不動産売却の流れ / Q&A

マンション売却の売り時はいつ?築年数・季節・金利で考える判断材料

この記事のもくじ
  1. 築年数は、売り時にどう影響しますか?
  2. 売り出す季節は、何月がよいですか?
  3. 金利が上がると、売り時は変わりますか?
  4. 所有期間の「5年超」は、税にどう影響しますか?
  5. 売り時を決める順番:4つの材料の使い方

マンションの売り時は、月や築年数で一つに決まるものではなく、4つの材料を並べて決めます。材料は、築年数による価格の差、引っ越しが増える3月に向けた季節の動き、金利と買主の借入額、所有期間が5年を超えるかどうかの税の区切りです。このうち税の区切りは、数か月のずれで負担が変わる場合があるため、先に確認します。この記事では、それぞれの数字と確かめ方を、Q&Aの形で順に説明します。相場の調べ方はマンションの売却相場の調べ方:成約事例の見方と築年数の影響にまとめています。

築年数は、売り時にどう影響しますか?

築年数が進むと、成約㎡単価は下がる傾向があります。東日本レインズの首都圏の中古マンション(2026年7〜9月の成約)で、築年帯が一つ進むごとの下がり方は次のとおりです(筆者の計算)。

築年帯が一つ進むごとの下がり幅は、築16〜20年から築21〜25年で約9%(99.3→90.3万円)、築21〜25年から築26〜30年で約12%(90.3→79.1万円)、築26〜30年から築30年超で約42%(79.1→45.7万円)です。全体の㎡単価の表はマンションの売却相場の調べ方にあります。

築30年超の帯の差が大きいのは、築年数に加えて、立地や広さの構成が他の帯と異なる影響もあると考えられ、築年数だけの影響とは言い切れません。前年の同じ時期と比べた首都圏全体の動きは、築21〜25年が3.0%、築26〜30年が13.3%の上昇で、築30年超だけが1.3%の下落でした。地域ごとに見ると上下が分かれ、築年の構成が違えば全体の数字も変わるため、築年が進むほど一律に下がる、とは読めません。

築年数の区切りを理由に、急いで売るべきとは言えません。 判断は、同じマンションと近くの似た築年数の事例の動きを見て決めます。売らずに持ち続ける間の管理費・修繕積立金・固定資産税と、将来の大規模修繕の一時金も、売らない場合のコストとして並べます。

売り出す季節は、何月がよいですか?

引っ越しが増えるのは3月です。総務省の住民基本台帳人口移動報告で、2025年3月の市区町村間の移動者数は90万5,179人でした。2025年の年間の移動者数は519万548人なので、1か月あたりの平均(約43万3千人)の約2.1倍にあたります(筆者の計算)。

ただし、移動者が多いことと、マンションの成約が多いことは同じではありません。賃貸や転勤の動きも含まれるためです。3月に向けて買主が動くと考えて、その前から内見を受けられる状態にするのが、季節を使う一つの考え方になります。逆算するときは、次の期間を足します。

  1. 売り出しから買主の購入申込みまでの期間(物件や価格で変わる)。
  2. 契約から決済までの期間(買主の住宅ローンの審査を含む)。
  3. 媒介契約の有効期間(専任媒介は3か月以内)。

3月の引き渡しを目標にするなら、前年の秋から年明けに売り出す段取りが必要です。月ごとの成約件数は、東日本レインズの月例マーケットウォッチなどで、自分の地域の実績を確かめます。

金利が上がると、売り時は変わりますか?

買主の多くは住宅ローンを使うため、金利は買主の予算に影響します。仕組みの例を示します(筆者の計算。元利均等・35年・金利一定と仮定)。毎月の返済額が10万円なら、借りられる額の目安は、金利1.0%で約3,543万円、金利2.0%で約3,019万円です。金利が1ポイント上がると、同じ返済額で借りられる額は約524万円減る計算です。

市場の動きは、2026年9月の東日本レインズの資料では、首都圏の中古マンションの成約件数が前年同月比で22.7%減って6か月連続の減少、在庫件数は15.1%増えて7か月連続の増加でした。成約㎡単価は81.07万円で、前年同月比4.8%の下落です。同じ月の成約物件の平均築年数は28.53年で、前年同月(26.26年)より高く、単価の下落には築年構成の変化も影響していると考えられます。売り出す物件が増えると、同じ地域の競合が増えるため、価格と条件の見直しを求められる場面が出ます。

金利と市場は、売主が操作できません。自分で動かせる材料は、売り出し価格と、管理情報などの準備と、内見の対応です。価格を決めるときは、宅建業者が価額の意見に根拠を示す義務がある点(宅建業法34条の2第2項)を使い、査定の根拠を聞いて決めます。

所有期間の「5年超」は、税にどう影響しますか?

売った利益(譲渡所得)への税率は、売った年の1月1日時点の所有期間が5年を超えるかで変わります(国税庁 No.3202・3208・3211)。

区分 所有期間 税率(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)
長期譲渡所得 売った年の1月1日で5年超 約20.315%(所得税15%、復興特別所得税、住民税5%)
短期譲渡所得 売った年の1月1日で5年以下 約39.63%(所得税30%、復興特別所得税、住民税9%)

2027年1月1日以後に生じる所得は、復興特別所得税が1.1%に下がり、防衛特別所得税1%が加わる改正があり、所得税額に対する付加の合計は2.1%のままです(国税庁)。2027年に売る場合の税額は、この改正を踏まえて計算します。

数字は国税庁の税率から計算した合計で、売る年の最新の案内で確かめます。例として、2021年10月に買ったマンションを2026年中に売ると、2026年1月1日時点で所有期間が約4年3か月なので短期です。2027年1月1日以後に売る(引き渡す)と、約5年3か月で長期になります。年末に契約して年明けに引き渡す場合、譲渡の日は引き渡しの日か売買契約の日のどちらかを選べます(国税庁 No.3102)。年をまたぐ売却は、税理士か税務署に先に確かめてください。

次の場合は、数え方が違います。

  • 相続したマンション:親の取得した日を引き継ぐため、相続して間もなく売っても短期になるとは限りません(国税庁 No.3270)。相続税を払った人が使える取得費加算の特例には期限があります。相続の場合は相続したマンションの売却:管理費の負担・空室期間と売り時の考え方で扱います。
  • 住んでいたマンション:住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ると、自宅の3,000万円特別控除を使える場合があります(国税庁 No.3302)。引っ越した後に売る場合は、この期限が売り時の目安の一つです。

税の計算の全体は譲渡所得税の税率:長期20.315%・短期39.63%と所有期間の数え方で扱います。

売り時を決める順番:4つの材料の使い方

  1. 税の区切りを確認する:取得日と売る予定の年の1月1日を並べ、5年超か、3年目の年末かを見る。
  2. 相場と売らない場合のコストを出す:成約事例から価格帯を出し、毎月の保有コストを足す。費用はマンション売却の手数料と費用で確かめます。
  3. 季節から逆算する:目標の引き渡し時期から、決済・契約・売り出しの時期を引く。
  4. 市場の動きを見て、価格を見直す日を決める:売り出しから1〜2か月で反応がなければ、価格を見直すと決めておく。
判断の順番:売り時の4つの確認
  1. 税:売る年の1月1日で所有期間5年超か/住まなくなって3年目の年末か
  2. 相場と保有コスト:成約価格の価格帯/管理費・積立金・固定資産税
  3. 季節:目標の引き渡しから逆算(専任媒介は3か月以内)
  4. 市場:成約と在庫の動き/価格の見直しの日

売る流れの全体はマンション売却の流れ:管理組合への確認から引き渡しまでの手順から確かめます。

売り時を決める材料の一つは、複数の会社の査定です。一括査定サービスを使うと、物件の情報を1回入力するだけで、複数の会社に査定を頼めます。査定額は売れる価格を約束するものではないため、金額の高さより、どの事例を根拠にしたかを見比べます。申し込むと、何社かから電話やメールが来ることがあります。売るかどうかは、査定を見てから決めて構いません。

よくある質問

Q. 売り時は築何年までですか?

築何年と決まった期限はありません。首都圏の成約㎡単価は築年帯が進むほど低くなりますが、首都圏全体の2026年7〜9月は、前年の同じ時期と比べて築21〜25年が3.0%、築26〜30年が13.3%上昇し、築30年超は1.3%下落でした。区切りの築年を迎える前に急いで売る必要があるかは、同じマンションの成約事例と売らない場合の維持費を並べて判断します。

Q. 何月に売り出すのが一番よいですか?

月ごとに決まった正解はありません。引っ越しが増える3月に向けて買主が動くと考えられるので、その前に内見を受けられる状態にするのが一つの考え方ですが、近くの競合物件の数でも結果は変わります。自分の地域の月別の成約は、東日本レインズなど各レインズの月例資料で確かめます。

Q. 金利が上がると、売れにくくなりますか?

買主が住宅ローンを使う場合、金利が上がると、同じ毎月の返済額で借りられる額が減るため、買主の予算に響きます。ただし、売れやすさは物件の数や価格にも左右されるので、金利だけでは決まりません。売り出すときの金利は、金融機関の公式ページで確かめます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

マンションの売却相場の調べ方:成約事例の見方と築年数の影響

マンション売却の手数料と費用:仲介手数料・印紙税・抹消登記の内訳

マンション売却の流れ:管理組合への確認から引き渡しまでの手順

譲渡所得税の税率:長期20.315%・短期39.63%と所有期間の数え方