相談先と専門家の選び方 / 手順

相続の弁護士無料相談の使い方:法テラスと弁護士会の窓口の違い

この記事のもくじ
  1. 3つの無料相談の違い:条件・回数・その後
  2. 無料相談を使う手順
  3. 持っていくものと、相談メモの文例
  4. 無料相談でできること・できないこと
  5. 遺留分の相談は「期間」から聞く

相続のことを弁護士に無料で相談する道は、大きく3つあります。①法テラスの無料法律相談(収入と資産が一定以下の人)、②弁護士会の無料相談(地域・分野ごとに中身が違う)、③法律事務所の初回無料相談です。どれも時間が限られるので、争点を一文にまとめ、資料をそろえてから予約するのが使いこなす手順です。この記事では、3つの違いを表で比べ、予約から相談後までの進め方を順に示します。

3つの無料相談の違い:条件・回数・その後

まず、どこに申し込めるかを表で確かめます。

比較:相続の弁護士無料相談の3つの窓口
窓口 使える人 回数・時間の目安 相談の後
法テラスの無料法律相談 収入・資産が一定の基準以下の人 原則予約制。1回30分、同じ問題について3回まで 条件に合えば、弁護士費用の立替えの制度につなげられる
弁護士会の無料相談 会ごとに決まる(分野・年齢・地域など) 会・分野ごとに違う 弁護士紹介の制度がある会もある
事務所の初回無料相談 その事務所が決める 初回だけ・30分など事務所ごと その事務所への依頼を考える場

法テラスは、経済的に余裕のない人を対象に、弁護士や司法書士との無料法律相談を行っています(民事法律扶助)。法テラスの案内(2026年10月23日に確認)では、相談は1回30分、同じ問題につき3回まで無料で、原則として事前の予約が要ります。相続(遺言・相続放棄など)も対象で、刑事事件は対象外です。

対象になるのは、収入(賞与を含む手取りの平均月収)と資産(現金・預貯金)が一定の基準以下の人で、基準は家族の人数と地域で変わります。たとえば東京都特別区・大阪市などで1人なら収入200,200円・資産180万円以下、3人家族なら収入299,200円・資産270万円以下、そのほかの地域の1人なら収入182,000円・資産180万円以下です。収入と資産は原則として本人と配偶者の合計で見ますが、配偶者が相手方になる事件では本人だけで判断します。数字は改定されることがあるので、予約のときに確かめます。

使うときの注意が2つあります。相談を担当した弁護士・司法書士にそのまま依頼しなければならないわけではなく、3回の範囲なら別の弁護士に相談してもかまいません。一方、すでに法テラスの立替制度を使って弁護士に依頼している事件については、この無料相談は使えません。総合法律支援法30条は、法テラスの業務として、法律相談のほか、代理人の報酬や実費の立替えを定めています。費用の立替えの条件は相続手続きの無料相談窓口一覧で入口の番号を確かめ、相談のときに聞いてください。

弁護士会の相談は地域ごとに中身が違い、無料のものと有料のものが混ざっています。大阪弁護士会の総合法律相談センターは、法律相談料の例として「30分5000円」を挙げています。そのため、予約の電話では「相続の無料相談の枠があるか、料金はいくらか」を最初に聞きます。無料の例として、同センターの「遺言・相続センター」があり、平日の受付時間に電話すると、職員が連絡先を聞き取り、担当の弁護士から1時間以内に折り返しの電話が来るしくみです。電話での相談はおおむね20分以内が目安で、電話相談だけなら費用はかからないと案内しています。お住まいの弁護士会に同種の窓口があるかは、予約の電話で確かめます。このほか、市区町村が広報誌やウェブで弁護士による法律相談の日を知らせていることもあるので、お住まいの市区町村の案内も見ておきます。

事務所の初回無料相談は、時間と対象を事務所が決めています。「初回30分無料」でも、延長分や2回目から有料になることがあるので、予約の電話で料金がかかる条件を聞いておきます。

無料相談を使う手順

予約の前に準備を済ませておくと、短い時間でも中身のある答えを引き出せます。

  1. 争点を一文にまとめる。 「兄が実家を独り占めしたいと言っている」「遺言で私の取り分がない」「弁護士から手紙が来た」のように、いま困っていることを一文で書きます。
  2. 窓口を選ぶ。 収入が基準以下なら法テラス、地域の弁護士会に相続の無料相談があればそこ、相続を多く扱う事務所の話を直接聞きたければ初回無料の事務所、という順で考えます。番号と受付時間は相続手続きの無料相談窓口一覧にまとめています。
  3. 予約する。 予約の電話では、相談したい分野(相続)・希望日時・氏名・連絡先を伝えます。
  4. 資料をそろえる。 下の持ち物の表を見て、手元にあるものから集めます。
  5. 相談を受ける。 最初の1分で要約を話し、残りの時間を質問に使います。
  6. 相談の後に決める。 依頼するか、自分で進めるか、別の窓口でも聞くかを決めます。

家庭裁判所の調停や審判がすでに始まっている人向けの無料相談を設けている弁護士会もあります。大阪弁護士会の「家事当番弁護士制度」は、裁判所で調停や審判になっている家庭の事件について、1回に限り無料で相談できる制度で、裁判所から届いた書面を持っていくよう案内しています。同種の制度がお住まいの弁護士会にあるかは、電話予約で確かめます。調停の手続きそのものは遺産分割調停の流れ:申立ての費用・書類・期間と1回目の準備で説明しています。

持っていくものと、相談メモの文例

無料相談で答えが具体的になるかどうかは、持っていく資料でほぼ決まります。

持ち物 なぜ要るか 手元にないとき
家族の関係を書いたメモ(相続人の一覧) 誰が相続人で、法定相続分がどうなるかを確かめるため 手書きの家系図で足りる
遺産の一覧(不動産・預金・株・借金) 争いの大きさ(経済的利益)を見積もるため 分かる範囲で金額の目安を書く
遺言書(あれば)のコピー 遺言の内容と遺留分の問題があるかを見るため 「あると聞いている」と伝える
相手とのやりとり(手紙・メール・LINE) 相手の主張と、期限の起点を確かめるため 日付と内容をメモにする
時系列のメモ 亡くなった日、遺言を知った日などで期間を数えるため 覚えている日付だけでよい

文例(相談メモの書き出し):「被相続人:父(2026年5月死亡)。相続人:母・兄・私。遺産:実家(評価額は不明)、預金約1,500万円。困っていること:兄が預金の引き出しを説明しない。聞きたいこと:①取引履歴の取り方 ②話し合いで進めるか調停か ③弁護士に頼んだ場合の費用の目安。」

相談の前の準備をもっと細かく確かめたいときは、相続の相談に行く前の準備:持っていく書類と聞くことのリストも参考になります。

無料相談でできること・できないこと

無料相談は「見通しを聞く場」です。次の線引きを知っておくと、期待と実際のずれが小さくなります。

  • できること:争いの見通しの説明、取れる手続きの選択肢、期限の数え方、費用の目安、依頼すべきかどうかの意見
  • しにくいこと:書類を読み込んだうえでの細かな検討(時間が短い)、相手方への連絡、書面の作成

相手への連絡や書面の作成、調停での代理まで任せたいときは、依頼(委任契約)に進みます。そのときの費用の決まり方は相続の弁護士費用:着手金・報酬金のしくみと経済的利益の考え方で説明しています。費用を一度に払えない人は、法テラスの立替えの対象になるかを、無料相談の段階で一緒に聞いておくと話が早く進みます。

遺留分の相談は「期間」から聞く

遺留分は、相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年、相続開始の時から10年で請求できなくなります(民法1048条)。無料相談の予約が数週間先になることもあるので、遺言で自分の取り分がほとんどないと分かったら、まず予約を入れ、相談の最初に「いつまでに何をすればよいか」を聞きます。請求の流れは遺留分侵害額請求の流れ:話し合いから調停・訴訟までの段階と準備にまとめています。

無料相談を何か所か回ったうえで依頼先を決めるときは、相続の弁護士選びで失敗しないために:面談で確かめる8つの点を手元に置いて比べると、費用や方針の違いが見えやすくなります。

よくある質問

Q. 無料相談をした弁護士に、そのまま依頼しないといけませんか?

依頼するかどうかは相談した人が決めます。無料相談は見通しを聞く場として使い、別の事務所の話も聞いてから選んでかまいません。大阪弁護士会の相談センターも、相談を担当した弁護士に依頼できるかを直接聞くことも、弁護士紹介を使うこともできると案内しています。

Q. 遺留分のことも無料相談で聞けますか?

聞けます。遺留分は相続の開始と侵害を知った時から1年という短い期間があるので、無料相談の場では「いつまでに何をすべきか」を最初に聞きます。請求する側でも請求された側でも、期間の数え方を早めに確かめておく意味があります。

Q. 親が亡くなる前でも、遺言や相続のことを無料で相談できますか?

弁護士会の遺言・相続の相談は、相続が始まる前の遺言の相談も対象にしているところがあります。公正証書遺言を考えているなら、公証役場の相談も無料です。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

相続手続きの無料相談窓口一覧:登記・税・売却まで番号と受付時間

相続の相談に行く前の準備:持っていく書類と聞くことのリスト

相続の弁護士費用:着手金・報酬金のしくみと経済的利益の考え方

相続の弁護士選びで失敗しないために:面談で確かめる8つの点