遺言書 / 手順

遺言書の検認の手続き:申立ての必要書類・費用800円・当日の流れ

この記事のもくじ
  1. 遺言書の検認とは:必要な遺言・いらない遺言
  2. 申立ての準備:申立先・費用・必要書類
  3. 申立てから検認済証明書までの7段階
  4. 検認期日の当日:誰が来て、何をするか
  5. 検認のあとにすること

遺言書の検認は、自筆証書遺言や秘密証書遺言を家庭裁判所に提出し、相続人の立会いのもとで開封して、その日の遺言書の状態を記録してもらう手続です。申立先は遺言者の最後の住所地の家庭裁判所、費用は遺言書1通につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手で、遺言者の出生から死亡までの戸籍と相続人全員の戸籍を添えます。期日に開封・確認を受けたら、遺言書1通につき150円分の収入印紙で検認済証明書を申請し、銀行や法務局の手続きに使います。

遺言書の検認とは:必要な遺言・いらない遺言

民法1004条1項は、遺言書の保管者、または保管者がなく遺言書を見つけた相続人は、相続の開始を知った後「遅滞なく」家庭裁判所に提出して検認を請求すると定めています。目的は、相続人に遺言の存在と内容を知らせ、偽造や変造を防ぐことです。遺言が有効かどうかを決める手続ではありません。

遺言の種類 検認 根拠
自筆証書遺言(自宅などで保管) 必要 民法1004条1項
秘密証書遺言 必要 民法1004条1項
公正証書遺言 不要 民法1004条2項
法務局で保管された自筆証書遺言 不要 遺言書保管法11条

法務局で保管された遺言がなぜ検認なしで使えるかは、自筆証書遺言の検認は必要か:法務局保管なら不要になる理由で説明しています。以下は、検認が必要な遺言書を手にした人向けの手順です。

申立ての準備:申立先・費用・必要書類

申立先と申立人

申立てができるのは、遺言書の保管者と、遺言書を見つけた相続人です。申立先は「最寄りの家庭裁判所」ではなく、遺言者の最後の住所地を受け持つ家庭裁判所です。裁判所ウェブサイトの「申立書提出先一覧(家庭裁判所)」で、遺言者が住んでいた都道府県の一覧を開き、市区町村名から支部・出張所を含めた提出先を確かめます。

費用

  • 収入印紙:遺言書1通につき800円(封書の場合は封書1通につき)
  • 連絡用の郵便切手:額は裁判所ごとに違うので、申立先の家庭裁判所のページで確かめる(保管金として電子納付する方法もある)
  • 戸籍謄本などの取得費用:本籍地の市区町村の手数料
  • 検認済証明書の申請:遺言書1通につき150円分の収入印紙(検認の後)

必要書類

申立書は、裁判所ウェブサイトの書式と記載例を使います。添付する戸籍は、相続人が誰になるかで変わります。

相続人の順位ごとに添える戸籍(裁判所の標準的な添付書類)
場面 添える書類
どの場合も共通(相続人が配偶者と子の場合は、これだけ) 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本/相続人全員の戸籍謄本/遺言者の子(とその代襲者)で亡くなっている人がいれば、その人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母(直系尊属)の場合 上に加えて、亡くなっている直系尊属(相続人と同じ代と、それより下の代に限る。例:相続人が祖母なら父母と祖父)がいれば、その死亡の記載のある戸籍謄本
相続人が配偶者だけ、兄弟姉妹(とおい・めい)の場合、相続人がいない場合 上に加えて、遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本/直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本/亡くなっている兄弟姉妹がいればその出生時から死亡時までの戸籍謄本/代襲者のおい・めいが亡くなっていればその死亡の記載のある戸籍謄本

裁判所の案内には、次の補足もあります。同じ書類は1通で足りること、申立て前に入手できない戸籍は申立て後に追加で出せること、戸籍の代わりに法定相続情報一覧図の写しを出せる場合があること(申立先に確かめる)、審理のために追加の書類を求められることがあることです。戸籍を出生までさかのぼって集める手順は、相続手続きの戸籍謄本の集め方にまとめています。

申立てから検認済証明書までの7段階

  1. 遺言書を開けずに保管する。 封のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できません(民法1004条3項)。
  2. 戸籍を集め、申立書を書く。 申立書の書式と記載例に沿って、遺言者・申立人・相続人の情報を書きます。
  3. 家庭裁判所に申し立てる。 申立書、戸籍、収入印紙800円分、郵便切手を提出します。提出の方法(窓口・郵送)は申立先の家庭裁判所の案内で確かめます。東京と京都の家庭裁判所は、この手続の独自の案内をウェブサイトに載せています。
  4. 検認期日の通知が届く。 裁判所から相続人に、検認を行う日(検認期日)が知らされます。期日は裁判所が事案ごとに決めるので、申立てから期日までの日数に決まりはありません。見込みは、申立先の家庭裁判所の窓口に問い合わせます。申立ての時期のほうも、民法は「遅滞なく」と定めるだけで、日数の定めはありません。
  5. 期日に出席する。 申立人は遺言書を持参します。ほかの相続人の出席は各自の判断です。
  6. 検認を受ける。 出席した相続人の立会いのもとで、裁判官が封を開け、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名などを確認します。
  7. 検認済証明書を申請する。 遺言書1通につき150円分の収入印紙と申請書を出し、遺言書に検認済証明書を付けてもらいます。

検認期日の当日:誰が来て、何をするか

当日の主役は遺言書そのものです。申立人は遺言書の原本を、封のある場合は封をしたまま持参します。開封してしまった遺言書なら、開けたときの状態のまま持っていきます(遺言書を開けてしまったら)。

立場ごとの準備を表にします。持ち物の細かい指定は、届いた通知書の案内に従います。

立場 準備・心構え
申立人 遺言書の原本、期日の通知書、検認済証明書の申請に使う150円分の収入印紙。見つけた日時・場所と、その後の保管者を書いたメモ
出席する相続人 期日の通知書。遺言書の形や日付・署名の状態を自分の目で確かめる場になる
出席しない相続人 欠席しても検認は行われる。検認のあとの知らせ方は、通知書の案内か申立先の家庭裁判所に尋ね、遺言書の内容は申立人に見せてもらう段取りを決めておく

見つけた状況のメモがあると、裁判官から事情を聞かれたときに落ち着いて答えられます。検認は相続人どうしが争う場ではないので、遺言の内容への不満はこの手続では扱われません。

検認のあとにすること

検認済証明書の付いた遺言書は、預金の払い戻しや不動産の名義変更(相続登記)に使います。遺言の内容を実現する人がいないときや、内容の実現に遺言執行者の選任が必要と言われたときは、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てられます。このとき、同じ家庭裁判所に検認の記録があれば、遺言書の写しなど一部の書類が不要になると裁判所は案内しています。役割と選任は遺言執行者とは?指定された人の役割と、いない時の家庭裁判所での選任で説明しています。

検認を待つ間も、相続するか放棄するかを決める3か月の期限(民法915条)は進みます。ほかの期限は相続の期限一覧で確かめてください。

なお、2026年6月に成立した民法改正では、遺言の制度が段階的に見直されます。新しく設けられる「保管証書遺言」は法務局で保管され、相続開始後の検認がいらない方式になる予定ですが、施行は政令で決まる日で、2026年10月時点ではまだ使えません。いま手元にある自筆証書遺言は、この記事の手順で検認を受けます。改正の時期は遺言書の押印不要はいつから?2026年の民法改正の中身と施行時期で整理しています。

よくある質問

Q. 検認の期日に、相続人全員が出席しないといけませんか?

出席が求められるのは、遺言書を持参する申立人です。申立人以外の相続人は、出席するかどうかを各自で決められ、全員がそろわなくても検認は行われると裁判所は案内しています。遠方で行けない相続人は、申立人に連絡して、検認のあとに遺言書の内容を確かめる方法(写しを見せてもらうなど)を決めておきます。

Q. 戸籍が全部そろわないうちに申し立ててもよいですか?

裁判所の案内では、申立て前に入手できない戸籍等は、申立ての後に追加で提出してよいとされています。遠方の本籍地の戸籍を待っている間も、まず手元の書類で申し立て、残りを後から出す進め方ができます。追加の書類を求められることもあります。

Q. 検認を受ければ、その遺言書は有効と認められたことになりますか?

なりません。裁判所は、検認は遺言書の形状や日付・署名などを明らかにして偽造・変造を防ぐ手続で、遺言の有効・無効を判断する手続ではないと明記しています。有効性に疑問があるときは、検認とは別に争うことになり、その見通しは弁護士に相談します。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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