贈与税はいくらからかかる?110万円の数え方と年をまたぐ注意
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贈与税は、もらう人1人について、1月1日から12月31日までにもらった財産の合計が110万円を超えたときからかかります。110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要です。親子でも夫婦でも同じ基準で、あげる人が何人いても、もらう人の枠は年110万円の1つだけです。この記事では、複数の人からもらった場合・年をまたいだ場合・毎年同じ額をもらう場合の数え方と、110万円に数えないお金を、場面ごとに答えます。
贈与税はいくらから?答えは「1人あたり年110万円を超えたら」
暦年課税では、1年間にもらった財産の合計から基礎控除110万円を引き、残りに税率を掛けます(国税庁 No.4402)。数え方の決まりは3つです。
| 決まり | 中身 | 間違えやすい例 |
|---|---|---|
| もらう人ごと | 110万円は受け取った人それぞれの枠 | 「父が110万円、母が110万円なら220万円まで大丈夫」は誤り |
| 暦年(1月〜12月) | 1月1日から12月31日の合計で見る | 4月〜翌3月の年度で数えない |
| 合計で見る | 現金・物・不動産など、もらった財産をすべて足す | 「現金だけ数える」は誤り |
110万円ちょうどまでは課税されません。超えた年は、超えた部分に税率が掛かります。たとえば父から130万円をもらった年は、130万円−110万円=20万円に10%で2万円です(筆者の計算。200万円以下の段階は一般税率・特例税率とも10%)。
金額ごとの税額は贈与税の税率と計算の速算表の早見表で確かめられます。
両親・祖父母など、何人かからもらったときの数え方
あげる人が増えても、もらう人の110万円は増えません(No.4410)。
| 場面(同じ年) | もらう人 | 1年間の合計 | 110万円を超えるか |
|---|---|---|---|
| 父から100万円、母から100万円 | 子 | 200万円 | 超える(90万円が課税対象) |
| 祖父から60万円、祖母から60万円 | 孫 | 120万円 | 超える(10万円が課税対象) |
| 親が長男に100万円、次男に100万円 | 長男・次男 | 各100万円 | どちらも超えない |
| 親が子に100万円、子の配偶者に100万円 | 子・子の配偶者 | 各100万円 | どちらも超えない |
1行目の場合、子が18歳以上なら特例税率で、90万円×10%=9万円です(筆者の計算)。両親が別々に振り込んでも、子の側で合計します。
反対に、もらう人が違えば枠は別です。親が子2人や孫にそれぞれ110万円以下を渡すなら、どの人にも贈与税はかかりません。子の配偶者も1人の受贈者として自分の110万円を持ちます。ただし、配偶者の口座に入れたお金を実際には子が管理して使っている、のように名義と実態が違うと、誰がもらったのかが問われます。口座は受け取った本人が管理しておくことが前提です。
なお、相続時精算課税を選んだ親からの贈与は、暦年課税の110万円とは別に、精算課税の110万円で数えます。精算課税を選んだ親が2人なら、精算課税の110万円をその2人からの贈与額で分けます(国税庁の例:父600万円・母400万円なら66万円と44万円)。
年をまたぐとき・毎年同じ額をもらうときの注意
年をまたぐ受け取りは、もらった日で年を分けます。12月に100万円、翌年1月に100万円なら、それぞれの年は100万円で、どちらの年も110万円を超えません。
いつ「もらった」ことになるかは、贈与の形で決まります。国税庁の質疑応答では、口頭による贈与は実際に渡した時(履行の時)、書面による贈与は契約の効力が生じた時とされています。年末に「来年1月に振り込む」と書面で約束したときは、契約書の書き方によって、どちらの年の贈与になるかが変わりうる点に気をつけます。
毎年同じ額をもらう場合も、各年の合計が110万円以下なら、贈与契約書の有無にかかわらず贈与税はかからず申告も不要、というのが国税庁の答えです。ただし例外があります。
例外は、最初に「10年間毎年100万円」とまとめて約束した定期贈与で、約束をした年にその権利全体をもらったものとして贈与税がかかります。分かれ目は「最初に何年分かをまとめて約束したか」なので、契約書は贈与のたびに1通ずつ、その年の分だけ作ります。文例と国税庁の説明は暦年贈与の契約書の書き方にまとめています。
110万円に数えないお金:生活費・教育費・祝い金
次のものは贈与税の対象外なので、110万円の合計にも入れません(No.4405)。
- 親や配偶者など扶養義務者から、必要な都度受け取る通常必要な生活費・教育費(学費を学校に直接払ってもらう、仕送りで家賃や食費に充てる)
- 社会通念上相当な祝い金・香典・見舞い・年末年始の贈答
- 相続や遺贈で財産を取得した人が、亡くなった年に亡くなった人から受けた贈与(相続税の計算に入れる)
一方、生活費・教育費の名目でまとめて受け取り、使わずに預金した分や、株・不動産の購入に回した分は、対象外になりません。「大学4年分の学費を入学時に一括で渡す」より「学期ごとに学校へ払う」ほうが、非課税の条件に沿った形です。夫婦の生活費と預金の移し替えについては夫婦間の贈与税の記事で扱います。
自分の場合を数えるときのチェックリスト
1年分を次の順で確かめると、申告が要るかどうかを整理できます。
- 1月1日〜12月31日に、誰から、何を、いくらもらったかを書き出した
- 生活費・教育費として都度使った分、祝い金などを除いた
- 相続時精算課税を選んだ人からの分を、暦年課税の分と分けた
- 暦年課税の分の合計が110万円を超えるかを見た
- 超える場合、あげた人が父母・祖父母で、自分が1月1日に18歳以上かを確かめた(特例税率)
- 毎年の贈与について、まとめて約束した契約書を作っていないかを見直した
親子間で、贈与と貸し借り・生活費の線引きに迷う場面は親から子への贈与のしかたで扱います。110万円を超えた年の手続きは、次の贈与税の申告のやり方へ進んでください。
よくある質問
Q. 110万円ちょうどなら贈与税はかかりませんか?
かかりません。国税庁は、1年間にもらった財産の合計が110万円以下なら贈与税はかからないとしています。110万円ちょうどは「以下」に入るので、申告も要りません。110万1円になると、基礎控除を超えた1円分が課税の対象になります。
Q. 子ども2人にそれぞれ110万円ずつ渡すと、贈与税はかかりますか?
暦年課税の110万円は、もらう人ごとの枠です。子ども2人がそれぞれ1年間に110万円以下しかもらっていなければ、どちらも贈与税はかかりません。ただし、それぞれの子が祖父母など他の人からももらっていれば、その分も合わせて110万円を超えるかを見ます。
Q. 年の途中に親が亡くなった場合、その年にもらった分はどうなりますか?
相続や遺贈で財産を取得した人が、亡くなった年に亡くなった人から受けた贈与は、贈与税ではなく相続税の計算に入れます。そのため、その分は贈与税の110万円の計算からは外れます。相続で財産を取得しない人がもらった分は、通常どおり贈与税の対象です。
出典・参考にした公的な情報
- No.4402 贈与税がかかる場合(国税庁)
- No.4402 贈与税がかかる場合(質疑応答:毎年、基礎控除額以下の贈与を受けた場合)(国税庁)
- No.4410 複数の人から贈与を受けた場合(国税庁)
- No.4405 贈与税がかからない場合(国税庁)
- No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)(国税庁)
- 民法 第552条(定期贈与)(デジタル庁(e-Gov法令検索))
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。