不動産売却の流れ / 悩み整理

仲介手数料の交渉はできる?値引きを頼むタイミングと注意点

この記事のもくじ
  1. 仲介手数料の交渉ができる根拠と、できない場面
  2. 値引きを頼むタイミング:査定のとき、契約の前
  3. 値引きと引き換えに確かめたいこと:販売活動が弱まらないか
  4. 交渉して断られたとき、他の抑え方

仲介手数料は、上限以内であれば交渉できます。告示が定めているのは「これ以上は受け取れない」という天井で、「この額を払う」という定価ではないからです。最も話がしやすいのは、不動産会社を選んで媒介契約を結ぶ前です。この記事は、頼むタイミング、伝え方、値引きと引き換えに確かめたい点を扱います。上限の計算は仲介手数料の上限と計算式、価格別の目安は仲介手数料の相場と払う時期で確かめてください。

仲介手数料の交渉ができる根拠と、できない場面

交渉できるのは、報酬の決め方が次のようになっているからです。

  • 宅地建物取引業法46条は、報酬の額を国土交通大臣が定め、その額を超えて受け取ってはならないとしています。
  • 実際の額は、媒介契約書に書く「約定報酬額」です。標準媒介契約約款は、報酬の額を告示の限度額の範囲内で協議して定めるとしています。
  • 媒介契約書には、報酬に関する事項を書くことが法律で決まっています(宅建業法34条の2第1項)。

つまり、上限が105万6,000円の取引でも、契約書に90万円と書いて合意すれば、90万円が約定報酬額です。

ただし、交渉が難しい場面もあります。

場面 交渉の難しさ
代金800万円以下の家や土地で、特例(33万円まで)を使う 手間に対して報酬が少なく、会社の側が引き受けにくい価格帯。上限を下げる交渉より、特例の額と内訳を事前に説明してもらうことが先(800万円以下の空き家の仲介手数料)
会社が料金表で割合を固定している 会社の方針で応じない場合がある。他社と比べる材料になる
すでに媒介契約を結んだ後 約定報酬額を合意済み。会社の判断に任される

値引きを頼むタイミング:査定のとき、契約の前

頼む時期は、次の順番で考えると話が通りやすくなります。

  1. 査定の段階:複数の会社から査定を受けて、査定額と、手数料の見込みを一緒に聞く。この時点では、どの会社にも頼むと決めていない。
  2. 会社を絞った段階:2〜3社に絞ったとき、「仲介手数料を上限より下げられるか」を聞く。
  3. 媒介契約を結ぶ直前:契約書の約定報酬額の欄を見て、合意した額に直してもらう。
  4. 買主が決まった段階:売買契約の前に、約定報酬額が契約書どおりか、請求の内訳が契約書と合っているかを確認する。ここで額を下げてもらうのは難しく、確認が目的。

専任媒介や専属専任媒介は、1社にしか頼めない契約です。契約の有効期間中に他の会社に頼んで売買を成立させると、約定報酬額に相当する違約金を請求されうるため(標準媒介契約約款の定め。実際の扱いは契約書で確かめる)、乗り換えは簡単ではありません。手数料の話は契約前に済ませるほうが、売主の立場は強くなります。契約の種類の違いは媒介契約の種類で比べられます。

文例(査定のとき):「媒介をお願いするか、複数の会社で検討しています。仲介手数料は、告示の上限いっぱいでしょうか。条件によって下げていただく余地はありますか。」

文例(契約の直前):「今回の売却でいただく約定報酬額は、税込でいくらですか。上限の額から下げてもらえる場合の額も、媒介契約書の報酬の欄に書いてもらえますか。」

交渉では、他社の見積もりを根拠にするのが現実的です。「A社は上限の9割で引き受けると言っている」といった、実際に見積もりにある額だけを使い、作り話はしません。

値引きと引き換えに確かめたいこと:販売活動が弱まらないか

手数料を下げてもらうと、売主の手取りは増えます。たとえば上限が105万6,000円のとき、10万円下がれば手取りが10万円増える計算です。一方で、報酬が減った分、会社が広告や営業の手間を絞る可能性があります。そう決まっているわけではありませんが、売主として確かめられる点があります。

  • レインズへの登録:専任媒介は契約日の翌日から7日以内(休業日を除く)、専属専任媒介は5日以内の登録が義務です。登録証明書を受け取り、登録されているかを自分で確かめられます(レインズの登録の確かめ方)。
  • 報告の頻度:専任媒介は2週間に1回以上、専属専任媒介は1週間に1回以上、業務の処理状況の報告が義務です。値引き前と後で、報告の中身が変わっていないかを見る。
  • 広告の範囲:インターネットのポータルサイト、チラシ、現地の看板、オープンハウスなど、何をどこまでやるかを聞く。
  • 査定の根拠:売り出す価格について会社が意見を述べるときは、根拠を示すことが義務です。値引きの代わりに、価格の根拠が薄くなっていないかを見る。
比べ方:手数料を下げてもらうときの確認表
確かめる項目 値引きの前 値引きの後
約定報酬額(税込) 上限どおりの額 契約書に書いた額
レインズへの登録(専任は7日以内) 登録予定日 変わらないか
報告の頻度(専任は2週間に1回以上) 契約書の記載 変わらないか
広告の範囲 掲載先・チラシ・看板 変わらないか

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値引きの額と、売れる価格の違いも比べておきます。売り出す価格が100万円違えば、手数料の10万円の値引きより、手取りへの影響が大きくなりえます。仲介手数料を下げることだけを目的にせず、売却全体の手取りで見るのが基本です。

交渉して断られたとき、他の抑え方

会社が応じなかった場合は、次の方法を考えます。

  1. 他の会社に切り替える:媒介契約を結ぶ前なら、他の会社と条件を比べ直せる。一括査定で複数の会社の提案を並べると、手数料の条件も比較しやすくなる。
  2. 特例の対象かを確認する:代金800万円以下なら、特例(33万円まで)の範囲で、あらかじめ説明を受けた額が適切かを聞く。
  3. 買取に切り替える:不動産会社が買主になる買取では、通常は仲介手数料がかからない。ただし買取価格は仲介の査定額より低くなりやすいので、手取りの合計で比べる(不動産の買取と仲介の違い)。
  4. 別名目の上乗せがないか確かめる:手数料を下げた代わりに、調査費やコンサル料の名目で上乗せされていないか。国土交通省は、媒介とは別に書面で結んだ契約でなければ、媒介の報酬の規制の対象と整理しています。別の契約書がないまま名目だけを変えた請求は、何の仕事の費用かを書面で聞きます。

交渉の結果、約束した額は、口頭ではなく媒介契約書の約定報酬額の欄に書いてもらいます。書面に残っていれば、後で言った言わないの争いを避けられます。売却にかかる費用全体は不動産売却にかかる費用一覧で確かめてください。

手数料の条件を複数の会社で比べたいときは、一括査定を使う方法があります。出てくる査定額は売れる値段の保証ではありません。申し込むと複数の会社から連絡が続くことがあるため、メールを希望するなど連絡手段を伝えておきます。売却の決断は査定のあとで足り、手数料の条件は提案書か見積書の形でそろえてもらうと比べやすくなります。

よくある質問

Q. 仲介手数料は法律で決まっているので、値引きの交渉はできないのでは?

法律(告示)が決めているのは上限です。上限以内であれば、いくらにするかは売主と不動産会社が媒介契約で話し合って決めます。標準媒介契約約款も、報酬の額は告示の限度額の範囲内で協議して定めるとしています。

Q. 媒介契約を結んだ後でも、手数料の交渉はできますか?

頼むこと自体はできますが、契約書に約定報酬額を書いて合意した後は、会社が応じるかどうかは会社の判断になります。頼むなら媒介契約を結ぶ前、会社を選ぶ段階が最も話しやすい時期です。

Q. 手数料を下げてもらうと、売る努力が減ることはありますか?

減ると決まっているわけではありません。ただし、報酬が少ない分、広告や営業にかける費用を絞る会社が出てくる可能性はあります。値下げの条件として、販売活動の内容を契約書の記載やレインズ登録の確認で書面にしておくと、売主が確かめられます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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