相続の手続きと期限 / 基本ガイド

相続手続きの流れと期限:亡くなった日から10か月までにやること一覧

この記事のもくじ
  1. 相続手続きの全体の流れ:期限順の早見表
  2. 相続手続きは何から始める?亡くなった直後の2週間
  3. 3か月までに:遺言・相続人・財産を調べて相続するか決める
  4. 4か月・10か月:準確定申告と相続税の手続き
  5. 遺産分割と名義変更:預金・不動産・車
  6. 自分で進めるか、人に頼むかの分かれ目

相続手続きは、死亡を知った日から7日以内の死亡届に始まり、3か月(相続放棄の判断)、4か月(準確定申告)、10か月(相続税の申告)、3年(相続登記)という期限の順に進めます。何から始めるか迷ったら、まず期限の短い届け出を済ませ、次に「遺言書はあるか」「相続人は誰か」「財産と借金は何か」の3つを調べてください。この3つが分かれば、あとの手続きは順番に片づきます。

相続手続きの全体の流れ:期限順の早見表

相続手続きは、大きく「亡くなった直後の届け出」「相続するかを決める調べ」「税金」「遺産分割と名義変更」の4段階に分かれます。下の表は、期限が早いものから並べた全体図です。各行の詳しい進め方は、リンク先の記事で一つずつ説明しています。

早見表:相続手続きの期限と窓口
時期の目安 手続き 窓口 根拠・期限
7日以内 死亡届・火葬許可の申請 市区町村の戸籍窓口 戸籍法86条(死亡の事実を知った日から7日以内)
10日・14日以内 年金の受給停止、健康保険・介護保険の資格喪失、世帯主の変更 年金事務所・市区町村 年金は厚生年金10日・国民年金14日以内(マイナンバー収録者は原則届け出不要)、介護保険・世帯主は14日以内
3か月以内 相続するか放棄するかを決める(熟慮期間) 放棄・限定承認は家庭裁判所 民法915条(相続の開始があったことを知った時から3か月以内)
4か月以内 準確定申告(亡くなった年の所得税) 被相続人の納税地の税務署 所得税法124・125条
10か月以内 相続税の申告・納付(基礎控除を超える場合) 被相続人の住所地の税務署 相続税法27条
期限なし(目安は10か月まで) 遺産分割の話し合い・預金の払い戻し 相続人どうし・各金融機関 民法907条(いつでも協議で分割できる)
3年以内 相続登記(不動産の名義を相続人に変える登記) 不動産のある地域の法務局 不動産登記法76条の2

期限の起算点は、死亡届が「死亡の事実を知った日」、相続放棄が「自己のために相続の開始があったことを知った時」、相続税が「知った日の翌日」と、少しずつ違います。過ぎたときに何が起きるかまで含めた一覧は相続の期限一覧(3か月・4か月・10か月・3年の順番)に、遺言の確認から税の申告までを7段階の図にしたものは相続手続きの順番(7段階フローチャート)にまとめています。手続きをしないまま放置したときの不利益は相続手続きをしないとどうなるかに、役所の窓口で一度にできる届け出は相続手続きは市役所で何ができるかにあります。

相続手続きは何から始める?亡くなった直後の2週間

最初にやるのは死亡届です。届け出の義務があるのは同居の親族などで(戸籍法87条)、死亡診断書(死体検案書)を添えて出します。葬儀社が窓口に持って行くことも多いのですが、届出人として署名するのは家族です。死亡届を出すと火葬許可証が交付され、火葬ができます。

死亡届の前に、死亡診断書のコピーを数枚取っておくと後が楽になります。年金や生命保険の請求で「死亡の事実が分かる書類」として使えるからです。続いて、年金の受給停止、健康保険・介護保険の資格喪失、世帯主の変更など、期限が10日・14日の届け出があります。

  1. 死亡診断書を受け取り、コピーを取る
  2. 死亡届を出し、火葬許可証を受け取る
  3. 年金の受給停止と、未支給年金の請求の準備をする
  4. 健康保険・介護保険の資格喪失、世帯主の変更を届け出る
  5. 葬儀費用の領収書をまとめて保管する

届け出の順番と届け先は相続手続きでまずやること(死亡届から7日・14日以内の届け出の順番)で、年金の止め方と遺族が請求できるお金は親が亡くなった時の相続手続きと年金で詳しく説明しています。葬儀代を誰が払い、遺産からどう精算するかは相続の葬儀費用を立替えたときの精算と相続税の控除を見てください。

3か月までに:遺言・相続人・財産を調べて相続するか決める

葬儀が落ち着いたら、相続の中身を調べます。相続人は、亡くなった人(被相続人)の預金や不動産だけでなく、借金も含めた「一切の権利義務」を引き継ぎます(民法896条)。だから、プラスの財産とマイナスの財産の両方を調べてから、相続するかどうかを決めます。

調べること 主な方法 詳しい記事
遺言書があるか 自宅・貸金庫を探す。公正証書遺言は公証役場、自筆証書遺言は法務局の保管制度で調べられる 遺言書あり・なしで相続手続きはどう違うか
相続人は誰か 被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める 相続手続きの戸籍謄本の集め方
財産と借金は何か 通帳・郵便物・固定資産税の通知・借入れの書類を探し、各機関に照会する 相続財産の調べ方(照会先一覧)

自宅などで自筆証書遺言が見つかったら、勝手に開封せず、家庭裁判所で検認を受けます(民法1004条)。公正証書遺言と、法務局に預けてあった自筆証書遺言は検認が要りません。

戸籍は、2024年3月1日から本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できるようになりました(広域交付)。ただし請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫に限られ、窓口に本人が出向く必要があります。兄弟姉妹の戸籍は広域交付では取れません。集めた戸籍は、法務局に出すと「法定相続情報一覧図の写し」として無料で認証してもらえ、預金や登記の手続きで戸籍の束の代わりに使える場合があります。

借金のほうが多いと分かったら、3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の申述をする選択肢があります(民法915条・938条)。この期間に財産を処分すると、放棄できなくなるおそれがある点に注意してください。手続きの段階と費用は相続放棄の手続き(期限・費用・申述から受理通知まで)で説明しています。

この時期に困りやすいのが預金です。金融機関は名義人の死亡を知ると口座の取引を止めるため、引き出しには相続の手続きが必要になります。遺産分割の前でも、相続人1人で「口座の残高×3分の1×その人の法定相続分」(1つの金融機関につき150万円まで)を払い戻せる制度があります(民法909条の2)。計算のしかたと必要書類は預金の相続の仮払い制度を見てください。

4か月・10か月:準確定申告と相続税の手続き

亡くなった人に申告が必要な所得があった場合、相続人が1月1日から亡くなった日までの所得を、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に申告します。これを準確定申告といいます。提出先は被相続人の納税地の税務署です。対象になる人や書き方は準確定申告とは(4か月の期限・必要な人)で扱います。

相続税は、遺産の額が基礎控除を超える場合に申告が必要で、期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条)。提出先は相続人の住所地ではなく、被相続人が亡くなったときの住所地を所轄する税務署です。基礎控除の式と、相続人の数え方は相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×人数で一次判定)で確かめられます。

10か月は長いようで、戸籍集め・財産の評価・遺産分割の話し合いを並行すると余裕はありません。配偶者の税額の軽減は、申告期限までに分割がまとまっていない財産には使えません。期限後3年以内の分割見込書を添えて申告し、3年以内に分割すれば適用できる仕組みはありますが(国税庁 No.4158)、後から手続きが増えます。税がかかりそうな家庭は、話し合いの日程を早めに決めておくと安心です。

遺産分割と名義変更:預金・不動産・車

相続人が複数いるときは、誰が何を受け継ぐかを話し合って決めます(遺産分割協議)。協議はいつでもでき、法律上の期限はありません(民法907条)。まとまったら遺産分割協議書を作り、全員が署名して実印を押し、印鑑証明書を添えるのが一般的な形です。書き方の手順は遺産分割協議書の書き方とひな形で説明しています。

協議書ができたら、財産ごとに名義を変えます。預金は各金融機関で払い戻しや名義変更を、不動産は法務局で相続登記を、車は運輸支局や軽自動車検査協会で手続きします。相続登記は2024年4月1日から義務になり、取得を知った日から3年以内の申請が必要です。それより前の相続で未登記の不動産は、原則として2027年3月31日までが期限です(不動産の取得を知った日が2024年4月1日以後なら、その日から3年)。正当な理由なく申請しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。詳しくは相続登記の義務化(期限3年・相続人申告登記)を見てください。

財産 手続きの場所 主に使う書類
預金 各金融機関 戸籍一式または法定相続情報一覧図、遺産分割協議書、印鑑証明書
不動産 不動産のある地域の法務局 登記申請書、戸籍一式、遺産分割協議書、住民票、固定資産評価証明書
自動車(普通車) 運輸支局 必要書類は運輸支局の案内で確かめる
自動車(軽) 軽自動車検査協会 戸籍謄本等または法定相続情報一覧図、車検証

財産ごとの手続きは記事を分けています。預金は預金の相続手続きと金融機関の相続手続き(複数の銀行を回る順番)、口座が止まって引き落としに困ったときは相続で口座凍結されたらです。株は株の相続手続き、生命保険は生命保険は相続財産か、車は車の相続手続きにあります。名義変更ごとの期限は相続の名義変更の期限で比べられます。

書類の全体は相続手続きの必要書類一覧に、漏れやすい項目は相続手続きのチェックリスト(漏れやすい30項目)にまとめています。

状況で変わる進め方

家族の事情によって、進め方が変わることがあります。配偶者が亡くなった場合は配偶者が亡くなった時の相続手続き、相続人に認知症の人がいる場合は相続人に認知症の人がいる相続手続き、兄弟で分担する場合は相続手続きは誰がするかを読んでください。実家が遠方なら実家が遠方の相続手続き、相続人が海外にいるなら法定相続人が海外在住の相続手続き、亡くなった人が生活保護を受けていたなら生活保護を受けている人の相続手続きが参考になります。

自分で進めるか、人に頼むかの分かれ目

ここまでの手続きは、相続人が自分で進められるものがほとんどです。法務局の登記手続案内(予約制)や税務署の電話相談のように、自分で手続きをする人向けの公的な窓口もあります。自分でやる場合の範囲は相続手続きを自分でやる方法で、窓口の番号と受付時間は相続手続きの無料相談窓口一覧でまとめています。

一方で、人に頼むなら資格によってできることが分かれます。他の相続人との交渉の代理は弁護士(弁護士法72条)、相続登記の申請の代理は司法書士(司法書士法3条・73条)、相続税の申告書の作成や税務相談は税理士(税理士法52条)の仕事です。「戸籍集めだけ」「登記だけ」と部分的に頼むこともできます。誰に何を頼むかの考え方は相続手続きの専門家の違いを見てください。

平日に役所や銀行を回れない、相続人が遠くに住んでいる、手続きに疲れてしまったという場合は、相続手続きに疲れたときの線引きも参考になります。四十九日の前後でどこまで済ませればよいかは相続手続きは四十九日の後でいいか(早見表)で、手続き全体の所要日数は相続手続きの期間はどのくらいかで確かめられます。

手続きをまとめて頼む方法の一つが、相続手続きの代行サービスです。頼む前に、見積書で「どの手続きを・どの資格者が・いくらで」担当するのかを確かめてください。サービスの中身と選び方は相続手続きの代行サービスとはで比べています。

よくある質問

Q. 相続手続きは何から始めればよいですか?

最初の1〜2週間は死亡届・火葬許可と、年金や健康保険など期限の短い届け出に集中します。そのあと遺言書の有無を確かめ、戸籍で相続人を、通帳や郵便物で財産と借金を調べます。この調べが、3か月以内に相続するか放棄するかを決める材料になります。

Q. 相続手続きはいつまでに終わらせる必要がありますか?

手続き全体に一つの締め切りがあるわけではなく、手続きごとに期限が違います。期限が短いのは死亡届(7日)、相続放棄の判断(3か月)、準確定申告(4か月)、相続税の申告(10か月)、相続登記(3年)です。遺産分割の話し合いそのものには期限がありませんが、税と登記の期限に間に合う時期に済ませる家庭が多い流れです。

Q. 相続手続きを全部自分でやることはできますか?

死亡届、年金、預金の払い戻し、相続登記の申請などは、相続人が自分で行えます。ただ、相続人どうしの交渉の代理は弁護士、登記申請の代理は司法書士、相続税の申告書の作成の代理は税理士の仕事と法律で決まっています。手間と期限を見て、部分的に頼む方法もあります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

相続の期限一覧:3か月・4か月・10か月・3年の順番と過ぎたときの影響

相続手続きでまずやること:死亡届から7日・14日以内の届け出の順番

相続手続きの順番:遺言の確認から税の申告までの7段階フローチャート

相続手続きのチェックリスト:漏れやすい30項目を届け先と期限つきで確認