不動産の買取相場は仲介の何割?安くなる理由と自分の物件で比べる方法
不動産の買取価格は、同じ物件を仲介で売って成約した価格と、同じにはなりません。買取は会社の再販を前提に逆算した額で、仲介の成約額より低く提示される例が多く見られます。ただし、何割になるかを示す公的な統計は見当たりません。割合は、物件の状態、立地、会社が買ったあとにどう再販するかで変わるため、他人の事例の「7割」「8割」をそのまま自分の物件に当てはめることはできません。この記事では、価格が下がる理由を分解し、自分の物件で割合を出すための比べ方を示します。
買取価格が仲介より低くなる理由
仲介では、売主が買主に直接売るので、買主が払う金額が売主に入ります。買取では、会社が買ったあとに再び売る(再販する)か、自分で活用することを前提に、そこから逆算して買取額が決まります。その計算に、次の項目が入るためです。
| 買取価格から引かれる項目 | 中身 |
|---|---|
| 再販のための費用 | 建物の補修やリフォーム、解体、測量、残置物の処分 |
| 保有している間の費用 | 売れるまでの固定資産税、借入れの金利、管理の手間 |
| 売れ残りのリスク | 想定の価格で売れなかったときの値下げの余地 |
| 営業・広告・取引の費用 | 再販時の広告、仲介を使う場合の手数料、登記の費用 |
| 会社の利益 | 買ってから売るまでの事業としての取り分 |
売主の側から見ると、価格が下がった分で受け取るのは、早さと手間の軽さ、契約不適合責任を負わない特約が結べること、内見や広告がないことです。この対価を払う価値があるかは、売りたい時期と、建物の状態で決まります。買取の流れと期間は不動産の買取査定から入金までの流れ、買取と仲介の全体の違いは不動産の買取と仲介の違いにあります。
買取の価格の比べ方:同じ表に並べて割合を出す
買取の相場を知る近道は、自分の物件で、仲介の査定額と買取の提示額を同じ日に集めて並べることです。順番は次のとおりです。
- 成約の目安を調べる。国土交通省の不動産情報ライブラリで、近くの取引価格や成約価格を見ます。取引には物件の個別の事情や、当事者の売り急ぎなどが反映され、通常と違う価格になることがあると、同サイトの利用規約にあります。1件ではなく、何件かの幅で見ます。目安の調べ方は家を売るといくらになるかの成約価格の調べ方で説明しています。
- 仲介の査定を2〜3社に頼む。査定額は売れる値段の約束ではありません。
- 買取の提示額を1〜2社から取る。同じ物件、同じ日付の条件で頼みます。
- 根拠を聞く。媒介契約で価格の意見を述べる会社には、根拠を明らかにする義務があります(宅建業法34条の2第2項)。買取の提示額はこの規定の対象ではないため、根拠を答えるかどうかは会社次第です。聞いても内訳を示さない会社は、比較から外す理由になります。
- 手取りで比べる。仲介は成約額から手数料などを引き、買取は提示額から売主負担の費用を引きます。
計算例(仮の数字)
下の数字は仕組みを示すための仮のものです。実際の価格ではありません。仲介の査定額が3,000万円、買取の提示額が3社から出た場合を考えます。
| 提示額・見込み | 仲介査定額に対する割合(筆者の計算) | 手数料 | 手取りの目安 | |
|---|---|---|---|---|
| 仲介(3,000万円で成約した場合) | 3,000万円 | 基準(1.0倍) | 上限105万6,000円 | 約2,894万円 |
| 仲介(値下げして2,800万円で成約した場合) | 2,800万円 | 約93% | 上限99万円 | 約2,701万円 |
| 買取A社 | 2,500万円 | 約83% | なし | 2,500万円 |
| 買取B社 | 2,300万円 | 約77% | なし | 2,300万円 |
| 買取C社 | 2,600万円 | 約87% | なし | 2,600万円 |
仲介手数料の上限は、国土交通省の告示で決まります。消費税等相当額を含まない代金について、200万円以下の部分は5.5%、200万円超400万円以下は4.4%、400万円超は3.3%(いずれも税込の手数料)です。400万円を超える代金では、速算として代金×3%+6万円に1.1を掛けます(筆者の計算。3,000万円は96万円×1.1=105万6,000円)。表の手取りは、手数料だけを引いた目安で、登記や印紙、測量、片付けの費用と税金は含みません。仕組みは仲介手数料の上限と計算式にあります。
この例では、仲介の見込みと買取の差は、C社でも約294万円です。この差を、売れるまでの期間と、売主の手間と責任の対価として払えるかを判断します。仲介は売れるまで価格が確定せず、売れなければ値下げが続く可能性もあります。仲介の欄を複数並べるのはそのためです。
比べるための提示額を取る方法の一つに、買取を扱う会社への査定依頼があります。共有持分や再建築不可など、一般の仲介で買主が付きにくい物件は、そうした物件を扱う会社の提示額も入れて、同じ表で比べます。
買取と仲介の差が小さくなる場面・大きくなる場面
差の大きさは物件によって違います。次の表は、判断の材料です。
| 場面 | 差の傾向 | 理由 |
|---|---|---|
| 築年数が新しく、状態がよい | 小さくなりやすい | 再販の費用が少ない |
| 築古で補修や解体が必要 | 大きくなりやすい | 会社が負担する再販の費用が増える |
| 共有持分だけを売る | 仲介自体が難しい | 持分だけの買主は限られる(共有持分の買取業者に売る前の確認点) |
| 再建築不可・借地など | 仲介で買主が見つかりにくい | 買主が限られ、買取と比べる意味が増える |
| 売る期限がある | 買取が選択肢になる | 決済日を契約で決められる |
どの場面でも、買取額が仲介より低いことは、会社が不当に安く買っているとは限りません。同時に、他社より極端に高い額には疑いを持ちます。国土交通省は、土地の所有者に「高値で買い取る」と電話し、手続き費用や税金対策の名目で金銭を請求したり、別の土地を買わせたりする原野商法の二次被害に注意を呼びかけています。免許の確かめ方と契約条件の見方は不動産の買取業者の選び方を読んでください。
売却額が変わると、売って得た利益(譲渡所得)も変わります。税金を含めた手取りは、不動産売却の税金の計算の仕組みで確かめます。個別の税額の計算は税理士の仕事なので、見込みの段階では、国税の電話相談や税務署で、特例が使えるかを確かめてください。
よくある質問
Q. 買取価格は仲介の何割になりますか?
何割と言える公的な統計はなく、物件の状態、立地、会社の再販の方針で変わります。割合は、仲介の査定額と買取の提示額を同じ物件で並べ、買取の提示額を仲介の査定額で割って自分で出します。他人の「何割」は、自分の物件には当てはまらないことがあります。
Q. 買取の価格は交渉できますか?
交渉できます。ほかの会社の提示額と提示の条件を示して聞く方法があります。ただし、価格を上げる代わりに決済日を早める、残置物の撤去を売主が負担する、といった条件が付くことがあるので、手取りで比べます。
Q. 他社より極端に高い買取額を出す会社は信用してよいですか?
金額だけで判断しないでください。国土交通省は、高値で買い取ると言って手続き費用や税金対策の名目で金銭を請求し、別の土地を買わせる手口に注意を呼びかけています。免許の確認と、契約書に書かれた条件の確認を先にします。
出典・参考にした公的な情報
- 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(告示)(国土交通省)
- 宅地建物取引業法 第34条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 不動産情報ライブラリ(国土交通省)
- 不動産情報ライブラリ 利用規約(国土交通省)
- <消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ(国土交通省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。