再建築不可の買取業者の選び方:査定方法と契約で確かめる点
再建築不可の買取業者を選ぶときは、①宅建業の免許と処分歴を調べる → ②2社以上に現地を見てもらい、査定の根拠を同じ表で比べる → ③契約不適合責任・手付・解約・費用の条件を契約書で確かめるの順で進めます。再建築不可の物件は買い手が限られるため、業者によって価格の付け方の差が大きくなりがちです。1社の提示だけで決めないこと、その場で署名しないことが基本になります。
再建築不可の買取業者を選ぶ前に調べること
宅建業の免許:不動産を業として売買する会社には、宅地建物取引業の免許が要ります(宅建業法3条)。免許のない者は宅建業を営むことも、営む旨の広告をすることもできません(同12条)。業者の名刺やサイトにある免許番号を、国土交通省の「宅地建物取引業者情報検索」で商号と照らし合わせます。
| 調べること | どこで | 見る点 |
|---|---|---|
| 免許の有無 | 国土交通省 宅地建物取引業者情報検索 | 商号・免許番号・所在地が名刺と一致するか |
| 行政処分の履歴 | 国土交通省 ネガティブ情報等検索サイト | 過去5年の免許取消・業務停止・指示。一部の府県は県のサイトで公開 |
| 取引の形 | 業者への質問・書面 | 業者が自ら買う「買取」か、買主を探す「仲介」か(宅建業法34条) |
大臣免許か知事免許かは、事務所が複数の都道府県にあるかどうかの違いで、会社の良し悪しを表すものではありません。処分歴が出てこないことも、安全の保証にはなりません。免許の確認は「最低限そろっているか」を見るためのものです。
再建築不可の査定方法と比べ方
買取業者は、仲介の査定と違い「自社が買った後にどう使い、いくらで出口を作れるか」から価格を逆算します。再建築不可の物件で業者が見る主な点は次のとおりです。
- 道路との接し方:前の道の種別、間口の長さ、建築基準法43条2項の認定・許可の見込み
- 建物の状態:雨漏り、傾き、シロアリ、どこまで直せば住めるか・貸せるか
- 隣地の状況:隣地の所有者が買い増す見込み、通路の通行や配管で隣地と関係していないか
- 再販・賃貸の見込み:周辺で賃貸の需要があるか、現況のまま買う人がいるか
査定には、図面や登記の情報だけで出す机上査定と、現地を見て出す訪問査定があります。机上査定は候補を絞るための目安と考え、契約の判断は訪問査定の書面で行います。
業者ごとの提示は、次のような表にそろえて並べると比べやすくなります。
| 項目 | A社 | B社 | 仲介の査定(参考) |
|---|---|---|---|
| 提示価格 | |||
| 価格の根拠(評価・修繕費・差し引いた費用) | |||
| 査定の方法(机上/訪問) | |||
| 契約不適合責任 | 免責か | 免責か | — |
| 残置物の撤去・測量の負担 | |||
| 手付の額と解約の条件 | |||
| 代金の支払日 | |||
| 契約後に価格を下げる条件 |
表の最後の列には、仲介で売り出した場合の査定額を入れておきます。媒介契約を結ぶ不動産会社には価格の意見の根拠を示す義務があり(宅建業法34条の2第2項)、買取の価格が仲介と比べてどれだけ下がるかを数字で見られます。隣地の所有者への打診など、業者以外の売り先との比べ方は再建築不可の家が売れないときの隣地への売却と買取業者の比べ方を参照してください。
契約で確かめる点:契約不適合責任と費用
価格だけでなく、契約の条件で手取りとリスクが変わります。
契約不適合責任:売った物件の種類・品質などが契約の内容に合わないとき、買主は売主に修補や代金減額などを求められます(民法562条〜564条)。買取業者との契約では、この責任を売主が負わない免責の特約を結べることがあり、状態の分からない古い家を売る売主には大きな安心材料になります。ただし、免責の特約があっても、売主が知っていながら告げなかった事実については責任を免れません(民法572条)。知っている不具合は告知書に書き、知らないことは「知らない」と書きます。考え方は売主の契約不適合責任と免責の考え方にまとめました。
あわせて確かめる点:
- 残置物(家具・家電)の撤去を誰がするか、費用はどちらか
- 境界の測量が要るか、費用はどちらか
- 手付の額、手付を放棄して解約できる期限、違約金の額
- 代金の全額を受け取る日と、所有権の移転登記の日
- 契約後の調査で価格を下げる条件が書かれていないか
- 登記の費用(売主側の住所変更登記など)の負担
ここまで確かめて比べたうえで、再建築不可の物件を扱う買取業者に査定を頼む選択肢があります。申し込むときも、売主にはクーリング・オフがないので、仲介の査定額と比べることを前提にします(自宅の買取・リースバックの強引な勧誘:断り方と相談先)。
強引な勧誘を受けたときの対処
「今日決めてくれればこの価格」「再建築不可は他では売れない」と契約を急がされることがあります。宅建業者は、利益が確実だと誤解させる断定的な説明や、相手を威迫することを禁じられています(宅建業法47条の2)。施行規則16条の11では、判断に必要な時間を与えないこと、契約しない意思を示した人への勧誘の継続、迷惑な時間の電話・訪問、深夜・長時間の勧誘なども禁止されています。
対処の順番は次のとおりです。
- その場で署名しない。「家族と相談して書面で返事をします」と伝える
- 売らないと決めたら「今回は売りません。今後の勧誘もお断りします」とはっきり伝える
- 日時・担当者名・言われたことをメモに残す
- それでも続くときは、免許を出している国土交通省の地方整備局等または都道府県の担当課に情報を寄せる
居座られて困惑して契約してしまった場合は、消費者契約法4条3項による取消しを検討できることがあります(追認できる時から1年、契約から5年:同法7条)。相談先の番号は自宅の買取・リースバックの強引な勧誘の断り方と相談先にまとめています。家族が高齢の親に代わって業者と話す場合は、親が一人のときに訪問を受けないよう、窓口を子に一本化しておくと安心です。
買い取った後に業者がどこまで直して使うのかが気になる場合は、再建築不可のリフォームはどこまでできるかも読んでおくと、提示価格の根拠を聞くときの質問に使えます。
よくある質問
Q. 再建築不可の買取業者に、机上査定だけで売ってもよいですか?
机上査定の価格は、現地を見ていない段階の目安です。契約の前には現地を見てもらい、建物の状態や道路との接し方を確かめたうえでの価格を書面で出してもらいます。机上査定の価格から契約直前に大きく下げられることもあるため、最終の価格と、その後に減額できる条件があるかを契約書で確かめます。
Q. 買取業者の査定額に納得できないとき、断ってもよいですか?
査定を受けただけで売る義務はなく、断ってかまいません。断るときは「今回は売りません。今後の勧誘もお断りします」とはっきり伝えます。宅建業者は、契約しない意思を示した相手に勧誘を続けることを宅建業法施行規則で禁じられています。
Q. 古い家で不具合が分からないのですが、免責の特約で売っても大丈夫ですか?
買取業者との契約では、売主の契約不適合責任を負わない特約を結ぶことがあります。ただし特約があっても、売主が知っていながら告げなかった不具合については責任を免れません(民法572条)。知っている不具合は書面で伝え、知らないことは「知らない」と書いておくのが基本です。
出典・参考にした公的な情報
- 宅地建物取引業法 第3条・第12条・第34条・第37条の2・第47条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法施行規則 第16条の11(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法 第562条・第566条・第572条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 消費者契約法 第4条・第7条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業者情報検索(国土交通省)
- ネガティブ情報等検索サイト(宅地建物取引業者)(国土交通省)
- <消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ(国土交通省)
- 高齢者の自宅の売却トラブルに注意(2021年6月24日)(国民生活センター)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。