マンション売却の流れ:管理組合への確認から引き渡しまでの手順
この記事のもくじ
マンション売却は、①管理会社に問い合わせて書類をそろえる → ②査定 → ③媒介契約 → ④販売・内見 → ⑤売買契約 → ⑥決済・引き渡し → ⑦翌年の確定申告の順で進みます。一戸建てと違うのは、①の段階で、管理費・修繕積立金・管理規約・長期修繕計画といった建物全体の管理に関する情報が要ることです。買主は、部屋だけでなく管理の状態を見て買うかを決めます。この記事では、マンション特有の確認点、重要事項調査報告書の取り方、各段階のやることを順に説明します。不動産売却全般の流れは不動産売却の流れ:査定から引き渡しまでの7段階と期間・費用にまとめています。
マンション売却で先に確かめる5つの管理情報
宅建業者は、買主に対する重要事項の説明で、区分所有建物の管理に関する事項を説明します(宅建業法35条、施行規則16条の2)。説明の材料になる情報は、売主側で先にそろえておくと、査定も契約も早く進みます。
| 確かめる項目 | どこで確かめるか | 買主への影響 |
|---|---|---|
| 管理費・修繕積立金の月額と、滞納の有無 | 管理会社、毎月の請求書 | 月々の負担。滞納は決済までに精算 |
| 管理規約・使用細則 | 管理会社、手元の冊子 | ペット、楽器、リフォーム、貸し出しなどの制限が買主の判断材料になる |
| 修繕積立金の積立額と、長期修繕計画・大規模修繕の実施状況 | 管理会社、総会の議案書 | 将来の値上げや一時金の見込み。実施状況が記録されていればその内容も説明される |
| 駐車場・駐輪場・専用庭などの専用使用権 | 管理規約、使用契約 | 売る部屋に付いてくるか、別に契約が要るか |
| 管理の委託先 | 管理規約、管理会社 | 管理会社の名称と住所が説明の項目に入る |
施行規則16条の2は、専有部分の利用制限に関する規約の定め、修繕積立金の積立てを行う旨の規約の定めと既に積み立てられている額、通常の管理費用の額、管理の委託先、維持修繕の実施状況の記録などを、説明の事項として挙げています。マンションの管理の状態は、売主の努力で変えられない部分が多いため、確かめて正直に伝えることが、あとのトラブルを防ぎます。
重要事項調査報告書:管理会社に頼む書類
重要事項調査報告書は、管理会社が、売買に必要な管理の情報をまとめる書類です。国土交通省のマンション標準管理委託契約書には、宅建業者から開示を求められる事項をまとめた別表があり、管理会社はこの範囲で情報を出します。依頼書や報告書の様式は、管理会社の業界団体が示すものを使う会社があり、書式は会社ごとに少しずつ違います。
頼み方の流れは次のとおりです。
- 管理会社に連絡して、売却予定であることと、報告書の依頼方法を聞く。
- 依頼は売主本人や、媒介を頼んだ不動産会社が行う。会社ごとに依頼書式と日数が違う。
- 手数料と発行までの日数を、先に確かめる。手数料の額は管理会社が決めており、一律の額はありません。
- 受け取ったら、管理費・修繕積立金の額や滞納の有無が自分の認識と合っているかを見る。
管理会社に直接頼めない管理形態(管理組合が自主管理など)の場合は、理事長や管理組合に、同じ内容を書面でもらえるかを確かめます。報告書は、買主へ渡す重要事項説明書の作成に使われる書類なので、媒介を頼む会社の担当者に取り方を相談するのが近道です。
マンション売却の流れ:段階ごとにやること
| 段階 | やること | マンション特有の注意 |
|---|---|---|
| ①準備 | 管理会社への問い合わせ、書類集め | 管理規約、長期修繕計画、重要事項調査報告書の手配 |
| ②査定 | 複数社に査定を頼む | 同じマンションの成約事例があるかを聞く(マンションの売却相場の調べ方) |
| ③媒介契約 | 会社と契約の種類を決める | 専任媒介は3か月以内。期限が一つの区切り |
| ④販売・内見 | 広告、内見、購入申込みへの対応 | 住みながらか、空室かで内見の段取りが変わる |
| ⑤売買契約 | 契約書、手付金、買主の住宅ローン審査 | 設備の状態は、付帯設備表などで書面に残す |
| ⑥決済・引き渡し | 残代金の受領、抵当権の抹消、鍵の引き渡し | 管理費・修繕積立金・固定資産税を日割りで精算 |
| ⑦確定申告 | 翌年2月16日から3月15日 | 売却益が出たときに申告。特例は申告が前提 |
媒介契約の種類の違いは媒介契約の種類:一般・専任・専属専任の違いと選び方の比較表で比べます。専任・専属専任は、業者が指定流通機構(レインズ)に物件を登録し、決められた頻度で販売状況を報告する義務があります。
住宅ローンが残っている場合は、決済の日に残りを返し、抵当権を外す手続きを同時に行います。銀行への連絡は売り出し前にしておくと、決済の段取りが読みやすくなります。残高が売却額を上回るときは、オーバーローンのマンション売却:足りない分の払い方と住み替えローンを読んでください。
買主が住宅ローンを使う場合は、売買契約の後に審査があり、結果によって契約が白紙になる条項(ローン特約)が付くことがあります。ここで契約書の条項を確認します。契約の手付金・違約金・契約不適合責任は不動産売却の契約の流れ:手付金・違約金・契約不適合責任の注意で扱います。
- 準備:管理会社に管理費・積立金・滞納・規約を確認、報告書を依頼
- 査定:同じマンションの成約事例と根拠を聞く
- 媒介契約:専任は3か月以内
- 販売:内見と購入申込み
- 売買契約:手付金、ローン特約、設備の書面
- 決済:抵当権の抹消、管理費等の日割り精算
- 翌年の申告
売るときの費用と、売った後に管理組合へ連絡すること
費用の中心は、仲介手数料・印紙税・抵当権抹消の登記費用です。内訳と3,000万円で売る場合の手取りの計算はマンション売却の手数料と費用:仲介手数料・印紙税・抹消登記の内訳にまとめています。
売ったあとの連絡は、次の3つです。
- 管理会社・管理組合への届出:管理規約に定めがある届出を出す。
- 管理費等の引き落とし口座:売った月までの精算方法を確認し、引き落としを止める手続きをする。
- 納めた修繕積立金:標準管理規約は、納めた管理費等の返還請求を認めていません。積み立てた分は戻ってこない前提で、手取りを考えます。
管理費・修繕積立金の滞納がある場合、管理組合は、その部屋を取得した新しい所有者にも滞納分を請求できます(区分所有法7条・8条)。買主が不安を持つ事柄なので、売る前に精算します。
マンション売却のコツ:会社選びと比べ方
「コツ」といっても特別な方法があるわけではなく、確かめる順番を決めておくことです。
- 管理の情報を先にそろえる:売り出す前に報告書の依頼を済ませておく。
- 複数社の査定の根拠を聞く:近くの同じ規模のマンションの成約事例を何件使ったか。
- 会社の免許番号を確かめる:国土交通省の宅地建物取引業者情報検索で調べる。
- 売るか貸すかを比べる:貸す場合の収支は家を売る・貸すどっちが得?収支・税金・手間の比べ方と判断表にまとめています。
一括査定のサイトでは、部屋の情報を1回入力すれば、複数の会社に査定を依頼できます。示される査定額は各社の見込みで、売れる価格を約束するものではないので、金額の高さより根拠の説明を比べます。申し込むと何社かから電話やメールが来ることがあります。売るかどうか、どの会社に頼むかは、査定を見た後に決めて構いません。マンションは築年数と階数の近い事例が使われるため、査定を頼む前にマンション売却の一括査定:比べる項目と依頼する会社の数を確かめておくと、比べやすくなります。
相続したマンションを売る場合は、売る前に相続登記や管理費の負担を確かめる手順が加わります。相続したマンションの売却:管理費の負担・空室期間と売り時の考え方から読み進めてください。
よくある質問
Q. マンションを売るとき、管理組合の許可は要りますか?
売るときに管理組合の承諾や届出が要るかは、そのマンションの管理規約の定めで決まります。規約に売却や所有者の変更に関する定めがあるかを読み、不明な点は管理会社に聞きます。引き渡した後は、管理会社に所有者の変更と引き落とし口座の切り替えを連絡します。
Q. 管理費や修繕積立金を滞納していても売れますか?
売る手続きは進められます。ただ管理組合は、滞納分を新しい所有者にも請求できる定めがある(区分所有法7条・8条)ので、買主は滞納のある部屋を避けます。決済までに精算するのが通常の進め方です。金額は管理会社に問い合わせて確かめます。
Q. 修繕積立金は、売ったときに戻ってきますか?
戻らない前提で考えます。国土交通省の標準管理規約は、組合員が納めた管理費等(管理費と修繕積立金)の返還請求や分割請求ができないと定めています。実際は各マンションの管理規約で決まるので、規約の該当箇所で確かめてください。
出典・参考にした公的な情報
- 宅地建物取引業法 第34条の2・第35条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法施行規則 第16条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 建物の区分所有等に関する法律 第7条・第8条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- マンション標準管理委託契約書(国土交通省)
- マンション標準管理規約(単棟型)新旧対照表(国土交通省)
- 宅地建物取引業者情報検索(建設業者・宅建業者等企業情報検索システム)(国土交通省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。