不動産売却の流れ / 手順

家を売るといくら?成約価格のデータの調べ方と査定の使い分け

この記事のもくじ
  1. 家を売るといくらかは「近所で実際に売れた価格」から考える
  2. 不動産情報ライブラリで成約価格を調べる手順
  3. 調べた価格を自分の家に当てはめる:㎡単価と条件の違い
  4. 査定の使い分け:机上査定・訪問査定・鑑定評価
  5. 相続した家の価格を調べるとき:評価額と売れる値段は別

家を売るといくらになるかは、**近所で実際に売れた価格(成約価格)**を出発点にします。国土交通省の不動産情報ライブラリで、地域・種類・時期を選ぶと成約価格の一覧が見られるので、広さが近い物件の㎡単価に自分の家の面積を掛ければ、おおよその価格帯がつかめます。そのうえで、建物の状態や日当たりなど個別の事情は不動産会社の査定で補います。広告の売り出し価格、査定額、相続税や固定資産税の評価額は、どれも「売れた値段」とは別の数字なので混ぜないことが大事です。

家を売るといくらかは「近所で実際に売れた価格」から考える

家の価格を調べると、似た名前の数字がいくつも出てきます。何を表す数字かを先に分けておきます。

数字 何の価格か 売れる値段との関係
成約価格情報 レインズに登録された取引の成約価格を、個別の取引が分からないよう加工したもの 実際に売れた価格。相場の出発点になる
不動産取引価格情報 取引した人へのアンケートの回答を加工したもの 実際の取引価格。売り急ぎ・買い急ぎなどの事情も入る
売り出し価格(広告) 売主が希望して売りに出している価格 売れた価格ではない。値下げの前の数字も多い
査定額 不動産会社が「この価格なら売れる見込み」と示す価格 見込み。会社ごとに違う
鑑定評価額 不動産鑑定士が鑑定評価の手法で判定した価格 経済的な価値を判定したもの。売買価格とは一致しない
公示価格・路線価・固定資産税評価額 国・税務署・市区町村が目的ごとに決める価格 土地の水準の目安。家の売買価格そのものではない

売り出し価格と成約価格の差は、時期によっては大きく開きます。首都圏の中古マンションでは、2026年7〜9月期の成約価格の平均が5,172万円、新しく売りに出された物件の平均が6,801万円でした(東日本不動産流通機構)。ポータルサイトで見た近所の売り出し価格を「うちもこのくらい」と考えると、高すぎる見込みになりやすいのはこのためです。

不動産情報ライブラリで成約価格を調べる手順

国土交通省のマニュアルに沿った手順です。

  1. 不動産情報ライブラリのトップ画面で「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」を押す。
  2. 地域を選ぶ。「住所から」なら都道府県・市区町村・地区、「路線・駅名から」なら路線と駅を指定する(駅から探すときは駅名まで選ぶ)。
  3. 価格情報区分で「成約価格情報」を選ぶ(「不動産取引価格情報」と両方を選んでもよい)。
  4. 種類を選ぶ。成約価格情報は「土地と建物」(戸建て)と「中古マンション等」だけが対象。
  5. 時期を選ぶ。地図画面で表示できるのは直近5年分。
  6. 件数を確かめて「一覧表示」を押す。一覧は所在地や最寄駅で絞り込め、「詳細表示」で1件ごとの面積・築年・価格が見られる。

データは四半期ごとに追加されます。国土交通省は、取引には物件の個別の性質や当事者の事情が反映され、通常と異なる価格になることがある、と注意を添えています。極端に安い・高い1件に引っぱられないよう、数件以上を並べて幅で見ます。

図解:成約価格から自分の家の価格帯を出す流れ
  1. 地域(駅または町名)と種類(戸建て/中古マンション等)を選ぶ
  2. 直近2〜3年の成約価格を一覧にする
  3. 広さ・築年数が近い物件を5件前後選ぶ
  4. 各物件の㎡単価(価格÷面積)を出し、最低と最高を見る
  5. 自分の家の面積を掛けて価格帯を出す
  6. 個別の事情(向き・階数・傷み・接道)は査定で補う

調べた価格を自分の家に当てはめる:㎡単価と条件の違い

マンションは専有面積あたりの単価で比べるのが基本です。たとえば東日本不動産流通機構の資料では、首都圏の中古マンションの成約㎡単価の平均は2026年7〜9月期に82.33万円でした。この単価で70㎡の部屋を計算すると、82.33万円×70㎡=約5,763万円になります(筆者の計算)。ただしこれは首都圏全体の平均で、同じ期の東京都区部は135.52万円、埼玉県は44.04万円と、地域で約3倍の差があります。自分の家に当てはめるときは、同じ駅、同じくらいの築年数の事例で単価を出し直します。

一戸建ては、土地と建物を分けて考えると差の理由が見えます。

自分で出した価格帯は、査定額が妥当かを見るものさしとして使います。この幅から大きく外れた査定額には、その理由を聞きます。

査定の使い分け:机上査定・訪問査定・鑑定評価

方法 分かること 向く場面
机上査定 物件の基本情報と成約事例からの概算 売るか迷っている段階で価格帯を知りたい
訪問査定 室内・建物の傷み・周りの環境を見た見込み 売る時期が決まってきた
不動産鑑定士の鑑定評価 鑑定評価の手法による価格の判定(有料) 相続人の間で価格の根拠をそろえたい、裁判所や税務の手続きで資料が要る

不動産会社の査定は売るための見込みで、価格の判定を業務として行うのは不動産鑑定士です(不動産の鑑定評価に関する法律36条)。一方で宅建業者は、売る価格について意見を述べるときに根拠を明らかにする義務を負います(宅建業法34条の2第2項)。査定書を受け取ったら、使った成約事例、加点・減点の理由、何か月で売る前提の価格かを聞きます。査定の決まり方は不動産の査定とは:査定額の決まり方と鑑定評価・売れる値段の違い、机上と訪問の違いは不動産の机上査定と訪問査定の違いで扱います。

成約価格で幅をつかんだ後なら、一括査定で複数の会社の見込みを並べると、どの会社の数字がその幅に沿っているかが分かります。査定額は会社の見立てで、その価格での売却を約束するものではありません。申し込むと複数の会社から連絡があることがあり、売るかどうかは結果を比べた後に決めて構いません。

相続した家の価格を調べるとき:評価額と売れる値段は別

相続した家では、相続税の計算に使う評価額(土地は路線価方式か倍率方式、建物は固定資産税評価額×1.0)と、売れる値段を分けて考えます。評価額は税金の計算のための価格で、売れる値段が評価額より高いことも低いこともあります。相続税がかかるかどうかの判定には評価額を使い(相続する不動産の評価方法:路線価・倍率方式・建物の評価額の違い)、売るか残すかを決めるには成約価格と査定を使います。

遺産分割で家を誰かが引き継ぎ、他の相続人にお金を払う形(代償分割)では、どの価格を基準にするかで払う額が変わります。相続人の間で基準が合わないときは、成約価格・査定書・鑑定評価のどれを使うかを先に話し合います(代償分割とは?家を一人が継いで他の兄弟にお金を払う方法)。相続した家を売る場合の全体の順番は相続不動産の売却の流れ:登記から売却・申告までの順番と期限へ進んでください。

よくある質問

Q. 不動産情報ライブラリに自分の家と同じマンションの成約が見当たりません。

個別の取引が特定されないように加工して載せているため、同じ建物の取引が分からないことがあります。その場合は、同じ駅で築年数と広さが近い物件まで条件を広げ、㎡単価の幅を見ます。建物ごとの細かな事情は、訪問査定で不動産会社に補ってもらいます。

Q. 査定額が会社ごとに数百万円も違うのはなぜですか?

使った成約事例、建物の状態の見方、何か月で売る前提の価格かが会社ごとに違うためです。高い査定額が「時間をかければ売れるかもしれない価格」であることもあります。根拠の事例と販売期間の見込みを並べると、違いの理由が見えてきます。

Q. 固定資産税の評価額は、売れる値段の目安になりますか?

固定資産税の評価額は課税のための価格で、売買の価格とは目的も決め方も違います。登録免許税の計算などには使いますが、売れる値段の目安にはしません。相場は成約価格で調べます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

家を売るには何から始める?最初の1週間でやる準備と相談の順番

不動産の査定とは:査定額の決まり方と鑑定評価・売れる値段の違い

売り出し価格の決め方:査定額・相場・値下げの余地の考え方

土地の売却相場の調べ方:公示価格・路線価・成約価格の違い