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自宅の買取・リースバックの強引な勧誘:断り方と相談先

この記事のもくじ
  1. 状況別:今すること
  2. 自宅の売却にクーリング・オフがない理由と、残る手立て
  3. 断り方:禁止されている勧誘と、はっきり伝える言い方
  4. リースバックで確かめる点:家賃・期間・買戻し
  5. 判断力が低下した親が契約した場合と、相談先

自宅の買取やリースバックを強引に迫られている、または契約してしまったときは、まず消費者ホットライン「188」に電話してください。 郵便番号を入力すると、近くの消費生活センターなどにつながります。相談は無料ですが、窓口につながった時点から通話料がかかります。今すぐ身の危険を感じるときは110番、緊急でない警察への相談は警察相談専用電話の「#9110」(受付は平日8:30〜17:15が基本で、都道府県で異なります)です。相談先の全体は相続手続きの無料相談窓口一覧にあります。

自宅を不動産会社に売ったとき、売主にはクーリング・オフがありません。国民生活センターは、署名してしまった後ではなく、内容が分からないうちは契約しないことを呼びかけています。この記事は、勧誘の最中、署名の直後、契約から時間がたった後の3つの場面に分けて、動き方を示します。

状況別:今すること

早見表:状況別の動き方
状況 今すること 避けること
勧誘されている最中 はっきり断る。署名しない。188に相談 その場で書類に署名する、印鑑を渡す
署名した直後 契約書・名刺・メモをそろえ、188へ。登記の状況を確かめる 追加の書類に署名する。受け取ったお金の扱いは、相談してから決める
契約から時間がたった 契約書、重要事項説明書、振込の記録を持って188や弁護士へ 業者に直接電話して口頭で話をつける
家に居座られる・脅される 110番。緊急でなければ#9110 一人で応対する

国民生活センターは、高齢者の自宅の売却に関する相談として、次のような例を公表しています(2021年6月24日)。自分の状況と重なる点がないかを見てください。

相談例の表:高齢者の自宅の売却で寄せられた相談
相談の例 見分けのポイント
業者が2人で訪れ、夜9時半まで居座り、翌日も朝から夜まで続けた 勧誘の時間と長さ。帰ってほしいと言っても帰らない
会社案内しか受け取らずに署名した 契約書や重要な書面の控えを受け取れていない
強引に安い価格で売らされ、解約に高額な解約料と言われた 解約の条件を、署名前に説明されていない
嘘の説明で売却と賃貸借を契約した 説明と書面の内容が違う
売却後にシロアリ駆除の費用の負担を求められた 売却後の費用負担が契約に入っていた

書類の原本は手元に保管し、写真かコピーで控えを取ります。業者の名刺、渡された会社案内、勧誘の日時と人数、言われたことのメモも、相談の材料になります。登記の状況は、法務局で登記事項証明書を取ると、名義がすでに会社に移っているかが分かります。

自宅の売却にクーリング・オフがない理由と、残る手立て

不動産のクーリング・オフは、宅建業法37条の2にあります。宅建業者が自ら売主となる売買契約で、事務所以外の場所で申込みや契約をした買主が、書面で撤回・解除できる制度です。個人が自宅を業者に売る場合は、個人が売主、業者が買主なので、この制度の対象ではありません。国民生活センターも、自宅の売却契約はクーリング・オフできないと明記しています。

売主にこの制度がないからといって、できることがなくなるわけではありません。契約の経緯によって、次のような手立てが検討されます。いずれも、取り消せるかどうかの判断は、事実を聞いた消費生活センターや弁護士が行うものです。

  • 消費者契約法による取消し。勧誘の際、住居から退去すべき旨を示したのに退去しなかった、勧誘場所から退去したい意思を示したのに退去させなかった、といった事情で困惑して契約したときは、取り消せる場合があります(同法4条3項)。取消権は、追認できる時から1年、契約を結んだ時から5年で消えます(同法7条1項)。
  • 不実の説明があったとき。重要な事項について事実と違う説明を受けて契約した場合も、取り消せる場合があります(同法4条1項)。
  • 高齢で判断力が下がっているとき。加齢で判断力が著しく低下している人の、生活の維持への過大な不安を知りながらあおり、契約しなければ生活が困難になると告げて契約させた場合も、取消しの対象として定められています(同法4条3項7号)。
  • 業者への行政上の対応。契約の勧誘で禁止されている行為があったときは、免許を出した行政庁(国土交通省の検索システムで分かります)に相談する方法があります。

事実の確認のために、日時、人数、居座った時間、言われたこと、署名した状況を、家族が聞き取って書き残します。売買の相手が第三者に転売して登記すると、事情を知らない第三者には取消しを主張できない場合があるため、早く動くほど選択肢が残ります。

断り方:禁止されている勧誘と、はっきり伝える言い方

宅建業者は、勧誘に際して、利益が確実だと誤解させる断定的な判断を提供したり、相手を威迫したりしてはいけません(宅建業法47条の2)。施行規則16条の11は、次のような行為を禁止行為として定めています。

  • 判断に必要な時間を、正当な理由なく与えないこと
  • 勧誘に先立って、会社名、勧誘する人の氏名、勧誘の目的を告げないこと
  • 契約しない意思(勧誘を受けたくない意思を含む)を示した人に、勧誘を続けること
  • 迷惑を覚えさせる時間帯に、電話や訪問をすること
  • 深夜や長時間など、私生活の平穏を害する方法で困惑させること

これらに当たる行為かどうかは、個別の事実を見た行政庁などが判断します。言われた側は、次のように伝えます。

「今回は売りません。今後の勧誘もお断りします。」

「家族と相談して、こちらから連絡します。今日は署名しません。」

「お帰りください。お帰りいただけないときは、警察に連絡します。」

2つ目の言い方は、判断に必要な時間を求める意味があります。電話や訪問がやまない場合は、日時を記録し、免許行政庁と消費生活センターに知らせます。突然届いたチラシや電話への対応は不動産の買取チラシ・営業電話の確かめ方と断り方、業者を比べる項目は不動産の買取業者の選び方も読んでください。

リースバックで確かめる点:家賃・期間・買戻し

リースバックは、自宅を売って代金を受け取り、買主に家賃を払って住み続ける契約です。売買と賃貸借がセットになるため、確認する点が増えます。国土交通省のガイドライン(2026年10月1日施行)は、業者が故意に告げないと宅建業法47条1号の事実不告知に当たる事項として、売買と賃貸借の内容を挙げています。主なものは次のとおりです(表の「内容」の列は、条項の例の言い換えを含みます)。

確かめる点 内容 見落とすと困ること
家賃の額と支払方法 家賃の額、支払の時期と方法。値上げの定めがあるかも聞く 後で払えなくなる
契約期間と更新 住み続けられる年数、更新の有無 期間が来ると出なければならない
定期建物賃貸借か 借地借家法38条の定期借家か普通借家か 定期借家は更新がなく、期間の終了で契約が終わる
買戻し特約 買い戻せるか、その期限と価格 買い戻せると思っていたのに条件が厳しい
業者の転売 業者が第三者に譲渡する可能性と、賃貸借への影響 家主が変わって条件が変わる
修繕費の負担 修繕を誰が払うか 売却後に費用を請求される

ガイドラインは、売買価格と家賃の算定根拠の説明や、売却代金が家賃の何か月分に当たるかの説明を、業者が対応することが望ましい事項としています。これは、法に基づく義務として一律に整理されたものではなく、できる範囲で対応することが望ましいとされた事項です。自分でも計算できます。

仮の数字で示します。売却代金が2,000万円、月額家賃が8万円なら、2,000万円÷8万円で250か月、つまり20年10か月分の家賃に当たります(筆者の計算)。住み続ける見込みの年数がそれより長いなら、家賃の総額が売って受け取った額を上回ります。ただし、持ち家でなくなれば固定資産税がかからなくなるなど、家賃以外の出入りもあるため、この計算は比べ始めの目安です。

国土交通省のガイドラインによると、リースバックに関する全国の消費生活センター等への相談は、令和4年度116件、令和5年度227件、令和6年度242件、令和7年度214件です。国民生活センターは、契約当事者の約7割が70歳以上と公表しています(2025年5月21日)。リースバックの会社を比べる項目はリースバックの会社の比較にまとめます。

判断力が低下した親が契約した場合と、相談先

契約した時に本人の意思能力がなかったときは、その法律行為は無効です(民法3条の2)。国民生活センターの相談例には、認知症の親が相場よりかなり安い売却額で契約していた、というものがあります。判断力が低下していたかどうか、無効や取消しを主張できるかは、診断書や日常の記録を含めて、弁護士や消費生活センターが見ます。家族が確認するときは、次の書類を集めます。

  • 売買契約書、重要事項説明書、賃貸借契約書(リースバックの場合)
  • 業者の名刺、会社案内、勧誘の日時のメモ
  • 代金の振込記録、受け取った書類の控え
  • 登記事項証明書(名義が移っているか)
  • 親の診察の記録(かかりつけ医、診断の有無)

今後の不動産の売却を見据えて、親本人の財産を守る方法は、認知症の親の不動産売却で本人の意思能力と後見人を通す手続きで説明しています。

相談先は次のとおりです。番号と受付時間の全体は相続手続きの無料相談窓口一覧で確かめられます。

  • 消費者ホットライン188:契約の経緯と、取り消せる可能性の相談
  • 免許行政庁:業者の勧誘や契約の扱いについて情報を寄せる窓口(国土交通省の検索で確認)
  • 不動産適正取引推進機構の電話相談:不動産取引についての電話相談(弁護士による個別の法律相談とは別の窓口)
  • 弁護士:契約の効力を争う判断。法テラスや弁護士会の相談窓口から探す
  • 警察:脅される、居座られるときは110番。緊急でなければ#9110

よくある質問

Q. 自宅を買取業者に売ってしまいました。クーリング・オフで取り消せますか?

自宅を不動産業者に売った場合、クーリング・オフはできません。宅建業法37条の2のクーリング・オフは、業者が売主の取引の買主を守る制度だからです。ほかに取り消せる場合があるかは、契約の経緯によって変わります。時間がたつほど手立てが減るので、早く188に電話してください。

Q. 親が契約した内容を、家族が代わりに断れますか?

家族が先に相談し、契約書や記録を集めることはできます。契約を取り消すか、解除を求めるかは、契約した本人の意思や、契約時の判断力の状態が関わります。消費生活センターや弁護士に、親の状況と書類を見せて、誰がどの名義で動くかを確かめます。

Q. 勧誘してきた業者の対応が怖いのですが、どこに連絡すればよいですか?

身の危険を感じるときは110番です。緊急でない相談は警察相談専用電話の#9110が受け付けます。業者の勧誘そのものの相談は、消費者ホットライン188から、近くの消費生活センターにつながります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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