遺言書 / 手順

遺言書の開け方:見つけたら開封前に確かめることと検認の流れ

この記事のもくじ
  1. 遺言書の種類で決まる開け方:開けてよいもの・開けてはいけないもの
  2. 遺言書を見つけた日にすること
  3. 検認の流れ:申立てから開封まで
  4. 開封を待つ間に気をつけること
  5. すでに開けてしまった・最初から開いていた場合

遺言書の開け方は、遺言の種類で決まります。手書きで封のある遺言書(自筆証書遺言など)は自分で開けず、家庭裁判所に「検認」を申し立てて、裁判所で相続人の立会いのもと開封します(民法1004条3項)。公証役場で作った公正証書遺言と、法務局に預けられた遺言の写し(遺言書情報証明書)は検認がいらず、そのまま中身を確かめて手続きに使えます。開けるタイミングで迷ったら、まず開けずに種類を見分けることから始めます。

遺言書の種類で決まる開け方:開けてよいもの・開けてはいけないもの

見つけた書面を、封筒の外から分かる手がかりで見分けます。裁判所の「遺言書の検認」の案内と、日本公証人連合会・法務省の案内に沿って整理すると次のとおりです。

見分け方の早見表:見つけた書面と開封・検認の要否
見つけた物の手がかり 種類 自分で開けてよいか 検認
公証役場の名前・公証人の名前があり「正本」「謄本」と書かれた書面 公正証書遺言 よい 不要(1004条2項)
法務局の「保管証」(遺言書本体は手元にない) 法務局で保管された自筆証書遺言 本体は法務局。相続人が証明書を請求する 不要(遺言書保管法11条)
封筒に入り、のり付け・印で封じられた手書きの遺言書 自筆証書遺言(封印あり) 開けない 必要
封のない手書きの遺言書・メモ 自筆証書遺言 中身は読めるが、そのまま保管 必要
封紙に公証人と証人の署名がある封筒 秘密証書遺言 開けない 必要

ポイントは、「公証役場で作った」ことと「公正証書である」ことが同じではない点です。秘密証書遺言は公証役場を通しますが、中身は遺言者が作って封をしたもので、検認の対象になります。また、のり付けだけの封筒が民法の「封印」に当たるかを自分で判断する必要はありません。手書きの遺言書が封筒に入っていたら、開けずに家庭裁判所へ出すと決めておけば迷いません。

法務局の保管証が出てきた場合は、遺言書の本体を家で探しても見つかりません。相続人は全国どこの法務局(遺言書保管所)でも遺言書情報証明書(1通1,400円)を請求でき、その証明書で検認なしに手続きを進められます。

遺言書を見つけた日にすること

手書きの遺言書が出てきたら、その日のうちに次の順で動きます。慌てて封を切らないことが第一です。

  1. そのままの状態で保管する。 封を開けない、中身を抜かない、のりやテープで補修しない。封筒の表と裏を写真に撮り、見つけた場所・日時・一緒にあった物をメモに残します。
  2. 保管する人を決める。 見つけた人が預かるのか、相続人の一人に渡すのかを決め、受け渡しも封を開けずに行います。
  3. 他の相続人に知らせる。 「見つけたこと」「開けていないこと」「誰が保管しているか」を伝えます。後で中身をめぐって疑いを持たれないための一歩です。
  4. ほかにも遺言がないか調べる。 公正証書遺言や法務局保管の遺言が別にあることもあります。調べ方は遺言書があるかどうかの調べ方:法務局・公証役場・自宅の探し方にまとめています。
  5. 検認の申立てを準備する。 民法1004条1項は、保管者や見つけた相続人は相続の開始を知った後「遅滞なく」家庭裁判所に提出して検認を請求すると定めています。

他の相続人への連絡は、事実だけを短く伝えると角が立ちません。

文例:「父の書斎の机の引き出しから、封筒に入った遺言書らしきものが見つかりました(〇月〇日)。封は開けていません。私が預かり、家庭裁判所に検認を申し立てる準備をします。期日が決まったら裁判所から皆さんに通知が届きます。」

検認の流れ:申立てから開封まで

検認は、遺言書の形や日付、署名などを家庭裁判所が確かめて記録し、あとで書き換えられないようにする手続です。裁判所は「遺言の有効・無効を判断する手続ではありません」と明記しています。流れは、家庭裁判所への申立て、裁判所からの期日の通知、期日に相続人の立会いのもとで開封・確認、そして遺言の執行に使う検認済証明書の申請の順です。出席は各自の判断で、全員がそろわなくても行われます。

費用、必要な戸籍の範囲、当日の様子、検認済証明書の申請は、手順の正本である遺言書の検認の手続きにまとめています。見つけた直後は、この記事の「見つけた日にすること」までを済ませ、申立ての準備はそちらを見ながら進めます。

開封を待つ間に気をつけること

検認の期日までは、遺言の中身が分からないまま日が過ぎます。その間も、相続の期限は止まりません。

  • 3か月の期限。 相続するか放棄するかを決める期間(熟慮期間)は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法915条)。中身が分からず判断できないときは、3か月が過ぎる前に、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てられます。
  • 財産を動かさない。 遺言で誰が何を受け取るか分からないうちに、預金を引き出したり家を片付けて処分したりすると、後で相続人の間の争いの種になります。相続放棄を考える場合は、財産の処分が単純承認とみなされることもあります(民法921条)。
  • 銀行・法務局への連絡。 手書きの遺言を執行するには、検認済証明書が遺言書に付いている必要があると裁判所は案内しています。期日が決まるまでは、死亡の連絡や残高の確認までにとどめます(預金の相続手続きの流れ)。

ほかの期限の一覧は相続の期限一覧:3か月・4か月・10か月・3年の順番で確かめられます。

すでに開けてしまった・最初から開いていた場合

封をうっかり切ってしまった場合も、開けたことだけを理由に遺言が無効になる規定は民法にありません。ただし、家庭裁判所の外で開封した人は5万円以下の過料の対象になりうる(民法1005条)ので、それ以上は手を加えず、検認の申立てで経緯を伝えます。詳しい対応は遺言書を開けてしまったら:無効にはならない理由とその後の手続きにまとめています。

遺言の種類ごとに相続手続き全体がどう変わるかは、遺言書あり・なしで相続手続きはどう違うかで比べています。

よくある質問

Q. 検認の前に、遺言書の中身だけ確かめる方法はありますか?

封のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できないと民法1004条3項に定められているので、検認の期日まで中身は読めません。相続するか放棄するかを決める3か月が迫っているときは、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てる方法があります。中身が分かる前に財産を動かさないことも大切です。

Q. 遺言書を見つけたのが相続人でない人(同居の親族や施設の職員など)の場合はどうなりますか?

検認を請求するのは、遺言書の保管者か、遺言書を見つけた相続人です。相続人でない人が預かっている場合は、その人が保管者として申し立てることも、相続人に渡して相続人が申し立てることもあります。誰が申し立てるかを決め、封を開けずに受け渡しをします。

Q. 封筒に「開封しないで家庭裁判所へ」と書かれていない遺言書なら、開けてもよいですか?

封筒の書き込みの有無で決まりは変わりません。封印のある遺言書を家庭裁判所の外で開封すると5万円以下の過料の対象になりうると民法1005条にあり、注意書きがなくても同じです。迷ったら開けずに、家庭裁判所の手続案内で種類を伝えて相談します。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

遺言書の検認の手続き:申立ての必要書類・費用800円・当日の流れ

遺言書を開けてしまったら:無効にはならない理由とその後の手続き

遺言書があるかどうかの調べ方:法務局・公証役場・自宅の探し方

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