金の請求、準確定申告 |
| 借金 | 借用書、ローン契約書、カードの利用明細、督促状、保証人になった書類 | 相続放棄を考えるかの判断 |
| 遺言 | 遺言書、法務局の保管証、公正証書遺言の正本・謄本 | 遺産の分け方、検認の申立て |
| その他 | 実印・銀行の届出印、車検証、マイナンバーカード、パスワードのメモ、エンディングノート | 各種の手続き、デジタル遺品の整理 |
- 机・たんす・鏡台の引き出し(通帳、印鑑、保険証券)
- 仏壇の引き出し・神棚の周り(権利証、遺言書、現金)
- 金庫・手提げ金庫・鍵のかかる箱(権利証、実印、現金)
- 押し入れや天袋の奥の箱、衣装ケース(古い通帳、契約書)
- 本棚の本の間、額の裏、冷蔵庫の上(封筒に入れた現金や書類)
- ハンドバッグ・財布・コートのポケット(カード、メモ)
- 郵便受けと、届いた郵便物の束(金融機関・保険会社・カード会社からの通知)
探し終えたら、分野ごとに封筒を分け、表に「何が入っているか」と「どこで見つけたか」を書いておきます。家族に置き場所を伝えておけば、後で手続きを分担するときに迷いません。
お金の手がかり:通帳・カード・郵便物・現金
預金の相続手続きでは、どの金融機関に口座があるかを相続人が自分でつかむ必要があります。通帳がそろっていればよいのですが、ネット銀行など通帳のない口座もあるため、次の手がかりも集めます。
- キャッシュカード・クレジットカード:カードの発行元が、口座や引き落とし先の手がかりになります。
- 郵便物とメール:残高のお知らせ、満期の案内、配当金の通知、株主総会の招集通知など。証券会社や信託銀行からの郵便物は、株や投資信託の手がかりです。
- 古い通帳:入出金の記録に、別の口座への振り込みや、保険料・ローンの引き落としが残っていることがあります。
10年以上取引のない預金は休眠預金として扱われますが、金融庁によれば、移管された後も取引のあった金融機関で引き出すことができ、預金者が亡くなっていれば相続人が所定の手続きで引き出せます。古い通帳も捨てずに残しておく理由はここにあります。
たんすや封筒から現金が見つかったときは、金額を数えて記録し、手をつけずに保管します。現金も相続財産で、相続税の申告の対象になります。申告から漏れやすい点はタンス預金の相続税:現金が申告から漏れやすい理由と申告の仕方にまとめています。見つけた手がかりから金融機関や証券会社に照会する方法は、相続財産の調べ方:預金・不動産・借金を漏れなく見つける照会先一覧で扱っています。
不動産・保険・年金の書類
不動産の権利証(登記識別情報)。 相続による所有権の移転の登記は、相続人が単独で申請できる登記で(不動産登記法63条2項)、亡くなった人の権利証を出すことは原則として求められません。それでも、どの不動産を持っていたかの手がかりになり、売却の準備でも役立つことがあるので捨てずに残します。固定資産税の納税通知書には、その市区町村にある土地・建物の一覧が載っています。
権利証も納税通知書も見つからない場合は、2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度が使えます。相続人が法務局に請求すると、亡くなった人が登記名義人になっている不動産の一覧が交付されます(不動産登記法119条の2。書面請求は検索条件1件・1通につき1,600円)。ただし登記上の住所や氏名が古いままだと拾いきれないことがあるので、過去の住所でも検索します。
保険証券。 生命保険の死亡保険金は受取人が請求する手続きで、証券番号が分かると話が早く進みます。火災保険などの損害保険は、空き家になった家の補償をどうするかに関わるので、契約の内容と満期を確かめます。生命保険が相続でどう扱われるかは生命保険は相続財産?受取人固有の財産と相続税での扱いの違いを見てください。
年金の書類。 年金証書や振込通知書は、年金の停止と、まだ受け取っていない年金(未支給年金)の請求に使います。日本年金機構によれば、年金は亡くなった月の分まで支払われ、生計を同じくしていた遺族が自分の名前で請求できます。請求できる期間は5年です。源泉徴収票は準確定申告で使います。
借金・保証の書類は、財産と同じくらい大事
財産の書類ばかりに目が行きがちですが、借金の書類はそれ以上に大事です。相続するか放棄するかは、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に決めるので(民法915条1項)、借金の有無を早く知る必要があるからです。
- 借用書・金銭消費貸借契約書・ローンの返済表
- カード会社・消費者金融からの利用明細や督促状
- 保証人になったことが分かる書類(知人の借金や賃貸の連帯保証など)
- 未払いの税金・公共料金・施設利用料の請求書
督促状が見つかっても、慌ててその場で払うのは避けます。払うことが相続を認めたと受け取られうる場面があるからです。届いた督促への向き合い方は相続した親の借金の督促が届いたら:払う前に確かめることと相談窓口で扱っています。
遺言書を見つけたら:開けずに置いておく
封筒に入った遺言書らしき物が見つかったら、その場で開けず、見つけた場所と日時を記録して保管します。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立ち会いのもとで開封する決まりで(民法1004条3項)、家庭裁判所の外で開封すると5万円以下の過料の対象になります(1005条)。手書きの遺言書(自筆証書遺言)は、家庭裁判所の検認の手続きが要ります。公正証書遺言と、法務局で保管されている自筆証書遺言は検認が要りません。
法務局の「保管証」が見つかったら、遺言書は法務局に預けられています。相続人は法務局に遺言書情報証明書(1通1,400円)を請求して内容を確かめられます。開け方と検認の流れは遺言書の開け方:見つけたら開封前に確かめることと検認の流れに、家の中で見つからないときの調べ方は遺言書があるかどうかの調べ方:法務局・公証役場・自宅の探し方にまとめています。
書類探しは、気持ちの面で負担が大きい作業でもあります。手紙や日記を読んで手が止まるのは自然なことです。つらさが強いときの進め方は遺品整理がつらい・うつのような気分が続く時:急がない進め方と相談先を見てください。
よくある質問
Q. 通帳が見つからなくても、預金の相続手続きはできますか?
通帳がなくても、金融機関に亡くなったことを伝え、相続人であることを示す戸籍などを出せば、残高の確認や相続の手続きに進めます。どの金融機関に口座があるかが分からないときは、キャッシュカード、郵便物、家計簿、確定申告の控えに書かれた口座などを手がかりに、思い当たる金融機関へ問い合わせます。
Q. 古い通帳や、もう解約したらしい口座の書類も取っておくべきですか?
相続の手続きが終わるまでは取っておくのが無難です。解約したつもりの口座に残高が残っていたり、古い通帳の入出金の記録から別の口座や借入れが見つかったりすることがあります。10年以上取引のない預金は休眠預金になりますが、移管された後も取引のあった金融機関で引き出せます。
Q. 印鑑はどれを残しておけばよいですか?
実印と思われる印鑑、銀行の届出印らしい印鑑、日常の認め印は、見分けがつかなければすべて残しておきます。亡くなった人の印鑑そのものを相続の手続きで使う場面は多くありませんが、届出印がどれかは通帳の副印鑑や金融機関への照会で分かることがあり、手続きの途中で役立つ場合があります。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第915条・第1004条・第1005条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 不動産登記法 第63条・第119条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 所有不動産記録証明制度について(法務省)
- 自筆証書遺言書保管制度(手数料)(法務省)
- 長い間、お取引のない預金等はありませんか?(休眠預金)(金融庁)
- 年金を受けている方が亡くなったとき(未支給年金)(日本年金機構)
- 所有不動産記録証明制度について(法務省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。