マンションの売却相場の調べ方:成約事例の見方と築年数の影響
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マンションがいくらで売れるかは、売り出し価格ではなく、近くの似たマンションが実際にいくらで成約したかで見ます。調べる場所は3つで、国土交通省の不動産情報ライブラリ(全国の成約価格)、東日本レインズの市場動向(首都圏の統計)、不動産会社が持つ同じマンションの成約事例です。価格は㎡単価(価格÷専有面積)に直して比べ、築年数・階数・方角・管理の状態を足し引きして価格帯を出します。この記事では、事例の調べ方と築年数の影響を中心に説明します。売却の全体の流れはマンション売却の流れ:管理組合への確認から引き渡しまでの手順にあります。
マンションの相場を調べる3つの道具:成約価格・統計・同じマンションの事例
売り出し中の価格と成約価格は、分けて考えます。東日本レインズの月例資料(2026年9月)では、首都圏の中古マンションの在庫の㎡単価が119.97万円、成約の㎡単価が81.07万円でした。在庫のほうが約1.5倍高く、売り出し価格がそのまま売れる価格ではないことが分かります(筆者の計算)。同機構の長期動向では、新規登録の㎡単価と成約の㎡単価の差が約40%以上に広がっています。
| 道具 | 見られるもの | 向く使い方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 不動産情報ライブラリ(国土交通省) | 地区ごとの取引価格と成約価格。成約価格はレインズが持つ取引価格情報を、個別の取引が特定されないよう加工したもの | 近い地区・近い築年の成約価格を調べる | 個別の物件が特定されないよう加工されている |
| 東日本レインズ「市場動向」 | 首都圏の築年帯別・地域別の成約件数と㎡単価 | 築年数による単価の傾向をつかむ | 首都圏が対象。他の地域は中部・近畿・西日本の各レインズが公表 |
| 不動産会社が持つ事例 | 同じマンションや近隣の成約事例 | 同じ棟で階・向きの差を見る | 事例の数と期間を聞く |
不動産情報ライブラリの検索画面の手順は家を売るといくら?成約価格のデータの調べ方と査定の使い分けで説明しています。マンションを調べるときは、種類でマンションに当たるものを選び、地域を駅か地区で絞って、直近2〜3年の事例を一覧にします。詳細表示で、面積と築年を確かめます。国土交通省は、実現した取引価格には売り急ぎ・買い急ぎなど当事者の事情が反映され、通常の取引とは異なる価格になることがあると注意しているため、1件だけで判断しません。
築年数の影響:築年帯ごとの㎡単価で見る
築年数が進むと、㎡単価は下がる傾向があります。東日本レインズの首都圏の中古マンションの成約状況(2026年7〜9月)で、築年帯ごとの㎡単価は次のとおりです。
| 築年帯 | 成約㎡単価(万円) | 成約件数 |
|---|---|---|
| 築5年以内 | 151.1 | 573件 |
| 築6〜10年 | 134.3 | 998件 |
| 築11〜15年 | 125.7 | 883件 |
| 築16〜20年 | 99.3 | 1,005件 |
| 築21〜25年 | 90.3 | 1,228件 |
| 築26〜30年 | 79.1 | 1,151件 |
| 築30年超 | 45.7 | 4,432件 |
| 全体 | 82.3 | 10,270件 |
(出典:東日本レインズ「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況」2026年10月19日公表。万円は小数第1位まで)
この表の見方には2つの注意があります。第一に、築年帯が違うと、立地の構成も違うことです。築年帯ごとに、物件のある地域や広さの構成が異なる可能性があり、単価の差のすべてが築年数だけの影響とは言い切れません。第二に、首都圏の平均は地域ごとの差を均した数字です。同じ資料で東京都の築5年以内は199.3万円、築30年超は71.6万円、千葉県の築30年超は22.4万円と、地域で大きく違います。
同じ資料の首都圏全体の数字では、前年の同じ時期と比べて、築21〜25年の㎡単価が3.0%、築26〜30年が13.3%上昇し、築30年超は1.3%の下落でした(地域別には上下が分かれます)。築古だから下がり続けるとは限らず、売るタイミングの判断はマンション売却の売り時はいつ?築年数・季節・金利で考える判断材料で扱います。
築年帯の単価を使った簡単な計算の例を示します(仕組みを示す仮の例で、筆者の計算)。専有面積60㎡で築21〜25年帯の首都圏平均を当てはめると、60㎡×90.3万円=5,418万円です。築11〜15年帯なら60㎡×125.7万円=7,542万円で、差は2,124万円になります。ただしこれは平均の機械的な計算で、自分の部屋の価格ではありません。同じ駅の事例で単価を出し直します。
築5年以内151.1/築6〜10年134.3/築11〜15年125.7/築16〜20年99.3/築21〜25年90.3/築26〜30年79.1/築30年超45.7(東日本レインズ)
階数・方角・管理の状態:公的な統計がないものの調べ方
階数・方角・眺望・管理の状態は、築年数と違い、公的な統計がまとまって公表されている項目ではありません。分かる範囲は同じマンションの成約事例か、査定の根拠の説明です。
| 要因 | 見方 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 階数・方角 | 同じ棟で、上階と低層、南向きと北向きの成約を比べる | 不動産会社に同じマンションの直近の事例を聞く |
| 専有面積・間取り | ㎡単価と総額の両方で見る。広いと総額が上がり、買える人が絞られる | 同規模の事例の総額も並べる |
| 管理費・修繕積立金 | 月々の負担が高いと、買主の購入予算に響く | 管理会社に月額と積立額を確かめる(マンション売却の流れ) |
| 大規模修繕の予定 | 直前は一時金や値上げの不安が出る。実施後は安心材料になる | 長期修繕計画と総会議案書 |
| 駅からの距離 | 徒歩分数で単価が変わる | 同じ駅の事例だけで比べる |
不動産会社は、媒介契約書に載せる価額について意見を述べるときに、根拠を明らかにする義務があります(宅建業法34条の2第2項)。査定書で、どの事例を使い、階数や方角をどれだけ加点・減点したのかを聞いてください。説明が曖昧な査定は、数字が高くても比べる材料になりません。
相場から価格帯と手取りを出す:簡易シミュレーションの手順
相場の数字は、次の順番で、自分のマンションの価格帯と手取りに直します。
- 同じ駅または近い地区の、築年数が近い成約事例を5件前後選ぶ。
- 各事例の㎡単価(成約価格÷専有面積)を出し、最低と最高を見る。
- 自分の専有面積を掛けて、価格帯を出す。
- 階数・方角・管理の状態は、不動産会社の査定で補う。
- 価格帯から、住宅ローン残高と売却の費用を引いて手取りの目安を出す。費用はマンション売却の手数料と費用:仲介手数料・印紙税・抹消登記の内訳で確かめます。
売却益が出る場合は、翌年に譲渡所得の申告が要ります。手取りの計算の考え方はマンション売却でいくら残る?手取り額の計算方法とローン・税金で扱います。
査定を取って、相場の幅と比べる
自分で調べた価格帯は、査定の妥当さを見るものさしになります。複数社の査定額を並べて、価格帯から大きく外れる額には理由を聞きます。査定額は売れる価格を約束するものではありません。
一括査定を使うと、物件の情報を1回入力するだけで、複数の会社に査定を依頼できます。マンションは、同じマンションの成約事例を持つ会社ほど根拠を具体的に示せるため、複数社の査定の根拠の違いを比べることが目的になります。申し込むと、何社かから電話やメールが来ることがあります。売るかどうかは、査定を見た後に決めて構いません。依頼の数や比べる項目はマンション売却の一括査定:比べる項目と依頼する会社の数にまとめています。
よくある質問
Q. ネットで見る売り出し中の価格は、相場として使えますか?
そのままは使えません。売り出し価格は売主の希望で、実際に成約した価格とは別です。東日本レインズの2026年9月の資料では、首都圏の中古マンションの在庫の㎡単価が119.97万円、成約の㎡単価が81.07万円で、在庫のほうが約1.5倍でした(筆者の計算)。売り出し価格は上限の目安として並べ、価格帯は成約価格で決めます。
Q. マンション売却のシミュレーションでは、何を入れればよいですか?
同じ地域・同じ築年帯の成約㎡単価に、自分の部屋の専有面積を掛けて価格帯を出し、そこから住宅ローン残高と売却の費用を引いて手取りの目安を見ます。ツールの数字は物件の個別事情が入らない目安なので、複数社の査定の根拠と並べて見直します。
Q. 鑑定評価と査定は、何が違いますか?
査定は不動産会社が、売れそうな価格の見込みを示すものです。鑑定評価は、不動産鑑定士が行う価額の判定で、法律で不動産鑑定業者の業務と定められています(不動産の鑑定評価に関する法律36条)。売却の価格を決めるだけなら、まず査定で足ります。
出典・参考にした公的な情報
- 不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード マニュアル(国土交通省 不動産情報ライブラリ)
- 不動産情報ライブラリ 利用規約(国土交通省)
- REINS TOPIC 首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2026年07〜09月】(2026年10月19日公表)(公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ))
- REINS TOPIC 首都圏中古マンション・中古戸建住宅 長期動向グラフ【2015年10月〜2026年9月】(公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ))
- Monthly Market Watch Summary Report 2026.9(公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ))
- 宅地建物取引業法 第34条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 不動産の鑑定評価に関する法律 第36条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。